フィル・デイビスはリョート・マチダとのリマッチに興味なし
MMAfighting.comより
もしあなたがフィル・デイビスが8月3日にリオ・デ・ジャネイロで行われたリョート・マチダとの試合を見るだろうと期待してたとしたら、そして彼が一致した意見に賛同すると期待していたのなら、うむ、どうもそうはならなかったようだ。実質的には全ての世論調査、大部分の大手メディアのリポート、UFC社長デイナ・ホワイト、そしてテレビ解説者のブライアン・スタンはその試合を30-27のスコアでマチダにつけたが、ジャッジ達は全員29-28のスコアをつけて元NCAA王者を贔屓した。この勝利はデイビスが1、2ラウンドの終盤にテイクダウンを取ったことによるものだ。
デイビスはその勝利を正当なものとして受容し、マチダのキャンプからのリマッチの試みには興味を持っておらず、次の試合は3ラウンドに代わって5ラウンドになるだろうとしている。
「私は12勝しており、うち11勝で(デイビスの戦績は12勝1敗と1ノーコンテスト)対戦相手が全員リマッチを望んでいる。」とデイビスはアリエル・ヘルワニ出演のMonday’s MMA Hourで言った。「リマッチを望んだのはあなたが初めてじゃない。あなたは毎試合今回のように闘っている。彼が誰かを手ひどく痛めつけながらフィニッシュできなかった試合を一つ挙げてみてくれ。」
その試合は5ラウンドのメイン・イベントとしては売り物にならないものだったろう、その最初の試合は精彩を欠いていた、しかしそれはとても典型的なマチダ・スタイルの試合だった。ともかく、試合で起こる事は大体予測できるものだ、ジャッジがスコアを読み上げるその時までは。
「あの剣で生きる者は、あの剣で死ぬ。」とデイビスは言った。「あなたが習慣的に結果をジャッジに委ねる時、あの戦略はあなたを見捨てるんだ。私はそうとしか言いようが無い。」
その試合を見た後に採点して、デイビスは最初の2ラウンドは勝ったと信じている、そして3ラウンドを落としたことを渋々認めた。ジャッジ3人のうち2人は彼と同じ意見であり、3人目は彼に2ラウンドと3ラウンドを与えた。
「最初のラウンドはほとんど互角だった。」と彼は言った。「最初のラウンドというものはいつも大抵は採点するのが難しいラウンドなんだ。大きな動きがない。多くの場合、皆は互いに落としたと思っている。マチダはこんなスタイルを持っている、彼はラウンドの残り1分半まで待って、疾風怒涛のように爆発し、かわして、かわして、残りの時間全てではないが、大部分をそうやるんだ。もしその1分半の枠内であなたがテイクダウンされたとしたら、あなたは大失敗だ。だから彼はあのラウンドを失ったんだ。テイクダウンはラウンドを決定付けるべきではないと言うなら、うーん、それなら一つのラッシュがラウンドを勝ち取るべきではないだろうね。」
デイビスはまたマチダが最初のラウンドで記録したその疾風について軽視してもいる。テイクダウンの前にあったそれは、彼がそのラウンドを勝ったと感じた人たちが指摘したことだ。
「私が思うに実際に当たったのはワンパンチだ。」とデイビスは言った。「膝蹴りは完全に私から外れていた。きわどくはなかった。回想すれば、それは余裕過ぎるくらいだった。もしあれがあなたに当たれば、大問題が発生していただろう、しかし彼は当てることができなかった。それはこういうことだ、もしあなたがそれをテレビで見ていたなのなら、それが当たったと思うだろう、しかしもしケージの側かリプレイで見れば、彼は実際にはフェンスに対して蹴りを当てていたし、あれは多分悔しいことだったろう。」
彼はブライアン・スタンをショーのアナウンサーとして全体的には賞賛する一方で、デイビスはスタンが何が起こったのかを分析する中で偏りがあったと感じている。
「私が帰って試合を見たとき、いささかバイアスがかかっていると私は強く思った。」と彼は言った。「私は帰ってから一晩中そのテレビ放送を見ていた。私は彼が素晴らしい仕事をしたと思うし、彼は私の試合でもいい仕事をしたと思う。彼の仕事は私の仕事よりも簡単ではないんだ。」
マチダと闘ったほとんどの人たちのように、デイビスは彼が難しい対戦相手であったことを認めた、事実、いくつかの点において彼がこれまで対面した中で最も難しい相手だった。
