2013年11月3日日曜日

アンソニー・ペティス、自分が強すぎるために乱打戦が成立しないと語る

アンソニー・ペティス:皆は私がサンチェスvsメレンデスのような試合をするのは決して見ることがないだろう、私はあまりにも腕が立ちすぎるからだ



BJPENN.comより

8月にUFCライト級王座を勝ち取って以来、ペティスは背中に的をぶらさげている。様々なところから野郎に求婚する連中が忽然と現れるだろう、「ショータイム」という呼び名に相応しきファイターと戦うために。ジョシュ・トムソン(20勝5敗)は12月14日、カリフォルニアはサクラメントのUFC on FOX9でペティス(17勝2敗)に初めての挑戦をする。ペティスはBJPENN.COMラジオ・ショーのゲストだった、そしてトムソンについて、彼の自信について、そしてさらに多くのことを語ってくれた。その完全なインタビューはこちらだ。



ジョシュ・トムソンとの試合を受けたのが随分と早かったことについて

「私は忙しくしていたいんだ。私の体は調子よく感じている。私は行く準備が出来てるぞっていう感じだ。私にとって一番大事なことは行動的であり続けることだ。」

メレンデスvsサンチェスのようなどつき合いについて

「あれは私の戦い方ではないね。君はアンソニー・ペティスがああいう試合をするのを見ることは決してないだろう。私はあまりにも頭が良すぎるし、あまりにも巧すぎるし、そして立った状態で誰かと爪先が触れ合う距離で何でも出来すぎてしまうんだ。もっともその試合は非常に楽しませるものだったし、そしてファンはそれを愛しているだろう・・・でもそれは本当に私のスタイルじゃないんだ。メレンデスは素晴らしい選手だし、我々は未来において戦うことになるだろうと私は確信している。ディエゴとメレンデスの試合はとても楽しいものだった、だが私が言ったように、それは私のスタイルじゃない。君は私がああいう試合をするのを見ることは決してないだろうね。あまりにも技術と才能がありすぎてどつきあいの試合に巻き込まれることはないんだ・・・私はやり合うつもりはないってことを言ってるんじゃないよ、ああいう風に打撃を食らうのが私のスタイルじゃないってだけなんだ。もし君が私のファイトを見ればわかる、私が自分の全キャリアを通じて打撃を食らったのは1、2度程度だ。要は私がそれを選択できないということではない、単に私は打撃を食らう必要がないというだけのことだ。君が私を殴る前に私が君を殴ることが出来る時、顔面に打撃を貰う理由があるかな?私は殴り合いに突入するのを恐れてはいない、だが私は理知的なファイト・スタイルを持っているし、私が思うにジョシュはそれに対処できないだろう、そして155、145にいる奴は誰であっても私のファイト・スタイルに困り果てるだろうね。

メレンデスが自身を「無冠の王者」と宣言したことについて

「私はジョシュ・トムソンを切り抜けてギルバート・メレンデスと戦うのが待ちきれないよ。ファンはちゃんとわかっている。彼のヘンダーソンとの試合と私のヘンダーソンとの試合を見た本当のファン、彼らは誰が王者かわかっているさ。私は彼を仕留めるのに4分かかったが、彼は25(分)の間に彼を仕留めることができなかったんだ。」

アルドがペティスを追い求めていることについて

「私はそのことを愛している。皆が話しているしそれはいいことだ。君らにはこれらの実現しうる素晴らしい試合が全てあるのだし、私の名前は彼ら全ての一部だ。私が自分の仕事を正しく遂行している時、ファンは私の戦いが見たいと思うんだ。ジョゼ・アルドは素晴らしいファイターだ。私はジョゼ・アルドは何かを変えるべきだと思ったことは一度もなかった、言うなれば彼はまさに世界で最高の男の一人だ、そして私は世界で最高の男の一人だ、じゃあ誰がベストかを見出そうじゃないか。」

