2013年8月9日金曜日

ブラックジリアンズのコーチ、スピニング・キックの極意を語る

テクニック・トーク:ヘンリ・フーフトによるスピニング・キックの隆盛とMMAでの攻撃について



mmafighting.comより
画像はUFC on FX8 Event Photo Gallery | UFC ® - Mediaより

もしもミックスド・マーシャル・アーツにおける打撃の進化のなかで注目すべき発展があったとするならば、それは今だに稀ながら、回転系の攻撃-最も特筆すべきはスピニング・キックだ-が今のところより成功を納めているアプリケーションだろう。エディソン・バルボーザのような名のあるストライカーはUFCの試合中にそれらを当てているのは間違いない、だがジュニオール・ドス・サントスやビトー・ベウフォートのようにパンチのスペシャリストだと思われていた選手までもがそうなのだ。ベウフォートのケースでは、彼は三十路に突入していながらハイレベルな相手に対してそれを使って成功を納めている。

これは単なる偶然なのだろうか?予期されていた事なのだろうか?ファイター達に誰がどうやれと指導したのだろうか?そして彼らが今それを当てているということは、ファイター達が順応したことを意味するのか、それとも私達はこれから先同じようなことをさらに予測することができるのだろうか?

この窮状を理解するために、MMA Fightingはヘンリ・フーフトと話をした、彼は元キックボクサーで現在はブラックジリアンズで打撃コーチをしている。フーフトは皆と同様にこのタイプのキックや攻撃がどんどん有名になりつつあることに驚いていることを認めた、だが彼は信じている、これらは低い成功率の打撃を彼らの武器庫に加えることによってアドバンテージを得ようというファイターの目論見なのだと。

このインタビューで、フーフトは人気が高まっているこれらのキックについて、誰がこれを巧く使っているか、この発展的な新機軸はどこに向かうのか、他多くのことを理論立てて説明してくれた。

全音声と一部抜粋は以下



始める前に、あなたが何者か知らない人のために、あなたのキックボクシングにおける経歴を教えてくださいますか?

ええ、私はヘンリ・フーフト。私は今はサウス・フロリダにあるブラックジリアンズの打撃コーチをしています。私はオランダはアムステルダム出身です。私のキックボクシングのキャリアは16歳ごろからスタートしました、それはずっと、もうずっと昔のことです。私は現在まで29年間キックボクシングの練習をしています。私は欧州王者でした。100戦ほど勝利しました。

私はキャリアの中でロブ・ケイマンやアーネスト・ホーストのような多くの偉大なファイターとトレーニングしてきました。今はタイロン・スポーンと練習しています。ここ3年はブラックジリアンズ所属のビトー(べウフォート)、チアゴ(シウバ)、ラシャド(エバンス)、アンソニー・ジョンソン他ここにいる全ての選手達とトレーニングしています。これが私の経歴です。

私達は今あの技を何度も何度も見ています。エディソン・バルボーザがやり、ジュニオール・ドス・サントスがやり、ビトー・ベウフォートがやりました。まだまだいます。私達がミックスド・マーシャル・アーツでスピニング・キックのより成功した使い方を見るようになったのは何故なのでしょうか?

RIO DE JANEIRO, BRAZIL - JANUARY 14:  Edson Barboza (L) knocks out Terry Etim (R) with a spinning back kick in a lightweight bout during UFC 142 at HSBC Arena on January 14, 2012 in Rio de Janeiro, Brazil.  (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

ええ、最初に私はそれが極めて難しい蹴りであることを言わねばなりません、そして私自身もまたキックボクサーとして、MMAでそれが使われているのを見て驚いているのです、ますます驚愕しています。べウフォートにもです、なぜなら私は彼と非常に近しく、一緒にトレーニングをしていますから私は彼について知りうる立場ですが、それは新鮮でした。クリエイティブな選手がこの技をとても上手に使うようですが、しかしそれは身体の使い方にもよるのです。

