MMA maniaより
ホナウド・ソウザに対する痛恨の敗北後、「ゲート・キーパー」岡見勇信をリリースする決定についてアルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)社長デイナ・ホワイトは説明する。
今日午後、元UFCミドル級コンテンダーの岡見勇信がUFC Fight Night28:ティシェイラvsベイダーにおいてホナウド・ソウザに痛恨の敗北を喫した後、そのプロモーションからリリースされていたことが一斉に報じられた。
そのニュースはいささか衝撃だった、岡見はオクタゴンの中で13勝5敗の戦績を収めることができたし、オフィシャルのUFCランキングによればいまだにトップ10以内にランクされていたからだ。
ヤフー・スポーツのケヴィン・イオールはUFC社長デイナ・ホワイトと話をすることができ、プロモーションがその日本人ファイターと袂を分かつことを選択した理由を見つけ出した。
彼の説明だ:
「彼は永遠に我々と共にある。彼はいつだってタフな奴でトップ・レベルにあった、だが、彼はほとんどゲート・キーパーになってしまっていたようなものだ。私は岡見は好きだし、君も私がこう話すのを何度も聞いてきただろう、岡見勇信に勝つというのは意味があることなのだと。だが、彼は一度も峠を越すことはできなかったし、あれらの(重要な)試合を一つとして勝つことができなかった。我々は参入してくる大勢の奴らを抱えているし、私はこれを一年中言ってきた:我々の選手名簿は一杯で、機会を与えられるべき奴らがいるんだ。誰かを招き入れる時、誰かは出ていかねばならない。そういう理由から、これら試合というものはとても重要なんだ。」
ホワイトはまたツイッターで特筆した、岡見はプロモーションに戻ることができるが、他のどこかで勝利を重ねなければならない、と。
岡見は所属期間中、ベスト・ファイターの何人かに勝利を挙げてオクタゴンを飾ることができた、それはエバン・タナー、マーク・ムニョス、ネイト・マーコート、そしてアラン・ベルチャーへの二度の勝利を含んでいる。彼はまたアンデウソン・シウバがUFC163においてクリス・ワイドマンに敗戦する以前に、勝つかもしれないとアンデウソン・シウバを脅かした最後の男でもある。
さらに興味深い事実として、岡見は今週初めにリリースされ、現在UFCはTroops3での試合のためにティム・ケネディの新しい対戦相手を探している最中だ。もし私が岡見のマネージャーなら、私はジョー・シウバに電話をしているだろう。
ホワイトはまた、プロモーションがUFC165でのマイルス・ジュリーとの退屈な試合の後にマイク・リッチをリリースしていたことも確認した。
さてマニアども、君達はデイナ・ホワイトに賛同するかい?岡見は「ゲート・キーパー」の役割に陥ってしまっていたのだろうか?それとも彼はまだもっとやれたのだろうか?
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というわけで日本が誇るUFCトップ・ファイターの一人、岡見勇信選手がリリースされてしまいました・・・。
報道されてから各所ともこのニュースで大騒ぎです。海外フォーラムでもかなり賛否両論飛び交っていますし、MMAニュースサイトでも「マジで?」という反応が大多数です。MMAマニアの中の人もちょっと腑に落ちていない感じですね。
とりあえずリリース賛成、反対で指摘されている点をざっくりまとめますと
賛成派
・試合が退屈で金にならない、金を払う気にならないからしょうがない。
・UFCはリーグじゃない、大会の一つだからPPVを売らなきゃしょうがない。
・岡見にこれ以上先があるとは思わない。
反対派
・成績的にリリースする理由がない、ここ4戦で3勝1敗
・重要な試合に勝ってない?重要な試合ってどれのことだか言ってみろ。ビスピンが「重要な試合」とやらに勝ったことあんのか?
・ファイトスタイル次第でリリースしたら、結局金が全てになる。スポーツからエンターテイメントになるんじゃないの?WWEと何が違うんだよ
・ゲート・キーパーの何が悪いの?勝ったり負けたりすればそうなるのは当然じゃねーの。その上で岡見はトップ集団にいたんだろ
デイナへの罵倒
・年々デイナが嫌いになる。こいつがMMAをダメにしてる
・デイナの後ろには「親」がいるんだろ
・金の亡者。選手を金でしか見てない
こんな感じでしょうか。MMAメディアは大体がちょっとどうなのよ、というリアクションです。ファンも大半が反対派、賛成しているのは少数な印象です。ついでに今回一緒にリリースされたマイク・リッチについてですが、彼がリリースされたことについてはファン全員が賛成でした。誰一人惜しむ人がいないというのもすごいですね。彼はTUFでは結構伸び代ありそうでしたが、UFC本戦で絶望的につまらない試合をしたために総スカンを食らってしまいました。
さて、ここからが私の意見表明です。ちょっと問題が問題だけに、かなり慎重に指を運んでいかねばなりません。可能な限り誤解をされないように、かつ論旨を明確に保って今回のリリースについて、岡見勇信の可能性について、そしてUFCのリリースの概念について、自分の考えを述べていきたいと思います。
まず今回のリリースについてです。賛成か反対かで言えば、これは明確に反対です。理由は、私が岡見勇信を応援しているからです。そして私が持てる反対理由はこれだけです。
ここからが重要です。私は岡見勇信を応援しているからリリースしないでほしいというだけで、UFCのリリースそのものには異論がありません。つまり、UFCのリリース基準は私には理解できるものです。
まずUFCのそもそもの試合の組み方に関して押さえておきたいと思います。
