2013年10月18日金曜日

ダニエル・コーミエ、ロイ・ネルソンの顎は有効期限切れだと語る

UFC166に出場するダニエル・コーミエ:全てのファイターの顎には「有効期限」があり、ロイ・ネルソンの期限は恐らく2013年10月19日までだろう。



MMA maniaより

ロイ・ネルソンの顎がタフで長持ちなことは今日まで証明されてきた。ダニエル・コーミエはそれに「有効期限」があると言い、それが2013年10月19日に訪れるかもしれないというのだ、それは二人の重い打撃を持つヘビー級コンテンダーが、テキサスはヒューストンで行われるUFC166のケージの中央で出会う日だ。

ロイ・ネルソンは、殴られても時を刻み続けられること(時計の宣伝文句が元の慣用句、頑丈で長持ちなことを指す)を相次いで証明してきた。

その好例として、彼のファブリシオ・ヴェウドゥム、ジュニオール・ドス・サントス、そしてスティペ・ミオシッチとの試合が挙げられる、「ビッグ・カントリー」は打撃の重いヘビー級のヒッター達に3ラウンドの間繰り返し捕まった。そして彼がジャッジのスコアカードでは3人全員に届かない結果となった一方で、ネルソンはその虐待を受けながらも決して動揺せず、倒れることを拒否していたのだ。

そのうえ、その太鼓腹の殴り屋は彼のミックスド・マーシャル・アーツ(MMA)のキャリアにおいてノックアウト負けしたのはたったの一度だけ、それは元アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)の265ポンド王者であるアンドレイ・アルロフスキーの手によって、2008年にElite XCの旗の下で訪れたものだった。

ネルソンの顎は証明されてきたが、それでもダニエル・コーミエは信じている、それが何年にも渡って吸収してきた全ての暴虐のおかげでやがては「期限が切れる」だろうと。

そしてもしその「有効期限」が2013年10月19日、テキサス州はヒューストンで行われるUFC166コー・メイン・イベントでの、「DC」とネルソンの喧嘩中に訪れたとしても驚くなかれ。

コーミエはそれを分析する(ESPNより)

「君がかつて見てきた試合のどの人、どのタフな奴も、それがボクシングやマーシャル・アーツで素晴らしい顎を持つことで知られた人であっても-それには有効期限があるんだ。こういう連中が食らうことのできる回数というものがあるんだ。スティペ・ミオシッチから貰った最後の一発が、もし一発多すぎるものだったとしたらどうだろうか?たぶんロイの顎に記載されてる有効期限はカナダで切れたんだ。恐らく私の有効期限を彼が切れさせることはできない。」

コーミエの本領が間違いなく彼のレスリングである一方で、その元オリンピック選手は立った状態でまったくもってよく仕事をしてくれた両手を所持している、技術は彼が以前2011年にアントニオ・シウバを1ラウンド中にノックアウトしたことで証明された。

それでも、ネルソンのような危険なストライカーを相手に爪先が触れ合うほどに接近するのはあまり懸命なゲームプランではない、特に完璧なMMAレコードをそっくりそのまま保持しようとしている選手にとっては。それからもう一つ、「DC」は試合に尻込みするような奴では一度もなかったし、一度ライトヘビー級に落としてタイトル・ショットを要求する正当性を示すためにも、「H-Town」で「印象的な」勝利を目論んでいる。

「ビッグ・カントリー」へのノックアウト勝利はまさに彼が必要するものに違いない。だが歴史が我々に示してくれる通り、それを達成するのは簡単な仕事ではない・・・今までは。

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というわけでUFC166で「ビッグ・カントリー」ことカンフー・ファイターのロイ・ネルソンを相手に試合をする「DC」ダニエル・コーミエのインタビューでした。一次ソースはESPNのブログでしたが、書き出しの文章がなんとなくいけ好かないのでこっちをソースにしました。

これまで多くの選手と対戦しては、「あれ、これ死ぬんじゃないの?」というくらいに殴られても立っていたロイ・ネルソンですが、コーミエ曰く「もうすぐ有効期限切れ」だそうです。コーミエが言うには人間の顎にはすべて打撃を食らうことのできる限界があり、その許容範囲を超えた時にノックアウトされてしまうそうです。アレルギーみたいな話ですね。

よく言われるのが選手は多くの被弾をするとKOされやすくなっていく、というものです。これに関しての文献は探しましたが見つかりませんでした。脳震盪のメカニズム、そして慢性外傷性脳症(CTE)に関する文献は豊富でした。が、医学的なことは前回やらかして懲りたのであまり迂闊なことは書かない事にします。ただ選手たちは経験的にそのことを理解しているようです。

