bloody elbowより
画像はMatt Brown - Official UFC® Fighter Profile | UFC ® - Fighter Galleryより
マット・ブラウンは灰の中から甦り、UFCの170ポンド階級で主要なウェルター級選手となった。彼は5戦連続で勝利しており、最近では4月にUFC on Fox 7でジョーダン・メインを倒している。彼は今、8月のUFC on Fox Sports1 1でチアゴ・アウベスと対面することになっている。ブラウンはアウベスとの試合についてブリーチャー・レポートに語った、そしてまたUFCウェルター級王者、ジョルジュ・サン・ピエールについても多くを語った。始めに彼はUFC166でのGSPとジョニー・ヘンドリクスの試合を分析した。
「ヘンドリクスが彼を捕らえるのが見えるよ、(GSPに)に早い段階で何らかの難事を与えるだろうね。だが、ヘンドリクスの戦いへのアプローチはかなり直線的、シンプル、正直すぎるように見える・・・彼のノックアウトは全て同じパンチ、同じ仕組みによるものだった。彼がテーブルに何かしら新しいものを持ち込まない限り、GSPは準備できていると言えるだろう。ヘンドリクスがGSPにすらレスリングで勝ることが出来るというのは本当に想像しえないことだ。GSPが判定で・・・(彼は)誰からも一本を取ったりTKOすることなんてありゃしないさ。」
彼は言う、それでも彼はGSPのほうがより対戦したいのだと、なぜなら彼はGSPを倒せると考えているからだ。
「私はGSPのほうが倒したい(ヘンドリクスと対戦するより)というのも彼は恐らく殿堂入り選手になるだろうし、生きる伝説だからだ、私はレジェンドを倒したい。GSPは自分とスタンドはやらないだろうし、間違いなく自分をテイクダウンしようとするだろう、だが私のレスリングはこれまで皆が私から見てきたものとは完璧に違うレベルにある。私はオハイオ・ROTC・レスリング・チーム(オハイオはコロンブスにある)と今まで数年間練習してきたんだ。そこにいるのはオリンピック志望者達で、アメリカで最高のレスリング・チームだ。私はGSPがあの連中の誰とも同じくらいレスリングができるとは思わない。」
事実、彼はGSPを倒せると「本当に」思っている。アウベスが彼にとって今のチャンプよりも厳しい組み合わせであるという発言の真意とは。
「私が思うに、彼は私を殴れるところまで接近するのを恐れるだろう、なぜなら私は彼が放つ全てを避けようとしないからだ。私はそのポケットに進み入って打ち倒すだろう。彼は何のオプションも持たないだろう、私と足がくっつく距離にならない限りはな。仮にスタンドのスキルを持っていた場合でさえ、彼は私のプレッシャーと、不屈さと勝利への欲望をどうにかすることはできないだろう。私が思うに、私はGSPにとって最悪の組み合わせの一つだ。」
「皆は私がそう考えるのは妄想だしイカれてると思っている、だが私は自分を知っている。もし私がベストの状態でそこに行き着ければ、私はGSPを滅ぼすだろうことを知っている。私がGSPと対するとき、私は彼からベルトを取れるだろうし、世界タイトルが掛かっているのに呆けているつもりはない。私は110%自信がある、もし私がベストの状態で登場したら、彼は私と対峙して地獄でチャンスを掴むことはないだろう。チアゴとのマッチアップはGSPよりも遥かにタフな組み合わせだよ。」
ワーオ。私は自信があるのはいいことだと思う、しかしこいつはまた・・・ワーオ。ちょっと皮肉めいたことを言ったり、噛み付くような注釈を添える代わりに、私は今回はただ話した内容をそのまま紹介するに留めたいと思う。またブラッディ・エルボーの2012年度のファイター・オブ・ザ・イヤーは彼のニックネームはどこから得たのかを話してくれた。
「私の友人が私を『ジ・イモータル(不死の男)』と呼び始めたんだ、2002年と2003年のどちらかの年にヘロインのオーバードーズがあって、それに加えて他にも何度か死にかけた後にね。」と彼は振り返った。「ある時、試合のプロモーターが地方のシーンで試合前についその名前を言ったんだ、そしてそれがちょうど定着したんだね。私は実はそのニックネームは全然好きじゃなかったんだが、その件の後に好きになり始めたんだ。」
「私はその頃はナイーブだった(ヘロインのオーバードーズをした頃)、私は自分がした事とそれが実際どれほどの重大事だったのかを理解していなかったんだ。時を経て、私は悟り始めたんだ、私はどれほど間違った方向に進んでいたのか、そして私はどれだけたくさん変わる必要があったのかをね。私はMMAのトレーニングを始めた、それが楽しかったしとうとう私は悟ったんだ、私はパーティよりもそっちのほうが楽しかったってことをね。」
ブラウンは幾つかの障壁を潜り抜けねばならない、ヘンドリクスやGSPのような奴らとオクタゴンを分かち合う前にだ、そしてその最初の一歩は8月17日にボストンでアウベスを打ち破ることだ。
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というわけでGSPはアウベスよりも楽と豪語する「不死の男」ことマット・ブラウンのインタビューでした。まさか昔ドラッグで死に掛けてたとはまったく知りませんでした。彼のニックネームは若い頃のやんちゃで何度もあちら側に逝き掛けたことが由来のようですね。