UFC社長デイナ・ホワイト、彼は元々ボクシング・ファンで、子供のころにテレビで見たボクシングのビッグ・マッチに心躍らせる少年でした。彼はあのビッグマッチをストレスなく実現することをUFCの基本理念にしています。理由は、ボクシング業界には団体が複数出来て王者が大量に出現した上に、それらの王者や名のある選手がリスクを恐れて対戦相手を選んだり、ビッグ・マッチを避けることが多々あるからです。最近ではパッキャオvsメイウェザーなどがそうでしょう。なぜそうなるかといえば、彼らに試合を強制させる権利が誰にもないからです。
一方UFCでは実力者がどんどん潰し合いをさせられます。そして外部から来た名のある選手は、次々と王者やコンテンダーとぶつけられます。
ではなぜUFCはビッグ・マッチを簡単に実現できるのでしょうか?それは、UFCというのはボクシングのWBAやWBCなどのようなリーグ(連盟など)ではないからです。ボクシングでは各団体ともあくまでも監督、認定をする組織であり、試合を組んだりするような権利は持っていません。指名試合を除けば、ボクシングでは試合はあくまでも選手のプロモーター、マネージャーが契約して行われるわけです。
対するUFCはチャンピオンシップ(選手権大会)です。終わりのないトーナメント戦と評するのが一番適切かもしれません。選手は個人がズッファという企業と契約し、UFCに参戦して試合が組まれていきます。つまり契約がボクシングのように選手と選手ではなく、選手と企業なのです。選手は組まれた試合に勝てば評価が上がり、評価が上がるとプロモーション側からタイトルマッチを組まれる「可能性が高く」なります。
UFCの問題点はまさにここにあります。それは試合の組み方のせいで、スポーツの基本となる「平等」の概念が損なわれるからです。
つまり、試合を組む権利が全て大会運営側にあることが問題になります。通常のトーナメントであれば、選手はランダムなり非ランダムなりでそれぞれ最初の対戦相手が決定されます。その後次々と勝ち上がった者同士が対戦していきますが、その対戦カードに誰かしらの意志が介在することはありません。(厳密には最初の決定で多少はあるかもしれません)そのためにこれはとても平等です。
しかしUFCは違います。勝った場合、その次の対戦相手はマッチメーカーによって選び出されるのです。有名なマッチメーカーとしてはジョー・シルバがいます。彼がこの対戦が面白い、若しくはこの二人が対戦して勝ったほうが明確に王座に近づくと思う試合が組まれていくわけです。ここでは「主観」が大きく作用しますので、当然ながら平等に試合を組まれるということがないのです。
これらにはそれぞれメリット・デメリットがあります。純粋なトーナメントのメリットは、ただひたすらに平等でわかりやすいことです。勝ち上がったものが強い、というのはスポーツの根幹を支える強固な土台となります。デメリットとしては実力者同士が早期に当たってどちらかが消えてしまう可能性があります。あまりにも実力差があったりするような試合も避けることはできません。つまり、ファンが望まないカードが多く誕生してしまう可能性があります。また試合数をあまりこなせないMMAでは、無理にトーナメントにするとかなり長い期間やりつづけることにもなってしまいます。
対してUFCの組み方のメリットは、極めて柔軟に対応できるということにつきます。今ファンが見たいカードを、可能な限り早く提供することができるわけです。これこそがそれまでのスポーツにはない要素です。今一番望まれている試合のために、強制力を持って選手を戦わせられるというこの要素こそ、デイナが求めていたものなのです。だから他団体から来た幻想のある選手は何の実績もなしにいきなり王座挑戦ができたりしますし、どれだけ勝ってもパフォーマンスが冴えなければ王者挑戦させないこともできます。そしてデメリットとしては、ファンの要望とずれてしまうこと、そして明らかに不平等なカードの組み方が行われてしまうことです。
実はこの点に関しては、どういうのが理想なのか私にも明確な答えが出せていません。もっといいシステムがあるような気はしています。しかし現状では、恐らくUFCのやり方がMMAという競技には今のところ一番適していると考えています。
というのも、カードの組み方に関しては概ね納得できる組み合わせが多く、また実力者がそれなりに王者挑戦出来ているからです。また勝ち星を重視して、トーナメントに準ずる程度の平等性も確保できていると思っています。そしてこのさじ加減の絶妙さが、UFCが今日までやってこれた理由の一つでしょう。現にここ数年、UFCでは選手の怪我を除き、ビッグマッチが次々と実現されていたのは事実です。挑戦した選手も勝ち星を評価された場合が殆どです。またこれまでファンが見たいと思っていた試合の多くが行われ、そして我々の予想もしない結末がたくさんありました。これが見られたのもすべてはこのシステムのおかげです。
さて、このシステムでリリースされるというのはどういう時なのでしょうか?トーナメントであれば負けた時が終了の時です。次のトーナメントを待つしかありません。ボクシングのような形態であれば、負けたらランキングが下がりますので、また今の自分に見合った相手を探すことになります。基本的にリリースということはありません。
UFCがリリースをするときは、自分が見る限りは以下のような場合です。
・敗北した時
・無気力、消極的、著しく低いパフォーマンスの試合をした時
・自分から仕掛けない、アグレッシブさに欠ける時
・フィニッシュを目指さない、または目指しているように見えない時
・ケージ外で事件、問題等を起こした時
・契約を反故にした時(体重超過、イベントへの不参加等も含む)
・選手のコストパフォーマンスが悪いと判断された時
・これ以上続けても王座にたどり着ける可能性がないと判断された時
