2013年4月13日土曜日

悪口を言うなら自分より上のものに言え!ミトリオーネの教訓

ミトリオーネのファロン・フォックスへの減らず口は
議論と誹謗中傷の違いを見落としている。

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記者 Ben fowlks
MMAjunkie.comより



マット・ミトリオーネの性同一性障害ファイター、ファロン・
フォックスへの減らず口に対するUFCの対応について、
我々が言える事の一つは素早く決断力のあるものだったと
いうことだ。

またそれは恐らくミトリオーネをいささか混乱させただろう、
彼はアリエル・ヘルワニの「ザ・MMAアワー」において
痛烈な演説を行った、まるで彼は最終的にスタンディング・
オベーションが起こることを確信していたかのように。
彼がUFCから、ミトリオーネの意見に「狼狽し」、それは
「攻撃的で完全に受容できない」というまったくもって異なった
反応を貰い、その数時間後に彼の契約の凍結が発表された
時、人々は彼が受けたであろうショックを容易に想像できた。

思い出してほしい、これは予期していない領域に迷い込んで
しまったインタビューでの思いつきの意見ではなかったのだ。
これはミトリオーネの半ばお決まりの分野だったのだ。フォックス
について彼がこの問題をどう見なしているかを話すというのは
彼の提案だった。とにかく最初のほうは、純粋な好奇心から
ヘルワニがなぜフォックスをそこまで嫌うのかと彼に尋ねる前
だった。そこから本当に怒りに満ちた意見が飛び出した。
「人格障害者」という言葉が使われた。「胸糞悪い奇形」という
フレーズが登場した。我々が彼は本当にそういうことを言わんと
してるのだろうかと戸惑っていたとき、彼ははっきりと付け加えて
宣言した、「そう、私はそう言わんとしているんだ。」

ラスベガスのオフィスビルの中のどこかで、ズッファの重役の
潰瘍がズキズキと疼いて悲鳴をあげていただろう。

ツイッター・マジックとインターネットのコメントのおかげで、
私はフォックスの女子MMAへの参加について大いに思うとこ
ろがある人というのはミトリオーネだけではないのだということを
知ることになった。私はまた、ミトリオーネが彼の意見のために
お叱りを受ける必要はないと考える格闘技ファンが大勢いる
ことも知った。最終的に、UFCのスポーツ・コメンテイターである
ジョー・ローガンが彼のポッドキャスト上でフォックスの格闘技
経歴に反対意見を述べ、多くの人が彼に賛同した。ミトリオーネ
はそういう人々の一人だったし、なぜ彼がこの問題を取り上げ
ようと決心したのかを説明する際にはローガンのポッドキャスト
のことについて言及してさえいたのだ。ローガンはUFCとは
トラブルにならなかったし、これはどういうことだろうか?
ファイターは何一つ意見を持ってはいけないというのか?

意見を持つことはいい。だが意見を持つことと意見に付随して
攻撃的で差別感丸出しなことには違いがある。ミトリオーネ
には、その違いが彼をトラブルに巻き込む元であることを
理解するだけの能力がなかったのは明らかだろう。

私は一部の人がフォックスは女子MMAで競技することを許可
されるべきとは思わない理由は理解できる。それは複雑な
問題だ。他のスポーツでの身体管理ではその問題を見てきたし、
トランスジェンダーのアスリートを除外-彼らを「のけ者にする」
のは、これはミトリオーネが言ったMMAというスポーツがフォックス
に対してして欲しいと望む行為でもあるが、それは不公平だろうと
いう決定を下してきた、だがプロ・ケージ・ファイティングはたとえば
ゴルフとは全然同じものではないし、それは私たちが皆知っている
ことだ。私たちはこの問題についてオープンで誠実な議論ができる。
私たちはまた世間知らずになることなく議論をすることもできる。

フォックスが30年以上の間、生物的な男性として生きてきた結果
何らかの肉体的なアドバンテージを持っているかどうかについて
より多くの情報を求めるのは理に適ったことだ。男性を男性たらし
めるのは何か、女性を女性たらしめているのは何かということに
ついて話し合うのは理に適ったことだ。そしてまたある人がある
性別からもう片方の性別に転換したいと思う理由は何なのかという
ことについて、自分たちはそれを理解していないのだと結論づける
のも理に適ったことだろう。しかしそれを理解していないからこそ、
彼もしくは彼女を「胸糞悪い奇形」扱いしないのだ。

