2013年10月19日土曜日

ロイ・ネルソン、過去最悪のキャンプだったと語る

ロイ・ネルソン:私が今までやってきた中で最も劣悪なキャンプだった



MMA fightingより

テキサス、ヒューストン-彼の顔面に生い茂った毛の束を刈り込むという恐怖は、UFC166に至るまでのネルソンの心配事で最も微々たるものだったことが判明した。

「これは実際、私がこれまでやってきたキャンプの中で恐らく最も劣悪なものだった。」とネルソンは水曜日に認めた。「事実そんなもんだ。」

ネルソンの問題の発端は9月半ばに始まった、彼のヘッド・ボクシング・コーチ、ジェフ・メイウェザー、彼がエナジー・ドリンクを飲んだ後に軽度の心臓発作に襲われたのだ。その49歳は結局数週間入院する羽目になった。

ドクターは続いてメイウェザーを「重度の糖尿病」と診断した、そしてそこから事態は悪化の一途を辿ったのだ。

「私はキャンプ中にたぶん2週間ほどジェフを欠いた状態だった。」とネルソンは説明する。

「私は(トレーニング・パートナーのモハメッド・「キング」)モー・ローワルを失った。私はライアン・マルティネスを失った、彼がベラトールで手を壊したせいだ。それは潜在的に起こる可能性のあった何もかもが実際に起きてしまったキャンプの、まさにその一つだったんだ。だから君はまあ(それに)ひたすら対処するわけだ。つまり、私は自分がやるべきことと取り掛かる仕事を十分理解できるくらいにはこのゲームに身を置いてきたんだ。そして結局のところ、そういうことになっているわけさ。」

彼の山積する無数の障害にも関わらず、ネルソンはダニエル・コーミエとの対決から手を引くことは絶対に考えなかったし、UFCに試合を延期してくれと要請することさえなかったのだと言った。

「他の選手はそうするんだ。」とネルソンは言った。「他の全ての選手は皆こんな感じだ、『アア、足の親指を怪我しちゃった!』他のすべてを心配しながらな。皆は自分が戦うのを見るために金を払っているんだ。私はショーに出演するよ、それとUFC、彼らが私に期待していたのは、ショーに出演してそこに出向いて戦うことだ。」

「結局のところ、皆が通り抜けてきたクソみたいなことがまだ半分だと皆が知ったら、どれほどの痛みと疼きだろうか、彼らはこんな感じだろう、『おまえ、なんで戦ってんだ?』」

いつも通り、ネルソンは10月19日にファンの金に価値を与えてやろうと固執し続けている。もっとも過去数か月は確かに彼が望んでいただけの理想的な準備を提供しなかった、特に彼は人生で「最もひどいパフォーマンス」と呼ぶ事からの復帰を目指しているのだ。

今年6月、ネルソンは軽く見られていたスティペ・ミオシッチ相手にショート・ノーティスの試合を受けた。ネルソンは彼のキャリアで最も印象的な勢いの波に乗って試合に臨んだ、だが彼は目覚ましい流行の中で敗北し、彼がUFCと有利な新しい契約に署名するために蓄積してきた交渉の梃子入れはほぼ台無しになった。

ネルソンは今、その契約のためのトークがすべて「少しばかり動揺させるもの」になっていたことを認めている。しかし彼の来る対戦相手、コーミエ、勝ち負けに関わらずUFC166の後にライトヘビー級に落とすと断言してきた彼が、動揺させるものに直面しているのも事実だ。

そのうえネルソンは見てわかるほどにスリムな体型でスポーツマンらしくなっている、そして彼は信じている、コーミエの目前に迫った階級変更は彼らのコー・メイン・イベントでの激突になんらネガティブな関係を有していないだろうと。

「もし彼が彼のナチュラル・ウェイト以上でレスリングができるのなら、私はそれはたぶんより良いことだろうと考えている。」とネルソンは言った。

「彼は相手をテイクダウンして寝かしつけておいたり、相手を棒立ちにさせようとするのに自分の体重を使う奴じゃない。彼は相手をケージに押し付けてから棒立ちにさせるほうの男だ。それは体重の問題じゃない。それはテコと技術の問題なんだ。」

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というわけで目前にコーミエ戦を控えたロイ・「ビッグ・カントリー」・ネルソンのインタビューでした。殊勝なネルソンは何か不気味ですね。