ここ2年で皆さんは選手がよりスタンドの状態でいるようになったのを見てきました、だから彼らは自分達で多くのものを発案しました。彼らはスタンドでもっともっと秀でるためには何かさらなるテクニックが必要であることを知っていました。しかし繰り返しますが、私は自身がスピニング・キックを目撃して驚いているのです。皆はあの方法で皆をノックアウトしているのです。それは非常に効果的なキックですが、あなたはこの蹴りをとてもよく練習する必要がありますし、この蹴りには絶好のタイミングが必要です、なぜならもしあなたが目標に当てなければ、あなたはバランスを失い相手はあなたに対してカウンター・パンチか反撃を容易く行えるからです。

だから、それはとても難しいキックなのです、しかしもう一度いいますが、創造的な人、優れたタイミング、優れた動作を持つ人、そういう人がこのキックを使うことができるのです。

私はスピニング・キックの大部分はムエタイ以外の格闘技から来ていると聞かされてきました。それらはテコンドーか散打から来ています。真実はどうなのでしょうか?これらスピニング・キックはどこから派生しているのですか?

私はキックボクシングのバック・グラウンドから来ているから、ムエタイではないですね。しかしオランダでもそれは本当に似た状況です。繰り返しですが、要するにそれはキックとパンチです。それは空手かテコンドーから来たものです。彼らはとても柔軟性に富み、優れたタイミングを持ち、キックボクサーよりもずっとたくさん蹴りを出します、なぜならキックボクサーはキックとパンチのコンビネーションを多用するからです。あなたはテコンドーや空手の選手にその技を多く目撃するでしょう、しかしもう一度言いますが、私がオランダで教えているキックボクサー達はスピニング・キックを使うことが出来ますし、それからビトーのようなMMAの連中でも、彼らがそれを使えるのを見ることが出来ます。

もしあなたがそれをやりたい、興味があってうんと練習したいというのなら、私達はそれをみっちりと鍛えます。(マイケル)ビスピン戦の前ですら、私達はそれを練習していました、というのもビトーはサウスポーで大抵の連中は左手の外側に移動するからです、だから彼らはスピニング・キックに当たりに行ってしまいます。それが私達がその技を使い始めた理由です。ルーク・ロックホールドとの試合では、私達はちょうどそれを試合前に練習していました、控え室でお遊びでその技をやっていたのです。「いっちょ面白いことをやろうぜ!」、そういうところからクリエイティブなキックのようなものは来るのであって、そういう時に皆さんはそれを何度も目撃するのです。

スピニング・バック・フィストについては如何でしょうか?あれらの技は全く異なるものなのでしょうか、それともあれもまたあなたが成長した時に練習した技の一つなのでしょうか?

いえ、私は練習しませんでした。もう一度、私は蹴りとパンチを使います、相手に対して真っ直ぐにです。私はこういう「派手な技」はあまり使いませんでした、私はこういう技をそう呼んでいるのです。私はあまり柔軟ではありません。私はちょうどローキックとハード・パンチを多用するような男です。

スピニング・バック・フィストは、繰り返しになりますが、同様に似たような技です、しかし私はまだ足を使ったほうがいいですね、そちらのほうが長いですから。あなたが対戦相手から遠い所にいるとします。スピニング・バック・フィストもまた機能しますが、距離の関係から蹴りを使ったほうがより安全です。しかしもう一度いいます、それはとても、とても難しい打撃であり、それを使うには相当練習する必要があるのです。

ルーク:現実的な話をすれば、例えばあなたが程よい運動能力を有した22歳の選手を抱えているとしましょう、誰かにスピニング・バック・キックを習得させるにはどれくらいの期間がかかるでしょうか?

それは、もちろん、簡単なことではありません。そうですね、でもあなたは-もしあなたが本当にそれに専念すれば、全てのトレーニングを終えたときあなたはそれを余計なものとして使うことができるようになります。

それは実際のところキックではありません、相手の動きを知らなければいけないということなのです。とてもシンプルなことです。それはキックに限ったことではありません。技術というのは適した瞬間にそれを使うということであり、あなたの踵を相手の頭に合わせるということなのです。ドス・サントスのキックはふくらはぎがわずかに当たったものであり、踵ではありませんでした。ビトーとバルボーザ、彼らは相手を踵で蹴りました。それはとても、とても難しいのです。膨大な時間をそれに費やす必要がありますし、誰にでも適したものではありません。

もしも相手が柔軟であなたが着実にお膳立てをすれば、その相手は特定の方向に移動しますしあなたは蹴りの角度を確保することが出来ます、あなたがたくさん練習すれば、それを使うことができます。しかし二つ目のことは、誰かがあなたを殴ろうとしてあなたにプレッシャーを掛けている最中にそれをやるのだということです、その技はさらに難しくなるでしょう。しかしそれを使うことはできます。2ヶ月ほどその技をやってみましょう、1年間やってみましょう、そうすればあなたには進歩が見られるはずです、そうですよね?

