2013年11月30日土曜日

MMAの試合を本当に退屈にするものは何なのか

ティム・ケネディ曰く、ジョルジュ・サンピエールを退屈な奴にしたのはグレッグ・ジャクソンではない、フィラス・ザハビだ。



MMA maniaより

剣呑だな!

「君が選手に誰かを罠に嵌めてもらおうとする時、もし君がエキサイティングな試合を経験できてもう一人がやりたがらないのであれば、何かが間違ってるんだ。」

というわけでティム・ケネディはUFC167でのロビー・ローラーとローリーのウェルター級の試合について説明した、我々がBBQをしながらその試合について話している間のことだ。

その話題は彼のコーチ、グレッグ・ジャクソンがファンやメディアからアルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC)のオクタゴンでの退屈な試合のために非難されていたが、後から考えてみれば、ジャクソンが「スポーツ・キラー」と呼ばれるに値しない事はかなり明白なことだという事実を持ち出したところから発生した。

ジャクソンのキャンプに参加してから、ケネディはミックスド・マーシャル・アーツ(MMA)における成功を山ほど見てきたので、当然ながら彼のコーチ達とチームメイトについて話す時には情熱的になる。

「彼らがそれについて話していたのはバカバカしかったよ。まったく根拠のないことだ。最近の10試合を見てみれば、『サブミッション・オブ・ザ・ナイト』、『ノックアウト・オブ・ザ・ナイト』、そして『ファイト・オブ・ザ・ナイト』ボーナスを勝ち取ってきた選手はほとんどがジャクソンズの奴じゃないか。」とケネディは言った。

「私のこないだのファイト・キャンプ中、私がいて、ルスタン(ハビロフ)、アドラン(アマゴフ)、そして(ドナルド)セローニ、全員が同時にファイト・キャンプにいたんだ。私たちは全員3週別々に戦って、私たち全員が『ノックアウト・オブ・ザ・ナイト』か『ファイト・オブ・ザ・ナイト』を得たんだ。ではフィラス(ザハビ)を見て、ローリー・マクドナルドを見てみよう。」

ザハビはサンピエールのヘッド・コーチであり、モントリオールを拠点としたトライスター・ジムのオーナーだ。彼のジムは幾人かのカナダのトップ・タレント達にとってホームであり、不幸にもそれらの選手たちは試合において超「退屈」でもやもやするという評判を得始めているのだ。

ケネディはローリー・マクドナルドのUFC129でのネイト・ディアズとの試合と、UFC167でローラーと相対してケージに登場した男とを比べて、彼の戦いへのアプローチにおける注目すべき違いについて詳しく述べた。そして彼は正直なところ、最近の方にはまったく感心しなかった。

「私は彼がネイト・ディアズと戦った時の事を覚えているが、すごいグラップリング、凶悪な打撃だった。あいつは恐ろしい奴だった。現在あの試合から2年が経っていて、その変化といえば今や遠目からジャブを打っていることだ。手数を出してさえいない。まったくひどいもんだ。すこぶるつまらないよ。」

「私はロビー・ローラーを気の毒に思ったよ。彼はたった一つの戦い方しか知らないんだ、それは暴力的なやり方だ。だが暴力的に戦うためには、前に出ようとする奴になる必要があるんだ。」

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というわけでティム・ケネディが語る、カナダ人選手を退屈にさせている真犯人は誰なのかという推理でした。謎はすべて解けた、犯人はジャクソンじゃない、ザハビだ!とのことです。

ライトヘビー級王者のジョン・ジョーンズを始めカーロス・コンディット、トラヴィス・ブロウニ、カブ・スワンソン、ラシャド・エヴァンス他優秀な選手を多く抱えるグレッグ・ジャクソンは、名伯楽として名を馳せる一方、所属選手がつまらない戦い方をするという批判を2011年くらいからよく受けてきました。UFC社長デイナ・ホワイト自身もその批判者の一人でした。グレッグ・ジャクソンはこのスポーツをつまらなくした「スポーツ・キラー」だ、彼は格闘技から戦いを奪ったと一時期は集中砲火を浴びていました。

