2013年7月4日木曜日

海外MMAライターによる徹底討論 「MMAのここがイヤ!」

座談会:MMAの何にうんざりしてる?



今日のMMAに対する我々の不満を座談会形式でお伝えするため に、私達は出来うる限りベストの方法を選んだ:フェスティバス-ス タイルだ(※1)。残念ながら、我々はネット上でフィーツ・オブ・スト レングス(※2)はできない、だからただ不平を述べるだけだし、奇 跡を待ち続けるのみだ。ブラッディ・エルボーの記者達が抱える、 今日のMMAの諸問題に対する意見を読んでみてくれ。

(※1) アメリカの商業主義的なクリスマスに対抗して考え出された クリスマスのパロディ。元ネタは1997年製作のコメディ番組の一エピ ソード。飾り付けの一切無いむき出しの金属棒を飾るのがお約束。 お互いを激しく罵りあい、今年あったがっかりエピソードについて愚 痴をこぼしまくる儀式がある。ここではUFCについての愚痴大会を このフェスティバスに引っ掛けている。

(※2) フェスティバスの最後の儀式。ディナーが出されるや否や、 一家の長がその場の誰かを選び出してレスリング・マッチを挑む フェスティバスのメイン・イベント。そしてフェスティバスは一家の長 が誰かにピン・フォールされるまで終わらないというキ○ガイ仕様。
bloody elbow.comより
ベン・サパ:ブラッディ・エルボーに所属する、ここにいる我々のほ とんどがMMAと他のコンバット・スポーツを数年間にわたり追ってき た。諸君がもはや堪忍袋の緒が切れてしまったこと、もしくはもはや MMAファンとして心躍るようなことがなくなってしまったことは何だろ うか?

ゼイン・サイモン:私がMMAに対して今一番我慢ならないのは、MM Aのリアリティ・テレビだ。正直に言って、私はファイト・マスターを見 ようという気がこれっぽっちも起きないんだ。私の妻が見たがるから TUF18は見るだろうと思うけど、でも自分はまったく本腰入れて見る 気にならないんだ。TUFブラジル2が転換点だったね、自分はそれ を見さえしなかったんだ。もう放送されたと思うけど、そいつのビッ グ・リーグに入るために戦うってコンセプトも古臭いだけじゃなく、今 や選手達はその機会すら得てないんだぜ。ファイト・マスターじゃ連 中は将来の8人トーナメントの1人になるために競い合うんだ。選手 皆で退屈なゲームを繰り広げるのを見ることになるんだ、全員が敗 者さ。

UFCに話を戻せば、TUFブラジル2の後、ほぼ誰一人として昇格して 試合する機会を与えられてないし(それは多少なりとも彼らのトレンド だった、TUF17を除けば)、それに加えてでかい契約はほぼキャリア への死の宣告であることがどんどん明らかになってきている。一試合 1万ドルで10試合フルに契約したラッキーなファイターというのは、本 質的にはそのファイターは10試合以内にどこかでタイトルを獲らなけ ればいけないということだし、さもなければ彼か彼女は数年間に渡り 契約よりもずっと少ない額しか支払われないだろう(例え完全に所 属者名簿に載り続けたとしてもだ)。この袋小路はそいつを全部見 せてくれるさ、つまり全くもって無駄な経験にしかならないんだよ。

ティム・バーク:ファイト・マスターは実際にとてもよくできている。私は本当に驚いたよ。

ムーキー・アレクサンダー:私が心底うんざりしてるのは、UFCの重箱の隅をつつく様に慎重に作られたTV放送のプロデュース手法で、誇大宣伝されたファイター達の紹介を眺めることだ。それは賢いMMAファンに対しては侮辱になるし、このスポーツにちょうど興味を持ち始めたご新規さんに対して害になることだ。

マイク・ゴールドバーグが言うように、選手は毎度「グリッティ・バトル(勇敢なる戦い)」をするべきじゃない。彼らは敗北するし、時として勝利をドブに捨てることになる。ボクシングがショータイムでうまいこと生き延びたのは、視聴者に「意義ある勝ち負け」をはっきりと提示したときだ。二つの別々の番組で、UFCのコメンテーター達は言ったんだ、ティム・ミーンズとジェイク・シールズは「休場」になりました、と。あーあ、それは牢獄に行くのとドラッグ・テストに失格したのをそれぞれ意味してたんだろうけど、後者はUFCとの契約下で起きたんだ。プロ・スポーツ組織が全国放送のテレビでそんなことするなんて想像できますか?私はジム・レンツがパックマン・ジョーンズがNFLに戻ってくる前に「短期欠場」しました、なんて言うとは思わないよ。これのせいでデイナ・ホワイトがMMAメディアに一段と嫌悪感を抱くし、UFCや所属ファイターのネガティブな報道の引き金になる何かしらが起こるんだよ。