「間違いなくその通りだ、」と彼は言った。「私は彼がパズルとなるだろうことを予期していたし、彼は間違いなくそうだった。彼の蹴りは速い。あいつは速い。彼にはある種のゲームがあり、それはとても特徴的だ。それと関わるのはとても難しいんだ。練習相手として誰を選んでも彼に非常に近い奴なんていやしないだろう。」
デイビスはまた特に言及した、試合の統計について彼らはミスリードをするし、レスリングについてはレスラーのメンタリティというものを示していないのだと。
特に、デイビスがあの試合の統計において言及していたのが、彼は10回のテイクダウンの試みのうち2回成功したというものだった、1ラウンドの終盤にたった一つスコアされたのともう一つは2ラウンドの終盤であり、それらが彼を判定で勝たせた動きと思われるものだ。
「統計が誤って集計される場所がある。」とデイビスは言った。「大多数の人が言う、リョート・マチダはライトヘビー級で最高のテイクダウン・ディフェンスを持っていると。それはまるで彼がレスリングにおいて本当に優れているかのように聞こえる。それを除けば、彼は本当はレスリングに優れているわけじゃない。」
「もしあなたがリョート・マチダのような選手と対戦すれば、彼は超長距離を維持するんだ、彼は素晴らしい蹴りがあるし彼の蹴りによって素晴らしい距離が維持されるんだ、そして外側から打撃を放つ、彼はカウンター・ストライカーだ、距離を縮めて彼をテイクダウンするためには、あなたは試練を潜り抜けてこいつを実行しなきゃいけないんだ。彼はあの距離のおかげで、数多のテイクダウンを回避することができるんだ。だから彼はライトヘビー級で最高のテイクダウン・ディフェンスを持っているのだと言うのは、あなたは何が起きているのかを不正確にリポートしているということなんだ。今私に言わせて欲しい、彼は素晴らしい、速く動く臀部を持っている。どう考えたって彼をテイクダウンするのは簡単じゃない。」
デイビスはまた、10対2という統計は誤った分析だと感じている。その試合の後、何人かが質問したのはレスリングの観点ではその試合に勝利したのは誰かというものだ、もしマチダが高確率でテイクダウンを止めたとしたら、彼はデイビスが成功した2回よりも多い8回のテイクダウンを止めたと表記されるべきと言えるだろう、と。デイビスはその結論に到達した人たちはレスリングを理解していないと言った。
「私にちょっと説明させてくれ、私のレスリングのバック・グラウンドにおける選手のメンタリティというのは、あなたがテイクダウンに行った時、それはいつもテイクダウンを取れるわけではないということだ。」と彼は言った。「多くの場合、それは優勢に運ぶためのものだ。」
「それがマチダが彼の距離を維持する理由のひとつだ、もしあなたが強引にテイクダウンに行こうとするならね。」と彼は言った。「私は中央でコントロールする人間の一人だ。レスリングにおいて、もし一人が3連続でテイクダウンに行ったとすれば、もう一人は停止しているんだ。もし私が攻撃して彼が何も攻撃していないならば、彼は何もしていないんだ。レスリングではあなたが何回テイクダウンに行ったかなんて統計が記録されることはない。記録されるのはあなたが何回テイクダウンに成功したのか、そして誰がコントロールしていたのかだ。もしあなたが二回テイクダウンを取ったのなら、統計は0対2になるんだ。」
デイビスは今、面白い状況にいる。現在ライトヘビー級では、グローバー・ティシェイラ(21勝2敗)がトロントで9月21日に行われるジョン・ジョーンズ対アレクサンダー・グスタフソンのタイトル戦の勝者との対戦候補に有利な立場にいるように思われる。UFCのオフィシャルは言った、もしティシェイラが9月4日にブラジルはベロ・ホリゾンテでの試合でライアン・ベイダーを相手に印象的な勝利を見せれば、次に列に並ぶのは彼だと。もし彼が負ければ、もしくは印象的な試合を見せなければ、ダニエル・コーミエ、205ポンドに落とす予定の彼がロイ・ネルソンを倒す結果になれば、彼がその権利を手に入れるだろうとしている。
デイビスはもしグスタフソン、メイン・トレーニング・パートナーの一人である彼がジョーンズを倒せば、彼はグスタフソンと二度目の対戦をすることに何の問題も無いことを表明してきた、しかしそれは彼がチャンピオンになった場合のみだ。
