2013年10月12日土曜日

祝!ブログ開設1周年!

とうとうこの場末のブログも1周年を迎えることができました!自分でもびっくりです。これも皆様にご愛読いただけたからこそです。本当にありがとうございます。始めた当初は誰からも読んでもらえず、半年でやめることになるだろうと思っていました。

1周年記念として、ここで私がブログを始めた動機を明かしたいと思います。

理由はいくつかありますが、一番は活きた英語を身に着けたかったからです。当たり前の話ですが、今も英語は日々新しい使い方が生まれ、変化し続けています。また英語は使われている地域が広範囲なため、方言のようなものも多くあります。そういう中で、リアルタイムで使われている言葉を知りたい、そのためには自分が好きなジャンルのニュースを読もうと思ったのが切っ掛けです。実際訳していて、日本の辞書には載っていない、向こうではよく使われる熟語や慣用句が非常に多いのです。スポーツの用語などでも海外のweb辞書に頼ることが多かったです。一年間やって、ようやく英単語を10個くらいは覚えることができたように思います。

次に、日本語の特性を良く知りたいからというものがあります。面白いことに、英語に精通した作家の文章にはある種独特のリズムが生まれます。そして日本語の欠点であるわかりにくさが排されていることが多々あるのです。村上春樹氏も、文章の書き方を結果的に翻訳から学んだと言っています。彼は横の文章を縦に直す際の、脳の筋肉が収縮する感じがたまらないと言っていましたが、それは自分も実感しています。自分の経験では、英語→イメージ→日本語にする際の、イメージからの変換が一番脳にクる感じがします(危ないことをしているわけではありません)。この楽しさは麻薬的で、気が付くと3時間経っていたりすることもよくありました。絵を描く時の陶酔に似ているかもしれませんね。今じゃ格闘技中毒と同時に翻訳中毒です。このおかげで、自分の文章力はわずかながらに向上したかもしれません。自分ではよくわかりませんね。書く量が一時期を境に急激に増えてしまったとは思います。もし少しでも文章の秘密を解き明かせていたら、これほどにうれしいことはありません。

そして次の理由が、日本の格闘技メディアの主流の論調が嫌いで、あまり賛同できなかったからです。平たく言えば、いまだにプロレスのノリから決別できていないことが自分には不満でした。誤解がないように言えば、私は古くはプロレスファン、それも全日ファンであり、馬場イズムを支持していた人間です。好きな選手は小橋と三沢でした。今も私はプロレスと格闘技をそれぞれ切り離して、矛盾なく鑑賞できます。ちなみに小橋建太引退試合は観に行っています。ただ、そちらでもプロレスメディアの論調と馬が合いませんし、私の鑑賞ポイントはかなり独特なのですが。

日本の格闘技メディアは懐古主義とサブカルのノリが強く、そこが自分には馴染めないところでした。コピーライターや煽動家としては優秀でも、スポーツ・ジャーナリストとしてはいまいちな人たちがオピニオンリーダーにいること、そういう人たちが今だに一昔前の異種格闘技戦のノリを捨てていないことが業界に結構な悪影響を与えてきたんじゃないかと思っています。最近はようやくましになりましたが、それでも日本の大きな興業がまだ生き残っていた数年前はまだひどいものだったように記憶しています。私が「勝負論」なる言葉を一回も使ったことがないのはそのせいです。そんな意味不明な単語を使う気にはさらさらなりません。きついことをいってしまえば、これまでの格闘技メディアの大半は「野暮」の一言に尽きます。

なので私は自分が思う理想の格闘技メディアを自分でささやかながら作り上げ、自分と同じ気持ちを持つ格闘技ファンに有益な情報を提供できたら、そして自分と同じ目線で格闘技を見る人たちと交流できたらと思ったのが一つのきっかけです。私は格闘技を、ちゃんとしたスポーツとして扱うものが見たかったのです。プロレス的な視点で見るか、ヤンキー系文化として見るかくらいしか格闘技には見方がなかったというのが日本格闘技界の悲劇だったのではないでしょうか。一昔前はスポーツとして見る事自体が、ひどく嘲笑されていたように思います。

