yahoo sportsより
画像はUFC公式より
ラスベガス-数年前ライトヘビー級チャンピオン、ティト・オーティスがよくしていたように、ロイ・ネルソンはデイナ・ホワイトとは異なったレンズで世界中を見晴るかす。ネルソンは3戦連続で勝利しており、ここ5試合で4勝している。さらに彼はどの試合でもファイト・オブ・ザ・ナイトかノックアウト・オブ・ザ・ナイトのいずれかを獲得した選手となっているのだ。彼はパンチが使え、レスリングが出来て、ヘビー級では優れた柔術家の一人でもある。だが彼をその階級でのNo.5ランキングに押し上げたUFC159でのチェック・コンゴへの痛烈なノックアウトの後も、ネルソンにとってベルトに通ずるはっきりとした細道はなかった。
そしてそれはすぐさま彼とUFCの社長ホワイトとの論争に突入し、ネルソンはホワイトとまったく折り合いがつかなかった、だがネルソンが会社に在籍する期間が長くなるにつれて、当然ながらUFCボスに対する敵意を抱くようになる。ネルソンは今彼のウェブサイトであるroynelson.comでTシャツを販売しているが、それはホワイトがネルソンについて言及した際の「この世で一番スマートな男」という発言を引用している。
ネルソンはポーカーフェイスなセンスのユーモアを持っており、したがって彼が何を考えているのか把握するのが困難なことが多々ある。ホワイトが繰り返した皮肉な言い回しのコメントについて尋ねられたとき、ネルソンは彼は見る目があると言った。「あれはデイナが自分について良く言った初めてのコメントだな、彼は本当に誠実な人だよ。」とネルソンは言った。しかしホワイトがそれについて尋ねられたとき、彼は答えた、「何を考えてるんだ?」そして彼はネルソンが彼との諍いを煽ろうとしたことに感心していなかったのだろう、ファン・ベースでのホワイトが嫌いだという発言の一部によって彼が有名になったためだ。
ある面では、ネルソンはティト・オーティスが彼の鼻を明かした戦略に挑戦しているように見える、人気の反体制文化の象徴となるというマネージメント手段によってだ。ホワイトは否定し、ネルソンは単に自己中心的なだけで、熟慮した計画を実行しているわけではないと言った。「彼はそんなことはしていない。」とホワイトは言った。「あいつはそんなんじゃない。彼がよく考えて、故意にそういうことをやろうとしているなんてことは全然ない。あいつはそれほどスマートじゃない。正直になろうじゃないか。あいつは本当はスマートなやつなんかじゃない。あいつはただ腹立たしいだけの男だ。あいつは自分のことをスマートと思っているが、あいつは完全にケツの穴の痛みだ。」
「あいつはオクタゴンに飛び上がり(キンボ・スライスを倒した後)私に言ったんだ、『ワッパーちょうだい』ってな、まるでバーガー・キングやマクドナルドがずっと彼みたいな見た目の奴に(自社の)製品を宣伝してもらいたがってたみたいにな。あいつは自分が面白いと思っているんだろう、だが自分にしてみれば、あいつはただのマヌケ野郎だ。」
彼がどちらにしても、ネルソンが世界のエリートヘビー級選手であることに議論の余地はない。ホワイト-ネルソン論争の核となるのはUFCでどう働くのかという二人の見解に大きな相違があることだ。UFCのファイターに、あなたは次に誰と対戦したいですかと、特にニュース・カンファレンスで尋ねれば、その答えは予想できるものだ。そのファイターはホワイトに遠慮するだろう、そしてしばしばこういうフレーズを伴う、「ボスが望むのならば誰とでも戦います。」
UFCはホワイトのヴィジョンであり間違いなく彼の会社だ。UFCの内外ではホワイトが疑う余地もなくボスであることは周知の通りだ。しかしファイター達は独立した契約者であり、被雇用者ではない。そしてだからこそネルソンは、ずっと天邪鬼だった彼は、自分自身をボスとして見ていたのであり-ホワイトをボスとしては見ていないのだ。
「野球のようなスポーツでは、立ち上がる(そしてマネージメントに反論する)プレイヤーは少ない、だが彼らはそれをやるし、私が思ったり言おうとしてることは、政治的に正当な方法なんだ。」とネルソンは言った、彼はウィニペグでのUFC161で6月15日にスティペ・ミオシッチと顔を会わせる。「彼らはメディアを通じて彼らのポイントを明確に伝えることができる。彼らもまた被雇用者であることを思い出さなきゃいけない。被雇用者の場合とは大きな違いがあるんだ。」