彼の自信がどこから来るのかということについて

「私が人生でしてきたこと全てと私が潜り抜けてきた様々な物事、私がジムで費やした膨大な時間、私が今いる場所にいるために生み出した犠牲、私は自信を持つべきだろうね。私は自分が世界で一番だと考えるべきだろう、そうでなけりゃ私はなぜこの仕事をしているんだってことになる。私は他の仕事が出来るし、自分の体を犠牲にすることなく結構な金を作れるんだ。」

その裏付けについて

「私は口だけ野郎じゃない。私は自分の対戦相手について多くを語らない。私は皆をリスペクトしている、プロのMMAファイターになるためにはある特定の人間のタイプでなければいけないからね、プロフェッショナルなだけでなく最高のレベルにいるためにはね。一部の人は私の自信を生意気さと取り違えてる、だけどそれらは隣り合ってお手手を繋いで歩いているのさ。私の場合、私は事を成す。それは私が好きなことだ。私はそこに出て行って私がこの連中よりも優れていることを披露するのが好きだし、私がこの連中よりも優れていると証明するのが好きなんだ、なぜって私は毎晩それを夢見ているからね。私はこのことを夢見ながら眠りにつくんだ。これが私がずっと望んでいた全て、つまりUFC王者であって、私は当分それを手放すつもりはないよ。」

弟について

「私は実際、私の弟がUFCに辿り着いたことをとても誇りに思っているんだ。MMAは私たちがこの事を始めてからずっと練習してきたことなんだ、その頃彼は13歳くらいだった、そして今彼は20歳で来月UFCデビューを果たす、20周年記念のショーでだ。UFCが20年前後っていうのも何だか皮肉なものだね、彼はちょうど先月で20歳になったんだ。それは素晴らしい感覚だ。私はとても誇りに思う・・・私が思うにそれは全ての事のほんの一部分だ。私とセルジオは物騒な場所で育った、だが私たちには強い母がいた。彼女は私たちにテコンドーを習わせた。彼女は母子家庭の親でありながらテコンドーのレッスンに金を払っていた、そして私たちを私立学校に通わせるために金を払っていたんだ。彼女は私たちが今ここにいる場所にいられるようにと多くの犠牲を払ってきたんだ・・・そこにはセルジオとアンソニー・ペティスの成り立ちに関する多くのことがある。」

初防衛戦について

「今現在ジョシュに関して一番危険なことは、彼は自分の名前の周囲にあまり騒音を有していないことだ。君が多くの騒音を抱えた誰かと戦う時、たとえばジョゼ・アルドとしよう、皆はこいつはとんでもない試合になるぜと言っているだろう。この試合なら、皆はすごい試合になるだろうと考える、もっとも、私は皆が君の次の試合はタフだぜと言っていても影響を受けることはないだろうね。ほとんどの人が『君はジョシュ・トムソンとやっても何の苦戦もしないだろう。君はあっさり通過するだろうね。』と言っている。私はあれが大嫌いなんだ。私は人々が私にその手の事を話してくるのが大嫌いだ、なぜなら私はそんな風に考えたことすらないからだ。それは私の人生で最も厳しい戦いになるだろう。それは私の初のタイトル防衛だし、私はタイトルを勝ち取った時よりも優れたパフォーマンスをするべきなんだ。私の側には良いパフォーマンスをするんだという大きなプレッシャーがかかっているし、ジョシュ・トムソンのような男は、どの局面でも素晴らしいんだ:素晴らしいストライカーだし、グラウンドでもすごいし、優れたレスリングもある、彼は自身のゲームにおいて本当に何の欠点もないんだ。彼はネイト・ディアズをノックアウトすることに成功したから、彼はこの試合に臨む際にもいくらかの自信を持っているだろう。彼は35歳で、それは彼にとってタイトル戦の最後のチャンスだ、彼は持てる全ての力で来るだろうし、私はそれに備えなきゃいけないだろうね。」

グイダのように漬けられたら?

