2013年7月27日土曜日

ジェイク・エレンバーガー、MMAの考え方を変えたと語る

カンプマンへの敗北後、UFC on FOX 8に出場するジェイク・エレンバーガーは新しいやり方に行き着いた

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MMAjunkie.comより

シアトル-35戦のキャリアを経て、ジェイク・エレンバーガーはとうとう本領発揮するかもしれない-二つの異なる方法でだ。

一つは、エレンバーガー(MMA29勝6敗、UFC8勝2敗)が今週行われる試合の宣伝をする中で頻繁にディスプレイに映ったもので、それはローリー・マクドナルド(MMA14勝1敗、UFC5勝1敗)とのUFC on FOX 8のコー・メイン・イベントを大仰に宣伝してきたその度合いだ。エレンバーガーは過去の試合に比べてトラッシュ・トークの割合を何段階かわからないほどに増してきたのだ。

「皆はこのスポーツを深刻に捉え過ぎなんだよ-それが私の考えだ。」とエレンバーガーはMMAjunkie.comに水曜日、場所はシアトルで語った。彼はそこのキー・アリーナで土曜日にマクドナルドと遭遇する。「私も一時期はそうだったけどね。私は軍の海兵隊出身だ。皆は(格闘技を)本来あるべきものよりも深刻に捉えている。それは競技だ。私の人生はもう十分に深刻だよ。だからそいつも本当にただ楽しめばいいんだよ。私はそいつを笑うためにやるし、他の人に笑ってもらうためにやるんだ、私的なものではないんだよ。私は絶対に誰かを見下すような真似はしたくない。私はそいつを楽しんでやりたいだよ。」

ひどく深刻な状態から、ツイッターでの冷やかしあいとメディア・カンファレンス・コールでのトークなどに見られる、マクドナルドに酷くからむようになったという変化がまず一つだ。(そしてそのウェルター級選手は、中身の無い話ができることについては、UFCにまします『マスターマインド(偉大なる指導者)』チェール・ソネンからは何ら得たものはないと認めた。)

だが彼は試合の中で飛躍的に成長してきたとも信じている。

「練習をいくらか調節してたんだよ、特に去年はね。」と彼は言った。「それは真に心の安らぎを得ることであり、自分のすることを信じることだ。思うに私はファイターとしてずっと成熟しきてきたと思う、そしてより忍耐強くなった。忍耐は重要なことだ。そして自分がしていること、賢くトレーニングしていることにいっそう満足するようになった。その最中不安になることはなかった。私はレスリングのバックグラウンドから来ているが、彼らはいつも過剰にトレーニングしていたんだ、そして私はそこから少しだけ踏み出すことができた。」

エレンバーガーはUFCデビューでカルロス・コンディットにスプリット・デシジョンで敗北している。だが彼はそれから6戦連続で勝利し、それはジェイク・シールズへの「ノックアウト・オブ・ザ・ナイト」とディエゴ・サンチェスとの「ファイト・オブ・ザ・ナイト」という次から次へのボーナスを含んでいた。

マルティン・カンプマンは2012年6月にその流れを断ち切った、だがエレンバーガーはその流れを築き上げるためにすぐに戻ってきた。彼は8月にジェイ・ヒエロンを破ると、その後3月にモントリオールにおいて3分間でネイト・マーコートをノックアウトした。

カンプマン戦での2RのTKOによる敗北は、今だ彼にとっては納得のいかないことだ。だがそれはすべて、再び同じような状況になることを避けるためにもっと必死に動こうという動機をより強くしている-少なくとも24歳のマクドナルドとの対戦においては。

「私は最も重要なことを考えている、具体的にいえば、私の体重管理は最悪だったし(そして)私は過度なトレーニングをしていたということだ。」と彼は言った。「私は自分のコンディションをさほど重要視せずにいくらか調整したんだ。私の主眼は技術練習であるべきだった。あの試合では多くのことで失敗してしまった、だがそのほとんどを私はコントロールできたはずなんだ-そういうわけで、それは私にとっては飲み込むのが難しかったんだ。敗北を受け入れるのは難しい、だがもし自分がコントロールできることが多くあるとすれば、それはとても不安なときだ。」

今、エレンバーガーは信じている、トレーニングに関して彼は正しいやり方を心得たのだと。そしてそれは土曜日にマクドナルドと対峙する際に最も重要なことかもしれない。USA TODAYSports・MMAjunkie.comの最近のウェルター級ランキングではエレンバーガーがNo.2にランクされているのに対して、マクドナルドはNo.6にランクされている。

彼はマクドナルドよりも上位にランクされているが、いずれにしろエレンバーガーはそのレベルはほんのわずかな差で分けられているに過ぎないと信じているようだ。だがそのわずかな差が彼の勝利を維持してくれるのだろうし、そのおかげでタイトル・ショットの可能性が彼の行く末から去らずにいるのだ。

「君が世界で上位15位か20位の連中に加わり始めたのなら、君にはさほどに差があるわけではないんだ。」と彼は言った。「その24時間の鍛錬は別だ。それは調子が悪い日には家に帰って、自分が食べたいものを何でも食べるようなフットボールの練習みたいなものとは違う。君は日に24時間鍛錬せねばならない。私がやるトレーニング・セッションでは毎回、私はアイス・バスに飛び込んでいる、それは私が嫌いなものだ。」

「私は高いレベルで成功するために必要なものは何かを知っている、それは山盛りのクソさ。君は山盛りのクソとよろしくやっていかなきゃいけない。それは1週間か2週間離れることができるようなものじゃあないんだ。」

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7月28日にローリー・マクドナルドとの対戦を控えているジェイク・エレンバーガーのインタビューでした。ギリギリ間に合った・・!

