2013年9月16日月曜日

アレクサンダー・グスタフソン、ジョーンズ戦への決意を語る

UFC165:アレクサンダー・グスタフソン「私はあのベルト無しにケージを去ることはない」

STOCKHOLM, SWEDEN - APRIL 14:  (R-L) Alexander Gustafsson punches Thiago Silva during their light heavyweight bout at the UFC on Fuel TV event at Ericsson Globe on April 14, 2012 in Stockholm, Sweden.  (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

bleacher reportより
画像はAlexander Gustafsson - Official UFC® Fighter Profile | UFC ® - Fighter Galleryより

ジョン・ジョーンズはUFC史上最も速い新星だ、だが翌週末のUFC165で、その軌道を急停止させるつもりだ。

その偉大なるパウンド・フォー・パウンドは9月21日、トロントで迫り来るスウェーデン人のコンテンダーと対面する時、彼の5連続タイトル防衛達成を目論んでいる、そしてティト・オーティズが保持している長期防衛記録を破るにはあと一つ勝利が必要だ。

ジョーンズがその目を記録樹立に向けている一方で、「ザ・モーラー(敵を散々に痛めつける者の意)」は翌週土曜の夜にエア・カナダ・セントレで掛かっている新たな記録に目を向けることはない。

事実、26歳のチーム・アライアンス所属のファイターは、そのメイン・イベントの試合から生まれる「新たなる」要素は次の205ポンド王者を記録することのみだと信じている。

グスタフソンはタイトルを賭けた闘いが近づくにつれて自信が溢れてきている―そしてそれには相応の理由がある。

そのストックホルムを拠点にしているファイターはオクタゴンの中で6連続勝利という結果を得てきた、そして2009年にUFCの選手名簿に名を連ねてから8回の登場中7回の成功を収めている。

彼の最近の勝利は元ライトヘビー級王者であり誰もが認めるMMAレジェンドのマウリシオ・「ショーグン」・フアを相手に、去年12月にUFC on Fox 5で訪れた、そして今、彼の視線は羨望の205ポンドの革ベルトを所持している男に釘付けだ。

グスタフソンの業績にも関わらず、彼は来週土曜日の夜にアンダードッグとしてオクタゴンの中に足を踏み入れるだろう、そしてそれは彼にとって完璧にいいことだ。

彼は、メディアがジョーンズの次の相手は誰になるかについて話し、グローバー・ティシェイラかヘビー級のダニエル・コーミエが挑戦するのがより理に適ってるだろうと話すのを見てきた。彼は知っている、ケージに足を踏み入れる前からすでに駄目だと見なされていることを、だがグスタフソンはこれらの事実で自身の集中を乱すことはない、なぜなら世間の意見は彼が意識の中で重きを置くことではないからだ。

とは言うものの、ジョーンズがUFC165でかなりの苦戦にはならないだろうと考えていることを彼は強く信じている、そして感じている、それはいいことなのだと。彼の言葉を借りれば、実のところ「完璧」なのだ。

そのNo.1コンテンダーは現王者がもたらしてくれた自信に感謝する一方で、グスタフソンはその中にさらに披露したいものがある。

「彼は単に私が戦っている別の奴だ・・・それだけさ。」とグスタフソンはブリーチャー・レポートに語った。「私の自信はすべてハードなトレーニングから来ている。私は懸命に練習してきた、あらゆるポジションと状況で練習した;ジョーンズがテーブルに何を持ち込むかなど重要じゃないんだ。私はそれに対する答えを持っているだろう。私はその世界をお見せするのが待ちきれないよ。」

彼のキャリアにおける最大の好機がちょうどコーナーのあたりに差し掛かりつつある中で、グスタフソンは準備ができている。

彼はその瞬間にほぼ全てを作り出そうというあらゆる意図を持っている。彼は来るチャンピオンシップの機会を、この星でトップのライトヘビー級選手になるために費やしてきたハード・ワークの総仕上げと見ている。

今、次のステップは彼の階級にいる支配者をその王座から蹴落とすことだろう、そしてグスタフソンは、彼の前にジョーンズに立ち向かった19人の男達が為しえなかったことを実行することに視線を定めている。

「この試合は自分にとって全てを意味しているんだ。」とグスタフソンは言った。「これが、この時全てが私が待ち望んできたものなんだ。私はプレッシャーとかそういったものは何も感じていない。私は興奮しているし、私は人生でこれほどハードに練習したことはなかった。私はとても素晴らしい状態だと感じいるし準備は万端だ。彼は私と同じスタイルのファイターとは対面したことがないし、私はあのベルト無しにケージを去ることはない。」

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UFC165で王者ジョン・「ボーンズ」・ジョーンズに挑戦する、スウェーデン人ファイターのアレクサンダー・グスタフソンの試合前インタビューでした。

アレクサンダー・グスタフソンはスウェーデン出身の長身痩躯のファイターです。MMAを始める前はボクシングをやっており、そのボクシング・テクニックはかなりのものです。UFCでは8勝1敗、1敗は先日リョート・マチダに勝利したフィル・デイビスに対して喫したものです。その敗戦から6連勝を飾り、彼は王座挑戦権を手に入れました。直近の試合ではマウリシオ・「ショーグン」・フアを相手に全局面で圧倒して勝利しました。