STOCKHOLM, SWEDEN - APRIL 06:  Matt Mitrione enters the arena before his heavyweight fight against Phil De Fries at the Ericsson Globe Arena on April 6, 2013 in Stockholm, Sweden.  (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

ミトリオーネは取材のとき、少なくともちょっとおどけてみせたと
思っていたのは明らかだ。彼が忘れていたことは、コメディは
正常な人としての確固とした立場から始めていたときに、最後まで
やり遂げるのが非常に難しくなるということだ、ホワイト、社会に
おけるプロ・アスリートである彼はそれらの行為や、登場の際に
満場の拍手で埋め尽くされてしまうような人を攻撃することが
許されている人物だ。そのため、貧乏な子供たちについてのジョーク
を作るよりも、アメリカ合衆国大統領についてのジョークを作り上げ
るほうが簡単だった。もし卑劣なコメディになりそうならば、上に向か
って攻撃をしろ。

しかしフォックスの状況についてちょっと考えてみよう。彼女は男から
女へと性転換したのだ、性転換手術を経て数年間のホルモン治療を
受けたのだ、すべては女子スポーツで成功を納めるためにだ、と
決め付けるところからスタートした人はこの問題をろくすっぽ考えて
いない。私たちの社会で性別を変えるということは、すべての痛烈な
批評を招き寄せるということだ、インターネット上の頭のおかしい
連中からだけではないのだ。あなたの家族は一生そのことを
理解したり、受容してはくれないかもしれない。あなたは全ての友人を
失うかもしれない。あなたは残りの人生を、人々が絶えずあなたのこと
を「胸糞悪い奇形」と見なす時代として過ごすかもしれない。これらは
リスクだし、性同一性障害の人々は性転換前にそのことを理解して
いる。それでも彼らがそれをするということは、そうせざるを得ない
強制力がどれほどに強いのかということを私たちに教えてくれる。
ただ女を打ちのめしたいがためにこれら全てを実行するような
人間がいると本当に思いますか?

トランスジェンダー・アスリートは生来の肉体的アドバンテージを
持っていて、それは不公平だし無かったことにはできないものだと
いうことは確かに言えるだろう。私はフォックスがそのケースかどうか
はわからないが、しかしそれは議論する価値のある点だろう。
ぜひとも、その議論をしようじゃないか。お菓子だって持っていくよ。
だが、もし君がトランスジェンダー・アスリートを君がやっているのと
同じスポーツをやりたがっているからといって病的な化け物だと決め
付けるような時は-言い換えれば、君の偏見をただわめきちらすこと
に熱中するような時には-それはその晩の討論の場から脱落した
時ということだ。ドアマンが君をつまみ出すだろう。

ミトリオーネはこういう意見がUFCの運営規則に抵触するだろうと
いうことを知っておくべきだったのだろうか?恐らく、私たちは完璧に
鮮明な線引きがされているかのように振舞うことはできないだろう。
結局、UFCの殿堂入りファイターであるマット・ヒューズ、この男は
ファイター達に助言し彼らを会社の運営規約の内側に留めてやる
ことになっているのだが、ごく最近UFCファンQ&Aにおいてフォックス
について「ソレ」のように言及しているのが聞かれた。それにはミトリオ
ーネの意見のような攻撃的で辛らつなものはどこにもなかったが、
ミトリオーネがそれを聞いて、もし自分がその話題を取り上げても
UFCは気にしないだろうと結論を下したのはどうしてかがあなたは
わかっただろうと思う。今、彼は違いを理解しているだろう。

私が疑問に思っているのは、より良い方法を彼は知っているのだろうか?
彼は意見を表明することと、わざわざ社会的トーテムポールの上から
誰かを非難し貶めることの違いを学んでこなかったのだろうか?
そして、もしUFCがいつものゲームプランに従って彼をせっついて
詫びを入れるよう促し、償いとして何らかのチャリティーで奉仕したり
寄付したら、それで彼に何かしら教訓となるものがあるだろうか?
ということだ。