もしあなたが特別才能のある選手を抱えたとして、彼らがこの技を習得したいと思っているとしましょう、あなたが「私はこの蹴りは君にはまったく得がないと思う。」と言うだろう状況というのはあるのでしょうか?

はい、実のところ、私は本当にA-B-Cな奴でして、基本に忠実なのです。だから私にとってあれをやるのは、すなわち余計なことなのです。私はいつも言っています、もし君がああいった技術を持っているならば、それはただ余計なことなのだ。君は君のA-B-Cな普通のことを練習するんだ。もし何か余分なことをする機会があったならば、君はとっておきの蹴りをやるなり余分な何かしらをやるんだ、と。

私にとっては、まずA-B-Cなことが一番です。もしあなたがそれができて、もしあなたが若いならば繰り返しですが、こういう若い連中というのは創造的なのです。彼らはとんでもないことをやりたがります。彼らはそれができます、しかし彼らはよくよく注意しなければいけません。というのも、もしそれが機能しなかった場合、彼らはとてつもなく大きい問題を抱えることになるからです。

創造的な人間を抱えるのは素晴らしいことです。人々がリングでその技に挑戦するのは素晴らしいことです。しかし一番は、私にとってですか?それはA-B-Cです。最初に、あなたの敵はいいパンチのような何かしら他の打撃を予期していることを確かめてください、それからその蹴りのために場所とタイミングを確保するのです。もしあなたがただキックを放てば、普通のキックでさえ、それはMMAではあまりにも危険なのです。まず最初に手を使う必要がありますし、その後にその蹴りを使う時があるでしょう。

柔軟性があり学びたいと思う人ならば全員、その技を習得することが出来ます。繰り返しますが、それを試合の中で使うということは、そんなに簡単なことではありません。難しいことなのです。

これらのキックを何か一つ使いこなすには、運動能力的には何が必要になるのかを教えていただけますか?

もしあなたがそれを完璧にやりたいというのなら、あなたの身体はあるアングルにいなければなりません。もしあなたがそれを当てたいなら、あなたの身体がどうなっているかではなく、相手の身体がどうなっているのかがより重要なのです。その蹴りの角度は対戦相手によって決まるのです。もし相手があなたの蹴りに当たりに来てくれるのなら、あなたの身体がどうであるのかはまったく重要ではありません。あなたの足が上がっていくのと同時に、相手があなたの蹴りに当たりにくるのです。キックそのものよりもそちらのほうがずっと大事なことです。

そういうことですから、ヘビーバッグがあってそこに吊る下がっているときに、そのキックをやってみてください。それは相手が横に動いているときや自分が横に動いているときとは完全に別物のはずです。それは蹴りの角度なのです。そしてもしあなたに柔軟性があるなら、自分の肉体をさほど鍛える必要はありません。もしあなたが柔軟ではないのなら、あなたは自分の身体を下げた状態で保つことができないでしょう、あなたの足が上に上がっていくからです。

私からすれば、相手が向かおうとしている場所の角度が重要であって、それからあなたは自分がしたい蹴りを何でもやることができるのです。

ビトーのときはどうだったのでしょうか?彼はあなたの元に来てこういう技を学びたいと言ったのでしょうか?