結構過激な意見ですので不愉快に思われる方もいるでしょう。気分を害されたならば謝ります。しかし私はたとえ読者が最後の一人になっても論調を変えることはありません。それが商業ではなく、個人でやる最大の強みです。まあ今までも割と毒を吐いているので今更ですがw

ショート・ノーティスの危険性や格差マッチの異常性を無視し、素人を平気でリングにあげてしまう非常識さを咎めず、広告先行で目先の人気ばかりを気にした興業を有難がり、さらには特定選手への異常な肩入れを自慢げに晒す。既存メディアと一部ファンへのこれらに対する数年来の怒りが爆発して、気が付いたらブログ開設ボタンをクリックしていました。

なので私のブログの基本コンセプトは競技と選手への愛情にあります。負けた選手を無意味に罵ることはしませんが、スポーツマンシップに反する行動は痛烈に批判します。それがたとえ好きな選手であってもです。また選手をやたらと神格化することもなければ、プロレスと区別のついていないような扱いをすることも決してありません。可能な限りスポーツとしての面白さや選手の素顔がわかるもの、またこのスポーツ全体を取り巻く状況がわかるような記事を選択して紹介したいと思っています。ただスポーツとしての足場をしっかり固めたうえでなら、プロレス的なノリもヤンキー的なノリも十分に楽しんで構わないとも思っています。

もう一つ、私のブログは今コンバット・スポーツに携わる若い人に向けても書いています。それはプロアマ問いません。彼らに有益だと思う記事を選び、彼らの夢の手助けになる情報を提供したいと思っています。これまでの格闘技メディアは、私から見れば昭和世代のおっさんたちが自分たちの内輪ノリで盛り上がっているようにしか見えませんでした。彼らはまったく何も知らない、これから格闘技に関わりたいという人たちも楽しめるような情報を発信しているでしょうか?甚だ疑問に思います。

若い人たちをどんどんファンとして取り込まなければ格闘技の隆盛はありません。そしてそれに必要なのは野暮でサブカルなノリのアングラ競技ではなく、洗練されたスポーツとしての格闘技です。「カッコいい」というのは若い人がスポーツを選ぶ第一基準です。(PRIDEは当時では本当にオシャレだったと思います。音楽と映像のセンスがずば抜けていました。特にフジテレビがF1と同じテイストで作ったのは慧眼でしたね。)メディアの仕事はファンに格闘技への憧れをもたせること、そして競技の面白さを伝えることが第一だと思っています。

そういうわけで、私がブログを始めた動機についてでした。これからも可能な限り細々とこの場末のブログを続けていきたいと思っています。なのでこんなブログでも好きだよという奇特な方がいらっしゃいましたら、これからも是非お付き合いいただければと思っております。全ての選手の安全とMMAの大いなる発展を願い、そしてその発展にわずかでも貢献できるよう、TUF予選落ち程度の情報発信力ではありますが頑張っていきたいと思います。

最後に、今サイドバーの所でアンケートを実施中ですので、PCからご覧の方はよろしければご参加ください。今後の参考にするかは不明ですがw

7 件のコメント:

  1. 日本格闘技は未だプロレスの延長線上にあると、僕もPRIDE時代から常々思ってきました。
    それが総合格闘技をスポーツとして確立する大きな障害になっている一方、そもそも総合というジャンルがここまで普及したのはプロレスの歴史に力を借りたからだという矛盾も抱えていたと思います。
    メディアは確かにプロレス・エンタメ視点に固定されていますが、ネットで見ている限りMMAファンは、特にPRIDEが崩壊してからも残ったMMAファンは、MMAをスポーツとして楽しんでいる人が大半のように感じています。
    MMAのブログや記事も、今はかなりプロレス色が抜けてきていると思ってます。
    スポーツMMA愛を貫く点でエディさんのブログはその筆頭と勝手に見ています(笑)
    翻訳・感想の更新量・ペース・クオリティは他に例を見ないです。
    業界としてはこれからはそれを、いかに商売(新規獲得、普及浸透)にまで繋げていけるかというところですよね・・・結局それが何よりムズカシイんでしょうけど、土壌はそれなりにあると思ってます。