最近ではそういう批判が少し鳴りを潜めていた感はありますが、それでもいまだに多くあります。やはり多く批判されたのがクレイ・グイダのメイナード戦、カーロス・コンディットのニック・ディアズ戦、そしてジョン・ジョーンズのランペイジ・ジャクソン戦でしょうか。相手と関わらない、交わらない試合に多くの罵声が浴びせられました。

しかしフィニッシュを目指して戦うことを望む私は、昔からジャクソンズの戦い方は嫌いじゃないどころか、いつも感心して見ていました。実はクレイ・グイダのメイナード戦もそんなに退屈ではなかったのです。唯一退屈だったのはラシャド・エヴァンスの試合でしょう。ただこれはジャクソンズのせいというよりは、エヴァンスのメンタルの問題が殆どだったように思います。カーロス・コンディットのディアズ戦に関しては、WOWOWの実況の責任が8割くらいありそうです。私には、あの試合は間合いを計り合うとても緊張感のある試合で非常に楽しかったです。

では自分が退屈と思わない最大の理由は何かといえば、ジャクソンズの所属選手の戦い方は、基本的にはやりたいことがはっきりとわかるからです。試合の退屈さはフィニッシュするかどうかではなく、フィニッシュを目指すことを始めとしてその試合で「何がしたいのか」が明確になっているかどうかで決まるのだと自分は思っています。だからたとえば、「相手のこういう戦い方には絶対につきあわない」というのがわかるだけでも楽しめるわけです。

そういう意味ではグイダがメイナード戦で何をしたかったのかはよくわかりました。グイダはそれまでガンガン前に出て良い試合はするけどもここぞで勝てない所謂「善戦マン」となっており、それで人気を博していた面もありますが、成績自体は勝ったり負けたりでいつまでも王座にはたどり着かないものでした。彼はより手堅い試合、相手の得意手を封じる戦法を必要としていたのです。相手がレスリングが出来ないならば、タックルで上をキープして安定して勝つことは出来ます。しかしメイナードのようなレスリング・エリート相手にはそれは分が悪い、そうなった時に足を使って遠目から突く戦法、「スティック・アンド・ムーブ」を選んだのでしょう。結果的にそこそこ巧くいってスプリットまで持ち込んだものの、キレたメイナードが猛然と突っ込んで無茶苦茶な戦い方をし、さらにはグイダがムーブをしすぎてスティックが少なかったことで負けてしまいました。もっと手数を出さないとあの戦い方では勝てません。

さて、批判が多いジャクソンズの選手は、実は勝率の高さもさることながら完全決着も多い傾向にあるように思います。大体コンディットなんてノックアウト・アーティストなのに、たかだか一戦パンチの射程に付き合わないだけでひどい言われようでした。その前の芸術的なフライング・ニーとかはなかったことにされてましたね。ライトヘビー級王者のジョーンズも驚異的なフィニッシュ率であり、また先日の「ザ・モウラー」アレクサンダー・グスタフソンとの試合では判定ながら凄まじい死闘を繰り広げて、決してお綺麗な戦い方だけではないところを見せ付けました。

そして現在ジャクソンズに参加しているティム・ケネディは、目の前で山盛りの成功を目の当たりにしてきたこと、そして何より自分が成功者の一人であることを例に出して、ジャクソンへの批判は馬鹿げていると切り捨てます。彼が言うには、ここ最近の試合を見れば、ボーナスは大半がジャクソンズの選手が獲得しているではないか、とのことです。

というわけでちょっと調べてみました、ここ最近のボーナス一覧です。FON=ファイト・オブ・ザ・ナイト KON=ノックアウト・オブ・ザ・ナイト SON=サブミッション・オブ・ザ・ナイトです。

UFC167

FON ジョルジュ・サンピエール(トライスター)、ジョニー・ヘンドリクス(チーム・テイクダウン)
KON タイロン・ウッドリー(ATT
SON ドナルド・セローニ(ジャクソンズMMA

UFN32

FON オマリ・アクメドフ(不明)、Thiago Perpetuo(ファルカオ・ファイト・チーム)
KON ビトー・ベウフォート(ブラックジリアンズ)
SON アドリアーノ・マーティンズ(トップ・ライフ・アマゾナス)

UFN31

FON ルスタン・ハビロフ(ジャクソンズMMA)、ホルヘ・マスヴィダル(ATT
KON ティム・ケネディ(ジャクソンズMMA
SON マイケル・キエーザ(チーム・アルファメール)