私達は(マイケル)ビスピン戦に備えて練習していました、そしてビトーはとても創造的です。彼は試合中に素晴らしいことをたくさんやります。彼は私に尋ねました、「コーチ、私はこのキックをやってみたいんだ。あなたはこいつについてどう思う?」だから私達は毎トレーニング後にこの技を練習し始めました、試合のためにやらなければならない練習の後です、そして私達はその余計な事をやるつもりでした。

もしあなたがそれをやりたいのならやればいい、ただのお遊びとしてです、というのも繰り返しになりますが、私は教えているファイター達に対して本当に厳格だからです。私は彼らにシンプルなことをやって欲しいと思っています。そして私達はそれをやり始めてうまくいき、そして私は見たのです、彼がそれをとても強烈にとても爆発的にやっているのを。その技は彼の身体に無理をさせませんでした。彼はまったくバランスを失うことはありませんでした。彼はその技を完璧に、とても良くやったのです。だから私にとって、ああいう人間を鍛えるのはとても容易いことです。

私は以前あるキックボクサーを鍛えていました、彼の名はピーター・アーツ、キックボクシングの歴史の中で最も優れたファイターの一人です。私達はこの蹴りを練習したことは一度もありませんでした、というのも彼は回転蹴りをするとき、床に倒れてしまうからです。彼はこのキックをやるのに十分な運動能力と柔軟性を持っていませんでした。ビトーは十分です。あの技が出たのはそういうわけです。「それをやろうぜコーチ、毎回練習のときにさ。」そしてロックホールドとの試合前、彼は言ったのです、「何か特別なことをやろうぜ。あの回転蹴りをやろう。」そして彼はその試合で回転蹴りをやりました。最初の一発は外しましたが、それから彼はあの男がサイドに移動しているのを見て、二度目に、再びそれをやろうとしたのです。

またそれはよく練習したキックでした、その試合の後に私の写真がフェイスブックに載っていました、それはラッキー・キックじゃないんだとでも言うように。私達はそれを練習しました、しかしそれを試合の中で当てるというのは、同時におよそ50から40パーセントの運が必要ということでもあります、なぜならその技は完璧でなければならないからです。そうでなければ、それはただのミスとなるでしょう。

あなたがミスをしたとします。もしああいう蹴りを失敗したらあなたは試合の中でどのような状況に置かれるのでしょうか?

非常にまずい事態に陥る可能性があります、なぜならバランスを崩すからです。スピニング・キックを防御するのはとても簡単です。あなたはただ前に踏み込めばいいだけです。もしその技が来ているとわかってしまったら、それは難しくなります。

あなたが対戦相手のちょうど前に立っているとして、それが来るのが見えたら、あなたは前に踏み出す必要があります。前に踏み出せばその蹴りは外れます。彼は絶対にあなたに当てることはないでしょう。

その蹴りを放つファイターが相手を置かねばならないポジションがあれです。私はあなたをあのポジションに置く必要があります、そうすればあなたは私の蹴りが来ているのが見えませんし、それはただの的となります。しかしあなたがちょうど私の前に立てば、私は失敗するでしょう。そいつは踏み込んでくるでしょうし、そう、あなたは自分の背後を相手に晒すか、あなたは失敗して床に倒れることになります。彼はトップ・ポジションに入ります。それはとても危険な蹴りなのです。そういうわけであなたがどうやってその場所を取るか、どの瞬間にそのタイミングに入るかがより重要なのであって、キックそのものは二の次です。

ハイレベルの選手にこれらのスキルを教えることができるあなたのようなトレイナーを、どれくらいの数のキャンプが抱えているのでしょうか?

私にはわかりません。私が思うにアメリカのレベル、スタンドのレベルは、ヨーロッパと同じではありません。レスリングのレベルのようなものはここでは非常に高いです。ブラジルはBJJが高いです。私達がいるオランダはスタンドの戦いでとても優れています、なぜならそれが私達の戦いのスタイルだからです。

私はアントニ・ハードンクがアメリカで注目を集めているのを知っています。彼はオランダ人です。もちろん、アンソニー・ペティスのジムにいるデューク・ルーファスのようなアメリカ人もある程度はいるでしょう。彼らもまたその点においてとても優れています。

チアゴを見れば、ビトーを見れば、あなたがこういう人たちを見れば、もしあなたがタイロン・スポーンを見れば、私のことをよりよくわかっていただけるでしょう。我々の選手は大きなプレッシャーをかけます。私はいつもただキックとパンチを使い、全てのことを可能な限りハードにやろうとするだけです。そしてその後で余分なものとしてスピニング・キックやそういった違ったものがあるのです。