まず敗北した場合のリリースの目安は、概ね3連敗と思われます。3戦して全敗の場合、期間にすればおよそ1年ほどでしょうから、これは「もう勝ち上がることはできない」と判断されても仕方ありません。恐らくマッチメーカーは相性なども考えて組みますから、これで全敗するならば穴だらけのファイター、という判断なのでしょう。これは一番納得出来るリリースです。
そして次が問題です。試合内容というのは、実はリリースにもっとも大きく関わっています。そしてここが世間の誤解の源だと思っています。おそらくこちらのほうがリリース基準としては敗北よりも重要度が上なのです。これが時折UFCをスポーツではないかのように見せてしまう原因です。
デイナをはじめ、UFC運営の基本理念のもっとも中心にあるのは実は意外にも情熱的で、そしてレトロな価値観なのだと思います。それは「選手はファイターであること」です。ファイターとは何か、これは自分も感想でよく書いていますが、完全勝利を目指す選手のことです。決められた時間内に、相手を完全に制圧してジャッジに判定を委ねない選手こそが、UFCが求める人材です。
なのでこの理念にどれだけ忠実かを毎試合査定されている、と考えると様々なことがストンと腑に落ちます。UFCからの報酬は、すべてこの理念にどれだけ適っているかで決まりますし、ボーナスのシステムもそれに従っています。敗北を3回以上重ねようと、フィニッシュを狙いに行ったり、果敢に攻めた選手はリリースされないことのほうが多いです。
一方で、その理念に反する選手は一敗どころか、勝利してさえリリースの危険があります。かつてアンデウソン・シウバはあまりにも無気力な試合をした時に、激怒したデイナから「次に同じことをしたら勝ってもリリースする」と脅されています。とにかく不利にならないことを考えて膠着を繰り返す選手もリリースされます。
そしてその理念に基づいて、リリースされやすい選手というのがいます。それが自分から仕掛けない選手、そしてフィニッシュを狙っているようには見えない選手です。そして岡見選手が該当し続けたのもこの部分だと自分は考えます。世間ではよく退屈な試合を塩試合と呼びます。そしてGSPやビスピンなどが塩試合でつまらないと言う人もよく見かけます。しかし私が思うに、その「つまらない」の感覚がデイナやUFCのプロモーターと世間ではかい離していることが、リリースを理解できない要因となっているのではないでしょうか。デイナが言うところの「つまらない」というのは、決して判定決着になるかどうかで決まっているわけではない、ということです。そしてそれは、自分も全く同じ考えです。
私にとって、チェール・ソネン、GSP、マイケル・ビスピンは退屈な選手ではありませんし、彼らは決して消極的ではありません。というのも、彼らは皆自分から仕掛けるからです。ソネンは打撃をまったく恐れないかのように突進して、自分の得意なグラウンドに引きずり込んでとにかく議論の余地がないほどに痛めつけます。トップを長時間キープし、とにかく殴れるところから威力を問わず殴っていきます。GSPはご存知の通り、スタンドで打撃を打ちながらタックルのプレッシャーをかけ続け、そして一度倒したらあとは徹底して支配しながら削り続け、相手が弱ればじわじわとポジションをいい位置に変えていきます。彼は判定まで行きますが、圧倒的な支配と手数の多さでその判定結果はもはや割れようがありません。マイケル・ビスピンはキックボクシングが非常に強く、彼はKOが出ないとはいえ、シャープで速い蹴りやパンチを自分からどんどんと打ち込んで相手を削っていき、最後まで動き続けます。このような選手は結果的に判定になるだけで、決して消極的とは言わないのです。そして彼ら全員に言えるのは、自分の得意な土俵に持ち込むために自分から仕掛けている、ということです。
世間ではKO、一本でなければUFCは退屈と判断する、と思われているようですが、それは間違っていると思います。彼らが判断しているのは、この自分から仕掛けるかどうかという点です。有利な土俵があって、そこに持ち込もうと仕掛けるのが積極性です。そしてこの有利な土俵に持ち込もうとすることこそ、フィニッシュを狙う姿勢ということです。どこで勝つのかを明白に考えている、これがUFCにとっては非常に重要なのだと思っています。
そしてこの理念こそが、私が過去もっとも共感したMMAに対する考え方です。どこで勝つのかをはっきりと持っている選手の試合は見ていて退屈しません。彼のやりたいことの成否というのを、緊張感をもって見ることができるからです。この選手はこれを狙ってる、しかしそれがうまくいくのか?そのために彼は何をするんだ?そういうことがわかれば、たとえ判定になっても面白いものです。
しかしこれがない選手というのは見ているのが苦痛です。スタンドで行きたいのか、クリンチで行きたいのか、グラウンドでパウンド・アウトしたいのか、それともサブミッションを狙うのか。試合をどういう方向に持っていきたいかわからないまま、ぼんやりと試合をしてなんとなく有利だから勝ちました、というのは緊張感がないですし、そういう戦い方は判定で試合を落とすこともありますから選手にとってもマイナスです。また自分から仕掛けない選手は手数も減りがちですから、当然動きは少ないのでどんどん画面が退屈になっていきます。岡見選手の退屈さはこれが原因です。日本人選手にはこのケースが非常に多いと思っています。どこで勝ちたいのかがわからないのです。今海外でも人気の水垣選手などは、明確にスタンドで相手を倒しに行く姿勢が見られるからこそ、見ていてとても面白いのです。
つまり面白いかどうかもさることながら、こういう選手はUFCが望む「ファイター」ではないのです。決して無謀な打ち合いをしろ、ということではありません。試合で完全決着を目指さないのは、その時点で「消極的」だということです。フィニッシュをゴールに据えれば、そこにたどり着くまでの道筋というのが概ね見えます。そしてその中から自分が最もゴールにたどり着く可能性が高いものを選ぶのが戦略です。その戦略があれば、基本的には自分から仕掛けることになるはずです。そして仕掛けとは、ただ無鉄砲に突進することではないのです。この判断基準がおそらくUFCが敗北よりも重視している点です。だからリリースまでの敗北数にばらつきが生じるわけです。
