2012年11月25日日曜日

デイナ・ホワイト 新たなMMA時代を嘆く

デイナ・ホワイトの内なるボス、ハリソンは今日のMMAファイターを
じっと見つめている。

FightOpinionより


このビデオは今週の金曜のものだが、もう一度見る価値がある。
今週末のモントリオールでのUFC154大会で進展があったからだ。

このビデオの最初のパートはマット・ミトリオーネVSロイ・ネルソンについてだ。
この試合は偶然出来たロイ・ネルソンVSシェーン・カーウィンよりも興味深い
代替カードだ。ジ・アルティメットファイターに関わってないことを気にしていた
ファンはわずかだし、ネルソン・カーウィンを見たがっていたファンなんて
それこそ皆無に近い。だから、今はミートヘッドVSビッグ・カントリーという
羽目になっている。


だが、インタビューをご覧のとおり、デイナは基本的にシーク・コンゴが
試合をしたくないというからミトリオーネが組まれたのだと言う。
これはファイターたちがUFCオフィスからのショート・ノーティス・オファーを
断ることに端を発している。

アリエル・ヘルワニ
「マット・ミトリオーネがこの試合を受けたことで、現在ミトリオーネに対して
好印象を取り戻しましたか?」

デイナ・ホワイト
「うーん、マット・ミトリオーネの印象は良くなっていない。そうだね、私たちは
過去10年間こういう連中と取引をしてきて、今この時この場にいるんだ・・・
この仕事を13年間やってきたが、10年間は選手たちが試合を断らない
時代だった。UFCにおける最初の10年で、拒否された一番大きな試合は
ティト(オーティス)がチャック(リデル)と戦いたがらなかった時だと思う。」

「今ではまるで毎週のように、コンゴは2戦連続で対戦拒否してきた。
コンゴにオファーしたとき、私たちがコンゴにあー、ロイネルソンとの試合を
オファーしたが彼はその試合をするのを拒んだ。そして彼にはその前にも
試合をオファーしたが彼はその試合を拒んだ、なあ、そうだな、私たちは
今こういう連中と一緒の時代に突入してるし、あー、その、それが私を
うんざりさせるし、あー、そういうのは好きじゃない。そして、うん、そうだね、
・・・選手がステップアップし、ビッグファイトをしたくないという時、
私は興ざめする。」

「そうだな、私は毎週誰とでもこういうインタビューをしてきたが疲れたよ、
病んでるしあれに疲れてる、あー、その・・・チェール・ソネンが口八丁で
のし上がってるという言いがかりにだ。チェール・ソネンはステップアップして
ショート・ノーティスでビッグファイトを受けた。彼は、私たちがUFCを買収して
以来一緒に仕事してきた連中と同じ類の奴だ。チェール・ソネンはああいう奴だ、
なあ、そして憐れな赤ちゃんどもは全員放り出されて泣き喚いている、
ダン・ヘンダーソンのようにな。ダン・ヘンダーソンがソネンと友達なのは
周知の事実だ。何をそんなに泣いてるんだ?お前は(ジョン)ジョーンズとの
対戦を二度も拒否しただろう。お前は膝の怪我で手を引かなきゃいけなかった
だろう。その試合はあった。お前の膝のせいで、手を引かなきゃならなかった。
ダンは言った、「私に必要なのは2週間だけです。」私は言った、了解した、
膝の具合がどうなのか見てみよう、と。それから、私は彼にトロントで
試合をしてくれと要請した・・・そして彼はそのトロントでの試合を拒否した、
またしても膝を理由にだ。だから、なぜ彼は腹を立てるんだ?
なんだ、私たちは座してダン・ヘンダーソンを待つことになってるのか?
私たちはダン・ヘンダーソンの膝が癒えるまで待つだろう、そして
ジョーンズには家でくつろいでもらって何もしない。わかるか、
これはまったく馬鹿げたことなんだ。そして、私がそのことで電話した連中は
その試合の線上にいたしその試合を断った、チェー・ソネンはステップアップし
彼はビッグファイトをすることになったんだ。」


この痛烈な非難演説は私たちを議論に導く。どうしてロンダ・ラウジーが
クリス・サイボーグと試合することができなさそうなのか、という
ことについてだ。UFCは女子の135ポンドの試合だけを促進したいし、
サイボーグは過去に減量で多くの問題を抱えてきた、だから135ポンドは
ありそうには思えない・・・この事案がどうなろうと、UFCはこの試合をまだ
実現したいと思っているだろう、彼らはこの試合が大金を呼び込むだろうと
考えているからだ。これはもう一つの、いまだデイナを悩ませるところだ。

デイナはロンダ(加えて他に7,8名の135ポンド選手がいる)に、
女子MMA舞台の一つの階級に挑戦してくれるよう要請している。

アリエル・ヘルワニ
「彼女のUFCデビューはいつごろで、相手は誰になりますか?」

デイナ・ホワイト
「それは私は知らない。あの事案については一つも知らない。しかし・・・
サイボーグが彼女と戦いたくないというのは十分にはっきりとしている。
うーん・・・だから、私は知らない。本当に、もし私たちが・・・これは完全に
女性のことで・・・私は常々言ってきたが、あー・・・その階級はまだ十分に
作り上げるには本当に層が深くない。私が思うに135ポンド級、ロンダがいて
チャンピオンの階級だが・・・来年を通して4、5試合ほど彼女にとって
いい試合があるだろう、1年半くらいかな。」