私達のスポーツでは、スタンド状態のスポーツでは、私達はMMAよりもその技をより頻繁に使います。しかし繰り返しましょう、私は本当に驚きました。私は幸せでした、もちろん、(ビトーが)があの男をああいう形でノックアウトしたことに対してです。あれはハイライトになるノックアウトでした。しかし私はまるで「おお!彼はやった!彼はやりやがったぞ!」という感じでした。私達は控え室でそれを練習していました、だからあれはかなりクールなことでした。

JARAGUA DO SUL, BRAZIL - MAY 18: (L-R) Vitor Belfort knocks out Luke Rockhold with a spinning heel kick in their middleweight bout during the UFC on FX event on May 18, 2013 at Arena Jaragua in Jaragua do Sul, Santa Catarina, Brazil. (Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

もし私に間違いがあれば訂正してください、しかし私はこの競技の女子部門において、これら回転系の攻撃が同じくらいの数使われているのを見ることはないように思います。これはどの程度力に頼った攻撃なのでしょうか?

その技を同じようにとても、とても上手に使うことの出来るテコンドーの女性がある程度います。私は女子格闘にまったく興味がありません。本当に見ていないのです。それはまったく私の注意を惹きません。それが一つです。

もう一つのこととして、私が思うにテコンドー・カンフー・空手においては女子選手は男子と同等以上にテクニカルです。しかしMMAにおいては、私は知りません、ということになるでしょう。私達はあまり多くの女子MMAの試合を見ませんでした。たぶん2年以内に、たぶん来月にはあなたは女子の試合でスピニング・キックを見るでしょう。

なぜならテコンドーにおいて、女子選手は極めて柔軟で、とても優れているからです。

もしあなたが奇麗にスピニング・キックを当てたとして、その蹴りはより強烈でしょうか、つまりちょうど普通に脛で頭に当てた蹴りよりも、強烈な蹴りなのでしょうか?

私が思うにその頭部を脛で蹴るキックのほうがより強烈には違いありません、しかしもう一つのキックは、まったく見えないのです。それはまさに角度のせいです、あなたはそれが見えないのです。彼が回転しているとき、あなたはそれが見えていません、そしてバコーンです。そしてそれはあなたのアゴに当たります。もしそれがバダ・ハリがステファン・レコに対してやったときのようにあなたのアゴに当たったとしたら、彼はアゴが二箇所壊れていました。もしそれがあなたのアゴに当たったら、それはものすごい強烈な上にあなたはそれがまったく見えていないのです、しかし真っ直ぐな脛でのキックでもまたノックアウトします。



脛があなたの頭蓋骨に当たったときもノックアウトします、私はその蹴りのほうが好みです、しかしもう一方のキックは人々にとってはより動きがありますから、だから御覧なさい、私達は今これについては話していますが、ビトーがその前の試合でビスピンに食らわせた脛での蹴りについては話していないではないですか、その脛での蹴りでビトーは彼をKOしたのです。あれはクリーン・ショットでとてもテクニカルでもあり、実行するのがとても難しいものでした。手始めにあなたは相手を三度、ボディに向かって蹴ります-それは私の戦いのスタイルですが-それからあなたはその蹴りがハイキックに置き換わるのを見て、それでおしまいです。

アンソニー(ペティス)などは頭を蹴って人を倒します。あれも技術的にはとても難しいのです、単にもう一方のキックは皆があまり頻繁に見かけないだけのことですし、そしてあなたはその蹴りが飛んでくるのが見えません。そういう理由でその技はとても効果的なのです。

これがどこに向かうかを知る方法はあるでしょうか?選手達は今スピニング・キックを使っています。彼らが創造的になるにも限度というものがあるのでしょうか?

限度はあるでしょう、なぜならジョン・ジョーンズやアンデウソン・シウバのようなファイターがいるからです、シウバはビトーの顔面に前蹴りを見舞いました。人々はそれを見て、それをコピーします。非常に大勢の若いファイターがいて、彼らはそれを見て、それを他のスポーツとMMAで見て、多くの技術と多くのツールを使うことができるようになります。将来、あなたはこの技をもっと見るようになると思います、しかし私は気にしていません。たとえ人々があの技を多用しようと、私はただ自分の基礎的な技をやりつづけます。私にとってはそれが最も重要であり、その上でああいう余分な蹴りがあって、それが時折機能して特別な事を起こすのです、しかし私は自分のキックボクシングの中でとても多くの試合を見てきましたが、スピニング・キックで終わった試合はほんのわずかでしたから、私はスピニング・キックと全てのものを使う前に、まず私はもう一方の技術を選択します。

MMAでは機能しないと感じている回転系の攻撃はありますか?