「もし君が自身のために働くときに、自身のための完全な労働をするためのポイントは君がボスだということだ。一部の人間はそのスポーツ・ビジネスを理解していないんだ。このビジネスではアスリートとして、君は商品なんだ。もし君がバーテンダーなら、君はある物事については発言することができないだろう、なぜなら他所にバーデンダーはたくさんいるし、君は取って代わられるかもしれないからだ。バーテンダーを取り替えるなんて難しいことじゃない。もしもう一人のロイ・ネルソンがいるとしたら、OK、だがいやしないし、だからアスリートを取り替えるのはずっと難しいんだよ。俺達は掃いて捨てるほどいる連中じゃないんだ。本当にわずかな人間だけがやりたいことをできるんだ。本当にわずかな奴らだけがね。」
ネルソンは「ジ・アルティメット・ファイター」の最初の試合の最中にホワイトに対する誤った道の一歩を踏み出した。ネルソンがスライスを破った後、彼はケージの上に飛び上がって、見回しながらホワイトを見つけ出し、件のワッパーというセリフを叫んだのだ。
言うまでも無いことだが、それはホワイトには受け入れられなかった。そして事態は好転しなかった。ミオシッチへの勝利によって、ネルソンが来るケイン・ヴェラスケスとジュニオール・ドス・サントスの王者戦の勝者とのタイトル・ショットを得ることができるだろうかと問われて、ホワイトは言った、「何でもあり得る。」
しかしそれから彼はネルソンがそれを獲得するにはまだ十分ではないと主張した。「ロイは愛しているんだ、私が彼に絶対にタイトル・ショットを与えないだろうと言うのをな。」とホワイトは言った。「だがおまえら、誰かを倒せばその後自分はお前らにその権利を与えるだろう。ロイは6位から10位にランクされている奴らを叩き落しているが、あいつがトップ・ファイブの連中と試合をするとなると、あいつは同じことができないんだ。No.6とNo.8を倒したことによって君がタイトル・ショットを得ることは無いだろう。君はトップの連中を倒さなきゃいけない。」
一方ネルソンは最近のUFCレイティングで5番目に位置しているが、彼はトップ10ファイターに対しては0勝3敗という成績で、No.1のドス・サントス、No.3のファブリシオ・ヴェウドゥム、No.7のフランク・ミアに負けている。ネルソンはドス・サントスと戦った時には自身が深刻な膝の怪我を抱えていたことを、ヴェウドゥム戦では早い段階で額をばっくりとカットしていたことを、ミアと対戦したときは肺炎だったことを指摘している。ホワイトにしてみれば、全てのファイターは怪我を抱えて戦ってるし3戦はすべて敗北だった。
そんなわけで、ネルソンはある種の生殺し状態であり、ヘビー級という階級で上に行こうとする連中へのゲートキーパーとなっている。ネルソンを倒せば間違いなくコンテンダーだということだし、彼に負ければ、まだまだだなということになる。ネルソンはホワイトに口やかましく叱られるのに慣れてしまって、肩をすくめてそれを受け入れている。彼がその役割を好んでいるとはとても思えない、しかし彼はそれに抗議していない。
かわりに、彼は連勝を維持しホワイトとの関係を手直しし続けている。「なあ、俺はいつだって食物連鎖の頂点にいた。」とネルソンは言った。「今現在違うことといえば俺の態度だ。(UFCのCEO)ロレンゾ(フェルティータ)とデイナとの長い会談を設けた後、そのことに自分の意識の中でより焦点が当たるようになったんだ。」それはジャブだ、捉えがたいものだが、内に入ってくるタイプのジャブだ、なぜならホワイトはネルソンとの会談の後に全然異なった回想をしていたからだ。だがホワイトは言った、彼のネルソンへの不快感に関わらず、彼にタイトル・ショットを与えるのを拒むことは絶対にないだろうと。
「さあ、わたしがロイについてどう感じているかは皆さんがご存知のとおりだ、そして私がティトについてどう感じていたのかを皆さんは思い出す。」とホワイトは言った。「だがハプニングがあったからといって私はティトのいかなる試合も妨害することは決してなかった。もし(ネルソンが)出場して彼よりも上にランクされている奴を倒せば、そしたらそうだ、彼はアレを手に入れるだろう。だがあいつはただそれについておしゃべりしたり、あいつがやろうとしているクソみたいな何がしかを実行することでアレを手に入れることはないだろう。あいつはそれのために戦わなきゃいけないだろうな、他の皆のように。」
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というわけでUFC屈指の食わせ物、変人ロイ・ネルソンについてでした。デイナの頭痛の種がランペイジならば、肛門の痛みの種はネルソンのようです。ズキズキと疼く感じなんでしょうか。厄介ですね。