彼らはP4Pチャンピオンからプレリミナリ・カードまでの区別をあやふやにして、大抵の場合、まるでケイン・ヴェラスケスとジャック・ラッセル・テリア(犬の品種)は戦闘能力の項目に置いて世界が分かたれていないかのように扱っちまうんだよ。私はジョー・ローガンがまさにこう言ったのを聞いたんだ、「ケイン・ヴェラスケスはジャック・ラッセル・テリアの粘り強さを持った選手とは一度も戦ったことがありません。ラスティはK-9レベル(※3)の打撃があります、云々」。

(※3)K-9 level 5000という犬の餌のことか。ハイレベルな打撃の表現に用いるのにはあまりに稚拙ということだろうか。ちなみにグルコサミンがたっぷり入っているそうです。

もしUFC(と他のMMA組織)がスポーツとしての質を向上させたいのなら、放送の質を向上させるんだ。誠実で正直なのがいいね。大衆を重要な事実から覆い隠すような真似はするな。どいつもこいつも殺し屋みたいに売りこむのはやめてくれ、たぶん君らもチェ・ミルズがエリート、エリート・モンスターだと思うような奴にはお目にかからないだろう。

ゼイン・サイモン:私がヨーロッパのサッカー中継を観ていて気に入ってることの一つが、彼らはゲーム観戦を中止させるのに暴力的なまでに誠実であることだ。私はプレミア・リーグのマンUとサンダーランドの試合を見ていなくて、サンダーランドがここで大金星を引き寄せるチャンスがどれほどあるのかということが語られるのを聞いていた。ハーフタイムの時になって、私はどうもコメンテーターがこう語るのを聞いたんだ、まったくもってひどい試合だ、全然激しく競ってない、この試合を観る理由なんて本当に何にもありゃしない、ってね。私はそれを愛してるし-それに私はまだサッカーを観てるんだよ、アスリートの活躍を見たいからね。

でも活躍してるかのように嘘をつく必要はない。概してアメリカのスポーツにはこの罪がある、ムーキーは正しいよ、どうもUFCはファンに対して全ての選手が一様に素晴らしいクオリティであると伝える前代未聞の不愉快さに陥っている気がするね。そしてさらに最悪なのは、私が思うにこれのせいでファンが騙されて、グレート・ファイターとの試合が全てアップセットになりつつあるんじゃないかと急に信じ込んでしまうことなんだ。

そしてまた、ティム、それが私のポイントなんだが、私はグレート・ファイターがここでどれほど優れているかを伝えられても全く興味を惹かれないんだ-試合を観ようって気にはならないみたいなんだよ。

ティム・バーク:私はUFCのショーをプロデュースする手法には何ら問題を感じてないよ。彼らはポジティブなことを強調してネガティブなことを無視してるって?その通りだよ。でも彼らはNFLじゃあないんだ。スコアなんてありゃしない。それに皆は見るために金を払ってる。彼らが自分達の製品を売るのも、彼らはファンに財布を持って何度も戻ってきてもらう必要があるからだ。そして彼らは自分達の製品を取り扱うんだ、だからそうやるわけさ。ボクシングは寸分違わず同じやり方だね。誰かがプロモーターを変えると、長年彼を持ち上げてきた放送局は突如として彼の何もかもをクソミソに貶しめるんだよ。私はボクシングの実況がMMAの実況よりも誠実とは思えないね。それは絶対
ないよ。

MMAで自分をイラつかせることを語らせたら、一日中だって続けられるよ。今週なら、たぶんチケットの値段についてかな。最近市場がどんなに横ばいだろうと、UFCはそれを補填しようとしないんだよ、そして彼らは未だにチケットに法外に高い値段をつけているんだ。新しい場所になんて永遠に行けやしないよ。私はトロントで開催されるUFC165はゲート収入で大爆死すると予想してるんだ、例をあげるならね。

