2013年6月11日火曜日

フィル・デイビス、打倒リョートのために岡見勇信と組む

UFC163:フィル・デイビスは「忍者」リョート・マチダのために岡見
勇信と練習する


LOS ANGELES - AUGUST 03: Phil Davis makes weight during the UFC on FOX weigh in at Staples Center on August 3, 2012 in Los Angeles, California. (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

フィル・デイビスはUFC163でリョート・マチダに勝利してタイトル・
ショットを獲得しようとしている、そして2013年8月3日に行われる
その試合の準備のために、元ミドル級タイトル挑戦者の岡見勇
信に参加を依頼した。

MMAmaniaより
写真はUFC公式より

今夏のUFC163で、アルティメット・ファイティング・チャンピオンシ
ップ(UFC)のライトヘビー級コンテンダー、フィル・デイビスは敵
地に乗り込んで元205パウンド王者リョート・マチダと対面する、
マチダのホームであるブラジルはリオ・デ・ジャネイロでのことだ。

来るべき「ザ・ドラゴン」との対戦は間違いなくデイビスの13戦の
キャリアの中で最も重要な試合の一つとなる、そして彼のマチダ
への準備は順調だ。「ミスター・ワンダフル」は十分に準備が整っ
ていることをますます確信してしているし、ミドル級トップ・コンテ
ンダーの岡見勇信を招聘していたのだ。

Yushin Okami of Japan weighs in at 185 lbs at the UFC 122 weigh-in at the Koenig Pilsener Arena on November 12,  2010 in Oberhausen, Germany.  (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

「ここのところ素晴らしいキャンプをしているんだ。」とデイビス
はAXS・TVの最新の「Inside MMA」で語った。「私は岡見勇信と
練習しているんだ。彼は偉大なるファイター、偉大なるグラップ
ラー、そして卓越したサウスポーであり、本当に素晴らしいファ
イト・キャンプ、そして本当に素晴らしいパフォーマンスが楽しみ
だ。」

マチダはその高レベルで尋常ならざる戦いのスタイルで知られ
ており、彼がケージに入ると、大抵の場合対戦相手を酷く混乱
させてしまうことがわかっている。

デイビスは、ブラジル人が相手を宥めすかして自分のゲームに
持ち込んでしまう能力を有していることに気づいており、同時に
マチダは「忍者」かもしれず、彼は元ペンシルバニア・レスラー
の影響を出さないつもりだ。

「私が思うにマチダはこれまで誰も直面したことのない武器を持
ち込んでくる。彼が誰かと戦うときはいつだって今だかつて誰も
見たことのないような事が起こる。」とデイビスは説明した。「彼
はまさに君が誰からもお目にかかったことがないようなことをす
るんだ。彼はまさにそういう連中の一人なんだよ、君。彼は忍者
だ。彼は忍者なんだ。」

ANAHEIM, CA - FEBRUARY 23:  (R-L) Lyoto Machida punches Dan Henderson in their light heavyweight bout during UFC 157 at Honda Center on February 23, 2013 in Anaheim, California.  (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images) *** Local Caption *** Lyoto Machida; Dan Henderson

2013年8月3日、ブラジルはリオ・デ・ジャネイロのHSBCアリー
ナでの試合でマチダ、ライトヘビー級世界ランク1位のコンテン
ダーはデイビス、同階級世界ランク8位のコンテンダーと競争
する。

それが意味するものは、勝者はタイトル・ショットの地位を得る
だろうということだ。

マチダはすでにUFC157でのダン・ヘンダーソンへの勝利によっ
て階級のキングピン、ジョン・ジョーズのベルトに挑戦することが
約束されていた、しかしその試合での退屈なパフォーマンスに
よって彼は除外されてしまい、デイビスとの対戦が組まれた。

その28歳は知っている、もしマチダがすぐにもタイトル戦をした
いのならば、彼はデイビスを切り抜けねばしなければならないの
だと-それは不幸なことだ、なぜならばデイビスもタイトル争いに
加わるつもりだからだ。

「この試合ではマチダにかなりのプレッシャーがある。彼はタイ
トル・ショットが欲しい、彼はこの試合に勝たねばならないんだ。」
とデイビスは語る。「彼はリオ・デ・ジャネイロのホームタウンで戦
うことになる、自身のホームタウンに行って戦うというのはすごい
プレッシャーなんだ。」