ロイ・ネルソンの主張は自分としては結構理解できますし、また本来対等な契約者であるはずの会社と選手がどう見ても雇用者と被雇用者の関係になってしまっているのが気に食わない、というのも結構筋が通っています。ここに関してはロイ・ネルソンが正しいでしょう。こういう我を通す奴は好きです。バーテンダーの例えもかなり本質を突いています。替えが聞かないアスリートには、これくらい主張する権利があるというのもかっこいい意見です。腕一本で飯を食うというのは間違いなくわずか一握りの人間にしか為しえない人生ですから、これくらい傲慢であってもそれは納得せざるを得ません。
しかし、ネルソンにタイトル挑戦権があるのかと言えばこれはデイナの言い分に分があると思います。特にフランク・ミアによくわからない泥仕合を展開して負けたのが致命的でした。上位陣と対戦するとめっきり振るわなくなるのは、あの奇策に近いワンパンがまず当たらなくなるからかと思われます。また試合によってフィジカルの出来にものすごいムラがある気がします。腹の膨らみやハリにかなりの差があったりしますので、やはりこういうところで節制が出来ないことが響いてくるのでしょう。さすがはデイナ、このあたりの見極めはかなり的確です。
そういうわけで、ネルソンはゲートキーパーとしては最適であり、彼のワンパンを凌げるレベルであればコンテンダーの資格ありというのはかなり精密な指標な気がします。実際ネルソンのワンパンに対処できないようでは、トップ二人に勝つことはまずできないでしょう。
ネルソンも連勝してるんだから大人しく上位陣との対戦を待てばいいだけな気がしますが、ファンとの交流イベントでデイナが嫌いだと吹いて回ったり、デイナの皮肉を揶揄したTシャツをつくってばら撒くとか余計なことをするからややこしくなってくるんだと思います。デイナは影響が無いとは言ってますが、実際はちょっとタイトル挑戦への資格取得条件が厳しくなっている気がしますwただネルソンはついついこういうことをやっちゃうタイプなんでしょうね。自分はその気持ちが結構理解できます。デイナはなんとなくイジりたくなるところがあります。
こういう毒のきつい発言や行動からも、決して何も考えていないケツの穴のペイン野郎なんかじゃないとは思います。ただひたすらにエゴイスティックなだけでしょう。これくらいじゃないと1対1のスポーツでは勝てません。デブキャラ押しも自分は面白いと思います。ワッパーよこせもギャグとしてそこそこ面白いんですが、デイナとしては広告宣伝絡みは下手したら訴訟もあり得るでしょうから冷や汗ダラダラでしょう。このあたりは一選手にはわからない感覚なのかもしれませんね。そういうことに気が回らないところがクソデブたる由縁であり、デイナがマヌケ野郎と呼ぶ理由でしょう。遠くから眺める分にはネルソンは楽しい人だと思いますが、一緒に遊びに言ったら会って10分くらいでぶん殴りたくなるくらいムカツクんだろうなと思います。そういう自己中だろうことは間違いな
いでしょう。
さて、そんなネルソンはもうすぐミオシッチ戦です。これもまた査定試合としていいところを突いています。ミオシッチはネルソンがワンパンで沈めたストルーブに負けていますが、今のストルーブは打撃が著しく向上しているため参考にはならないでしょう。ミオシッチは基礎の出来たボクシングをしますが、どうもまだ持っている技術をMMAにアジャストできてない感じがしている選手です。各局面が全部ばらばらで、流れとして繋がっていない試合をしている印象があります。巧く消化できればもっと上位も可能な選手です。今回はそのミオシッチの査定となる試合です。
ネルソンとしては3連勝でコンゴを沈めてこれでは確かに不満があるのはわかりますが、どのみちここで勝てば次は間違いなく上位陣と当たるでしょうし、逆にここで負けたらミオシッチが次のコンテンダーとして王座に手がかかるでしょう。ミオシッチの進化次第ですが、あんまりふざけたことをしていると足をすくわれてデイナに鼻で笑われる可能性も十分にあります。
なのでまずはミオシッチに勝ち、その後DC、ハント、ヴェウドゥム、ノゲイラ、サントスあたりの誰かに勝てばタイトル挑戦させてもらえるでしょう。ただ現状、このままのネルソンではトップ二人にはどちらにもまず勝てないと思いますし、やはり上位陣の誰とやっても勝てないような気がしています、ビッグフットには勝てるとは思いますが。デイナがタイトル挑戦をさせないのも恐らくそれが一番の原因です。今のネルソンではタイトル奪取の可能性がほぼ感じられないから組む意味がないように思えてしまうのでしょう。なのでネルソンもあんまりデイナの肛門を刺激したりしないで、そろそろ本気のシェイプをして新しいカンフー・ファイトを見せて欲しいですね。
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