フレイザー・カフィン:製品と不誠実さの問題は自分にとっても重大なものだ、だがただ「ああ、私もだ」と言うよりも、私は新しい問題を提起しようと思う-私はそいつがまだ出てないのが驚きなんだが:怪我の問題だ。

怪我は馬鹿馬鹿しいし予測不能だ。それはあるポイントに帰結する、ビッグ・ファイトが告知されたとき、人々はそれに対して大はしゃぎしすぎないように抑制してしまうんだ、なぜってその試合はとうとう行われませんでした、という可能性がかなりあることを皆知っているからだ。一方である連中はこう言いたいかもしれない、「うーん、彼らは怪我なんだ、起きてしまったんだ、どうしようもないじゃないか。」私はその大会は買わないよ。連中がトレーニングしている動画を何でもいいから見てみたまえ、馬鹿げた光景を目の当たりにするよ-いとも簡単に怪我を招くだろう光景をね。(手っ取り早い例として、先週アップされたティモシー・ブラッドリーとカブ・スワンソンの動画を見てみるといい-カブが垂直飛びをしてバランス・ボールの上に片足で立っているが、この先にはACL(前十時靭帯)断裂が待ち構えているのだ)

参考動画 カブ・スワンソンとティモシー・ブラッドリーのワークアウト
問題のシーンは4:30くらいから



今日では全てのキャンプがハードにトレーニングしている、だが彼らはスマートにはトレーニングしていない、そしてその結果が怪我の笑えるほどの増加だ。その結末はお粗末だし、敗北から立ち直り、元気だからタイトル戦をやろうとしているような人々にとっては腹立たしいことだ、つまりは完全にUFC161のことだよ。それは着手されるべき事案だし、それに手をつけられるのはキャンプだけなんだ、だが今現在、彼らはまったく手付かずの状態だ。

ベン・サパ:自分が気になるのは、非生産的で心底バカで無礼な選手と、マネージャーやプロモーターでさえ暴言を吐こうとすることだ。立ち居振る舞いはファイト・ビジネスの鍵となる要素の一つだし、それはいつの時代もそうだろう-だがそれは額に手を当てるような馬鹿げた仕種をすることでも、マイノリティや女性を侮辱したりすることでもないし、大勢から非難の目を向けられることでもないんだ。

MMAの歴史で最も記憶に残っている侮辱、挑戦状、選手の山場などというのはその場のノリ、創造性、そして真のキャッチーさの結果として生じてきた。BJ・ペンを精子呼ばわりするのがブラジルで流行ったこと。リトル・ノゲがバスににんじんを与えていたこと。ジョルジュがどこをいじくり回していたのか尋ねること。ホルヘ・リベラとビスピンの歌。パット・バリーとクロ・コップが車の中でボン・ジョビを熱唱したこと。(※1)

(※1) 動画を探したら熱唱してたのはママス&パパスのカリフォルニア・ドリームでした、記者の間違いかと思われます。動画は必見です。)

参考動画 ホルヘ・リベラ作詞作曲 「Michael Bispin is a dick song」
ダンサー付き



パット・バリーとミルコ・クロコップによる、「カリフォルニア・ドリーム」大熱唱



ファイターが相手を「ビッチ」呼ばわりしたり、別の誰かに敬意を払わないままだったりすることなんて誰も覚えちゃいないんだよ。でもキング・モーみたいな選手やマイク・コーガンのようなマネージャーは未だにそれに拘泥していて、自分の立場を弁護していかなるプロ選手の口からも出てこないような言葉を使い続けるか、ファイターと、あまつさえメディア関係者の家族を付回したりするんだ。

こういう人たちがこういうことするのは、彼らは創造的になったり、興味を喚起するよりよい方法を見つけるのを拒んでるからなんだ。より興味を引くものは何だろうか?-誰かをナンセンスにならないようにビッチ呼ばわりするか、それとも誰かがフロイド・メイウェザーとダブル・レッグについての完璧な真実を、とても陽気なノリで伝えたりすることだろうか?