「彼は私を打ちのめせなかった、彼は私を極められなかった、彼は私をノックアウトできなかった。彼は私の上に15分間寝ていたんだ。もしあれが彼らがやろうと計画していたことなら、彼らはサブミッションを避け、ノックアウトされるのを避ける備えをしないとまずいんじゃないかな。クレイ・グイダは間違いなく私の能力を向上させたし、私はさらにもういくつかの要素を自分のゲームに加えなければならないことを私に悟らせてくれた。より機能的な肉体となり、より大きく危険な奴になるだけでは不十分なんだ。君はそこから賢くならなければいけない。君はポイント・システムを理解しなきゃいけないし、全てを把握しなければダメなんだ。」

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というわけで今回は現ライト級王者であり、すでにジョシュ・トムソンとの初防衛戦が決まっているMMA界最高のファンタジスタの一人、「ショータイム」アンソニー・ペティスのラジオ・インタビューでした。ペティス△。

先日熱い打ち合いで世界を沸かせたディエゴ・サンチェス対ギルバート・メレンデス戦ですが、ペティスさん曰く「自分はああいう試合をすることが出来ない」そうです。その理由が凄まじいです。打ち合いが嫌だからとかじゃなく、ちょっと自分天才すぎちゃって、やりたくてもああいう展開にならないんだよね、つれーわー、まじつれーわー、だそうです。いや、もうここまで言えれば大したもんですよ。腕が良すぎるし頭が良すぎる、そしてスタンドでやりたいことは何でもできちゃうから仕方ない。相手が自分に当てるよりも先に自分が殴れるのに、どうして顔面に打撃を貰わなきゃならないのかな?はい、ペティスさんそのとおりっす。殴られる必要ないっす。

もうすごい自信です。漲ってます。パネーッす。でもそれを言うだけの実力があります。彼のここ最近の試合はそれが決してブラフではないことを証明しています。ジョー・ローゾンをハイキック一発で沈め、続くドナルド・セラーニの脇腹を叩き折るような左ミドル一発で沈め、そして先日は鉄壁と思われた元王者ベンソン・ヘンダーソンを光速ミドル4連発でグロッキーにし、さらには上を取ったヘンダーソンに完璧なアームバーを極めてわずか4分でベルトを巻き上げてしまいました。

なので世間的には楽勝ムード漂うトムソン戦ですが、初防衛戦を控えるペティスは「楽勝だね」と言われるのが死ぬほどムカつくそうです。hateですのでかなりの嫌悪感です。そしてトムソン戦で一番危険なことは、そういう周囲の話によって自分が油断をすることだ、と考えているようです。なので彼は過剰にトムソンを強敵と捉え、そしてその対策に一切の余念がないようにしています。選手からすれば、こいつは手ごわいと言われる方が、楽勝だねと言われるよりは遥かにプレッシャーが少ないでしょう。私も選手に対してそういうことは言わないように気を付けておきたいところです。

そのトムソン戦の内容ですが、質問にもある通り懸念されるのが塩漬けです。蹴りを使うストライカーであり攻める柔術を得意とするアンソニー・ペティスですが、そのスタイルの都合上過去にレスラー相手に辛酸を舐めさせられた経験があります。それがクレイ・グイダ戦です。ローゾン戦の前のことです。彼は距離を作らせずにタックルで突っ込んで来るグイダに転がされ、ひたすらに上を取られ続けてフルマークの判定負けをしました。ボトムが強いペティスは柔術を駆使してグイダに何もさせなかったのですが、互いに攻め手を欠いた場合は当然TDとトップキープの時間で決着がつきます。彼はポイント・システムを理解しないために戦績に傷をつけてしまいました。

同様のスタイルの選手にはよく見られる負け方です。重心高めのキックボクシング+柔術という組み合わせの選手は、塩漬けに対して深刻な脆弱性を抱えるケースが多いです。他に代表的なのがカーロス・コンディットでしょう。なので彼らには強固なTDディフェンスと、素早いグラウンドからの脱出技術が必要になります。

しかしアンソニー・ペティスはその試合から大いに学んだようです。ポイント・システムに不満を言っても始まりません。彼はきちんと勉強し、そしてそれに対応しうる要素を自分のスタイルに加えました。その結果、彼はハイレベルのレスリング技術を有するベンソン・ヘンダーソンのTDをすべて防御しきったのです。そして無理なTDで疲れた王者の脇腹に、速すぎてよくわからないほどの蹴りを叩き込んで勝利しました。