「一方自分はといえば、ただそこに出向いて為すべきことをする
だけだ。事を起こしてタイトル・ショットを得たいと思っている。」

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というわけでマチダ戦を控えた肩幅がすごい人ことフィル・デイビ
スのインタビューでした。テキストをデイビスのイメージカラーであ
るピンクっぽい色にしてみました。岡見さんを大絶賛しています。

デイビスは先の試合でかなり上達したボクシング技術を発揮し
て、3Rジャブで削り倒して勝利しました。だいぶ打撃が向上した
一方、明らかに倒しきれそうなところで安全運転をするところと、
そこまでの火力が無いためにKOの気配があまりないという問題
点を露呈し、かなり退屈な試合をしていました。またフィジカルと
バックボーンを活かしたグラウンド&パウンドもあまり狙わない
など、悪い意味でラシャド・エヴァンスの要素を吸収しつつある
ような印象でした。

そんなデイビスは、いよいよタイトル挑戦を賭けて強敵リョート・
マチダと対戦します。これはかなり楽しみな1戦です。

というのも、マチダはレスラー・キラーとして名高いからです。彼
はこれまで多くのエリート・レスラーを伝統派空手の技術を使って
葬ってきました。エヴァンス、ベイダー、ダンヘン、クートゥアなど
が敗れており、レスラーにとってマチダはかなり相性が悪い相手
です。

その原因は恐らくですが、レスラーの基本パターンであるスタン
ドでの組みつきができないからです。レスラーが最も得意とする
のはスタンドでのクリンチ、特にアンダーフック・ポジションであり、
そこからロックして相手の体制を崩してグラウンドに持ち込みま
すが、この接触の瞬間こそが伝統派空手、一撃必殺の瞬間で
もあるからです。

伝統派空手はどの立ち技競技よりも間合いが広く、フットワーク
を使って遠目から隙を探り、相手が動く一瞬を突いて一気に
飛び込んで一撃を叩きこむのを基本とします。そういう意味では
非常にMMAと親和性が高い競技でもあります。なので相手が
組み付こうと近づいた瞬間は、カウンターを叩き込む好機とな
ります。

ライアン・ベイダーもダン・ヘンダーソンも、飛び込んで組み付こう
とした瞬間に強烈な膝蹴りを合わせられ、ごっそりとスタミナを
奪われてしまいました。遠い距離を無理に潰そうと踏み込みすぎ
たベイダーは、その瞬間前に出てきたリョートの突きをカウンター
で叩き込まれて崩れ落ちてしまいしました。間合いを潰したいレス
ラーにとってはここが鬼門となります。

またリョートはレスリングもかなり練習しており、クリンチの攻防
ではレスラーを上回るくらいの差し合いの巧さを見せることも
ありますし、空手の足払いを用いた崩しから極めの突きを放っ
てくることもあります。これも非常に危険であり、ダン・ヘンダー
ソンはこれでかなりのダメージを負っていました。また組際での
ボディへの膝もかなり厄介で、組めたところで必ずしもレスラー
が優位とも限りません。

リョートを相手にレスリングを封じられたレスラーは、スタンドで
リョートを上回る技術を持つことが要求されます。特に蹴り、そ
れもローキックが必須となります。パンチでは、どうしてもリョート
の蹴りの間合いを上回ることができないからです。スタンドのス
キルが突出していれば、実はリョートは削りで勝つことが可能で
す。というのもフットワークが命のリョートのスタイルは、ローキ
ックを連発されると自分から動かざるを得なくなるからです。蹴
りが使えないと、逆に様子見してるところをマチダのローや爪先
を突き刺すようなミドルで削られて結局敗れてしまいます。

それを実践したのがショーグンです。彼はグラウンドもレスリン
グもさほどではないですが、スタンドでのムエタイを用いた削り
あいではメンタルの強さもあり、かなりのハイレベルです。彼は
リョートの間合い合戦に対してガリガリとローキックで削りこみ、
パンチを出しながら下がるリョートに追いすがりました。途中の
レスリングではリョートのほうに遥かに分がありましたが、それ
でもローとパンチを効かせ、焦れたリョートが不用意に飛び込
んで放った突きにカウンターの右オーバーハンドを叩き込んで
勝利しました。