デイビスは2010年、グスタフソンをサブミッションによって1ラウンドで破っている、それはいまだにグスタフソンのキャリアにおいて唯一の敗北だ。
「私達はしょっちゅうとてもハードにスパーしている、金を貰えもしないのにさ。」とデイビスは言った。「やらないなんて筋が通ってないよ。だがそれがタイトル戦じゃないってことになると、なんでトレーニング・パートナーを失わなけりゃならないんだ?でも私達はベストになるためにこのスポーツをやってるんだからな。」
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というわけでフィル・デイビスが語るマチダ戦についてでした。私の意見は感想記事にも書いたとおり、概ねデイビスと一緒です。(感想記事はこちら、以前のマチダ対ダン・ヘンダーソン戦の感想記事はこちら)
一昔前はマチダが勝ったと思った試合で判定負けにされることが多かったように思いますが、いまではそれが逆転しているのだからとても興味深いですね。以前はマチダのスタイルは何がしたいのか理解できない人が多く、つまらない、退屈だという評価が多かったように思います。彼の速くて無駄の無い、急所を抉る空手の洗練された蹴りが有効打にカウントされていなかったように思います(特に膝から下を跳ね上げるように使って足の先端部で突き刺すような蹴りは)。しかし距離の重要性が理解され彼のスタイルが理解されるにつれて、今度は彼の一撃が少しばかり過大評価されているように自分は感じています。
まず1Rのラッシュですが、デイビスは当たったのはパンチ一発で膝はフェンスに炸裂したと述べています。自分もクリーンヒットは初撃の突き一発だと思いました。あれをマチダが1R取ったとする根拠にするならば、自分はデイビスの完璧なテイクダウンのほうが遥かにポイントとして大きいと考えます。
2Rはあまり議論の余地がないように思います。トータル・ストライキングでも若干デイビス有利くらいで、マチダに主な動きが無かったように思うからです。ここでもテイクダウンとグラウンドでの打撃を考慮して自分はデイビスにポイントをつけました。
3Rはデイビスも認めるとおり、マチダの攻勢で文句は無いでしょう。このラウンドをデイビスにつけた審判がいるようですが、これはちょっと理解できないところではあります。デイビスも手数を出しましたが有効打数ではっきりと差があり、かつテイクダウンも取れませんでしたからデイビスに付ける
理由がないのではという気がしますね。
予想外だったのは、海外ではほぼマチダ支持だったことです。もう少し議論が割れるかなと思いました。WOWOWでもそこまでおかしな判定だというリアクションを解説、実況ともにしていなかったように記憶しています。ではなぜ海外でここまでマチダ支持になったのかという理由として、デイビスはブライアン・スタンの分析がちょっと偏向してたんじゃないのか、ということを指摘しています。
格闘技の判定において、実況と解説の影響は凄まじいものがあります。たとえば実況と解説がどちらか一方の選手の打撃のみを有効だと言いつづけて、もう一方の攻撃についてほぼノーコメントを貫き通せば、どんなに一方的にやられている試合でも互角であるかのように見せることが可能だと自分は思っています。K-1やら亀田の試合、そしてカーロス・コンディットとニック・ディアズの戦いで同様のことが起きていたと思います。(コンディットvsディアズでローキックをまるで自然現象かのようにスルーしていたときには危うく抗議のメールを出すところでした。)
なのでブライアン・スタンの分析は聞いていませんが、もし彼がストライキングばかりを評価してテイクダウンの有効性をないがしろにしていたならば、これは30-27もあり得る話です。ましてや誠実で真面目なブライアン・スタンの発言ですから、相当数が影響を受けることは間違いないでしょう。
次に日本ではお目にかからない意見として、「テイクダウンを防いだ数をカウントすればレスリングでマチダが勝ってたんじゃねーの?」という意見です。さすがにこれはいくらなんでも・・・という気がしますが、デイビスは若干ピキピキしつつも真面目に説明しています。いい人ですね。怒ってもいいんだよ?