記事中にもある通り、前回のミオシッチ戦前のネルソンはそれはもう調子に乗っていました。タイトル戦が回ってこないことに不満をむき出しにし、Tシャツを作ったり方々でデイナは自分を嫌いなんだと吹いてまわったりと余計なことをし続け、デイナがうんざりして「あいつはケツの穴の痛みだ」と評するくらいにウザいことになっていました。一方で彼はミオシッチを舐めて歯牙にもかけていませんでした。そうでなければショート・ノーティスで試合を受けたりはしないでしょう。

結果、彼は見るも無残に一方的に殴られ、得意のオーバーハンドは大不発、自慢の髭を血に染めて、圧倒的な大差で判定負けをしました。彼の連勝記録はストップし、せっかく積み上げてきたUFCとの交渉(嫌がらせ)も全部ご破算、彼は自分に有利な契約を結ぶことに失敗したようです。

今では本人も認める通り、あの余計な真似のせいでいささか気が散ってしまったようです。反省した彼はかなり真面目に次の試合に取り組み、「過去最悪のパフォーマンス」と自身も認める前回の試合から立ち直ろうとしていました。

そんなネルソンの前にどうも信じられないほどの災厄が降り懸かり、これまた「過去最悪のキャンプ」となったそうです。過去最悪続きでネルソンも大変です。おちおちドーナツも食べていられません。

ネルソンが言うには、まずキャンプ早々にボクシングのヘッド・コーチであるジェフ・メイウェザーが軽度の心臓発作で病院に担ぎ込まれました。原因はエナジー・ドリンクで、さらに病院で診断の結果だいぶ進行した糖尿病であることが判明したそうです。そのせいで彼はかなり長い間ヘッド・コーチ抜きで練習する羽目になりました。

さらには練習仲間のキング・モーを失い、もう一人のライアン・マルティネスはベラトールで手を怪我して彼はいよいよまともに練習できなくなったようです。ここで驚いたのが、彼の練習仲間は他団体の人が多いことです。ベラトールをはじめWSOFでもそうですが、もう違う団体の選手が当たり前のように同じジムで練習したりするわけですから、レベルの差はほぼなくなってきていると考えていいかもしれません。

彼はキャンプが成立しない状況にまで追い込まれました。しかし、この男は決して試合から逃げることはありませんでした。ファンが自分を見るために金を払っているんなら欠場するわけにはいかないのだ、とネルソンは言います。世間ではクソデブと思われがちな彼ですが、事実クソデブです。ただ、一本筋の通った誇り高いクソデブです。彼がUFCとの交渉で傲慢に見えるのも、彼はUFCとは対等な立場だと言う本来あるべき姿勢を維持しているだけなのです。だからこそ他の選手が露骨にUFCに尻尾を振ったり、ショー・ビジネスを忘れて容易く欠場をする事に対してははっきりと非難するのです。そして私はこのネルソンの「個人事業主」としての誇りをとても好ましく見ています。彼もまた間違いなくプロ選手の一人です。ただ怪我をしたりショート・ノーティスなら休むほうがいいとは思います。しかし心構えとしてはネルソンくらいが理想的です。

さて、そんなわけで最悪だったというキャンプを経たロイ・ネルソンですが、今日の計量ではなんとちょっぴり腹筋が出ていました。

HOUSTON, TX - OCTOBER 18:  Roy 'Big Country' Nelson weighs in during the UFC 166 weigh-in at the Toyota Center on October 18, 2013 in Houston, Texas. (Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images) *** Local Caption *** Roy Nelson

なんでしょうこの違和感。がっかりというか可愛くなくなったと言うか、すこし哀れな感じが漂います。しかもここまで絞り込んでいまだに248ポンドという重さです。サントスより8ポンド重いとかいまいち信じられません。

それでも絞った分だけスタミナとスピードは間違いなく向上しているでしょう。248ポンドなら余計な脂肪を落としただけで、無理な減量というわけでもないはずです。妊婦のような腹の時にもそのパンチのスピードはかなりのものでしたから、パンチはかなりのキレを期待できそうです。

しかし考えてみると妙な話です。彼のキャンプが過去最悪だったにもかかわらず、彼の仕上がりは過去最高に見えます。精神的にもとても落ち着いているように見えました。とてもキャンプが最悪だったようには見えません。

