2012年11月29日木曜日

ベンソン・ヘンダーソン、最大のネイト対策は「挑発に耐えること」

パンチよりも:ベンソン・ヘンダーソンは悪名高いネイト・ディアズの
トラッシュ・トーク対策を練習している

「ベンソン・ヘンダーソン、最大の弱点を明かす」



MMA WEEKLYより


UFCライト級チャンピオン、ベンソン・ヘンダーソンは知っている。
ネイト・ディアズが多くの身体的技術を試合に持ち込むことを。

彼は長いリーチと残忍なボクシングに気をつけなければいけないし、
足を攻撃しなければいけないし、またディアズはグラウンドにおいても
同様の攻撃を仕掛けてくるだろう、しかし、これらはヘンダーソンが
そこまで気にかけるようなことではない。

ディアズのオクタゴン内における能力の中で、ヘンダーソンが
最も心配しているもの、それは・・・トラッシュ・トーク(挑発)だ。

そう、トラッシュ・トークだ。

ネイト・ディアズと彼の兄ニック、彼らはどちらも対戦相手を
挑発し嘲ることに馴れている。それは最近の試合で必ず
彼らがやっていたことだ。

その行為はたいして重要なことには見えないかもしれない。
だが、挑発はファイターの頭の中に入り込み、望まない、
不必要な感情を引き起こして本来のゲームプランを
破壊しうるものなのだ。そして、それこそがまさに
ヘンダーソンが恐れていることだ。

そういうわけで、彼のコーチ陣はトレーニング・パートナー達に
スパーリングの最中に無駄口を叩いてもらって、ヘンダーソンを
怒らせてミスさせるように仕向けたのである。

ヘンダーソンのやるべきこと、それはもちろん戦術を守り、
己の戦略と戦術に集中して動き続けることである。

「僕は落ち着き、集中して、ゲームプランを遂行するつもりだ。」
とヘンダーソンは先日のインサイドMMAのインタビューで語った。

しかし誰かが向かってくるときに冷静さを維持すること、
侮辱に対して備えること、それらをやりながらパンチにも備えようと
いうのは、彼自身も認めているとおり、ヘンダーソンの得意と
するところではないのだ。

「それについては厳しい時間を過ごしてきたよ。」
と彼は暴露した。

そういうことで彼はスパーリングパートナー達とその練習をしてきたが、
最低でもシアトルで12月8日に行われるUFC on Fox 5の彼とディアズ
との対戦までには、その耐性を鍛え上げているのが望ましい。

「うまくいけば、闘いの夜が来たとき、僕はその手のいかなる挑発も
頭に入り込ませはしないだろう。」

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というわけでベンヘンのネイト対策でした。
挑発という行為の有用性というのはいまいち視聴者には
わかりにくいのですが、これまでのディアズ兄弟の試合内容や
MMAが一対一のメンタルゲームの要素が強いことを考えると
これは非常に大きいと考えられます。

怒りというのはスポーツにおいては判断力を鈍らせ、
体を力ませ、呼吸を乱して隙を作り出すマイナス要因と
なることの多い感情です。最近では、セラーニがネイトに
挑発されて冷静さを失って、不利であるボクシングの土俵に
上がってひどい負け方をしています。
一方で、ニックはコンディット相手に挑発をして、打ち合いを
させて得意のボクシングでカウンターをあわせようとしたところ、
冷静に距離を取られてボクシングスタイルの弱点である
足をローキックで狙い撃ちされて負けています。

ディアズ兄弟はボクシングスキルを特に磨いており、
挑発して打ち合いに持ち込むことによって相手のフットワークを
潰し、攻撃手段をパンチに絞らせ、顔面を狙わせたところに
得意のボクシングを使ってジャブやストレートのカウンターを
合わせて削るというかなり狡い戦法を駆使します。
アンデウソンも口は使いませんが似た戦法を使いますね。

私はこの戦い方がものすごく嫌いですし、ニックがマスコミを使って
このやり方に乗ってこない相手を「度胸が無い」というような
言い方をして非難するのも嫌いです。試合中の挑発だけなら
まだしも、自分の得意な土俵に相手を上げるために男らしさだの
戦いだのスポーツじゃないだのといかにも昔からの格闘技ファンが
好きそうな言葉を使ってその本当の目的を誤魔化そうと
するのは最悪です。それを真に受けて選手を非難してる、
ニックに踊らされてる奴らも同様です。ランペイジなども
自分の得意なボクシングを使えないがために同じような
レトリックを使いますが負け犬の遠吠えです。それならさっさと
ボクシングに行けばいいわけで、MMAである必要はないのですから。

加えて、試合中の挑発はUFCのルールに違反として定められている、
「口汚く相手を罵る行為」に該当するのではないでしょうか?
それとも、ジム・ミラーが言っていましたが、試合中にネイトに
何か言われたが何を言ってるかよくわからなかった、とのこと
なのでセーフなのでしょうか?

いずれにせよ、挑発はかなり効果があるのは間違いなさそうです。
ベンヘンはジョークで言ってるのかと思いきや、練習方法を見ても
結構本気で取り組んでいるようです。果たしてネイトの挑発に
耐えて冷静に試合を運べるのか、それとも頭に血が上ってネイトの
顔面を狙いにいってしまうのか、12月8日に全てが明らかになります。

しかしスパーリング・パートナーもたまったもんじゃないですね。
UFC王者を前に「さ、彼を挑発して」って言われてできるような度胸がある
人間なんてほとんどいないのではないでしょうか。
「応援に来てるおかあちゃん目立ちすぎ」とか言ったら殺されそうです。
一体誰がパートナーで、どういう悪口を言ったのか是非知りたいですね。