次に選手のコスト・パフォーマンスについてです。冒頭で述べたように、UFCはリーグではなく、他の大会と並列の一大会に過ぎません。なので当然ながら大会開催者は利潤を追求しています。そこがWBAなどの組織と一番違う点です。
野球を例に引けば、UFCはセ・リーグやパ・リーグではなくそのリーグに所属する一チームということです。MMAというリーグ自体は存在していません(そのためアメリカにおいて、UFCは競技の公平性や安全性を確保するためにその監督をNSAC、ネバダ州・アスレチック・コミッションに行ってもらっています)。MMA全部を統括する団体は存在しないために、現状MMAとはどんな大会を行っても別に構わないわけです。もっとも、アメリカでは州の決まりで規制があるかもしれませんが。
UFCはリーグではない、というのはUFCのリリースを考えるうえで欠かせない点です。たとえば野球の一チーム、サッカーの一チームが選手の解雇をする場合、その判断にファンが好き嫌い以外で文句のつけようがあるでしょうか?解雇をどうするかはすべてチームに権利があります。たとえば明らかに実力があってもチームメイトとうまく付き合えない、球団の看板にならない、もっといえばファンから人気がないという理由でも解雇することは自由なわけです。ただ、そういう解雇をすればチームが弱くなる可能性があるし、それでチームが弱くなればファンが愛想をつかしてしまう、ということがあるだけのことです。
もちろんUFCはチーム同士の対抗戦をしているわけではありませんから、必ずしも完全に同一視をするわけにはいきません。しかし基本的に、UFCがどんな理由で選手を解雇しようと問題がない、ということです。もしサッカーのFIFAや野球のJBCがプレーが退屈だからという理由で選手を追放した場合には、これはスポーツではなくなってしまいます。よくUFCのリリースの仕方ではスポーツとして危うくなる、という指摘がありますが、これはUFCをリーグや連盟と捉えることに由来していると思います。UFCが経営方針にそぐわない選手をリリースすることは、別にスポーツとしての根底を揺るがすことにはならない、と自分は考えます。ただリリースする選手次第ではUFCの選手層が薄くなったり、それに伴ってUFCという大会の権威が落ちることがある、というだけでしょう。
そしてチームからリリースされた選手はどうするかといえば、まだ現役を続行するならば自分を使ってくれるチームを探して、そこに所属することになります。サッカーや野球ではこの移籍というのも楽しみの一つとなっています。うまくなって強豪チームに移ったり、成績が悪くなったり年を取ってローカルなチームに都落ちしたり、というのが一つのエンターテイメントです。MMAでは現状UFC一人勝ちのために、そういう楽しみ方がまだ定着していないところがあります。しかし今ベラトールをはじめ、WSOFなどは着実に大会を重ねてなかなかに充実してきており、これからはそこが改善されていくでしょう。
最後に、王座にたどり着けないと判断された場合です。これはキャリアとギャラがそこそこの、元トップ・コンテンダーに多いケースでしょう。ジョン・フィッチが解雇された理由はこれです。彼は「落ち目」と判断されたことがリリース理由の一つでした。そして今回岡見がリリースされたのも同様です。そして率直に言えば、この点に関するUFCプロモーターの審美眼はかなり正確です。私自身、岡見のソウザに対する敗北には同じことを感じました。あの負け方には「先がない」のです。状況を変えるには、戦略そのものを根本から見直すか、今彼が抱えている問題を完全に解決する必要があるのは明白です。
さて、ここまでざっとUFCのリリース基準について見てきました。ここで一つ大事な点を指摘したいと思います。それは、リリースの理由は一つではない、ということです。もちろん問題行動や犯罪などで解雇される人は理由が一つですが、試合内容や選手の可能性、ギャラなどの判断による解雇は複合的なものです。それを一つに絞ろうとしてしまうから、リリースに納得できなくなってしまうのです。あくまでも総合的な判断の結果、リリースとなっていると考えるべきでしょう。その観点から岡見選手のリリース理由を考えてみますと:
・ソウザへの敗北があまりにも一方的だった
・打撃に対する反応がおかしい、臆しているように見える
・判定決着が多く、フィニッシュを目指しているように見えない
・自分から仕掛けないことが多い、手数が少ない
・現状の岡見を見て、王座を奪取できる可能性は少ない
・岡見の人気や試合の面白さに対して、ギャラがあまり見合っていない
やはり一番の理由は、今後王座を奪取できる可能性がない、つまりフィッチ同様「落ち目に入った」と判断されたことだと思います。あの負け方は、そう判断されても仕方がないものだったと自分も考えています。感想で書いた通り、これから岡見選手はあのラッシュをかけられた時の脆さが致命的な要素となって負け続ける可能性が出ていたからです。
実績に対してはギャラが少なく感じますが、それでもプロモーターが高いと感じている可能性はあるように思います。それはジョン・フィッチの時も同様です。費用対効果の判断は、あくまでも相対的なものです。そしてUFCがここまで栄えた理由の一つが、この損切のうまさ、見切りのうまさです。敏腕な経営とは、ほとんどの場合冷酷非情に見えるものです。