UFN30

FON ルーク・バーナット(ツナミジム)、アンドリュー・クレイグ(チーム・トゥック)
KON リョート・マチダ(ブラックハウス)
SON ニコラス・ムソケ(不明)

UFC166

FON ディエゴ・サンチェス(ジャクソンズMMA)、ギルバート・メレンデス(シーザー・グレイシー柔術)
KON ジョン・ドッドソン(ジャクソンズMMA
SON トニー・ファーガソン(レインTC)

UFN29

FON ハファエル・アスンサン(アセッション・ミックスド・マーシャル・アーツ)、TJ・ディラショー(チーム・アルファメール)
KON ドン・ヒョン・キム(チーム・ブサン・M.A.D)
SON 該当者なし

UFC165

FON ジョン・ジョーンズ(ジャクソンズMMA)、アレクサンダー・グスタフソン(アライアンスMMA)
KON ヘナン・バラオ(ノヴァウニオン)
SON ミッチ・ガグノン(チーム・シュレッダー)

計6大会 FON 3/6 KON 2/6 SON 1/5 合計6/18

という結果でした。なんとジャクソンズの選手がこの6大会中で3分の1のボーナスを獲得していたのです。同じジムで二つ以上取ったのはATTのみ、それもたったの2つであることを考えれば、このボーナス獲得率は確かに凄まじいものです。そして当然ボーナスを取った試合はどれも素晴らしいものでした。これでは「退屈な試合をさせているジム」という批判を現在するのは的外れです。

また面白いことに、互いが死力を尽くして戦った場合に与えられるFONが特に多いことです。FONに関してだけなら半分をジャクソンズの選手が取っています。つまり、あのジムの選手は決してセコイ試合ばかりをしているわけでもないのです。

もちろんこれに対する反論として、今でこそこの結果だけれども一昔前は違ったという意見、ジャクソンズが有名になっていい選手が集まったのだという意見もあるでしょう。調べてないのでわかりませんが、とりあえず現在はそういう批判を受けるには値しないのは確かです。

ファイトボーナスというのは、その大会でも優れたパフォーマンスを見せた選手に贈られるものです。ジャクソンズの選手がこれだけボーナスを取っていると言うことは、それだけ大会に貢献していることになります。デイナはジャクソンに感謝こそすれ、批判をするのはお門違いなわけです。これまでの非礼を詫び、頭を丸めて反省しなければなりません。

それではなぜ、ジャクソンズの選手が「つまらない」という批判を受けがちなのでしょうか?自分が思うに、それはジャクソンズの選手に共通した戦いへの基本的なアプローチにあるのだと思います。

ジャクソンズの基本的な戦いへの考え方は、自分が推測するに「自分が勝っている局面を維持し続ける」ということなのだと思います。自分の手駒と相手の手駒を並べてみて、互角か不利な局面を切り捨てていき、ここでなら勝てるだろうという局面を絞り込んでいるのではないか、と私は見ています。つまり何々で勝つ、ではなく、ここなら負けないという場所で戦い続けるということなのです。そしてその局面を維持するために自分から色々と仕掛けていくわけです。

例を出します。さんざん批判を受けたカーロス・コンディットとニック・ディアズ戦を分析しますと:

カーロス・コンディット

スタンド 近い距離は互角か不利 遠い距離は有利
クリンチ 互角か不利 ボディ打ちへの懸念あり
グラウンド 互角か不利 互いにレスリングいまいち、柔術は得意

蹴りとパンチのコンビネーション、フットワークを生かした削りが最も得意

ニック・ディアズ

スタンド 近い距離は互角か有利 遠い距離は不利 フットワークなし
クリンチ 互角か有利 ディフェンスを捨てた乱打戦に持ちこみたい
グラウンド 互角か有利 タックルはいまいち 極めの強いサブミッション

顔面を狙わせてのパンチのカウンター、クリンチでのボディ打ちが最も得意


このように見比べた時、コンディットが一番手堅く勝つのならば距離を取り、機動力を使って遠目から蹴りで削るのは普通のことです。さらに相手の打撃はほぼパンチのみですので、当然ローキックで足を殺してパンチを無力化し、さらには元々いまいちな追い足をさらに無効化することで、この局面を維持し続けることが可能になります。つまり「遠い距離でのスタンド維持とローキックでの足殺し」がコンディットの戦略となり、接近戦はある程度有利になるまでフットワークで回避することになったわけです。