私はそうあることを望む、なぜなら一MMAファンとして、我らが
スポーツの代表者が最悪のステレオタイプであることを立証する
振る舞いをするのが本当に嫌だからだ。フォックスがプロ格闘家に
なることを決心したとき、彼女がこういう大きな反響の可能性を
よくよく考えた上でのことだったのを知っているだろう。もしこの
スポーツの先輩方が彼女に敵対し、世間でありがちな嫌悪に満ちた
言動が噴出したらどうなってしまうかを彼女が思い描いていたことは
ご存知だろう。もしこれらの不安が何一つ見当たらないことが判明
したら、素晴らしいことじゃないのだろうか?もし人々が彼女にライ
センスが発行されるべきかを議論している時でさえ、彼女が予期し
ていたような偏見に満ちたクズのような振る舞いなしでそれができ
たら、それは何がしか訴えかけるものがないだろうか?

私は今になってはそれはもう手遅れだと思う。
だから次こそはきっと。

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というわけでMMAジャンキーの中の人の熱い意見を
紹介してみました。いいこと言ってますね。

自分はあまり女子格闘は興味が無いので知らなかったの
ですが、ファロン・フォックスという選手は元男性ですが
性転換手術をして社会的には完全な女性であり、したがって
女性として女子MMAに参戦して全勝しているそうです。

どうも近日行われた試合において、首相撲からの
えげつない膝でKO勝ちしたことから向こうのニュースでも
おいおいアレはどうなのよ、ということで話題になって
いたようですね。

この問題では嫌悪感溢れるコメントがネット上に飛び交い、
それも相まって大きな社会問題になったようです。

結論から言えば、調査の結果明らかに男性に近い
身体能力であれば競技の安全性を考慮して参加
させないほうがいいでしょう。女性の肉体でも到達可能な
範囲内であるならば出場してもいいとは思いますが、
動きを見る限りはやはり男性としてのアドバンテージが
色濃く残っているように見えます。男性と女性が同じ階級で
格闘技をするならば、10Kg以上の体重差でやっとバランスが
取れるくらいのはずですので、同体重でやった場合はかなり
危険なのではないかと思います。

そして問題の本質は、ファンも選手も本来の議題から
外れてヘイトスピーチが激化したことでMMAそのものが
批判の対象になりかねなくなっていたということでしょう。

これからこういう問題は増加することになるでしょうし、
このあたりで医学的なアプローチからきちんと線引きが
されることはスポーツ界全体にとって有益なことだと思う
ので議論になることは非常にいいと思います。

ただその際に邪推が入ったり、男が女を合法的に
嬲り倒しているように見えてしまったがために選手がひどく
汚い言葉で罵ってしまっては、MMA全体のイメージを
大きく損なうことになり、いまだにゲテモノショーとしての
イメージが根強い中、それを払拭してメジャースポーツに
なろうとしているUFCにとっては大きな痛手となります。
今回の素早い対処はズッファの今後の運営方針を
見せ付けるものでもありました。

一方で、いまだにTUFでは口汚い罵りあい、そして
いかにもなワルっぽい連中の悪ふざけのようなリアリティ
ショーを垂れ流しているのは大きな矛盾といえます。
ダン・ハーディが言っていたように、そろそろワルの集まり
みたいなノリを完全に辞めて、もっとアスリート的な視点に
基づいたリアリティショーに舵を切って欲しいものです。
TUFを見ていたら、MMA選手だってああいうノリで
喋ったりして失言するのも当然ではないかと思ってしまい
ます。

結局、悪口に必要なのは確かな知識と常識であり、素人が
笑いを取りに行くとただ誹謗中傷をして人を不愉快にするだけ
というのが判明しただけの事件ですね(日本でもよく見ますね)。
辛らつなジョークは立場が上の者が下のものを叩いた場合は
ほぼ確実に成立しません。それはただのイジメになります。
基本は自分より上のものに言う構図であり、もし上のものが
下のものに言うならばそこには自分を貶める自虐が必要に
なります。それによって笑いが成立するのです。しかしながら
そういう高度な技術はコメディアンや、大学出のインテリである
ソネン教授にだけ許された特権ですので素人は間違っても
真似をしてはいけないという教訓でした。