いいえ、スピニング・エルボーも使えるでしょう。回転系の攻撃は全て使えます。スピニング・キックは、私からすれば、適切な距離があるために最も現実味のあるものです。しかしスピニング・エルボーはケージではいい武器でしょう。それも使えます。

元レスラーがこういった技を使えるようになるのはどれくらい難しいのでしょうか?

それは誰にとっても難しいことです、しかし彼らはそれに慣れていないから難しいでしょう。彼らはレスリングに慣れています。だからキックとパンチから始めましょう、彼らは距離を掴んでいないからですが、同じタイミングで、彼らは学ぶことができます。私は若いレスラー達を指導して、MMAのためにスタンド-アップ・ガイに変えるのをいつも好んでやりますが、土台は大変素晴らしいです。あなたは学ぶことが出来ます、もしあなたが本当に望めば、多くの技を習得することができるのです。

ブラックジリアンズのキャンプにおいて、もしファイターがあなたの元へ来てこれを教えてくれと尋ねてこなかったなら、あなたは教えないのでしょうか?

いいえ、もしあなたが我々のキャンプに来ればお分かりいただけるでしょう、それは私にとってはとてもシンプルなことなのです。私はトレイナーです。私は100戦の経験があります。私はファイターを自負しています。多くのトレイナーは自身をかなり過大評価しています。彼等は何でもうまくやれると思っています、私はいつも自分の選手達に言います:私はただの余剰な二つの目であり、君の準備を万端にするのだと。

あとは、ケージの中で起こることを、もちろん私はあなたにコーチすることが出来ます。あなたがそれを理解する手助けをします。私達はここで何か特別なことをしているわけではありません。ただ私が2年前にここに来てから唯一変えたことは、スパーをとてもハードにやるということです。スパーリングでは、皆、お互いにノックアウトしようとします。そういうことです。私達はとてもハードにスパーをします。このキャンプで生き残るためには、あなたはなにか良いものを見つけ出す必要があります。

しかし私達はなんら特別な、特別な技術というようなことはやってはいません。私は相手に対するゲーム・プランというものを信じていません。私はそういうタイプではありません。私は自分自身のスタイルを信じています、私のスタイルは他の誰のスタイルよりも優れています。もしあなたがそれを頭から信じてよく練習してよく準備ができれば、あなたは誰でも倒すことができます。しかしあまりにも多くの戦術と戦略のせいで、私達は兵士ではなくなるのです。私達はただ闘うのみです。二人の人間が互いに闘うのです。そこに何ら特別なものはありません。

私は魔法使いではありません。私はただ選手を鍛えるだけの男です、なぜなら私はファイターだからです。私はそのことを愛しています。私はそういう風にやっています。そういうわけで私達はスタンドの状態でよい結果を得るのです。なぜなら私はそれに多大なる注意を払っているからです。もしアメリカにいてMMAで得られる大きなアドバンテージがあるとしたら、それはスタンド-アップ・ゲームです。なぜならあなた方のレスリングは世界中の誰よりも遥かに抜きん出ているからです、そしてスタンド-アップは、特にアメリカ人の選手は、ただ基礎から基礎へとコツコツとやり続ける必要があります、そうすれば彼らは結果を得られるでしょう。ジャンピング・ニーとフライング・キックから始めたりしないでください。ただ基礎的なことをやり続けてください。良いローキックをもしあなたが習得して素晴らしいレスリングがあるのなら、あなたは容易に闘えるでしょう。

こちらに所属しておらずあなたが鍛えてはいないものの、あなたが本当に楽しんでやっている、派手な技を持っていると認めている選手はいますか?