そしてギャラについていえば、先にも述べたようにUFCの根底にある理念は「選手はファイターであれ」というもので、自分から攻めてフィニッシュを狙う選手には相応の利益が与えられるシステムになっています。岡見選手には試合という機会が与えられ、そこでその理念に従ってフィニッシュを狙って攻めていけばギャラはおのずとあがるわけです。システムに関して一切説明がないのであればそれは理不尽ですが、デイナは明言をしているわけですから選手はそれを把握しているはずです。そのうえで判定が多く試合が退屈なためにギャラが少ないのはしょうがないでしょう。
一方で、このシステムを悪用して「攻めてるアピールをする」選手がいるのも事実です。岡見選手と対戦した時のアラン・ベルチャーなどは、まさにファイターではなくアクターでした。反吐が出るほどの攻めてるアピールには、自分がケージに入って殴りつけてやりたいほどに腹が立ったものです。そしてそういうアクターが評価されるケースがあるのも事実です。コンスタンティヌス・フィリッポウもその類でしたね。彼は不利になると攻めてるアピールとサミングされたアピールをすることで、私のアドレナリン過剰分泌に一役買ってくれました。この間たっぷりと塩に漬けられたようで清々した気分です。
話が逸れてしまいました。ここでギャラに関して重要な点として一つ指摘をしておきますと、「勝った選手がたくさんお金をもらえる」わけではないということです。もちろん勝ちはギャラに反映されていきます。しかし、UFCにおいては戦う姿勢を見せることのほうが、勝つことよりもギャラには大きく反映されるということです。勝つことでギャラを増やすならば、それこそGSPクラスにならなければいけません。そしてGSPは一本やKOがないだけで、判定自体は常に圧倒的なポイントで勝利しています。岡見選手がフィニッシュをしないで勝つことでギャラを増やすならば、それこそスプリットの余地がないくらいに攻めて一方的に支配する必要があるわけです。
この点もまた、UFCが時折スポーツに思えなくなる問題点の一つです。ゴルフやテニスのように賞金を稼ぐスポーツでは、とにかく勝つことが全てです。勝てば金がもらえる、これ以上ないくらいにシンプルでわかりやすいシステムです。そしてサッカーや野球などの集団競技では、選手は所属したチームから成績を査定され、そしてギャラを与えられるわけです。しかしMMAにおいて、選手はテニスなどと同様の個人の賞金稼ぎでありながら、ギャラはチーム・スポーツのように所属チームから査定されて与えられるものなのです。この二つのシステムの中間点にあることが、MMA選手のギャラに納得がいかなくなる理由だと自分は思います。
メリットもあります。個人競技の場合、負けた選手はひたすらに金がもらえません。しかしUFCの方式では、負けたとしても試合内容次第ではそれなりに稼ぐことができる、食っていくことができるわけです。下の選手には優しいシステムで、育成にはとても向いているように思います。
またデイナが言うように、他のコンテンダーが入ってきたからというのも事実でしょう。ロックホールドやソウザが参戦したことでかなり費用がかかった、というのは間違いありません。高額な選手が入ってくれば、ギャラがそこそこでPPVに貢献しない選手をリリースするのは、経営判断としては普通のことです。ミドル級全体のコストが嵩んだために、上記の理由から岡見選手に白羽の矢が立ってしまったのです。
というわけでここまでずらずらとUFCの理念、試合の組み方、そしてリリース基準について私見を述べてきました。以上のことから判断して、私は岡見選手がリリースされたことに関しては納得をしています。UFCからのリリースというのは一チームからのリリースであり、決してMMAそのものから放逐されたわけではないのです。しかし現状UFCがあまりにも巨大すぎるために、業界そのものから追放されたように見えてしまう、というのがリリースに反感を抱く理由です。業界から追放されたのならおかしいと思います。しかし一チームがどういう理由で選手をリリースしようと、それはもうしょうがないのです。ベラトールで連勝していたベン・アスクレンの問題も同様です。結局はこれと同じことなのです。
そしてこれは長い目で見ればMMAにはプラスです。今、WSOFやベラトールはどんどん充実しています。選手のレベルも向上しています。デイナ自身も、他のプロモーションで連勝すればいつでもUFCに戻ってこれると明言していることからも、この動きを歓迎してもいるのでしょう。選手がもっと各大会を気軽に移動し、それぞれで実績を積んでまた大会を移動できるようになれば、選手がより安定してMMA業界にとどまることができるように思います。選手の選択肢は決してUFCだけじゃないんだ、となれば選手は過剰に連敗に怯える必要も、何か一つ大会が消滅したら仕事がなくなりましたということも無くなるはずです。
また各団体がもっと様々なオプションをつけていけば、より選手に選択肢が増えていくでしょう。UFCに対抗して、つまらなかろうがなんだろうが勝てばギャラがたくさんもらえるよ、というシステムを作る団体がいてもいいですし、ラウンド数をもっと増やしたり、グローブを変えたりしても面白いでしょう。そうすることで所属選手にも特色が出ますし、団体を行き来したときにそこが勝負の分かれ目になるかもしれません。
UFCで岡見選手を見られないのは寂しい限りです。しかしまだ32歳、諦めるには早すぎます。すでにWSOFが岡見選手獲得を狙っているという情報もありますし、次の戦う場はまだいくらでもあるでしょう。焦る必要はありません。これを機会にこれまでのキャリアを振り返り、そして進むべき道を見出して、ゆっくりと一歩を踏み出してくれればと思っています。決して焦ったり変に思いつめて、ジョン・フィッチと同じ轍を踏むことがないようにしてほしいと願うばかりです。
最後に、読者様の中で岡見選手リリースに関して思うところがある方がいらっしゃいましたら、ぜひコメントでお寄せください。