確かに今のMMAの統計ではテイクダウンのトライ数と成功数が並べて表記されています。そしてこれこそがレスリングの概念にはない統計であり、これがミスリードになってるのではないか、というのが元NCAA王者の意見です。
テイクダウン成功数がデイビス2のマチダ0とすれば、これはどう考えてもデイビスの勝利です。しかしデイビスのテイクダウン成功数2に対してマチダのテイクダウン防御数8と表記すれば、これはマチダが勝ったように見えなくもないわけです。
しかしアマチュア・スポーツでこういうカウントが試合に影響を及ぼすことは基本的にはありません。統計として出すことはありますが、ポイントになることはないでしょう。成功率を見るためには使いますが、それ以外でこれを勘案するスポーツはあまり思い浮かびません。
例を出します。柔道では技がどれくらい極まったのかでそれぞれ有効から一本までの得点を割り振り、当然ながら相手の攻撃を防ぐのはカウントに入りません。むしろどれだけ失敗しようが基本攻撃を仕掛けるほうが評価され、手が出ないほうは指導を受けて減点されます。(それがゆえに掛け逃げというのが流行りましたが)レスリングでも基本的には成功した攻撃のみがポイントとしてカウントされます。攻撃が出ないほうは支配されている、相手に自由を奪われていると判断されます。
ボクシングでも有効な防御というのは評価されますが、それはその後に攻撃が続いた場合です。防御で相手の攻撃を崩して有効打を叩き込めばポイントになりますが、それも結局は攻撃がポイントになっていると考えて差し支えないように思います。
まさか海外でこんなとんでも理論でデイビスが負けと糾弾されているとは思いもしませんでした。デイビスは反則をしたわけでもなく、今回は相手をよく研究して精一杯戦っただけに、さすがにこれはいくらなんでもデイビスが気の毒です。
次にテイクダウンの価値についてです。MMAfightingの記者は試合を決定付けたのは恐らくこのテイクダウンのポイントであり、そしてジャッジはレスリングをあまりにも贔屓しているのでは、ということを匂わせています。しかし最近では以前ほどにテイクダウンにポイントがつかなくなっていると思います。テイクダウンをしてもそこからトップをキープして有効な攻撃が出来なければそこまでの評価はされません。そしてなし崩し的に倒れたのはちゃんとカウントから除外してもいますので、昔ほどにレスラー優位というわけではありません。
それでもテイクダウンがポイントになるのは間違いありません。統計を見ていただければわかると思いますが、テイクダウン、パス、そしてサブミッション・トライはカウントされています。タップを奪えなくても、入りかけたサブミッションは有効な攻撃としてポイントになります。そしてテイクダウン後にパスをするのもまた、ポイントとして考慮されているのです。
またこれも見落とされがちですが、グラウンドでの打撃はボディへのものでもきちんとカウントされていますし、クリンチでの腿への膝などもちゃんとカウントされています。こういうのは地味で考慮に入れられていないことが多いですが、ジャッジはちゃんと数に入れています。自分がデイビス・マチダ戦でデイビスを有利としたのも、グラウンドでのストライキングを有効打に入れているからです。そしてトータル・ストライキングではそれを考慮に入れれば若干デイビス有利となります。自分が見ている限りでは、グラウンドでの打撃はスタンド状態よりも有効打になりやすいように思います。やはり相手が寝ている状態というのは立っているのよりも無防備と考えるからでしょうか?