そのマット・ブラウンはここ最近、物騒なムエタイを駆使して5連勝中と急上昇中の選手です。昔は勝ったり負けたりを繰り返していましたが、ここ2年ほどで急に成績が向上しました。現在32歳と決して若くは無いですが、肉体的にも経験的にも今がちょうどピークといったところでしょう。
彼が急激に成績が上向いた秘訣は、彼のスタンド・スキルの上達にあります。元々ムエタイを主武器としていましたが、それに加えてムエタイ本来の武器である肘、膝などを利用した近接戦、特にクリンチの攻防に秀でたことが、彼の成績を一気に押し上げました。ただの打撃戦ではそこまで強いというわけではありませんが、相手の攻撃をまったく恐れずに距離を詰め、そこからの近接戦で相手の心を痛みによってへし折ってしまいます。殺意が漲るムエタイの源流のような戦い方で、自分はとても好きなスタイルです。
そんな彼ですが、なんとここに来てとんでもないことを言い始めました。GSPなぞ何するものぞ、アウベスのほうがよほどしんどいなどと言い始めたのです。これにはさすがに皆が唖然とし、彼自身が言うように、皆が彼のことをクレイジーだと言いました。ブラッディ・エルボーの人も思わずツッコミかけたのをぐっと我慢しています。ワーオ。まだヘロインをやってるんじゃないかと疑われかねない発言です。
しかし、彼が言うにはGSPは自分に対して何の攻め手も無い、というのがブラウンの自信の根拠のようです。テイクダウンを無効化すれば、スタンドでは何一つできやしないだろうと言うのです。
理屈的にはその通りでしょう。タックルのプレッシャーが無くなれば、単純な打撃戦でGSPがそこまで優れているわけではないことは間違いありません。これは私見ですが、恐らくGSPは目があまり良くないと思います。遠い距離を取っているから見えるだけで、近い距離では決してそこまでディフェンスに優れているわけではないと思います。オフェンスは一流ですが、ディフェンス面は決して万全ではないのは、コンディット戦、そしてディアズ戦での被弾で間違いないと思っています。
加えてオフェンスでも決して一撃の威力があるわけではありません。それはGSP自身が認めていることであり、決してハード・パンチャーではないのです。したがって、足を止めて打ち合うというのは恐らくGSPにとっては最も最悪な試合展開です。
ただ、これまで誰一人として彼のタックルのプレッシャーを無効化することはできませんでした。ストライキングに優れる選手達は、一様にタックルによって距離を狂わされ、そしてテイクダウンを意識するためにディフェンスが散漫になり、そしてグラウンドで削られるためにスタミナを失い、結果的に
得意のストライキングでも負けるという展開になってしまいました。
それに対してブラウンは、なんとオリンピック選手候補に混じってレスリングの特訓をしているというのです。だから自分のレスリングはもう以前の俺のとは比較にならない、といいます。ポイントはこのレスリング技術の上達具合にあるでしょう。もし本当にこの特訓の成果によって、ジョゼ・アルドやジュニオール・ドス・サントスと同レベルのレスリング技術、特にディフェンス技術を身につけることが出来れば、GSPはスタンドの戦いを強いられることになります。そうなればGSPのベルトの留め金は一気に緩くなってきます。
しかし、ここに一つ気になることがあります。それは、純粋なレスリングとMMAのレスリングは似て非なるものだということです。ただのレスリングは、MMAでは使えないことは周知の通りであり、それはチェール・ソネンが指摘していることです。そしてまたMMAではタックルの名手であるGSPは、純粋なレスリング技術は皆無に等しく、決してレスラーとして一流なわけではないのです。あくまで「MMAレスリング」において一流なのです。
MMAレスリングで優秀とはどういうことか?自分が思うに、一番重要な点は「打撃との連携」だと思っています。GSPのタックルも打撃も、どちらも独立しては機能しないし、それぞれは切り離してみれば決して超一流のスキルではないのです。彼が最も優秀なのはそれを統合していることであり、局面での使い分け、そしてそのタイミングに最も秀でているのだと考えています。
なのでマット・ブラウンの「GSPのレスリングは自分が練習しているレスリング・チームの誰と比べても劣っていると思う」というのは、チェール・ソネンも指摘していることであり、何よりもGSP自身がそれは一番理解しているのではないかと思っています。これが挑発ならばいいですが、もし本当にマット・ブラウンがそう考えているのであれば、恐らく彼はGSPによってマットに転がされ続けることになるでしょう。
そして今回の発言ですが、これは恐らくGSPに対する言葉のジャブであり、恐らくタイトル戦獲得のためのトラッシュ・トークと考えていいでしょう。中々に筋がいいですね。面白いことは言ってませんが、相手をムッとさせる方法をよく理解しています。GSPのプライドを刺激するには十分な発言です。
しかしGSP戦のためには次のアウベス戦をまずクリアし、その後でいよいよマット・ブラウンはウェルター級上位陣との戦いを迎えることになるでしょう。アウベスは一発があり、ディフェンスをある程度捨てて打撃戦を挑むマット・ブラウンにはかなりリスキーな相手でもあります。果たしてマット・ブラウンは死ぬことなくGSPまでたどり着けるのか?アウベス戦で、さらに進化したと豪語するマット・ブラウンを楽しみにしたいと思います。なんとなく打ち合いでワンパン貰ってぶっ倒れそうな気もしますが・・・w
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