2013年11月16日土曜日

ジョニー・ヘンドリクス、パンチングマシーンで初めて自分のパンチの強さに気づく

ジョニー・ヘンドリクスはアーケード型のパンチングマシーンで初めてKOパワーを自覚した

MMA: UFC 154-Kampmann vs Hendricks

MMA junkieより

もしあなたがチーム・テイクダウンの創立者テッド・エールハルトに、いつジョニー・ヘンドリクスが左手に凄まじい力を持っていることがわかったのかを尋ねたら、彼はあなたに言うだろう、アーケード型のパンチ・マシーンが彼に確信させたのだと。

これはヘンドリクス(MMA15勝1敗、UFC10勝1敗)がジョン・フィッチを12秒でノックアウトし、彼でさえ今何が起こったのか信じられないかのようにケージを走り回る前のことだ。それは彼がマーティン・カンプマンをまったく同じ流儀で殴り倒したのよりも前の事で、彼が土曜日にラスベガスで行われるUFC167で、UFCウェルター級王者ジョルジュ・サンピエール(MMA24勝2敗、18勝2敗)と顔を合わせる権利を勝ち取ったのよりもずっと前のことだ。

それはヘンドリクスがまだUFCとMMAというスポーツにとってかなり目新しかった頃に遡る。彼とエールハルトはUFCエキスポのためにロンドンに行っていた、そしてその日のサイン会が終わった後、彼らはパンチ力を計測することを意図したマシーンに挑戦して遊ぼうと考えた。

「ジョン・ジョーンズがそれを打っていた。」とエールハルトはMMAjunkieのヘンドリクス特集用のインタビュー中に言った、その模様はUFA TODAYの金曜特別版、UFC167注目記事に掲載される。「マット・ミトリオーネと他に何人かのヘビー級選手もそれを打っていた。それからジョニーがそれを打ち、そして彼は全員のスコアを破ったんだ。私たちはほとんどこんな感じだった、ヘイ、ワオってね。」

エールハルトは言った、その次の日、彼らは同じようなマシーンがあるロンドンのボクシング・ジムに行ったのだと。そこでは、上位の記録は全て地元のヘビー級選手のものだった。

「だからジョニーがそれを打ったら、その記録も破ってしまったんだ。」とエールハルトは言った。「それが私たち二人にスイッチが入った瞬間だった、そして私たちは思った、あの左手には何か本物のパワーがあるのだと。」

それはエールハルトにとって嬉しい驚きと呼べた、ヘンドリクスのレスリングの能力が彼をUFCのスターにしてくれるだろうとエールハルトは主張していたからだ。そういう理由から彼はチーム・テイクダウンを始めたのだ、彼は言った、毎月の生活費とジムでの初歩的な指導を与えることで将来有望なアマチュア・レスラーを支援するという目標がMMAで始まったのであり、それは彼らに成功のための最高の機会を与えるだろうと。

その計画は過程においていくつかの障害に当たった、例えばエクストリーム・クートゥアにおいて、ヘンドリクスが初日の日にフィル・バローニからノックアウトされた時などだ。エールハルトから聞くところによれば、当初技術以上に熱意を持っていたチーム・テイクダウンのメンバーは彼だけではないのだという。

ジェイク・ロショルト、チーム・テイクダウンの最初のメンバーである彼もまた、エクストリーム・クートゥアでいくらかハードなレッスンを受けた一人だ。

「ジェイクはそこにプロクラスで参加していて、ずっとスパーリングしてはただ痛めつけられていた。」とエールハルトは言った。「ランディ(クートゥア)は私を呼んで言った、『テッド、君は彼をプライベート(レッスン)に連れて行った方がいい、なぜなら彼は殴られ続けているし、それは君が望む学び方ではないからだ。』」

振り返ってみて、エールハルトは認めた、彼らは成功するために何が必要かということについて「少しばかり考えが甘かった」のかもしれないと。

「MMAはタフなスポーツだ、そしてただ君がより優れたレスラーだからといって、君が優れたファイターであることを意味するわけではないんだ。」とエールハルトは言った。「君が優れたファイターであってさえ、君はまだ負けうるんだ。そこではどんなことも起こり得る。」

そういう理由から力があること、あの混沌の古き力があなたの側にあることは助けになる。エールハルトがそのレスリングの能力を見込んで募った選手の中にそれを見出して驚いた一方で、ケヴィン・ヘンドリクス-ジョニーの父親-は違った。「我が一族に伝わる」天賦の力、そう彼は言った、もっとも彼の息子がMMAで成功すると彼に思わせたものはそれではないのだが。