もちろん、私はアンソニー・ペティスの試合を見るのも大好きです、なぜなら派手な技は悪い意味ではないからです。派手な服は見栄えが良いこともあります。彼は本当に素晴らしい闘いのスタイルを持っています。私は彼の闘いを見るのを愛しています。彼はそういう動きをします。

彼が闘う予定だった男、ジョゼ・アルドですが、彼も同じ技術ですが、アンソニーはまさに、流れるように動きます。私はジョゼ・アルドが好きです、だからそれは良い試合でした、彼にはハードなローキックがあるからです。この二人の選手、特にアンソニー・ペティスです。彼のケージの中でのスピニング・キックと技術は驚異的です。

私がいつも試合を見たいと思うのはああいう男です。彼が闘っているとき、私は本当に彼を見るのが好きなのです。

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というわけで最近のスピニング・キックの流行についてでした。今回語ってくれたたヘンリ・フーフトはブラックジリアンズの打撃コーチです。ブラックジリアンズの代表的な選手としてはラシャド・エヴァンス、ビトー・ベウフォート、タイロン・スポーン、エディ・アルバレスなどがいます。今はアリスター・オーフレイムもこちらの所属です。

最近このスピニング・キックによるKOが急増しています。大技の部類であり、命中率はかなり低そうに見えるのですが想像以上によく当たるということで一躍脚光を浴びていました。

そしてこの技の極意は蹴りそのものではなく、相手を特定の位置に誘導することが真髄だということです。これは非常にいい指摘だと思います。蹴りを当てるのではなく、相手が踵に飛び込むように仕向けるのだ、ということです。

そのためには位置と角度、それも自分ではなく相手の位置と角度が重要だといいます。これを確保できれば、相手からは蹴りがまったく見えなくなる、というのです。確かに、スピニング・キックでKOされた選手は例外なく反応していませんでした。これはこの技の大きな特徴の一つです。リードの手の外側に相手が動くことで、スピニング・キックのスタートが背中に隠れて完全に見えなくなるからかと思います。突如背中で覆われた視界が開けると同時に、斜め下から踵が跳ね上がってくるわけですから、まず反応はできないでしょう。ビトーの時は、ロックホールドは最初ボディと思って下げたガードを、途中で気づいて戻そうとする直前に踵がアゴにめり込んでしまいました。

この技を打つために必要なのは柔軟性であり、ムエタイにはあまり柔軟性が必要ではない、というのも興味深かったです。例としてピーター・アーツをあげています。彼はスピニング・キックを使うとバランスを崩して転倒してしまったというのです。思い返せば、ピーター・アーツのハイキックはよっこいしょっという感じで足をあげており、すごく不恰好だったのを覚えています。確かに柔軟性はなさそうでした。しかし彼の脛でのハイキックは凄まじい威力でした。彼もまたその強さの秘訣はキックボクシングらしいパンチとキックのコンビネーションにあったように思います。

蹴りの威力としては単純に通常のハイキックのほうが強烈のようです。しかしスピニング・キックは見えないという効果があるために食らったときに倒れやすいようです。

そしてスピニング・キックの対策ですが、相手の真正面に立つ、ということのようです。そうすれば仕掛けが見えるし、見えてから前に踏み込めば簡単に潰せてしまう、というのです。これはなるほどと思うと同時に、結構難しいことのような気がします。基本的に相手の得意なパンチを回避するためにサークリングをしますが、真正面に立つことで不利になる場合にはどうしても動かざるを得なくなります。

たとえばビトーなどは左側に回りこまないと彼の左ストレートが待っていますから、パンチで打ち勝てない選手はまず左側に動いてしまいます。そうなればスピニング・キックが見えません。そもそも相手が回転蹴りを使うかどうかわからないときに真正面に立つことはあり得ないわけで、これは結構いやらしい戦法ですね。対策としては、使ってきそうな奴が背中を見せた瞬間に前に出るくらいでしょうか。しかし横に移動してるときを狙われますから瞬時に前に出るというのも難しそうです。

このことからも、当てるための条件として相手がパンチなどを予測していること、とコーチが言っていますが、これはかなり重要だと思われます。ドス・サントスやビトーなどのパンチの名手がこの技を当てていることは決して偶然ではないでしょう。パンチの圧力が強まれば、彼らは当然真正面にはいられなくなり、相手のパンチが当たりにくいほうに動いてしまうからです。またパンチに集中すればどうしても腰くらいの高さから斜め上に跳ね上がる足は見えにくくなります。つまりパンチのプレッシャーがあるとこの技の成功率は跳ね上がることになります。