それは試合の売り上げ向上と、ヘンゾのように創造的になることに対するプロフェッショナルとしての責任から逃れる行為だ、パットやチェールは退屈でかなり無礼なお約束の発言を、結果としてファイト・ファンにこいつを何度も何度も聞きたいと思わせることに成功している。最低でも過去にジョシュ・バーネットやチェールがやったようなことから切り取り、真似し、ベストに近づこうとするべきだろう。それは当時も機能したし、今現在も多少なり形を変えて機能している。

私はあの酷くまずい言い草をまったくもって聞きたくないんだ、そして私が思うに我々ファイト・ファン達は違った言い方をもたらしてくれる人を賞賛するべきだ-ああ、ジェイコブ・ヴォルクマンは除い
てだけどね。

ゾンビ・プロフェット:近頃私をさらにいらつかせることの一つが、こいつらレフェリー全員が試合捌きとストップでかなり致命的な失敗を犯していることなんだ。将来何らかのミスで誰かを殺したり、永遠に椅子に座ったままの状態にしてしまうかもしれない。もしUFCのPPVかFOX上で誰かが死んだら、我々のスポーツは石器時代に逆戻りだ。

私は悪質なレフェリーのために罰則があるべきだと感じている、ちょうどプロモーターやファイターが準備、試合、そして試合後の期間にルールを破ったときに罰則があるようにね。つまり、レフェリーはもっとトレーニングする必要があるし、コミッションは実際に追跡調査して、レフェリーを捕まえて彼らの行動に責任を取らせる必要があるんだ。

デイビッド・カスティーリョ:これは簡単な話さ:MMA「カルチャー」だ。

私はまだ今月のまとめ書きを書き始めてないんだ、でも4月にそいつを始めた後、特定のファイターが公の場で何かしらバカくさくて不愉快なことを言うもんだから毎月が台無しにされちまった。4月には、それはミトリオーネだった。5月には、それはネイト・ディアズだった。今月は、栄えあるうすらバカ大賞はジョシュ・トムソンのゲイ同士の結婚に対するおもしろ論破に送られたよ。特に一度、デイナ・ホワイトはいとも容易く言い放ったんだ、ジョシュは「スマートな連中に話しかけるのはやめて」おくべきだってね。

もしヘッドラインが「プロフェッショナル・アスリートの思考は頭を布で覆われたアルツハイマー患者のモニョモニョ喋りと似ている」なんてことになっちまったら、それも一つの手だろう。だが彼らはそうはしない。代わりに、言い訳が作られ、プロモーターは「これはファイト・ビジネスなんだ」とか抜かしてやり過ごす、そしてMMAファンは「政治的な正当性」は間違っていると不平をこぼすのさ。

私の仲間(ディスコ・プレティパス)の一人から言葉を借りて指摘するのなら、「ジョシュ・トムソンの白痴的発言は政治的正当性とはなんら関係が無く、ただ知性的かつ哲学的な正当性に置いてのみ関係があるのだ。」ということだ。不幸にも、MMA・カルチャーはこの哲学的正当性の排除によって盛り上がっているように見える、それは「愚かさがビジネスの成長を生み出し、偏見が戦いの劇場を作り出す」という哲学だ。

ダラス・ウィンストン:私がうんざりしてるのは、ファイターの手がケージに触っただけでフェンスを掴むなと毎回警告されることだ。ケージに手を当てるのは合法だろう。指をメッシュに通すのも合法
だ。指や爪先でメッシュを掴んだ時だけ反則なんだ。

選手がテイクダウンの防御中に手の平をケージに当てているとき、レフェリーが「フェンスを掴むんじゃない!」と怒鳴り散らすのを私は見てきた、どの指も通していないのにだ、つまりそれは完璧に合法な行為だ、そして選手はその命令に従い、続いて選手はそれをやめたように見せかける。それから選手は図々しくも指をケージに絡ませ、自分のアドバンテージとして活用するだろう、様々なときにだ、そして罰則は「フェンスを掴むな!」的な絶叫でしかりつけられるだけと来た。それはルールを把握し、実際にルールに従っている選手を罰することになる。

私は皆が特定のルールには従わなくてもOKだという事実を受容していることがイヤなんだ。10対10のラウンドはルール内ではっきりと謳われているのに、未だに実行されないし、もっと悪いことに、有望な次世代への教育は基本的に全力で敬遠されているんだ。

10対10のラウンドの定義は「双方の競技者が互角に戦い、どちらの競技者もラウンドを支配することができなかったように見える場合」だ。私達はどれほどそういう競ったラウンドを見て来ただろうか?そして今その数を10対10のスコアが点けられたラウンドの多さと比べてみてどうだろうか?馬鹿馬鹿しい。誰も彼もが10対10のラウンドを点けるのを拒むのは、意図的にルールに従わないのと同義だ。