要素を加えると簡単にいいますが、これが難しいからこそ他の選手は戦績が上向かないわけです。レスリング対策を磨いているコンディットも、結局先のカンプマン戦では1RからTDされてしまいました。キックボクシングに卓越すればするほどに、対策技術の習得は困難なようにも見えます。それがあっさり元王者を封じ切るほどに技術が進歩してしまうのですから、これでは自分のことを才能ありすぎてこまっちゃうわーと言っても仕方のないところです。

ペティスは海外でも生意気だと思われているようです。しかしペティスは自信と生意気は近いものなのだと言います。そして彼は自分のこれまでの人生を振り返れば、むしろ自信を持たない方がおかしいだろう、とも思っています。彼はただ自信があるのではなく、そうやって自分を追い込むことで、行動力を維持してさらなる高みを目指そうとしているのでしょう。彼にとってはベルトを獲ることがゴールではなく、全ての人間より優れていることを証明することがゴールです。だから彼はアルドとの戦いを心待ちにしています。そしてこのゴールは、彼がMMAを続ける限り決して到達することはありません。だからこそ彼はどこまでも強くなり続けるのです。

本当にサッカーの本田選手に似ていますね。彼もビッグマウスと言われがちですが、それは彼自身のモチベーションを維持するための方法論です。人間にとって一番大事なのはまず行動であり、そして行動哲学がいつの時代も必要とされるのは、人は容易く行動力を失うからです。怠惰、恐怖、諦観、嫉妬、人間の心には行動力を奪うものが多く渦巻いています。究極的には疲れない人間、行動し続ける人間が一番強いのであり、そしてそれを維持するためにはある種の心理操作のテクニックが必要です。そしてそのテクニックを用いて、上記のような負の感情をうまくコントロールして乗り越えていくことで、人は行動的であり続けることができるようになるのだと私は思います。

そんなペティスを創り上げたのは偉大なる母です。彼の父親は、彼がまだ16歳の時に強盗に惨殺されてしまいました。それから彼の母親は、女手一つで子供たちに習い事をさせ、わざわざ私立学校にまで通わせてくれたのです。物騒な地域だったと言いますから、恐らく母としては子供に少しでもいい環境で学んでほしいと願ったのでしょう。その負担がどれほどのものか、想像もつきません。そしてそのことにペティスは、深い感謝を今も抱いています。彼の飽くなき強さへの追及は、この偉大なる母親の強さに対する尊敬の念から生まれているのかもしれません。

ペティスはこれまでも自分が言うだけのことは確実に証明しました。そして彼は自分の才能を証明するために、これまで以上のパフォーマンスでジョシュ・トムソンを倒すつもりでいます。彼はまだまだ戦いたい相手がたくさんいるようです。相手が強ければ強いほどに「ショータイム」は燃え上がり、そして倒せば倒すほどに彼の自信は更に深まっていくでしょう。彼が毎晩眠る前に見る夢を、是非ともケージで再現して私たちにもその素敵な夢を見せてほしいですね。

2 件のコメント:

  1. そういえばぺティスさんヤンキー漫画の主人公みたいな顔してますよねw
    コメントも
    「相手は強い、だが俺はもっと強い」
    とこれまたヤンキー漫画
    これを暗に言えない所が若さと漲る△ですね

    でも逆にいくら総合とはいえ全てを高レベルというのは才能だけでなく漲る若さがないと体が持ちませんよね
    打撃に関しては高レベルどころかMMAトップですし
    一体一日何時間トレーニングしてるんでしょうか?

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    1. 確かにチャンピオンとかマガジンあたりで見たことのある顔ですねwビキッ!!っていう擬音が後ろに見えます。ハードラックとダンスっちまいそうな顔です。でもペティスは堂々としてるのでこういう挑発的な言動も嫌みがないというかカラッとしてて自分は好きです。

      そういえば練習時間とか内容に関してはあんまり情報ないですね。興味あります。

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