なのでコーミエはさすがにそろそろネルソンはダメだろう、たぶんカナダで有効期限が切れたはずだ、としています。だから自分との試合で彼は倒れることになるだろう、と。

実際、コーミエは元レスラーと思えないほどにいいパンチを持っています。巧いと言うよりは、その圧倒的なハンド・スピードが魅力です。往年のヒョードルのような雰囲気があります。ただストレート系はいまいちな印象です。しかし彼のMMAキャリアを考えればあり得ないほどの質です。彼はこれでアントニオ・シウバを沈め、ジョシュ・バーネットをしこたま殴りました。ただフランク・ミア戦ではパフォーマンスが冴えず、このパンチがそこまでの威力を発揮しませんでした。見る限り、当て方があまり綺麗ではないのかな、と感じています。しかしそれでもこれは驚異的な武器の一つには違いありません。

コーミエとしては、打たれ弱くなっている可能性があるネルソンをヴェラスケスと二人で鍛え上げたスキルを使って派手に沈め、ビッグ・カントリーの首を手土産にライトヘビー級に乗り込もうという腹積もりです。ジョーンズへの挑戦を待っている選手が多い中、割り込んで挑戦しようというからにはそれなりの手柄が必要です。もしフランク・ミア戦のようなパフォーマンスであれば、彼はライトヘビー級のコンテンダーと対戦する必要が出てくるでしょう。彼は高齢のため、あまり遠回りすることは許されません。ここはなんとしてもKOで勝ちたいところです。

ただ、果たしてそう上手くいくかはわかりません。何しろ相手はジュニオール・ドス・サントスの拳を受けても倒れなかった男です。前回のスティペ・ミオシッチ戦でも手ひどい打たれ方でしたが、彼の拳には最後まで力があり、あまりのタフさにミオシッチの心が萎え始め、早く試合が終わらないかと3Rに時計をチラ見しまくる始末でした。コーミエは最近めっきり打たれ弱くなったフランク・ミアを相手にKOできなかったことがかなり引っかかります。前回同様に緊張していたり、変にKOを狙いすぎると少し難しいかもしれません。

またロイ・ネルソンはUFC屈指の曲者です。喧嘩の巧さではかなりのものがあり、相手を罠に嵌めて拳を叩き込むことにかけてはトップレベルのトリック・スターです。今回彼が不気味なほどに激ヤセしているのも何かあるのではないかと気になります。元々拳の当て方が上手く、そのワンパンチでフィジカル差や体格差、技術差を跳ね除けて勝ってきた男です。リーチが自分と同じくらいのコーミエは、これまでの遥かに大きい相手よりもずっと拳をねじりこみやすいでしょう。コーミエはこれまでの試合を見る限り思った以上に打たれ強く、目もかなりいいように思います。またジョシュ・バーネットという喧嘩の天才を相手にも完封勝利をしていることから、メンタル面もかなりのものです。ただ、それでもネルソンを相手にはどこか安心できないものを感じます。

なのでコーミエはスタンドに拘らず、きちんとクリンチなりテイクダウンしてコツコツ削るほうが無難な気がします。どうも距離的にコーミエの打撃の距離はネルソンとかぶっており、変なところで足を止めて様子を見るとネルソンのワンパンチが炸裂してしまう可能性がありそうです。遠い距離ではきちんと足を使い、そして隙あらばクリンチなりテイクダウンに持っていくほうがいいでしょう。ロイ・ネルソンはクリンチはあまり長けていませんので、ジョシュを相手にクリンチで負けないコーミエはパンチの距離を潰す方向で戦ったほうがいいのでは、と考えています。特にネルソンはハイガードに頼りすぎるところがありますので、彼がハイガードに閉じこもったらタイクリンチなどで捕まえて、アッパーなりボディなりで削るのが得策と思います。ストレート系の打撃が向上していればいいですが、今まで通りの遠目からの曲線軌道のパンチだけではスタンドのみは少し危ないでしょう。

逆にロイ・ネルソンはコーミエがKOばかりを狙いに来てくれたら儲けものです。KOを狙って手数を控えて足を止めれば、それはネルソンがKOを狙う間合いでもあるからです。ネルソンは飛び込んで身体を倒して放つ右のオーバーハンド、ストレートに特に長けており、射程もかなりあります。KOは奪えませんでしたが、ドス・サントスやファブリシオにもそれでいいのを当てています。ミオシッチのようにきちんと距離を取って対処すれば大丈夫ですが、リーチのないコーミエの場合あれに反応できるかどうかです。ヴェラスケスと練習してるので多分大丈夫だと思いますが、死角から打撃を飛ばすネルソンに反応できなければ、コーミエの顎の有効期限はあと数日になってしまう可能性もあるでしょう。またネルソンは不利なことは承知で何かしらの仕掛けをしてくるでしょうから、それにも注意する必要があります。KOを狙いに飛び込んで曲線軌道のパンチを打つコーミエに、カウンターでコンパクトなストレート一撃、というのを狙って来たりしそうです。

果たしてネルソンの顎はカナダで限界を超えてガラクタになってしまったのか、それともビッグ・カントリーの一撃がDCの顎をヒューストンでスクラップにしてしまうのか、UFC166コー・メイン・イベント、天下一デ武道会は日本時間10月20日にドラが鳴らされます。

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