コイントスで裏面が出てしまったファイターに対して不公平にならないだけじゃなく、試合の激しさも自然に増していくだろう、というのも選手がそれぞれ差をつけることができなかったと知れば、第3ラウンドに勝つために素晴らしい芸当を軒並みお披露目するだろうからだ、そうさ、彼らは相手を激しく攻撃して相手を打ち負かそうと十二分にモチベーションがあがるはずさ。どれくらいいるかは知らないが、ある人たちは未だに5分間ほぼ互角の試合なんて滅多にないしこれからもないだろう、それは純粋に精神異常だよ、だってそんことはクソ当たり前じゃん、と主張しているんだ。

私はベラトールやワールド・シリーズ・オブ・ファイティング、WARなどを毛嫌いしている連中にうんざりだ。こんなにエキサイティングなテレビを見逃してたなんて、自分は何てものを見逃してたんだろう?UFCのカードの代わりにこっちのほうが観たいと思える唯一のものだよ。

アントン・タブエナ:私がイヤなのは、政治によって優秀な選手が出場を阻害されることだね。それはエディ・アルバレスだけの問題じゃない。北米、ヨーロッパ、そしてアジア中に凍結され、動けなくなって長期欠場中のファイターがあまりにも多すぎるんだ。それは契約のせいか、プロモーション同士のライバル関係のせいか、それとも単に腐敗した政治のせいなのかもしれないが、私はもう些細なことが理由で試合できない奴らを見るのがうんざりなんだよ。

そういう奴らの大半はエディ・アルバレスのようにはならないだろう、彼は何が起こるのかを考えもしないでどっさり金を払ってもらおうとしたんだ。皆はファイター達のこんな恐ろしい話を全部聞いているだろう、本当に瑣末なことが原因でろくでもない政治がコロコロと理由を変えて、選手の契約が凍結されてしまったって話をさ。反目しあう組織のせいで、連中は身動きが取れないんだ。彼らは圧力に屈して契約したのよりも小さい財布を持って行こうとはしないから、身動きが取れないんだ。彼らは単に、関わっている友人のせいで身動きが取れないんだ。クソが、君らだって聞いたろう、単にお偉いさんがそいつやそいつの人間性がお気に召さないってだけで身動きできない奴がいるってことをさ。

私はいくらだって続けられるけど、でも皆はもう要点は掴んだと思う。この問題はある程度不可避なところもある、でもほとんどはただ全くもってくだらないことだし、このスポーツから駆逐するべきことだ。とにかく、私はMMAに関係の無い要因がこういう才能ある選手の運命を決定付けるのを見るのがうんざりなんだよ、それは彼らのポテンシャルをフルに発揮することを妨げるだけじゃなく、彼らの生計まで阻害してしまうんだ。

KJ・グールド:デイナ・ホワイトは選手が練習してUFCで試合するために莫大な額の金を支払うことと、大学で勉強するためにたくさんの金を支払うことを比べているけど、彼がそれを言って以来、未だに自分は腑に落ちないんだ。UFCっていうのは「夢の仕事」のつもりだし、一度でも君が大学を卒業するか中退したら一直線で、UFCで成功を収める前に3年間3万ドルの費用を支払うということはないんだ。その費用は、より小さい地方のショーでは理想的には支払われるほうがいいだろうし、UFCに所属するということはかなり高いレベルでその都合をつけてきて、自分自身をサポートできることだというのを示すべきだ。

このことが天才的な才能や将来性が完全に開発されることを阻害しており、彼ら自身の製品の質を薄める結果になっている。試合のカード発注もまたいらつかせるね、もっと露出する価値があるいいファイターがプレリムに置かれているとき、同時にTUFに出てたか、一般的に悪いファイターなんだけど彼らなりの薄っぺらい、醜い手法でただ「エキサイティング」だというだけの奴らがよりスポットライトを浴びてる時なんかね。アンデウソン・シウバの次の挑戦者はナンバーワン・コンテンダーの試合としてFuel大会で最近試合をしたが、これは本当に許せないね。それのせいで、UFCはワイドマンを正当な対戦相手として売り込むために死に物狂いにならなきゃいけなかったんだ。もしワイ
ドマンがムニョスをFoxか、せめてFXでぶちのめしていたら彼らはそこまで必死に働かなくてもよかっただろうし、もしもっと金を払えば、より多くのワイドマン・タイプの選手を用意できただろう。