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素晴らしい内容ですが、こういうのがネットで無料で読めちゃうとゴングとか有料コンテンツの存在意義が俺の様な半オタには…
返信削除お褒め頂きありがとうございます。ただそこまで大した内容じゃないですwやはり有料コンテンツとは情報量が雲泥の差です。当ブログが唯一勝っているのは、金を取っていないので好きに悪口を書けるという点だけです。
削除いつも濃い内容の記事を楽しく読ませてもらってます。
返信削除岡見のリリースは凄くショックですけど、やはり仕方ないのかなとも思ってしまいますよね。岡見自身が一番ショックを受けていると思いますが、これで折れるのではなく、逆に闘争心に火をつけて再びUFCの舞台に戻って来てくれるのを願っています。
いつも読んでいただいてありがとうございます。やはり仕方ないと思っちゃいますよね。岡見選手がリリースされることでハングリー精神を取り戻せば、元々のフィジカルや技術は今なおトップクラスですから簡単に戻ってこれるように思います。デイナがリリースしたことを後悔するくらいに他団体で暴れまわってやればいいんです。
削除岡見リリースについてはエディさんの挙げられたリリース基準はおそらく合っていると思いますし、それなら岡見の件も説明はつきますよね。
返信削除やっぱり問題はダナがリリース理由を明確に言わないところにあると思います。
確かに「決定力の見られない選手はリリースする」って言っちゃうと競技志向と逆方向に舵切っちゃうから言い難いかもしれませんが、
事実上そうなっているし、その逆の「常にKOを狙いに行くファイターは最高だ!」は明言しているんだからフィニッシュを狙う姿勢は契約上で最も重要な事項の一つだと明文化してしまっても問題ないのではと思いました。
ただ個人的意見ではいくらしょっぱくてもランカーをリリースするのはやりすぎと思いますけどね。
あと岡見はともかく「フィッチが塩」というのはどうなんだろうなと未だに根に持っていますw
こちらにまでコメントありがとうございますw
削除やはりリリース理由を明確にしないことで、いろいろと都合がいい部分があるのでしょう。明文化してしまうと、やはりそれはそれで問題が発生してしまうのだと思います。
一応消極性や戦う意思がない場合は、ルール上反則を取られますので、そういう意味ではルールに書いてあるともいえるかもしれません。
岡見選手が消極的に見えるのは、攻撃性が乏しいのも悪いのかもしれませんね。相手を痛めつける意志がないように見えるといいますか。以前サイド・ポジションでブレイクされるという前代未聞のことがありましたが、あれなどが象徴的でしょう。どうも動きが少なく見えてしまうんですよね。あのモッサリ感も印象が悪い理由の一つでした。
そしてランカーをリリースは確かにそうです。別にTOP10ランカーはリリースしないとも言ってませんし、ランキング自体が有識者による判定で試合によるポイントなどで決まっているわけではありませんから、あくまでも目安ってのはわかるんです。わかるんですがやっぱり違和感がありますよねw「じゃあランキングなんかやめちまえよハゲ」と思わず言いたくなります。
そしてジョン・フィッチ。いや、まあ塩っちゃあ塩な時もあったようには思いますwが睡眠導入剤とは思わないですね。というか私も好きですよ、フィッチさん。ソネン同様に彼は自分から仕掛けていましたし、積極性はあったように思います。結構動いてましたよね、なんか迫力がないだけで。
一応誤解がないように言うと、私は岡見選手も好きですし、そこまで退屈とも思わないんです。ただ客観的に見て、やはりフィニッシュを目指しているようには見えませんでしたし、もっと攻めることはできるだろう、といつも歯がゆく思うことが多かったんですよね。持っているポテンシャルを活かしきれていないのは、敗北以上に見ていてつらいものです。
初めまして。大会後いつも記事を楽しく読ませてもらっています。
返信削除エディさんの意見を読んで今回のリリースに概ね納得はできました。
しかし日本市場を獲得するという点では岡見選手の役割はまだ大きいと思うのですが、その点を考慮してもコストパフォーマンスに欠ける選手だということでしょうか?
コメントありがとうございます。
削除マーケティングについては正直よくわかりません。日本にいる私は、日本で大会が行われた場合に岡見選手が出場したらやはり嬉しいですし、観に行く動機になります。しかしそれが全体で見た時にどれくらいの訴求力があるのかは皆目見当がつきません。しかし実際に二度大会を行ったUFCが今日本以外のアジアに目を向けていることなどを考えると、日本市場を開拓する意思がなくなった、もしくは日本市場を考える際に岡見選手は必要ないと判断したのかもしれません。彼らにはデータがちゃんとあって、そのうえでの判断のはずですので。
日本市場はたぶん伝統や歴史がある分、特異なところがあると思います。一番特徴的なのが、あまり母国人を贔屓しないということです。日本のファンは日本人よりも、よりクオリティの高い試合を見たがるとてもマニアックで探求心の強いところがあるように思っています。実際私も、日本で定期的にやるならブラジル大会のような人選よりも、普通のナンバー大会でコンテンダーを一杯出してくれたほうが嬉しいです。
私個人の視点から、データなしでは市場のことはわかりません。しかしリリースされたということは、UFCにも、日本市場にも必要ないと判断されたのだけは確かです。
はじめまして。私もエディさんの記事いつも楽しみに読ませてもらっています。
返信削除私には考え及びつかない深い所まで考察してらして大変感銘を受けます。
私も岡見選手を応援してきましたので今回の件には強い憤りを覚えました。
でもこの記事を読んでようやく冷静になれました。
でもしかし!
