2012年10月23日火曜日

ベンソン・ヘンダーソン 地獄の減量について語る。

「ちょっと重過ぎる」というところから155ポンドまで削る、UFCチャンプヘンダーソンは170ポンドという未来に向けて戦う
MMA junkieより

もしベンソン・ヘンダーソンが減量地獄の最中だったら、その夜そのレストランでの経験は「MMAファイターになることが最悪な理由」の一つとして記録されていただろう。

もうネイト・ディアズとの対戦まで二ヶ月を切っていたが、ヘンダーソンは従来のダイエットに対する姿勢が少しだけ和らいでいた。彼は主菜をさっさとたいらげ、無視されていた前菜を平らげるとデザートを注文した。シアトルはエリオッツ・オイスター・ハウスでのインタビュー中のことである。

こういった満足感はファイトキャンプでの辛い作業に一時の休息を与えてくれる。そしてヘンダーソン(MMA17勝2敗、UFC5勝0敗)、UFC ON FOX5でネイト・ディアズ(MMA16勝7敗、UFC11勝5敗)相手に防衛戦を行う彼は、この満足感を享受していた。しかし彼の大食いは非難されるべきことではない。

彼がMMAjunkie.comに話したところによると、減量は常にチェックしつづけているそうだ。彼には減量開始まであと数週間あるのかもしれないが、そんなことは暴食の言い訳にはならない。彼はもう21歳ではないのだ。

「まだ大学でレスリングをしてた頃は、一日中レスリングをしても疲れなかっただろう」と彼は言う。「私は五時間ハードにレスリングをしてたのを覚えてる、文字通り5時間だ・・・でも元気だった。忌々しいタコベルを食べて、元気になって、またレスリングだ。」

加齢というのは彼がこの4年間で真剣に考えてきたことだ。ヘンダーソンは28歳になり、常にある瞬間を予期していた。彼の全ての非建設的な習慣が、支払い期限が迫ったレストランの請求書のように彼の障害となって立ちはだかる時のことを。彼のジムの先輩ファイターたちはいつも言っていた。いつか時がお前を捕まえるときが来る、そして若い頃には簡単だったこと全てが30歳になると二倍きつくなるだろう、と。自ら研究することで、ヘンダーソンはその時が訪れないようにしようとしている。

「自分は研究論文を読んでいるんだ、スティーブ・ナッシュ(NBAプレイヤー)のような男のね。彼は37歳で、10年前、自分の体に気を使い、賢く、つまり健康的に食べることを決心した。」彼は言う。「それが彼が38歳になってもオールスターレベルの動きが出来る理由だ。同じことはグラント・ヒルにも言える。そういう論文を24か25ほど読んだ、ねえ、私もたぶんそうすべきだろう。」

だからヘンダーソンは心ゆくまで食べる、だが絶対に食べ過ぎない。彼がコーチからお前は疲れている、だから一日オフを取って休みなさいといわれたとき、彼はそれをしぶしぶ承知した。大変だったと彼は言う、一日7時間のトレーニングが当たり前だと思ってる時なのだから、と。しかし過去24ヶ月の中で、それが今の彼を作り上げてきたのだ。

話を戻そう。もしインタビューがファイトウィーク中に騒がしいレストランで行われていたら、彼はよきクリスチャンで居られなかったかもしれない。ヘンダーソンはライト級チャンピオンとして要求される155ポンドぴったりまで「少しばかり多すぎ」というところから減量をするのだと彼は言う。どれくらい落とすのか、それは言わなかった。印象としてはシビアで、まるで190ポンドの極北からスタートするかのようだった。彼に近しい関係者の話では、その過程はクラッシュしない程度に少しずつ先細りさせていくもので、およそ178パウンドあたりからスタートして試合前の36時間から48時間の間に減量の大部分が仕上がるのだという。