    ちなみに自分はPRIDE隆盛のバブル期にハマって以来の格オタですが、PRIDE全盛期よりもここ数年のほうが一番楽しいです^-^

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    1. コメントありがとうございます。いつも風田さんの意見を見て気づくことが多々あります。今回もプロレスがらみの話は風田さんのコメントを読んで見直したら若干脇が甘かったのでちゃっかり推敲しましたwもう私の中では風田さんは編集さんだと思っています。本当に助かります。

      そして国内に関しては、本当にもっと人気が出て選手が格闘技で稼げるようになってほしいですね。そうすればUFCのトップにも食い込めるような選手がいつか出てくるかもしれません。自分のブログが少しでもその助けになったらうれしいですね。

      ここ最近は本当にビッグマッチが次々実現していて、結局SFの選手もどんどんUFCで試合してますし私も楽しい限りです。これからもわくわくする試合がたくさん見れるといいですね!これからも一方的に編集者様として頼りにしておりますのでよろしくお願いしますw

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  2. アンケートに大事な項目が抜けていますよ。「全部好き」という項目がねー!
    …というのは半分冗談として(笑)、いつも楽しく読んでます。

    コンディットvs.兄貴という名勝負に泥を塗りたくりやがったメディア諸々に青筋立てまくっていたとき、このブログに出会いました。その後も読ませていただいて、こうやってMMAをスポーツの試合として分析し、その楽しみ方を言葉で伝えようと頑張っている人もちゃんといるんだなーと感動を覚えていました。
    もちろんあなたを神格化なんてしませんし、あなたと意見の違う所もたくさんあります(アンデウソンさんへの評価とか)。でもMMAをより良くしていきたいというあなたの姿勢を見て勇気づけられているのは私だけではないでしょう(英訳への熱いチャレンジ魂も含めて!w)。

    私は最初から徹頭徹尾MMAファンであり、プロレスに対しては是非もないのですが、日本のMMAはプロレスに育てられた赤ん坊であることは間違いないでしょう。自分の足で立つのもやっとで、今まではプロレスという親と寄りそって生きてきました。しかし子はいつか成長し、親の元を巣立たなければならない日が来ます。アメリカのMMAがボクシングという大きな親を超えるため奮起しているように、日本のMMAも一人で立ち「MMAとしての道」を切り拓かなければならない時が来たのかもしれませんね。

    私もトライアウト落ちの情報力ですが(笑)、これからもMMAという子供を育てていきましょう!

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    1. 実はあのアンケート、私の設定ミスで全部に投票することが可能なのです。だから全部という選択肢は本当はあったのですwそしていつも読んでいただいてありがとうございます。paky21さんは早くから私のブログを読んでくださってコメントまで寄せていただいて、私のモチベーション維持にものすごく貢献してくださいました。この場を持ちまして感謝を述べさせていただきます。

      自分がブログ始めた動機の一つに、コンディットvsディアズへの批判に対する怒りは間違いなくあります。私のコンディットへの侮辱は許しません。まあ本人はどこ吹く風、結果的にその後の試合でいかにコンディットが素晴らしいかが世間に知れ渡ってその批判もすっかりなくなったのはよかったです。

      英訳への熱いチャレンジというか、七転八倒しながらの悪あがきというかわかりませんが、どうにかこうにか人間が読める文章にしています。なんだそりゃという意味がわからない慣用句を見落とすたびにディスプレイにスーパーマン・パンチがさく裂してます。翻訳よりもたぶんスーパーマン・パンチのほうが上手くなってます。イディオムは嫌だ・・・イディオムは嫌だ・・・!意外にも日本のウェブ辞書だとgooがなかなかに幅広く新しい言葉も載ってましたね。