最近ではパンチ圧力から逃れるために、金網際などでウィービングをしながら横に逃げようとする選手にハイキックを合わせるのなども見ますが、これも完全に死角からになっていますね。相手の顔を見据えながら頭を振った先に跳ね上がった脛が来ており、結果として足に自分から突っ込むような形でカウンターとなって失神してしまう選手がいます。これなども当てる原理としては同じもののような気がします。共通するのは、どちらもボクシング的な回避行動を狙われているということです。

そして回転系というのはどの技もMMAでは使えるそうです。このコーチがプッシュしてるのはバックスピン・エルボーです。MMAでの使い手としてはジョン・ジョーンズくらいでしょうか。コーチはケージと相性がいいと言っています。確かにジョーンズがよくやるのが金網際です。相手をぐぐっと金網に押し込み、相手がニーなどを警戒してガードを下げた瞬間に少し距離を取って打ち込んでいきます。ケージではクリンチで密着した状態の打撃戦が多いですから、この武器は中々に有効そうです。近距離で突然回転しての肘は出がかなり見えにくいように思います。

今回も非常に勉強になる記事でした。ヘンリ・フーフトさんはキックボクシングを非常に愛しているのがよくわかります。スピニング・キックが注目されるのは派手だからだとし、ほらみろ、ビトーがビスピンを沈めた脛でのハイキックの時にはお前ら取材に来なかったじゃないか!あれだって同じくらい難易度高いんだぞ!と言っているあたりからもその愛が伝わってきます。もしこれから回転系の打撃を使いたいと思っている方がいましたら、是非ヘンリ・フーフトさんの意見を参考にしてみてください。

4 件のコメント:

  1. スピンキックは腹筋よりも出力の大きい背筋と遠心力を利用するので、威力はハイキックより上だと思います。

    MMAが洗練されて、ボックスもタックルも多彩ですから、スタンディングにおいて要する集中力もただ事では無さそうです。

    そういう詰め将棋の中で、トリッキーなオフェンスは有効だと思います。

    威力速度ともによく、精度は組み立て方次第というとこでしょうか

    スタンディングがボクシングスタイルに傾きかけた最新MMAの新しく合理的なスキルだと思います。

    ちなみにテコンドーにおいてスピンキックは開始一年でほぼマスターするプログラムになってます。

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    1. 本当に詰め将棋ですよね。逃げ道に罠を張るのは基本ですが、これは相当に対応しづらいような気がします。時折混ぜるだけでかなりのプレッシャーになりそうです。

      あとテコンドーではスピニング・キックは基本の技、ということなんでしょうか?すごいプログラムですね。柔軟性を高める優れたトレーニング方法とかあるんでしょうか。私は身体が硬いので1年ではマスターできる気がしませんw

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    2. テコンドーの柔軟体操や蹴りのプログラムはロジカルで進んでると思いますよ

      武道としては空手の方が圧倒的に精神的で実践的だと思いはしますが
      一応両方経験して段持ちです。

      テコンドーの柔軟体操はツーマンセルが基本で、安全で効率気にほぐします。
      二時間の練習で2,30分柔軟に費やす日もあるほど入念でした

      蹴りのレクチャーも力学的で、威力、速度、間合い、撹乱性のいずれを重視するかで異なる蹴り方も、ある程度習得します。

      バックスピンキックは発射点から着弾点まで踵の弾道が直線であるべきとのことで、壁を背に寄せた状態で、足が壁に当たらず鋭く蹴る練習をしましたね^^;

      回転蹴りの練習時期は開始半年~1年で、その時期に飛び蹴りも習います。
      その後さらに半年で、回転系の飛び蹴りを修得、という感じでしょうか

      長々と話してしまいました;

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    3. いえいえ、貴重なお話をありがとうございました。複数の格闘技を習得しているとは素晴らしいですね。比較できるのはとても重要なことだと思います。

      テコンドーの蹴りはとにかく速くて柔軟なイメージでしたが、やはりそれを目指した理論的なトレーニングがあるんですね。壁を背にしてというのもフォームの改善のためでしょうが、理に適ったトレーニングのように思います。

      これからもご意見ありましたら是非お願いします。とても勉強になりました。本文よりコメントが長くなっても気にしませんのでどんどんお願いしますw

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