さらに、リョートは基本的に遠い距離を維持し、相手が焦れて
出てくるのを待つスタイルです。そして飛び込んでの一撃を打
つためにどうしても少なくなるのが手数です。これがリョートが
退屈だと言われる要因のひとつでもあります。そしてここにこそ、
リョートの最大の弱点があるといえます。というのも、削りあいで
のポイント勝負となったときに、手数と積極性の差で判定で敗れ
ることがあるからです。彼の判定負けには、ここに起因するもの
が多くあります。先のダン・ヘンダーソン戦もこれによりスプリッ
トであわや敗北というところでした。彼のスタイルには、KOする
ことが要求されるのです。

またリョートは空手の構えのために常に上体が起きており、決
してボディーワークに優れてはおらず、飛び込むときに頭の位
置が変わらないという欠点もあります。つまり、リョートの飛び込
みは一歩間違えば自身もカウンターで沈む可能性があるとい
うことです。超長距離を一気に潰す飛び込みは、カウンターを
もらえばそれだけダメージも大きくなります。そして頭の位置が
変わらない飛び込みは、非常にカウンターを狙いやすいのです。
単純なボクシングでは、そこまでリョートは巧くないと思いますし、
目もディフェンスもそこまでよくないと思っています。

ジョーンズはここを巧く突いて勝利しました。ボーンズの名の通
りガイコツに見えるほどの手足の長さを持つジョーンズは、その
リーチを活かしたムエタイで遠目からリョートを削り続けました。
リョートの飛込みを凌駕するリーチにより徐々に劣勢に追い込
まれたリョートは、エルボーで額を割られて目の焦点があわなく
なったところで、自分から飛び込んでの突きを狙いに行きました。
しかし間合いを制したジョーンズは、その飛び込みに合わせて
強烈なフックを叩き込み、リョートは完全にグロッキ-になりま
した。

以上のことから、リョートに勝つには戦略が必須です。きちんと
した分析をし、あのスタイルにとってもっとも苦手なことをひた
すらやり続ければ勝つことは十分可能でしょう。またリョートの
戦法は基本的にびっくり狙いのメンタル・ゲームの要素があり
ますので、とにかく膠着してもブーイングが起きても慌てず、無
理して動かない覚悟が必要です。

そんなマチダを相手にデイビスがどういう作戦でいくかはわか
りませんが、どうもレスリングはあまり当てにしないようです。
れは上記のとおり、レスリングはマチダに相性が悪いので保
程度に考えて、主戦略に組み込まないのは正解かと思います。
となると恐らく体格を活かしたジャブと蹴りの削りの線でしょう。
これでリョートに削り勝てるならば、ジョーンズ相手にも打撃で
そこそこ立ち回れる可能性が高いですね。デイビスはフィジカ
ルが強くスピードもリーチもありますので、勝ちの目もありそうな
感じがします。問題はディフェンスでしょうか。ミドルが怖いです
ね。

そして今回見出しにもあるとおり、デイビスが対リョート戦の練
習相手として選んだのが日本が誇るMMAファイター、ミドル級
ランキング現3位の岡見勇信選手です。なぜ岡見さん!?スタ
イル的にマチダと被るところはほぼ無いように思うのですが、そ
れでもデイビスは岡見さんと練習できて大変ご満悦です。ファ
イトキャンプが楽しみで仕方が無いと、すっかり岡見選手に惚れ
こんだようでなんかもうべた褒め状態です。岡見選手は英語が
できないという話ですが、なぜか意思疎通ができるうえに相手に
非常に好意を持たれるという稀有な才能をお持ちです。あのチェ
ール・ソネンとも親友であり、英語がほとんど喋れないことをイジ
られたりしていました。このコミュニケーション能力は羨ましい限
りです。

ちなみに岡見選手のブログを見たら、アライアンスMMAでの練
習風景と、件のデイビスのことが書いてありました。岡見選手も
またデイビスと練習できて大満足だったようです。こういう交流が
岡見選手の強さの秘訣でもあるのでしょう。しかし岡見選手が普
通の大きさに見えるということは、周りの選手は皆相当でかいの
でしょう。

さあ、果たして岡見・デイビスタッグの練習の成果はどれほどの
ものか、ドラゴンを破りジョーンズへの挑戦権をゲットできるの
か?マチダの幻惑的なスタイルに惑わされることなく、いかに
落ち着いてプランを遂行できるかが鍵となってきます。

「マチダは忍者、忍者なんだ!」と言ってるデイビスを想像して
大爆笑しましたが、なんかこんなこと言ってる時点で試合前に
もうだいぶ惑わされてる気がしますが大丈夫でしょうか・・・。
外国人の忍者幻想はほんと度を超えてると思います。