次にクソ試合として批判された上に勝利を逃したクレイ・グイダのメイナード戦を考えますと:

クレイ・グイダ

スタンド 近い距離は不利 フットワークとストレート系のパンチ、運動量に分があり
クリンチ 互角か不利 レスリングはほぼ互角かパワー負けする可能性がある
グラウンド 互角か不利 タックルを取れない以上トップを取るのは厳しい

グレイ・メイナード

スタンド 近い距離は有利 フック系の強打では分があり フットワークなし
クリンチ 互角か有利 体格差とパワーで勝れる可能性が高い TDは防げる
グラウンド 互角か有利 TDされないで以上、下になる可能性は低い

こう見た時、先にも述べたようにグイダのフットワークと運動量を活かした「スティック・アンド・ムーブ」自体は悪くないことがわかります。実際パンチの数だけならかなりよく当たってましたし、それが評価されてスプリットまで行ったわけです。

問題は、グイダがあまりにも露骨に近い距離を避けすぎてしまったこと、そしてメイナードがそれにほぼ追いつけなかったことです。メイナードは試合後に露骨に不満を示していましたが、追いつけない自分のほうにも問題があるのではないかと私は思っています。相手の攻撃を受けずに勝てるならそれが理想ですので、打ち合いに来ないからと文句を言うのはお門違いです。

ただ、グイダの避け方が露骨すぎて積極性に欠けるように見えたのも事実です。あれをやりたいのならもっと打っていかなければいけないでしょう。それこそ圧倒的ともいえる手数の差があれば、さすがに誰も文句は言えないはずです。

ではなぜ手数を出せなかったのでしょうか?それは、自分が思うに当初の推測よりもメイナードに距離で上回れなかったこと、そして踏み込んだ時にメイナードから良い打撃を貰ってしまったことでしょう。恐らくはもっと優位に立てると踏んでいたはずです。いざ試合をした時に、そこまで一方的には削れないために僅差になった結果なのではないでしょうか。

つまり、ジャクソンズの戦い方は維持したい局面ありきで、そこでは有利に運べることが前提です。しかし実際に試合をしてみればそこには必ず誤差があるでしょう。その誤差によって、想定していた局面で有利にならなかったときに、ジャクソンズの選手は驚異的なつまらなさになってしまうことがあるのではないでしょうか?作戦がご破算になった時、次の手駒が無いときに互角のままずるずると延命してしまうのです。

最たるものがラシャド・エヴァンスのホジェリオ・ノゲイラ戦です。あの試合はラシャドが勝てた試合でしょう。エヴァンスはタックルからグラウンドに行く際の柔術というリスクを回避し、遠目からの打撃戦という局面を選択しました。ここでなら勝てる、そう踏んだのでしょう。しかしいざ蓋を開けてみた時、ホジェリオのパンチが想像以上に良く、そのために遠目の打撃戦でエヴァンスはさして有利になりませんでした。実際はごり押せば何とかなりそうでしたが、ここでエヴァンスはためらったために、結局は最後までだらだらと突き合いをして、判定で負けることになってしまったのです。早めに作戦を捨ててタックルを狙うなりすれば、リスクはありますがスタンドも有利に運べますし、フィジカルで勝るエヴァンスに勝機は十分だったでしょう。

絶対的と思われていたジョン・ジョーンズも、その体格とリーチ、そして蹴りを使った超長距離射程が彼の土俵でしたが、互角の体格とリーチを持つグスタフソンの出現でその局面を維持できなくなった時、これまでの試合展開から一変して死闘にもつれ込むこととなりました。もっとも、ジョーンズは危機的局面で作戦にしがみつかずに臨機応変に対応し、何よりも自分から仕掛けてその危機を突破しました。あのあたりがやはり超一流と一流の差なのかもしれません。ジョーンズはメンタルが非常に強かったですね。エヴァンスは危機で露骨に「あ、ヤベッ」という顔をしますが、ジョーンズは「めんどくせー、なんとかしねーと」という顔をしてたように思います。