その過程はどこを取ってみても地獄そのものだ。しかし年老いていくアスリートにとって、急激な減量からくる肉体的な問題は避けがたい。

「私は成長している、しかし成熟し分厚くなるという面でだ。思うに私は今まさに老いつつある、そしてますます体重を落とすのはきつくなってきている・・・そして減量した状態を維持するのも難しくなっている。」と彼は言う。「こんなデザートも全て助けにはならない。」

体重による競技的な優位性は、現在の階級ではヘンダーソンにとって非常に大きいものだ。5フィート9インチでリーチは70インチと彼は手足が長い。仮にウェルター級で戦ったら、その距離の恩恵はほとんど受けられないだろう。UFC170ポンドの王者であるGSPとカルロス・コンディットはともに76インチというリーチを誇り、それが相手が中に入り込むのを困難にし、ヘンダーソンがその階級でのし上がるのを阻止するだろう。さらにGSPもコンディットも190ポンドの極北から減量しており、これはヘンダーソンがさらにバルクアップしなければならないか、筋力の差で苦しめられるかのどちらかであることを意味している。

一方でディアズが苦しんでいることはよく記事にされている。以前のMMAJunkieでのインタビューにおいて、6フィートの身長と76インチのリーチを持つ彼がライトウェイトで試合をするときはカロリー不足のままでやらざるを得なかったと話している。彼はウェルター級で戦っていたが、その後トップレベルにバルクアップされたファイターであるローリー・マクドナルドとドン・ヒョン・キムと対峙して完全に怒り狂ってしまった。

「間違いなく、イエスだ。」これはヘンダーソンに、これ以上体重を落とすのが不可能になる時が来るかもしれないか、とたずねたときの彼の返事である。その時は向こう二年は来ないかもしれない。いつか彼に訪れるかもしれない。しかし今のところはライト級チャンプとしてその階級でよく戦えているし、彼のパフォーマンスは、少なくとも外見上はまだそのようなことに苦しめられてはいないようだ。

彼が繰り返し述べてきたように、彼はミドル級王者アンデウソン・シウバの防衛記録を破りたいと思っているし、その動機が彼を少なくとも3年か4年以上は繋ぎとめておくだろう。彼がライト級に留まるのか、それともBJペンが二度に渡りベルトを狙ってマット・ヒューズ(成功)とGSP(失敗)に挑戦したようなことをするのかは定かではない。はっきりしていることは、その階級に一生留まっていられないこと、そしてそれが彼をとても悲しませているということだ。

もちろん、チャンピオンとしての自分というものが彼を未来に向けさせている。彼の体重関係の話題には気をつけるように言われてる割に、彼はその時がきたらその時はその時だという事実を受け入れてるように見える。

「人生で、人はそれぞれ違った成熟段階を経ていく。」と彼は言う。「人にはそれぞれプロとして他の人たちと一緒にどう動くのか、どう自分を指揮して、どう自分を扱うのかという成熟方法がある。その成熟の一部として全てのアスリートが通る道なのが自分の体に気を使い、より優れた肉体になるということだ。」

ヘンダーソンVSディアズは12月8日、シアトルはキーアリーナで開催のUFC on FOX5にエントリされている。

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非常に楽しみな一戦であるベンヘンVSネイトですが、二人とも減量にはかなり苦しんでいるようです。ボクシングと違いそこまで階級が細かくないので、どっちの階級でもやりづらいという選手はかなり多いのかもしれません。ネイトはまだウェルターでやれる体格でしょうが、ベンヘンは少し厳しいですね。しかしいつかライトには居られなくなるのは覚悟のうえみたいです。ベンヘンVSエドガーでもエドガーがそのリーチ差ゆえにかなりの苦戦を強いられたのは記憶に新しいですし、距離がボクシングよりもはるかに遠く蹴りやタックルもあるMMAではリーチというものがかなり試合結果を左右する要因になっています。リーチでは勝るがスタミナに不安のあるネイトか、リーチは負けているがフィジカルとスピードで有利なベンヘンか、試合が今から待ち遠しいです。