ネルソンはとんだ食わせ物です。調子に乗っている時はひどいものでした。しかしこういうタイプが殊勝になってなんだか今回はダメそうだという空気を漂わせた時は、逆にかなり調子がいい可能性があります。キャンプが最悪だったと言うのがブラフな気さえしてきます。そもそもキャンプが上手くいかないでなぜ努力なしには実現しないはずのシェイプができているのでしょうか?身近なコーチが突然糖尿病だと発覚したことで、自分も糖尿病になるのではないかと怯えて食べる量を抑えたのでしょうか?こいつが糖尿病になる体質ならとっくに膵臓は砕け散って、今ごろは土の中で微生物の力を借りてシェイプをしています。それともキャンプが壊滅的な状況を見て、初めて危機感を感じて必死になったということなのでしょうか?もしそれでこのシェイプができたのなら、これから毎回キャンプのたびにコーチやパートナーに怪我や病気をしてもらったほうがいいかもしれません。

いずれにしろ、過去最悪のキャンプだという彼の言に反して身体の仕上がりは過去最高です。もっとも痩せたほうがパフォーマンスがよくなるのかはわかりません。しかし基本的にマイナスに作用することはないように思います。私はネルソンという選手はかなり好きですが、唯一の不満がフィジカルを作りこまない事でした。これだけの素質があれば、絞り込めばそれこそタイトルだって望めるはずだからです。まだ十分なシェイプではないかもしれませんが、それでもかなりの進歩です。記事中最後のコメントを見ても、コーミエのことは前回と違ってちゃんと研究もしているようです。シェイプと事前研究のできているロイ・ネルソンはかなりの脅威です。明日は痩せたネルソンのパフォーマンスからも目が離せません。

8 件のコメント:

  1. いつも楽しく見させていただいております。
    今回のネルソンのシェイプには驚きましたね。勝利時の腹ナデナデが映えなさそうなお腹になってしまいました。
    ですが、ファイターとしてのパフォーマンスはエディさんの言うとおり間違いなく上昇していると思われます。
    元々努力が嫌いな人物が物事に真面目に取り組んだ時ほど恐ろしいものはありません。ましてやそれが曲者の筆頭であるネルソン。何か凄まじいことをしでかしそうな気がします。
    『DC』ダニエル・コーミエーか、『ビッグ・カントリー』ロイ・ネルソンか。明日の試合がとても楽しみですね。

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    1. そういえばこの体型だと得意のギャグが使えませんね。これは一大事です。何か腹ナデナデに代わる新しいギャグもちゃんと考えてるんでしょうか?心配です。

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  2. いつも楽しく読ませていただいております。
    今回のネルソンのシェイプには驚きました。まさかあのものぐさなネルソンがここまで絞り込んでくるとは。なんだか雰囲気まで別人のようです。
    正直、このネルソンのシェイプを見るまでは「コーミエ相手は厳しいだろうなぁ」と思ってました。ですが、今回のネルソンを見て、なんかとんでもないことをしでかしそうな気配を感じました。
    元々面倒くさがりな人物が努力すると怖いものがあります。キャンプは最悪と語りながら、傲岸不遜な態度がなりを潜めているのも不気味です。
    コーミエーか、ネルソンか。二人とも明日は是非とも頑張ってもらいたいものです。

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    1. 腹筋が出たネルソンはいいことなんですが、なぜか謎のがっかり感が漂います。みたらし団子を買いに近所のボロイ菓子屋に言ったらフワフワの素敵なフロマージュを出されたような気分です。

      努力するのが遅すぎな感もありますが、それでもこれはネルソンには好材料です。オッズ差どおりでは面白くないですしネルソンもそれは不愉快でしょうから、何としてもコーミエに一泡吹かせてほしいものです。

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  3. コーミエとネルソンのオッズは5対1だそうです

    今回は過去のデータを参照するにはイレギュラーすぎる感があるので、 オッズほど予定調和的なゲームにならないことを期待してます。

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    1. 前回のパフォーマンスでは、オッズ差もやむなしという感じですね。
      ただヘビーは一発がありますし、ネルソンはそれに特化した選手でコーミエはやはり経験の浅さがどうしてもありますので、私もオッズ差ほどに安心はできないと思います。ひと波乱起こしてほしいですねw

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  4. >身近なコーチが突然糖尿病だと発覚したことで、自分も~

    これはそうなんじゃないでしょうかw

    やはり身近な人が倒れると改心するみたいです
    不謹慎ですが百聞は一見にしかずという事でしょうか

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    1. やっぱりそうなんでしょうか。ご本人には申し訳ないですが、心臓発作の理由がエナジー・ドリンクというのもまたアメリカンな感じがして少し笑ってしまいました。

      ネルソンは偏執狂的なところがありそうですので、身近な人が糖尿病になって健康に目覚めたらものすごいこだわりだすかもしれませんね。顔のパーツはかなりいいですので、痩せたらとんでもないイケメンに生まれ変わる可能性もありそうです。

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