ランカーをリリースするのは到底納得出来るものではありません。
ランキングの意味ないし、やめちまえと思います。
いつもありがとうございます。
削除今回は大勢の方から私の拙い分析で怒りが収まったと言っていただきまして、少しは役に立てたのかなと思っております。皆様の高血圧を抑えて健康に貢献できたのはうれしい限りです。
ランキングに関してはごもっともです。誰がどう考えても、TOP10以内の選手がリリースされるのには納得がいきません。ランキングがあるのなら、せめて10位以下になってからリリースしてほしいところですね。あれではランキングをつけているメディア関係者などにとっても屈辱ではないでしょうか。見る目がないと遠まわしに言われているようなものです。
いっそUFC側が自分たちでランキングを作って出せばいいのにと思います。それなら負け方次第で一気にランク外に吹っ飛ばすのだってできるわけですし。どのみちランキングを継続するなら、せめてこういう気持ち悪さをなくすためにもなんらかのテコ入れが欲しいところです。
日本人がミドル級で戦っていたのは驚異的なことだとわかるし、岡見は好きな選手だけどUFCの決定には納得できます。色々な意見があるけど私は岡見がUFC18戦の内にプロ仕様に変われなかったことに大きな原因があると思います。相手をKO出来る右を持っているのにカウンターを嫌がってなかなか放たないもどかしさ、トップキープをしてから固めてばかりで強烈なパウンドを落とさないもどかしさ。これらが積み重なって試合が退屈と感じていた人は少なく無いと思います。個人的に会場のお客さんやテレビ視聴者を沸かせるのがプロだと思っているので岡見はプロの条件を満たせなかったのだと考えています。厳しい言い方をすれば岡見は他の人気UFC選手にぶら下がっていたにすぎなかった気がします。これに加えて実力の低下が見られた上でのリリースなので納得しています。(反対派が大半だったと文中にありますが、その人達のどれだけが本当に岡見の試合を楽しみにしていたのかは疑問。)
返信削除またリリース基準を明確にしろなどの意見を見かけたことがありますが、リリース基準を明確にしているスポーツなんかありませんし恐らく明確なリリース基準など無く総合的な判断でリリースしているのだと思います。デイナが言ってるリリース理由はあくまで建前であってこれに細かいツッコミを入れるのは無粋、その辺は今までの傾向などで本当の理由を推察して楽しむのがファンだと思います。
あとスポーツが平等・公平なことが前提となっている風潮がありますが、実際にはそんなことはなくてマラソンやスケートの代表選考基準はわざと曖昧に設定してあり、最終的に人気選手が代表に選ばれて、その選手より成績の良かった選手が涙するなんてことは間々あります。サッカーなどでは監督とそりが合わない選手が試合に出れないなんてこともあります。その辺も含めて不完全な所もスポーツの魅力だと思います。
コメントありがとうございます。
削除岡見選手へのもどかしさはまったく同感です。特にグラウンドでのパウンドの少なさは、自分にとって一番のストレスでした。もっとやれるはずなのにやらない、やれないというのは観戦する側には極度のストレスになります。
ただ、選手は別に観客のことは考えなくてもいいと私は思います。それをやってしまうと選手のパフォーマンスが低下することがあるからです。なのであくまでも完全決着を目指し、その結果フィニッシュがうまれるなり積極性が出れば、それだけで十分観客を魅了するものに「結果的になっている」と思いますし、それが理想的なあり方だと思います。
リリース反対派がどれだけ岡見の試合を楽しみにしてたかに関しては、はっきりいって皆つまらない、退屈だと指摘していますw反対派の多くは成績やランキングをないがしろにするな、というのが反対の理由です。結構な人が「岡見は退屈だけどリリースは反対」という書き方をしています。そしてそれははっきりと指摘しても構わないことです。そこを変にぼかしたりするのは、選手のためにもならないと思います。
そして他のスポーツも言うほど平等じゃない、というのはその通りです。所詮人間のやることですし、最低限試合に何らかの手を加えない、勝敗に関与しなければスポーツとしては成立するとは思います。
大事なのは試合の際の公平性です。なので選手の選考や採用、解雇などはある程度不平等でも仕方がないと思います。
言い忘れてしまいました。要はまだMMAは発展途上なんですね。多くのスポーツが辿った道を、今MMAは辿っているにすぎません。どのスポーツも、競技性と娯楽性の狭間で試行錯誤を繰り返しています。そしてMMAなんてまだたかだか20年かそこらの歴史しかないわけで、つい数年前までドーピングバッキバキで格差マッチを繰り広げていたことを考えれば、むしろ今のUFCはかなりよくやっているほうでしょうwこれが正解なんていうのはないわけですし、MMAにあったシステムの模索をこれからも続けていくのだと思います。
削除とりあえずその第一歩として、UFCほどではないにしろそこそこの団体が増えること、そしてもっと選手が流動的になることが必要だと思います。そういう意味では今回の岡見選手流出は悪くないことですし、今後の彼の去就がMMA全体に与える意味はかなり大きいかもしれません。
はじめてコメントさせて頂きます。
返信削除私のようなライトユーザーにも分かりやすく、
かつ読みごたえのある内容で大変興味深く
読ませていただきました。
残念だけれど納得、記事を読んで改めて
そう感じました。
これからも鋭い考察を期待しています。
ありがとうございます。割と鈍い考察の時もあると思いますので、そういう時は生暖かく見守ってください。
削除ただ、私はファンのありようにライトもヘビーもミドルもないと思っています。よく通ぶってニワカという言葉を使って他者を嘲る人がいますが、私はそれが大嫌いです。私自身知らない事ばかりですし、あくまでも自分の手の届く範囲のものを組み上げて全体像を推測しているだけのことです。なので気軽に読んでいただければ幸いですw
アグレッシブな選手が有利になるようにルール・ジャッジ基準を変更できれば色々いびつな現状を解決できると考えています。
返信削除現行ルール・ジャッジ基準では岡見やフィッチのようなリスクを減らして勝とうとする選手が出てくるのは当然で、結果的に退屈な試合を産んでしまっている。これを解決するにはルール変更が最良の方法だと思います。
デイナはツイッターでジャッジに文句をつけているだけでは問題が解決しないことをそろそろ理解してコミッションと交渉を重ねるべきで、かつての所属選手や他団体を貶してる暇などないはずです。ツイッターという半分公の場でかつてUFCのために戦ってきたレジェンド選手をこき下ろすなどもってのほか。
