2013年1月5日土曜日

UFC155 感想と分析 part2

続きです。
以下は個人的な意見ですのであくまで参考程度にどうぞ
part1はこちら


WIN 岡見勇信 VS アラン・ベルチャー
(ユナニマス・デシジョンによる判定勝利)

計量ではとてもいいシェイプに見えたベルチャーだが、どうやら
当日に相当戻したようで体がかなり大きくなっていた。これは
明らかに裏目に出たと思う。スピードが損なわれてもっさりと
した動きだった。最近こういう悪い戻し方をする選手が
多いように感じる。

内容的にはフィジカルで五分かベルチャーが上なものの、
ポジショニングに勝る岡見が常にいいポジションをキープして
安定した勝利を収めた。

岡見選手はパンチが巧くなっていた。以前よりワンツーが
シャープだったし、ベルチャーにコンパクトに当てていたがかなり
効いていたと思う。

パウンドでも前の試合よりキレが見えて重そうだった。全体的に
スキルの向上と体のキレが増してきたように感じた。

一方で思うのが手数の少なさだ。有利なポジションを取りながら
攻撃が明らかに少ないと思う。時折見せたボディへのパウンド
などは明らかにベルチャーが嫌がっていたのだし、顔面を
殴らなければいけないわけではないのだからもっとボディへ
肘やパウンドをガンガン落として削って行くべきだと思う。

またポジションを取ってからの仕掛けが遅いのも気になるところだ。
相手が対応を取る前に先手を取って動かないからどうしても
次が遅くなる。前代未聞のサイドポジションを取った状態での
ブレイクがあった。これはブーイングに気おされたレフェリーの
明らかなミスだが、それを誘引したのは反省するべき点だと思う。

またスタンドでオフェンスがよくなったものの、やはり打ち合いでの
焦りのようなものを感じる。フットワークとボディワークがあまり
巧くない印象。もっとサークリングを使っていくべきではないだろうか。
直線的な前後の移動ばかりのために、カウンターをあわせられやすい
傾向があるような気がする。頭の位置がいつも同じなのも気になる。
これが改善すればスタンドがずっと安定するはずだ。

ベルチャーはアンデウソンやボッシュが有効打を与えた右ハイキックを
使うなど岡見をとてもよく研究してきていた。相手が苦手とする
打撃を使うのはスマートな戦術だ。二度目の右ハイなど結構惜しかったと
思う。またクリンチでも岡見の得意な外掛けを研究してきたらしく、
巧く潰していた。ただそのあとのグラウンドスキルでかなりの差が
あったためにうまく繋げられなかった。ポイントを稼ごう、TDをごまかそうと
する意図が明らかなチョークの仕掛けは小ざかしく、そういうところが
上位に進出できない原因となっていると思う。

岡見選手は素晴らしいポテンシャルを持っているが、
まだ使いこなせてないと思う。ここらで一度、打撃コーチの見直しや
出稽古先の変更など思い切った改革をすれば、さらに進化する
可能性を感じる。
とりあえず、上昇中のベルチャーをきっちりと押さえ込んだのは
さすがの実力である。次に欲しいのはグラウンドでの豊富な
攻め手かな、と思う。

WIN ジム・ミラー VS ジョー・ローゾン
(ユナニマス・デシジョンによる判定勝利)

ジョン・フィッチに続き地味・ミラーの異名を持つ良質な塩製造機が
まさかの糖化。甘じょっぱいが今のブームなのだろうか。
1Rから凄まじい猛攻を見せた。

ジム・ミラーはネイトにやられた反省からか、打撃にかなりの
改善が見られた。特に注目すべきはスピードの向上とクリンチ打撃の
工夫だ。ライトではかなりのフィジカルを持つ彼が使うクリンチからの
肘はフェイバリット・ホールドになりうるものだろう。ローゾンの顔面は
40針縫うほどにズタズタに引き裂かれた。これならボクサータイプを
次に相手にすることがあってもかなり優位に運べるかもしれない。

ただ相変わらず試合全体の組み立て、戦略が雑な印象は拭えない。
2Rからは攻め疲れで大失速。もう少しペース配分を考えれば
十分フィニッシュできたと思う。ローゾンよりも大分スタンドスキルに
差があったので、あんなに無理に攻める必要はなかっただろう。
ベンヘンのように冷静に作戦を遂行するメンタルがなければタイトルは
まだ見えてこないと思う。

一方でジョー・ローゾンは思った以上に打撃技術での未熟さが
目立った。やはりパンチディフェンスが悪い。困ると足を使って
逃げずに亀になってガードをする癖がある。そこをつかれて
ミラーに散々打たれてしまったことを考えると、サークリングなり
タックルに行くなりで回避する方法を覚えるべきだろう。
嫌いじゃないが、あまりにも愚直なスタイルは上位に行くには
厳しいものを感じる。またフィジカルも今ひとつだ。体格的に
本当はフェザーのほうがいいのかもしれない。

ハートと柔術スキルと攻めのセンスはもう十分に王者クラスだ。
あとは冷静な試合運びと戦略、スタンド・スキルの向上をだけで
すぐにもタイトル戦が見えてくるだろう。これからに期待したい。

寸評

ボッシュVSフィリッポウ
ボッシュが途中まで優勢だったが途中で大失速。
何かしら怪我をしたように見受けられる。
WOWOWは拳といってたが自分は足かな?と思った。
フィリッポウは福田戦でのサミングアピールにつづいて
この試合では露骨なサミング。故意だと思う。
どうもフィリッポウは狡いマネが多くて好きになれない。
そろそろアンデウソン神による制裁が望まれる。
ボウシュはもっと蹴って行けばよかったと思う。

リーベンVSブロンソン
なんでメインにしたんだこれ。リーベンスタミナがまったくなく、
シェイプが最悪に近い。ブロンソンはところどころいいところが
あるが明らかに判定勝ち狙いで萎える。ポイント勝ち自体は
そんなに腹が立たないが時計のチラ見でかなりイラつく。
次はプレリミ第一試合にして欲しい。