ジェイク・エレンバーガーは機動力と一撃の破壊力を兼ね備えた火力の高いウェルター級ファイターです。ウェルターでは小柄ながらずんぐりとして分厚い体型で、素早く飛び込んでは回転が速くて重い打撃を打ち込んでくる攻撃的なファイターです。

タイトル戦が見えてきた去年の6月、優れたストライカーのマルティン・カンプマンを相手に1Rダウンを奪うも、その後的確なパンチを受けて効いてしまい、そこに膝を打ち込まれてダウンして敗北します。本人はまだ出来ると露骨に不満を表明したものの、裁定は覆らずに1敗を喫しました。

その後2連勝を飾り、とくに直近のネイト・マーコート戦ではウェルターに落として非常に期待されていた彼を相手に、凄まじい速度のラッシュを仕掛けてあっという間にKOしてしまいました。その勝利によって、エレンバーガーはここで勝利すれば王者挑戦が見えてくるというところに来ています。そしてその対戦相手が現王者の弟分とも言える、トライスター・ジムの麒麟児「アレス」ローリー・マクドナルドです。

エレンバーガーはこれまで序盤では圧倒的な強さを見せていましたが、長期戦になるとスタミナ不足を露呈し、競り合いに持ち込まれるとそこから綻びて負けていました。

しかし、今回のエレンバーガーは調整法を変えてきたようです。これまでの自身の体重管理は最悪だったし、トレーニングのしすぎだったが、それを見直したということです。先日の記事で紹介しましたが、オーバー・トレーニングは身体に大きな負荷をかけてしまい、疲労が抜けなくなり、結果として練習中の事故や怪我を招く原因となります。それだけではなく、ピーク調整が失敗すれば本番においてスタミナ不足を招き、試合で大きく不利になる可能性も孕んでいるものです。

これが本当であれば、エレンバーガーの大きな弱点が一つ解決したことになります。1Rの動きを最後まで維持できるのであれば、これは恐ろしいノックアウト・アーティストの誕生です。

そしてエレンバーガーがもう一つ変えたことが、ファイターとしての考え方です。自分も含め皆MMAを大げさに考えすぎだ、もっと気楽に楽しもうぜとなにやらアブナイ感じになっています。確かにカンプマンに負けた後の不満げな顔などをみても、エレンバーガーはあまりにも真剣すぎるようなところはあったような気がします。しかし彼はそれが自身にとってマイナスに作用していると考えて、なにやら朗らかな感じになったようです。

その副作用なのか、今回エレンバーガーのマクドナルドに対するトラッシュ・トークは凄まじいものでした。ランキングの順位が高すぎる、お前はGSPを超える逸材じゃない、などなどとにかく面白おかしくマクドナルドをおちょくりました。

対するマクドナルドは発言が若干背筋の寒くなるものがあったため、「カナディアン・サイコ」などと呼ばれていました。私が少し前にみた記事でも、BJ・ペンが試合中に少し挑発したのに腹を立てて、徹底的になぶり倒してやろうと思ったと発言したのを見た記憶があります。人は時に誰かをめちゃくちゃに傷つけたくなることがあるだろ?というような言い方で、あの顔つきと相まって若干下腹部がキュッとなりました。

果たしてエレンバーガーの変化は吉と出るか凶と出るか、調整法の変化はまず間違いなくプラスに作用するでしょう。リーチに不安のあるエレンバーガーは、絞り込んでスピードとキレを増すことが必須です。スタミナの面でも改善を望めるでしょう。

問題は精神面です。この変な明るさは精神的に強くなったのかどうなのかイマイチ判断がつきません。彼のようなファイターはあまり深刻に考え込まないほうがスイングしそうに思いますが、これまで以上に隙が増える可能性もあるので難しいところです。そして過剰に挑発してしまったマクドナルドですが、これも果たしてどちらに転ぶでしょうか。マクドナルドが熱くなってくれればエレンバーガーがあっさりKOを取る展開もあるでしょう。しかし相手はカナディアン・サイコです。挑発が裏目にでた場合、シアトルの海辺は真紅に染まることになるでしょう。

ウェルター級のタイトル・ショットを賭けた決戦はいよいよ明日、シアトルはキー・アリーナで行われます。

3 件のコメント:

  1. >皆は(格闘技を)本来あるべきものよりも深刻に捉えている。それは競技だ。私の人生はもう十分に深刻だよ。だからそいつも本当にただ楽しめばいいんだよ。私はそいつを笑うためにやるし、他の人に笑ってもらうためにやるんだ、私的なものではないんだよ。

    この言葉の真意が読み取りきれないのですが、ものすごく深い意味が込められてるように感じます。
    言葉通り24時間の鍛錬を私的な視点から離れて楽しめていたら驚異的ですが、非現実的でもあります。
    エレンバーガーの出自やプライベートがもう少し覗けたら、「私の人生はもう十分に深刻だよ。」の意味がわかるんでしょうか。
    (ウィキペディアに心理学を勉強していたとあるので、こういった物の言い方と少し関係があるかもしれません)

    何にせよ試合がより一層楽しみになりました(^-^)

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    1. ちょっと今回は試合に間に合わすために訳が粗いかもしれません。精進します。

      一応補足すると、生きることそのものがもうたくさんというくらい真剣、深刻にならざるを得ないのだから、たかが競技でそんなに思い詰める必要は無い、ということでしょう。その前に自分は軍の海兵隊出身だと言っていますし、軍隊経験者からすれば、命を落とす可能性がほぼない格闘技(ゼロではない)はそこまで張り詰める必要は無い、と思い直したのかもしれません。逆に彼はこれまで軍隊の時と同じくらいの緊張感で試合をしていたのかもしれませんね。

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    2. なるほど、よくわかりました!
      非常に丁寧な説明ありがとうございます。

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