デイビスはラウンド終了間近ではありましたが、なし崩しではなく完璧なトライからのテイクダウン、そしてパスをしてパウンド、2Rではボディへの膝などを打っていました。スタンドでの有効打が各ラウンドとも互いに20発を越えない中で、これはかなり大きなポイントとなるのではないでしょうか。
テイクダウンの価値は下がったとはいえ、その後にパウンドを落とせるのであればいまだにその価値は大きく、自分の体感としてはパスとパウンド込みでダウンに準ずる程度のポイントになるのかなと思っています。
次にデイビスのマチダのスタイル分析です。やはり彼は非常にスマートですね。よく研究していると感じています。
まず彼が指摘したのは、マチダは素晴らしいレスリング技術があるという誤解です。確かにマチダのテイクダウン・ディフェンスは素晴らしいですが、デイビスはその根拠として彼が蹴りを使って維持する距離、そしてマチダがいい尻をしているからだとしています。素早く動く素晴らしい尻が、彼のテイクダウン・ディフェンスを実現しているのだと。テイクダウン・ディフェンスに秀でていることが、必ずしもレスリングに秀でていることではないというのはソネン教授も指摘していたことです。実際にテイクダウンされた後、マチダはパスを簡単に許していましたから単純なレスリングがそこまでではないというのはその通りなのでしょう。
そしてマチダが距離を維持するのは、テイクダウンを仕掛けているほうが攻勢と判断されるのを防ぐためだともしています。これもその通りでしょう。カウンター・ストライカーのマチダとしては、フェンスに押し付けられてテイクダウンを狙われ続ける展開は致命的だからです。ほぼ何もできないままにラウンドが終われば、ただでさえ手数の少ないマチダはまずラウンドを落とします。そしてその状態になった時点で、マチダがデイビスのテイクダウンを凌ぎきるのはまず無理だった可能性が高いです。今回は距離を維持していてすら、デイビスのタックルでテイクダウンを取られているのです。
そしてマチダの試合に関してはダメージに関する誤解もあるように思います。K-1ではダメージなるものを優先して考えると言っていた様な記憶がありますが、ダメージというのはかなりわかりにくいものです。ボクシングでもレフェリーがスリップをダウンと勘違いしてカウントを始めたり、逆にダウンをスリップ扱いして続行させたりします。間近で見ている人ですら、その内部のダメージというのは計測しにくいのです。
試合を決定付けるダメージというのは、ド派手な一撃以外で受けることが多々あります。軽い攻撃が致命的になっていることもあります。削りのミドルキックでわき腹を痛めて思うように動けなくなったり、目に受けたジャブで視界がおかしくなってディフェンスが出来なくなったり、クリンチからのコツコツと当てるボディでスタミナを根こそぎ失ったりして負けることがあります。もしダメージを勘案するならば、こういうのを見抜けなければいけません。
しかしそんなことは不可能です。なので基本的にははっきりわかるダウンや、そこまでいかずともよろめく、動きが無くなるなどの現象がなければ、全ての打撃はクリーンヒットとして同じ扱いにしなければなりません。マチダの一撃がどれほど有効に見えようと、デイビスに失速が見られない以上、それはデイビスの削りの一撃と等価だということです。マチダのラッシュは確かに迫力がありますが、実際当たったのは一発、そしてその後にデイビスは膝をかわせるだけの余力があるわけですから、それは有効打の一つであり、それをあまりにも評価しすぎるのは彼のラッシュに目がくらんでいるとしか言いようが無いのではないかと思います。