そんな彼ですが、世間からは敗色濃厚と思われており、海外メディアではあまり取りざたされていません。記事にもあるとおり、ジョーンズの対戦相手の話題といえばほとんどがダニエル・コーミエについてでした。ティシェイラも話題に上りましたが、やはりコーミエほどに期待されているようには見えませんでした。

しかしグスタフソンは決してそこまでイージーな相手ではないと思います。グスタフソンには、これまでの挑戦者には無かった要素がいくつかあるからです。

まず第一に彼の体格です。これまでのタイトル戦では、皆王者よりも体格的にかなり劣る選手ばかりであり、ボーンズはその体格差、リーチ差を活かして自分が一方的に攻撃できる距離を作りだすことで勝利してきた部分が大きいです。グラウンドでもその大きな体格を利用した、ガードからでもKOを狙える肘などを使って相手を痛めつけて勝利してきました。しかしグスタフソンは違います。彼はライトヘビー級において、ボーンズに負けないだけの体格とリーチがあります。アンデウソン・ワイドマン戦でもそうでしたが、この体格差がないだけで試合はがらりと展開が変わります。現在のMMAにおいてリーチ差、体格差はかなりのアドバンテージになるのです。もちろん、ジョーンズはスタンドのメイン・ウェポンがキックなので、実際にはグスタフソンよりも広い間合いを持つでしょうが、それでも他の選手より蹴りにカウンターを合わせたりしやすいのは間違いないでしょう。ジョーンズはまだこれほどの体格の選手はほとんど経験がないはずですので、これはかなり大きなポイントになります。

第二に、グスタフソンのバックボーンがボクシングであるということです。ボクシング出身の選手は打撃に慣れており、特に優れているのがその目の良さです。打撃に対する恐怖心が少なく、相手の打撃を見てきちんとディフェンスすることが身についているのは相当なアドバンテージになります。王者はバックボーンがレスリングであり、レスラーにしては破格に打撃が巧いですし打撃にも慣れていると思いますが、それでも距離があるからディフェンスができているところは大きいように思います。これまでの試合を見ても、パンチそのものにそこまで慣れているとは思いません。今回は体格差がないので今までのような超長距離を維持することは難しいはずです。そうなったとき、洗練されたパンチのテクニックを持つグスタフソンの攻撃を果たして防ぎきれるのかが焦点となります。グスタフソンは恐らくキックに合わせてパンチを狙ってくるでしょう。彼のパンチは一撃で意識を刈り取りはしませんが、的確に脳を揺さぶって体の自由を奪い、相手の顔面をズタズタにする質のものです。王者といえどもクリーンヒットをもらえば無事ではすまないでしょう。それに王者がどう対応するかに注目です。

グスタフソンとしては、相手のキックの距離で止まらない様にフットワークを使って間合いをコントロールし、相手の蹴りを巧くさばいてコンパクトにパンチを打ち込んでいく、そしてテイクダウンはしっかりとディフェンスし、可能な限り素早く離れるというのが主な戦略になりそうです。自分からテイクダウンは狙わないでしょう。遠すぎる距離とクリンチは王者優位です。その中間距離でパンチを打っていけば結構当たるのではないかと思っています。

王者としては、決してグスタフソンのパンチの距離にしないこと、そして隙があればテイクダウンをしてトップから削っていくというのが主な戦略となるでしょう。恐らくそこまでスタンドに付き合う気はないだろうと思います。

ただその戦略をとった場合に、あまりにも露骨にテイクダウンを狙いすぎればそれはかなり危険です。スタミナを一気に消耗しますし、またグスタフソンもそれに対する準備は入念にしているでしょうから、組み際を狙われたりする可能性は十分にあります。以前グスタフソンはフィル・デイビス相手にあっさりアナコンダ・チョークで敗れましたが、それ以降彼はデイビスと共に研鑽を積んでいます。あのデイビスがパートナーですから、彼のレスリングはかなり向上しているのは間違いありません。グスタフソンがクリンチやTDディフェンスでもかなりのレベルになっていれば、王者は3R以降にもつれこんだ場合に危ういかもしれません。

私はグスタフソンのスタイルは個性的でとても好きです。実はかなり応援している選手の一人ですし、王者にもっといろんな国籍の人がいて欲しいので今回はグスタフソンを応援しようと思っています。ボーンズは好きですが、体格差やフィジカル差を使った一方的な試合が多く、強すぎることが逆に少し不満でした。圧倒的な力で勝つジョーンズは見飽きたので、もっと極限まで追い込まれたジョーンズが見たいと思います。今回は体格で劣らず、若くて運動量も多い選手が挑戦ということもあってかなり期待しています。彼は精神的にも落ち着いており、中々にいい感じではないでしょうか。これまでの試合もどこか飄々とした風情でしたが、こういう選手は本番に強いです。グスタフソンがスウェーデンに帰国する際には、空港の金属探知機に引っかかるようになっていて欲しいですね。

2 件のコメント:

  1. 体格って身長のことですか?

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  2. そうですね、主に身長を含む手足の長さなどのフレームの大きさを示す言葉として使っています

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