2013年7月25日木曜日

クリス・ワイドマンのコーチ、愛弟子の勝利について語る

クリス・ワイドマンがアンデウソン・シウバをノックアウトしたのはコーチのレイ・ロンゴにとっては番狂わせではなかった

SAN JOSE, CA - JULY 11:   Chris Weidman (second from right) with his team at HP Pavilion on July 11, 2012 in San Jose, California.  (Photo by Ezra Shaw/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)  *** Local Caption *** Chris Weidman
写真向かって一番右がレイ・ロンゴ氏

MMAWeekly.comより
画像はChris "The All-American" Weidman - Official UFC® Fighter Profile | UFC ® - Fighter Galleryより

大勢のプロフェッショナル・ファイターが、7月6日のUFC162でのクリス・ワイドマンとアンデウソン・シウバの試合は番狂わせだったと評しているのはよく報じられてきた。ワイドマンがそれを成し遂げ た時、ミックスド・マーシャル・アーツ業界には衝撃が走った、だがその結果に全員が呆然としていたわけではない。

ワイドマンのコーチであるレイ・ロンゴは、シウバをノックアウトしたのは全然番狂わせなどではないと見ていた。

「ワイドマンと一緒になれば、彼と一緒にジムにいた奴、彼とスパーをした奴、彼と寝技を練習した奴は誰だって、一人でもあれをアップセットと考えた奴がいたとは思わない。」とロンゴはMMAWeeklyのコンテンツ・パートナーであるShameless Radioに語った。

「この坊やは本物さ。それがプロ連中が彼を選んだ理由だと私は思っている。口コミはそこらじゅうにあったんだと私は思う。私が思うにGSPは彼と少しだけ練習した。彼は少なくとも彼と一緒の部屋にいた。一度誰かが何かを言えば、それは全ての電話線にのる;それはその線を下り始める。彼と一緒に練習したり同じ部屋にいた奴は誰だって、この坊やは野獣だと知るのさ。」とロンゴは付け加えた。

ワイドマンの試合に至るまでの自信はベテランのそれであり、プロとしての試合数わずか9試合で総合格闘技史上最も偉大なるファイターと対戦する選手のものではなかった。

「ワイドマンは4度オール・アメリカンになった。私が思うに彼はオリンピックを目指していた。精神的に強くなければそのレベルに到達することはないんだ。」とロンゴは指摘した。

シウバを倒すためにワイドマンが乗り越えねばならなかった経験は一つだけではなかった。ワイドマンはシウバ戦前の一年間は身動きができなかったのだ。彼は肩の手術をしたし、ハリケーン・サンディで家を失って破産したのだ。

ワイドマンは逆境の上に腰を下ろしたままだった。彼はあざけりにも、おふざけにも、そしてシウバの神秘性にも動じなかった。

「そのことはこの坊やが何者なのかということを十分に証明していると私は思う。」とロンゴは言った。

ワイドマンとシウバは、12月28日にラスベガスはMGM・グランド・ガーデン・アリーナで行われるUFC168でリマッチをする予定だ。

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素晴らしいアドバイスでワイドマンのKOを演出した影の立役者、クリス・ワイドマンのコーチであるレイ・ロンゴ氏のコメントでした。

先日の記事で紹介しましたが、ワイドマンのKOはセコンドの的確な指示によって生み出されたのだ、とロンバードは指摘していました。そのアドバイスとは、スウェーをしたスパイダーの頭の位置を先読みし、パンチを打つ際に頭ではなく胸を狙え、と指示していたというものです。結果的にその指示のおかげでワイドマンはスパイダーを強烈な左フックで打ち抜いて勝利しました。ロンバードはその指示を出したコーチを激賞し、「驚くほどに頭がいい」と評しました。

そのコーチがこのレイ・ロンゴ氏です。発言を見る限り、彼はワイドマンの勝利をまったく疑っていなかったようです。そして彼と直接会えばあの結果は「誰でもわかる」とさえ言っています。あのGSPも、ワイドマンとわずかに一緒になったときにワイドマン勝利を確信し、そのことが漏れ広がってあれだけのプロ達がワイドマン支持者となったのだろう、と考えているようです。

そしてワイドマンの最大の強みはやはり精神的な強さである、と指摘しています。そして彼の心の強さを示すエピソードが書かれていますが、まさか大一番を前にワイドマンがここまで苦境に立たさ
れているとは知りませんでした。肩の手術とハリケーンでの被災は知っていましたが、まさかそれで破産までしていたとは驚きです。普通の人間ならば試合どころではないはずですが、彼はそんな
ことはまったく感じさせない態度でケージに現れました。そしてこれまで殆どのファイターが動揺し、混乱してしまったスパイダーのトリックを前にしても、彼は微動だにしませんでした。そのまま平静
さを保って試合を有利に運び、冷静にセコンドのアドバイスを聞いて完璧に仕事を遂行したのです。目の当たりにしたハリケーという大自然の驚異に比べれば、スパイダーの挑発などは児
にも等しかったのかもしれません。

そしてレイ・ロンゴ氏の発言から感じるのはワイドマンへの愛情です。ワイドマンのことを「kid」と呼び、彼の勝利は坊やを知れば誰にでもわかったことだと語るロンゴ氏の言葉の端々から、その
坊やを信頼し、どれだけ評価しているのかが窺えます。恐らくワイドマンもこのコーチには並々ならぬ信頼があるのでしょう。想的な師弟関係であり、このようなコーチと出会えたことは、イドマンにとってはどんな不幸をも払拭するほどの幸運だったかもしれません。

ケージに立つのは一人ですが、決して一人だけで闘ってるわけではない。レイ・ロンゴ氏の発言は、そのことを改めて感じさせてくれるものでした。

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