逆に、ここで有利だという場面で想定以上に有利だった場合、ジャクソンズの選手は大虐殺をします。それはもうこれまでのジャクソンズの選手のボーナス獲得試合を見れば明らかでしょう。ここで有利という場面を維持して一方的に攻撃すれば当然相手は極端に弱りますので、フィニッシュまで一気に近づくことが出来るわけです。

なのでジャクソンズの選手は選んだ局面がスイングすれば大儲けのボーナス三昧、外れれば勝てないけど負けもしない状況を最後まで続け、ぐだぐだになって判定で微妙なことになってしまうのだと思います。選んだ局面を維持できなかったり、その局面で真っ向から打ち破られた場合にはフィニッシュされたりするのでしょう。

そしてこの戦略の立て方のキモは「負けない戦い方」なわけです。だから読みが外れてもどかんとKOされたりすることは少なく、互角の局面でぐだつくことのほうが多いのでしょう。そのために、なんだかジャクソンズの選手はつまんねーという印象が多くなるのだと思います。フィニッシュ目指して突貫するファイトなら、失敗したら自分がフィニッシュされることになりますので、これは逆にグダつかないわけです。そして当然ながら、そうそういつも読みが当たることはないでしょう。相手も自分も生きて変化する人間だからです。

それでもこの戦略の立て方は、ジャクソンズのボーナス獲得率やら勝率を見ればかなりいいやり方と断言して差し支えないような気がします。負けにくく勝つときはでかく勝てる、合理的な戦略の立て方ではないでしょうか。

私は試合で選手の意図を重視します。これがない試合がつまらないのであって、フィニッシュが無ければつまらないわけではないのです。マクドナルドにはそれがあったのかもしれませんが、自分にはよくわかりませんでした。逆にローラーにははっきりとした意図があったために、非常に面白く感じたのです。

もしフィニッシュがあれば何でも面白いと言うのなら、それこそ素人がディフェンス皆無で殴り合ってはラッキーパンチで失神しまくる試合だって面白いはずです。でも私はそれを面白いとは思いませんし、そういうのを意図して試合を組んだ日本の興業における「モンスター路線」なるものは最悪と言えるものでした。最初は目新しいから面白いかもしれませんが、そんなものはすぐに飽きます。なぜならいつまでたっても同じことの繰り返しになるからです。しかしMMAの技術はどうでしょう?今10年前の試合を見返してみれば、今のMMAは同じことの繰り返しでしょうか?皆が柔術を知り、レスリングの重要性を知り、それらを打撃と組み合わせ、壁際での戦い方を練り、フットワークを駆使する・・・常にどうすれば有利になれるかを考えてきた歴史をはっきりと目の当たりにするはずです。これが私が面白いと思うものです。そしてそれはすべて、選手が「試合でこういうことをやろう」「こういう戦い方で有利に立とう」そうやって互いに相手を出し抜こうと考えてきた、その意図の積み重ねの結果ではないでしょうか?

スポーツの基本的な面白さはここにあります。つまりは人間の知恵そのものが一番の鑑賞対象なわけです。だから私はジャクソンズの戦い方は好きです。常に枠にとらわれない、一番合理的な戦い方を模索しているように感じます。それも全員が同じ戦い方ではなく、各選手の特性と相手の特性を見比べたうえで、その都度考えているところがとても面白いと思います。そしてこういう合理性が、常にスポーツを先に推し進める原動力になるように思っています。是非皆様も、この視点からMMAを鑑賞してみてはいかがでしょうか?きっといっそうMMAを見るのが楽しくなる・・・はず、ですw

1 件のコメント:

  1. そういえばフルコンタクトの競技でグラウンドの相手を加撃していいのは総合だけですよね
    その利点を生かしてパウンダー=レスラーが一時代を築いたのも今は昔

    それでも前述の危険性からバックボーンがMMAというのは今でも少数

    故にどうしても自分の得意な戦術(バックボーン)を活かす為の戦略が他の競技より大事になりますよね
    更にそれを実行しうる精神力
    怖気づくのは勿論血の気が多過ぎてもダメで…

    ヒョードル皇帝時代の
    「結局喧嘩が強え奴がMMAでも強いんだよ」
    は今は昔なんですかね…

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