コメントありがとうございます。ジャッジに関しては、変更というか改善の余地はありそうですね。純然たるMMAのジャッジというのがまだ少ない現状では、打撃やグラップリングに関する評価に大きく差ができてしまいます。ジャッジの育成などはいいかもしれません。
削除ただアグレッシブな選手がさらに有利になるようなルール、ジャッジ基準の変更はなかなかに難しそうな気がします。現状でもリング・ジェネラルシップとアグレッシブがボクシング同様に評価に入っているわけですし、それ以上の評価となると少し思い浮かびません。あまりやると競技が崩壊してしまう可能性があります。最近は膠着のブレイクも早くなり、昔よりは改善しているとも思います。
現行ルールはむしろ十分にアグレッシブな選手が有利であり、それを承知で攻めないのは選手の責任ではないかと考えています。ディフェンシブなスタイルをルールで完全に禁止にはできません。加えてそういう選手は現状でも判定で不利ですし、それを選択したのは選手です。
デイナのツイッターでの罵倒は、まあそういう芸だと思ったほうがいいような気がしますw炎上商法といいますか、他団体やら元UFC選手を罵ることで、結果的に宣伝になっている気がするのは私だけでしょうか?ソネン・ヴァンダレイのコントもそうですが、もめ事は人の興味をそそります。褒めるよりはけなされるほうが見たいと思ってしまいますし、結果的に罵られたほうも士気が上がっているように見えます。なのであれがデイナなりの援護射撃なのかもしれませんよ?もっともあれが素で口が悪いだけの可能性もかなり高いですがw
初めまして、いつも多方面かつ奥深い記事に感服しています。正直自分は総合に関してはそれなりに見る目があるほうだと思っていましたが、こちらのサイトを拝見してとんだ井の中の蛙だったと思い知らされましたw
返信削除個人的には2試合くらい格下の相手とやっていいと思うんですよ、ここ3年くらいで明らかな格下はバディロバーツだけでしたからね。
そこそこアメリカで知名度のある若手を外掛け&パウンドで撲殺したらデイナも頭丸めて謝る気がします。
最後にいかに岡見選手が規格外なのかを物語るエピソードをひとつ。それはマイクスウィックと試合したかしてないかの話です。某有名ウェイトジムで知人が岡見選手をみかけたのですが。100キロぐらいのベンチプレスに四苦八苦していたそうな。
ベンチプレス=組力ではないですが、当時の岡見選手がどの程度フィジカルに力をいれていたかがよく分かると思います。そこらのウェイト好きの一般人並ですよこれは。
この状態で当時4連勝していてTUF出演時はライトヘビーだったスウィックを絶望させてウェルター転向を決意させて、当時トップコンテンダーでありミドル級屈指のフィジカルを持つフランクリンから四つ組でテイクダウンを奪いデイナの頭頂部に冷や汗をかかせました。
ものが違うんですよ。日本人とかそんな括りじゃなくて世界中のミドル級の中でもね。それをしたのが元柔道県大会ベスト32ときたもんで。 現UFCのランカーでレスリングなり柔道なりボクシングなりで高校生時点の成績が岡見選手より下の選手っているのでしょうか?
長々と失礼しました。これからもエディさんの記事を楽しみに待っています!
お褒めいただきましてありがとうございます。しかし自分もいまだ井戸の中です。一緒に雨乞いの歌を歌いましょう、ゲロゲロ。
削除格下とやるのはいいと思います。自信を取り戻せますし、やはり無理な時はいったんレベルを落としてできるところから始めるのが一番です。外掛けからパウンドとか本来は岡見選手が毎試合狙っていい組立ですよね。彼の盟友であるチェール・ソネンの柔道版みたいに戦うのが理想的な気がします。そこで自分の一番の武器は何かを確認して勝利を重ねれば、デイナはリリースしたことを悔やんでストレスから頭の毛がすべて抜けてしまうに違いありません。
そしてそのエピソードは面白いですね、大変ためになりました。その当時でその組み力ならば、確かにフィジカルを作り上げた後の岡見選手がロンバードを何度も転がし、ムニョス相手にパワー負けしないのも納得です。ソネンに「次やったら勝てない」と言わしめるだけのことはある感じですね。
興味深いお話ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
なぜ?岡見選手が数多くの批判にさらされるのか理解できません。若き頃は写真ですとひょろひょろでした。その彼がここまで来るのにどれほどの苦労と努力を積み重ねてきたか、想像を絶する練習の成果なのでしょう。北米に単身で乗り込み世界のトップファイターと肩をならべ、岡見選手と接した選手は必ず努力と人間性を絶賛します。やたら興行的なことを表しますがその前に日本人としてリスペクトし、彼の偉業を称えることが同じ国民として必要ではないのでしょうか?やたらパフォーマンスの大きいおもしろさを重視すると真のスポーツから遠ざかるのではないかと危惧します
返信削除まして、リスクを減らして戦おうなんて気はさらさらなく、いつも必死で戦ってきて良く頑張ったと感じています。
コメントありがとうございます。
削除私も含め、多くの日本のファンは岡見選手の実力も人柄も知っていますし、その苦労も知っています。なので当然岡見選手の試合は楽しみに見ていたわけです。
しかし、UFCはあくまでもアメリカを基盤とした企業です。その魅力は日本人だけでなく、もっとアメリカをはじめとした世界中を対象に発信されるべきだったのだろう、と思います。海外でも岡見選手の実力は誰も疑っていませんし、だからこそソウザに負けてもランキング6位にとどまっていたわけです。
だからこそこの問題はなかなかに難しいのです。理想を言えば、選手はただ勝つことだけが目的であるべきですし、それを良く見せてたくさん売るのは大会運営者の仕事です。日本では野球の落合監督が強いけどつまらない、だから人気が出ないんだと叩かれていましたが、あれなどは私はかなり不愉快に思いました。監督の仕事はチームを勝たせることだからです。
誤解がないように言えば、私はプロモーションが必要だし、競技としてしっかりしてるならどんどんその魅力を発信するべきだと思います。しかしそれは運営のやる仕事で、選手の目標はただ勝つことだけであるのが理想です。しかしUFCではそうはなっていなかった、ということなのです。
もしUFCが岡見選手の苦労をもっとクローズアップしてくれれば違っていたのかもしれません。ただあの国のお国柄とUFCという企業の方針として、それは自分でやるべきことだったのです。
私もどっちがよかったのかはいまだによくわかりません。正解はないのかもしれません。なのでみんなで考えるのが大事だと思います。