「彼がそれをやることに契約した時、彼の母親と私は本当は嬉しくなかったんだ。」と年長のヘンドリクスは言った。「だが私はテッドにすぐさま言ったよ、彼は王座戦を戦うことになるだろうとね、それはまさに彼の仕事への熱意によってだ。」

そしてもちろん、仕事への熱意は常に助けとなる。だが左手に強大な力を宿していることもまた助けとなるのだ。

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というわけで「ビッグ・リッグ」ことジョニー・ヘンドリクスが初めて自分の左手の強大さに気づいたきっかけについてでした。

ウェルター級では体格的にはそこまで優れているわけではない彼ですが、その肉体は重量感があってまるで岩の塊のようで、、背中や肩ははち切れんばかりに隆起しています。その肉体と濃い髭、そして濃ゆい顔のせいでスパルタの戦士とも形容されています。その彼を今一番有名にしているのが素晴らしい成績を残したレスリングではなく、たった一発で人間の意識を遥か大気圏外まで吹き飛ばしてしまう左の拳です。彼のUFC167に先駆けたトレイラーでは、哀れにもその左拳でぶっ倒されるジョン・フィッチとマーティン・カンプマンの映像が繰り返し流されています。

レスラーとは思えないその破格の剛腕にいつヘンドリクスが気づいたのか?彼の所属するチームの創立者、テッド氏によればUFCエキスポでロンドンに行った際の「パンチングマシーン」によってだそうです。調べてみたら2010年にロンドンでUFCエキスポが行われており、そこに彼の名前があるのでこのときでしょうか?これだとすると彼はその3か月後の12月にリック・ストーりにーに敗北し、それからは6連勝を飾っています。

彼らがお遊びでやったパンチング・マシーンではすでにライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズを始め他にもヘビー級選手などがやっていたそうですが、彼はそこで彼らを超える数値をたたき出したようです。それに唖然とした二人は次にロンドンのボクシングジムで同じようなマシンに挑戦したところ、そこでも他のボクサー達の記録を破り、いよいよこれは本物だと二人はピンと来たとのことです。パンチングマシーンなので実際のパンチ力とは多少誤差があるかもしれませんが、それでもウェルター級でヘビーを凌駕する数値を叩きだせるのは普通ではありません。そんなものを食らえばそりゃ一撃でぶっ倒れます。

チーム・テイクダウンの創立者テッド氏は、そのチーム名通りヘンドリクスのレスリングを見込んで仲間に引き入れたはずが、お遊びでやったパンチングマシーンで本人すら気づいていなかった武器を見つけ出してしまったようです。誰がレスラーのパンチがボクサーを遥かに凌駕する威力かもしれないなどと思うでしょうか?こうして彼の代名詞の一つであるレフト・ハンドが誕生したのです。

しかしテッド氏が驚愕する一方で、ヘンドリクスの父親であるケヴィン・ヘンドリクス氏はこれには驚かなかったようです。そしてその理由がまた最高です。あの力は「一族に受け継がれている」ものだからだそうです。怪力の血脈ということですね。やはり彼の体に流れるインディアンの血がその源でしょうか。まさにスパルタの戦士、戦うために生まれてきた男です。

テッド氏が言うように、MMAでは何か一つに秀でていればいいファイターというわけではありません。ただレスリングに秀でていれば勝てるとも限らないのです。そして何もかもを揃えたとしても、やはり負ける可能性があるのがMMAです。MMAでは様々な局面とそれに付随する各種スキルがあり、ある意味では互いに如何に得意な局面に持ち込むかという勝負でもあります。必要とされるスキルは多岐に渡りすぎるために、全てで他者に勝ることは難しく、どこかしらに綻びが出ることがあります。そのために、持ち駒の工夫次第では実力差をひっくり返す戦略を編み出しうる競技なのです。だからこそ、展開次第では優れたファイターであっても負けてしまう可能性が常に残るのではないかと思っています。そしてそれこそが、MMAという競技の最大の魅力の一つだと感じています。

彼がパンチングマシーンで見出したレフト・ハンドは、果たして明日のケージで不動の王者ジョルジュ・サンピエールを王座から叩き落とすことができるのでしょうか?ヘビーをも凌駕する拳が「ラッシュ」の緻密に組み上げられた戦略を掻い潜って王者の顎に触れた時、新たなる伝説が幕を開けます。ウェルター級屈指のハード・パンチャー、ジョニー・ヘンドリクスはいよいよ明日、その剛腕を携えてネバダ州はラスベガスのケージに足を踏み入れます。

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