最後に、デイビスの素晴らしい格言を引用したいと思います。「あの剣で生きる者は、あの剣で死ぬ。」あのスタイルで勝つ者を殺すのもまた、あのスタイルなのです。そしてそれは私がかねがね彼のスタイルについて指摘してきた問題点です。彼のスタイルはジャッジには最も嫌われるものだということは、もうずっと前からわかっていたはずです。彼のスタイルはKOしなければ成立しないのだということを、マチダはいまだに理解していないように思います。私はジャッジの判断を支持しますし、このことでデイビスを責めるのはお門違いだと思います。海外メディアはなんとかしてデイビスに負けを認めさせようとしていますが、はっきりいってやりすぎです。むしろジャッジの傾向など明らかなのですから、マチダは判定を想定するならばスタイルを変えればいいだけです。それで彼のカウンター・スタイルが失われて負ける可能性もあります、しかし変えなければこれからもKOするか、判定で混乱するかしかないのです。
私が今回デイビス支持をしたことで、意外に思われたり見る眼がないと思われる人も多かっただろうと予想しています。これまで判定に関してはデイナと違うことはほぼなかったのですが、とうとう彼とも意見が食い違ってしまいました。しかし私は昔から判定やら評価でその時の主流とはよく意見が食い違ってきましたのでもう慣れっこだったりします(さすがにデイナと違ったのはちょっとショックですが)。
そもそも、どれだけ外野が支持しようと勝敗を決定するのはジャッジの判断ですから、ジャッジの傾向を把握して戦わない時点で文句をつけてもしょうがないように思います。自分が常に最大の評価基準に置いているのは手数です。前に出ようが下がろうが、たくさん攻撃を当てた奴を有利と考えます。重く見えようが軽く見えようが一発は一発です。そしてそれこそがジャッジの判断基準だろうと考えています。もちろんどれだけ手数を出してもクリーンヒットしていないのならカウントから除外します。そのうち、マチダとデイビスが試合を重ねていけばこの試合の評価も定まっていくでしょう。繰り返しになりますが、マチダはスタイルに関して今のままでいる限り、絶対にジョーンズには勝てないということを断言します。あの剣で生きる者は、あの剣で死ぬのです。
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五味サンチェスのときもそうですが、デイナは、開催地のファンやリョートのフラストレーションを緩和させたいという、マキャベリズムみたいなものを感じなくはないです。
返信削除ただ他の専門家らのジャッジについてはなかなか不可解です。第三者にバイアスが掛かるのは無価値なことですし
みてる方が混乱します。
開催地のことを考えて、というのは多少あるかもしれませんね。
削除日本大会は変な判定が多いですね。ブラジルとは真逆です。ジャッジが日本びいきにならないように変に修正かけてるんじゃないかと勘ぐりたくなるくらいに日本人選手に厳しいジャッジが多いように感じています。
ただ、今回の件に関しては自分は終了直後にデイビスが勝ったと思ったので、むしろ騒動になってびっくりな感じです。確かジャッジはボクシングとレスリングのジャッジが出向しているケースが多かったように記憶していますが(違ったら申し訳ありません)、だとするならジャッジによって打撃とグラップリングで価値が違ってくるのは間違いないと思います。今回は間違いなくテイクダウンの評価の差ではないでしょうか。
自分はテイクダウンを結構大きく評価する傾向にあるので、それでジャッジと同じになったのでしょう。テイクダウンはポイントとして考えるのにわかりやすい、という利点があるからです。アマチュアスポーツ的な考えかもしれませんね。
そして実況と解説の価値基準は、可能な限りジャッジに近いほうが基本的にはいいんだろうと思います。じゃないと混乱しますからねw