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というわけで今回は、海外のMMAライターによる「MMAのココがイヤ!」でした。さすがに記者だけあっていい意見も多いですね。ちなみにミルコとバリーの熱唱は死ぬほど笑いました。ミルコは結構ノリがいいんですね。ホルヘ・リベラもヤバイですw

彼らのいいところは、他の記者と違う意見を堂々と言っていることです。プレビュー動画や紹介について意見が割れているのはとてもいいですね。

自分が特に同意したい点は以下になります。

・リアリティ・ショーのコンセプトが古い、ワンパターン

・実況や紹介が大げさすぎて、新規のファンが勘違いする

・キャンプがお粗末で怪我人多すぎ、素直に盛り上がれない

・気の利いたジョークと誹謗中傷の違いが理解できない奴が多い

・レフェリーに罰則を設けるべき、いつか死人が出る

・ルールはもっと厳格に運用しろ、引き分けのラウンドをつけろ

・TUF出身者や、泥仕合を演出するファイターを重宝するな

基本的にはほとんど同意ですね。では上から順に私の不平不満をぶちまけていきたいと思います。

まずリアリティ・ショーですが、ワルっぽい人がいっぱい来て、「俺は夢のためにこいつに賭けてるんだ!」といって入ってきては誰かにいたずらをして喧嘩、負けて自棄酒、そしてTUF本戦に出たら連敗重ねていなくなる、という展開はもう結構です。「俺には家族がいるんだ(以下略」という薄っぺらいヒューマン・ドラマももうお腹いっぱいです。さらに最悪なのが、この間のTUFブラジルではほとんど本戦に出てこないという、最低限のコンセプトすら崩壊という有様でした。自分としては、もっとアスリートライクというか、専門的なスポーツ番組のテイストで選手育成をしていく番組にしたほうがいいんじゃないかと思っています。

次に実況ですが、これは海外の実況解説について言っているので本来自分が不満に思うことなどありません。私が不満に思っているのはWOWOWの実況と解説です。私が不満なのは、もうちょっと有効打についてキチンと実況すること、選手の状態変化や表情を拾うこと、そして前評判や自分の好みをあまりにも実況解説に影響させすぎないことです。判定の試合でこれをやられると、判定結果と実況解説に凄まじい隔たりが出来て視聴者に不満がたまります。わざわざUFCが有効打数や、部位別に分けた打撃数、テイクダウン成功数などを表示してくれているのですから、本来はもっと正確に判定結果を予測できるはずです。亀田兄弟の試合では、実況と解説が亀田の有効打ばかりを取り上げ、相手選手の有効打には一切コメントしないということをやっていましたが、無意識にアレに近いことをやっているような気がします。たまにyoutubeで見るジョー・ローガンの実況はかなり公平で、細かい攻防でもどちらがいい攻撃をしてるかはちゃんと言います。ここをちゃんとやることで、新規に見始めた人も試合のポイントを理解できるし、MMAでは何が重要かが理解できれば観戦もぐっと面白くなり、何してるかわからないから退屈ということも無くなるはずです。

怪我についてはもう完全に同意です。無茶なスパーやオーバーワークで怪我人続出、おかげでビッグ・ファイトが組まれてもイマイチ盛り上がらないというか、疑心暗鬼でちょっとテンションを抑えてしまう癖がすっかりついてしまいました。その原因は前からデイナも指摘し、記者さんも言っているとおり、まだキャンプでの練習行程が確立しきってないがゆえに無茶なことをしすぎているからです。今はまだ新たな専門家や新しい知識などを取り入れて、各々が創意工夫をしている段階なのでしょう。これは選手とそのコーチにしかどうにもできないことですし、改善しなければ結果的に自分の首を絞めることになるんだというのをもっと周知するべきでしょう。しかしカブ・スワンソンも無茶なことをやっていますね。一応コーチみたいな人がついているしちゃんとした練習なんでしょうが、あまりにも危険な気がします。

そしてレフェリーについてですが、これに関してはつい先日、マザガッティというレフェリーがジョン・フィッチの失神する様をうっとりと眺め続けて何もしないという暴挙に出たのが記憶に新しいですね。マザガッティはレフェリーよりもドモホルンリンクルの製造が向いているでしょう。死人が出たら一発で「野蛮なゲテモノ興行」としてスポーツのカテゴリから駆逐されるでしょう。それを避けるための教育は急務です。コミッションはいち早く動く必要があります。