アリエル・ヘルワニ
「そしてそれからはどうなりますか?」

デイナ・ホワイト
「知らないよ。思うに135ポンドの階級でもっとたくさんの女性が登場するのを
目の当たりにするだろう・・・どうかな」

アリエル・ヘルワニ
「あなたはUFCにおいて、階級制を作り上げるには十分な層の厚さだと
感じていますか?」

デイナ・ホワイト
「2年間を潜り抜けるには十分な深さだ。そしてこれから我々がどんな出来事を
目撃することになるのか、わかるかい?私は今試しにこのことをやってみようと
思うんだ。私たちは挑戦している。うん、あの、明らかに、その、私は喋ることに
シャイではなかったんだが、あー、思うにロンダ・ラウジーは大スターになろうと
している、思うに彼女は信じられないほどの才能がある、彼女は巧いし
わくわくさせてくれる、彼女は真のファイターだ、うん・・・だから、私たちは
目撃することになるだろう、この問題がどういう結末を迎えるのか、そして
女子MMAは実際どれくらい強いものかをね。」

デイブ・メルツァー曰く、
「デイナは本当に見出しをコントロールするのがうまいよ、
ストライクフォースの失敗の変わりに、何が仕事を維持し失わせるのか、
それはラウジーがUFCと契約することだ。」

だが、今デイナにとって、試合を取り決める上で最も大きな挑戦は
ジョルジュ・サンピエールVSアンデウソン・シウバだ。彼はすでに
この件においていささか詐欺をしすぎた。UFCはGSPとコンディットの
5Rの最中にアンデウソンのワイプを出してきたし、それは人々に
誤解を与えるものだ。サンピエールはメディアに対し、コンディットの
試合がある週にアンデウソン・シウバについて質問したことに
苦言を呈した。エド・ソアレスとクルーは皆にアンデウソンは178ポンドで
戦うだろうことを知っておくようにと念を押した。ファイラス・ザハビは
激怒し、その試合はウェルターウェイト(170ポンド)で行うべきだと
主張した。デイナはその試合を5月にしたい(それか2013年の夏の月か)、
場所はカウボーイ・スタジアムだ。
彼はその試合を実現することができるのか、
それとも何ら直接的な決意のない、
頭痛の種だらけのもうひとつの案になってしまうのだろうか?

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というわけでUFCプレジデント、デイナ・ホワイトさんの
最近の愚痴でした。

ここ一年間、UFCは怪我による欠場、薬物違反による出場停止など
が相次いで組まれた試合が潰れまくるという厄年になっています。
年末に差し掛かった今でも、メイナードの怪我などまだまだ災厄は
終わりそうにありません。

加えて、その欠場ラッシュの恩恵というか棚ボタでソネンさんが
タイトルショットを獲得したこともまた多くの批判を集めています。

一方で、怪我をした選手、そして代役出場をショートノーティスで
拒否した選手にはあまり批判の矛先が向いていない現状です。

このような状況でデイナが主張したのは、時代が変わり、
試合を拒否する選手が増えてきたのはそういう時代なんだ、
そして自分は昔の選手のほうがよかったという愚痴です。
デイナは怪我した選手、ショートノーティスを理由に試合を
拒否した選手などに対して批判の矛先を向けています。

誰よりもMMAを成熟させるために努力したデイナですから、
MMAがスポーツとして進化しアンダーグラウンドな見世物から
脱却するほどに勝利に対してよりシビアになっていくことは
当然わかっていたはずです。なのでこの意見はあくまでも
カードが実現されないことへの愚痴だと捉えるほうがいいような
気がします。もし本当に昔のような、どんなに準備期間が
無くてもどんなにひどい状態でも試合をするようなMMA業界に
戻したいというのなら、FOXという地上波スポーツチャンネルを
獲得するべきではなかっただろうと思います。

加えて、ビッグファイトを逃す選手に興ざめだといいますが、
ビッグファイトであればこそ、ショートノーティスではなおさら
受けないのが当然でしょう。勝利の重さが変わるからです。
減量がある選手などは言うまでもありません。

ただ、一方でデイナのダン・ヘンダーソンに対する意見は
同意です。あのケツアゴは謝罪もろくにしていません。
驚くべき自己中です。どんな心臓をしてるんでしょうか。
これはデイナが怒るのももっともです。こいつはもっと
叩かないとダメな気がします。

この試合拒否問題は、MMAがスポートとして成熟した
証でもあるのだと思います。スポーツの第一義は
勝利です。派手な試合を演出することではありません。
もしエンターテイメント性を重視するというなら、
ショートノーティスで準備不足な、明らかにベストから
程遠いコンディションで試合をすることのほうが遥かに
エンターテイメント性を損なうのではないでしょうか?
私はショートノーティスの代役を受けて、ダルダルの
体でグダグダな試合をして負けるのを見るくらいなら
出てもらわないほうがありがたいです。

選手に代役出場を強制するくらいならば、UFCをあげて
怪我対策なり、ブッキングシステムの見直しなりをするべき
でしょう。ソネンのタイトルマッチに対する批判もファンの成熟を
示唆しています。フリークショーはまったくだめだとは言いませんが
可能な限り避けるべきです。もし挑戦者が一人脱落しても、
誰もが納得する代役が立てられるシステムなりの
開発に尽力するほうが、結果的にUFCにとっては得策だと
自分は思います。