      確かにUFCはボクシングやWWEを真っ向からライバル視して、本当に大きくなりましたよね。成長速度を考えたら異常です。日本ではどちらかといえばプロレスにおんぶにだっこなところがありすぎました。だからこそ、paky21さんのいうとおり、そろそろ自立するときだと思っています。

      ちなみに私はpaky21さんのブログも拝見させていただいてますが、私のブログよりも熱くてびっくりです。国内格闘技への愛情が半端なくてびっくりしました。pakyさんがあんまり熱く語るので、つい自分もつられて選手とか調べてしまいました。今求められているのは、ああいう熱量なんだと思っています。今はこうやって個人でメディア活動できるのでいいですね。物質的な制約がほぼ無くなったのだから、やはりネットは偉大です。

      これからも国内外MMAの発展のために、お互い細く長くやっていきましょうwどうぞこれからもよろしくお願いします。


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    2. こちらこそ、素敵な返信ありがとうございます。アンケートの件はコメント書いてからすぐに気づきましたw「これ全部押せるじゃん!うわー!はずかしー!」と思ってましたのでエディさんのフォローに救われました(笑)

      コンディットや水垣みたいな「試合で語り、外で語らず」な選手に弱いんです。クールな表情の下に情熱が感じられて、自分のスタイルを貫く意志の強さに惚れてしまうというか。
      MMAは人の本性が出やすい競技というか、ルールやUFCのカード編成によって「地金をさらしやすい」競技だからこそ、試合中の選手の「真摯さ」や逆境に立ち向かう時の「素顔」を感じとりやすいことも好きな理由のひとつなのかもしれません。
      たとえズッコケたって負けたって、純粋に剥き出しで頑張る人はカッコいい。そう、たとえ英語が苦手でも翻訳を頑張る姿はカッコいいのです!(笑)

      ブログも読んでくれてありがとうございます。
      熱量ありますかね?(笑)できるだけ視野を広く持つように心がけて丁寧に書いていますが、やっぱりどこか冷静さが足りないのが悩みのタネなので、そうやって解釈してもらえるのはとても嬉しいです。
      あのブログは自分が好きなことを言葉にして確認したくて初めていて、モチベーションが最高に上がったときだけ書くようにしています。今は日本MMAのことをもう一度を確認したくていろいろ観たり調べたりしています。自分の熱を少しでも電波できたのならこれ以上に嬉しいことはありませんし、エディさんのような方に熱を伝えられる事は最高のモチベーションです!

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  3. いつも楽しく拝読させて頂いています。

    初めてこのブログを訪れた時、その情報の濃さと緻密な論理展開、ストーリー仕立ての美しい文章に、後半の感想文もどこかの格闘技雑誌から文字起こしをしているだけなのではないかとあらぬ疑いを持ってしまいました。お許し下さい。

    近年の日本の評論文壇ではいかに「通な」言い回しを使うかでその文章のランクが決まる、という訳のわからない価値観があるのか、何十年も前の試合を例に出してみたり、その選手のバックボーンを知っていなければ理解できない内容の文章を、バックボーンの説明なしに難解な言い回しで書いていたりする印象があります。

    その点、エディさんの文章は簡潔かつ明快で(英訳の習慣が影響しているのでしょうか)、それでいて星新一のショートショートのように一つのストーリーの起承転結が収まっていて素晴らしいと思います。

    しかし、これも私の好みであり、エディさんはエディさんの書きたい文章を書いてください。これもまた個人メディアのメリットだと思います。これからも楽しみにしています。

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    1. >その選手のバックボーンを知っていなければ理解できない内容の文章を、バックボーンの説明なしに難解な言い回しで書いていたりする印象があります。

      これは非常に素晴らしい指摘だと思います。新規ファンを最も阻害するのは「疎外感」です。私は相手の無知をあげつらって通ぶる人間の臭気に耐えられません。

      もし私の文章を簡潔だと感じてくださるなら、これは私にとって最高の褒め言葉の一つです。これからも何卒ご愛読ください。書きたいものを書いたせいでたまにとんでもない内容が飛び出すかもしれませんが、その時は罵詈雑言でもお気軽にコメントしてくださればと思いますw

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