上記と関連して、ルール運用が適当すぎるというのは私が今一番腹が立っていることです。何が反則なのか、ということについて記者は非常に細かく区別しており、これをレフェリーがいっしょくたにしてることに怒っていますが、これはめちゃくちゃ重要なことです。現状金的も、トランクス掴みも、金網掴みもほとんどが野放しです。トランクス掴みはアンデウソンがやってお咎めがなかった後に急増しました。怒鳴られるだけならやったもん勝ちです。試合中の暴言もスルーです。これでは真面目に守る選手が一番不利益を蒙るという最悪の展開です。

そしてもう一つ、10対10のラウンドがつかない、これは本当にその通りです。無理やり判定結果を出してしまえば、それはどちらかの選手が不運にも負けにされてしまうことになります。たとえ試合がドローになろうと、ラウンドが互角と見れば迷いなく10対10をつけるべきでしょう。ルールブックには10対10を「rare round」としていますが、記者の指摘どおりそこまでレアだとは思いません。差がつきにくくなれば、結果的に選手もよりアグレッシブにはなるでしょう。

最後に、ただ「エキサイティング」というだけの奴を重宝するな、という意見ですが、これもいい指摘です。スタミナが尽きてグダグダの泥仕合になればなんでも激闘という扱いにするのは自分も常々疑問に思っていたことです。ヘロヘロの奴がくんずほぐれつするのに感動するなら、試合前全員に酒を飲ませればいいのではないでしょうか。それよりも練り上げられた体で、きちんとしたプランを遂行してスパッと勝利するほうが遥かにカッコイイような気がします。

そして今回は、格中初のコメント欄解放をしたいとおもいます。皆さんの中で「MMAのここがイヤ!」という意見があれば是非書いていってください。UFCに限らず、日本の格闘技についてでも構いません。暴言やスパム以外は放置しますのでご安心ください。格闘技に関することならほぼOKです。さあ、皆さんもフェスティバスに参加しましょう!

6 件のコメント:

  1. 毎回楽しく拝見しております。
    MMAのいやなとこ、ざっと羅列。
    ・ポンドフィートの横にcm、kgも追記してほしい
    ・WOWOW実況、寒々しいダジャレを即刻やめろ
    ・ジャッジレフェリーにMMA経験者を起用しては?
    ・四点膝解禁希望。手をマットにつけて『蹴るなよ!蹴るなよ!』ってシーンは嫌でして…
    ・オクタゴンに物を吐くな。唾とか吐いてません?あれは見苦しい

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    1. 4点膝はお気持ちはわかりますが難しそうですね。最近はあの生まれたての小鹿ディフェンスも競技の一部としてみています。ルールをギリギリまで活用するのもスポーツの面白さの一つです。見苦しいことには変わりありませんがwもっとも、最近はあの状態でボディに切り替えて打つ傾向も出てきましたから、必ずしもあのディフェンスが有効でもないかもしれませんね。

      レフェリー・ジャッジのMMA経験者はこれから増えていくでしょう。いいレフェリー筆頭のハーブ・ディーンは自身もMMAをやっているみたいですね。MMA引退者の再就職先としても非常にいいと思います。

      唾は文化の違いでしょうね。サッカーでもよく見ますが、自分も正直生理的に苦手です、がどうしようもないっちゃないですねw

      あと高柳さんのダジャレ。あれは最近特に頻度があがってますが何があったんでしょうか。ダジャレを言うのはいいんですが、解説陣が笑わない上にノーコメントなのがしんどいですよね。せめてTKが
      「高柳さん、滑ってます。」って言ってくれれば救いがあるんですが・・・w

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  2. 浪速のポッキー2013/07/05 6:10

    wowowの実況に関してはリングス時代からあんな感じなんで仕方ないようなw。
    ただアナウンサーがTKに「今のラウンドはどちらが取りましたか?」と聞いたときに「う~ん、難しいですねぇw」だけで終わるのは止めてもらいたい。素人目で見てわからないから経験者に聞いてるんだから。

    TUFに関しては最初で爆発した分コンセプトは変えれないんでしょうね。
    今更変えて文句言われてもあれでしょうし。
    まぁ、前のブラジル2は勝った選手が怪我しまくり&負けたレオが決勝勝ち残り&優勝&他の選手は契約なし?っと全話通して見ててもグッダグダでやる意味あるのかと疑問でした。あんな短い期間で怪我なく進む方が難しいですが。

    ルールに関してはドローラウンドは確かにもっとあってもいいですよね。
    例えばお互い一度も手を出さずに見合ったままの試合だったらどうするんだという話になりますし。互角の内容で判定分かれて議論になるよりドローにしてしまった方がある意味スッキリするような。
    後はスタンドで首抱えられた選手が片手をマットについて膝蹴りさせないようにするのはイライラしますね。自分が選手の立場だったらやると思いますが。
    これもデイナが苦言してますがコミッションの決めてるルールなのでなんとも・・・。

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    1. 確かにTKの保身に走ったコメントはよくないですね。TKの関節技解説の「これ極まってますよ」は外れるフラグですしねw予想を外すのが怖いから言葉を濁すのはボクシングのジョー小泉さんもちょくちょくやりますが、解説者は外しても自信を持っていって欲しいですね。判定はジャッジですら割れるのが普通なんですから「こういう理由で自分はこっちにつける」といえば外れても彼らの名誉は損ねないと思います。基本的に有効打数(手数)で判断すれば概ね採点は間違えないような気がします。WOWOWの実況解説は削りの蹴りやジャブをちょっと軽んじてる感じがしますね。あれを有効打として勘案しないから判定結果に齟齬が生じるんだと推測してます。

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  3. ラッキーガイ2014/11/27 21:00

    WOWOWの解説については言うことなしです
    FOX SPORTSの実況もひどいもんでしたね。
    かなりまえのハントvsシウバの時の大怪獣バトルには引きました、もっと上手い表現あるだろうよって感じです。
    それと日本人の性質でしょう?言いたいことを言わずに遠まわしに言うのもやめてもらいたいです。
    TKが自分はマインド中心に解説をするように心がけていると言いますが選手本人じゃないのに何を言っているんだって思います。
    推測100パーセントの解説じゃなくて試合がどのように進んでいるかとか何がカギなのかをはっきりして欲しいです。
    ジョー・ローガンとマイクは良いですよね。
    ローガンのハイテンションをマイクが抑えている感じで好きです。
    でも好きなタイプの選手と嫌いなタイプの選手とでは反応が違うのでそこはちょっと・・・と思うこともあります・
    正直自分は北岡選手のようなハイテンションは好きですね。
    技術解説が無いのが残念ですがハイテンションなので結構緊張感あってすきです。
    それと解説者には選手の研究してないだろお前らって言いたいです。
    入場の時にマイクは「~が武器で~の王者で~がバックボーン、~連勝中、~位」と紹介してますがそうゆうのを解説にちゃんと入れてほしいです。
    ジョー・ローガンは打撃にも見る目があって英語を全部聞き取れる人は羨ましい限りです。
    もう一つ不満があるとすればそれは日本の島田レフェリーです。
    ほとんどの人がいいレフェリーと言いますが自分から見れば選手生命を無駄に削らせている無能レフェリーだと思います。
    あまりにもストップが遅すぎる。
    相手がほぼ完全に失神するまで止めないのは危なすぎです、そのうち死人が出てもおかしくないレフェリングを毎試合しているのが納得できません。
    彼がUFCでレフェリーに呼ばれないのはその面があるからだと思います。
    不満があるとすればこの2点ですね

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    1. ローガンは有効打をかなりしっかり拾うんですよね。あれはとても大事です。

      解説ではっきりどちらが取った、これはこういう技術だと言う解説をしないのであれば、せめて興奮して楽しそうに見てくれるほうがいいのは間違いありません。私は北岡選手のは聞いたことが無いですが、緊張感を与えてくれるのであればきっと良い解説です。いっちゃーなんですがwowowの解説陣はなんかどんよりしてる気がしますw宇野さん、ガッキー、川尻さんをレギュラーにしてほしいです。たまにKIDさんでw

      怪獣バトル、ありましたねwまあ未だにプライド時代の狙ったナンセンスさがベストという印象が強いのでしょう。正直あれは佐藤Dがやるから面白いのであって、あの人が手掛けないのであれば違うアプローチをしたほうがいい気がしますね。UFCは大会ごとに色んなアプローチしてますが、クリエイターを都度変えたりすると面白そうです。

      個人的には、とにかくWOWOW解説陣は鍵となる打撃を拾わないことが多いのが本当に不満です。明らかに効いてるボディ、ロー、相手が前に出られなくなった原因のジャブなどをよくスルーしています。あれをなんとかしないと色々とまずいような・・・

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