2014年9月26日金曜日

UFC日本大会2014 感想と分析part2 ジュリーvs五味

UFC日本大会2014の感想と分析の続きです。以下は個人的な意見ですので参考程度にどうぞ。

SAITAMA, JAPAN - SEPTEMBER 19: (L and R) Myles Jury and Takanori Gomi during the UFC Fight Night weigh-in event on September 19, 2014 in Saitama, Japan. (Photo by Mitch Viquez/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

画像はUFC Japan 2014の大会フォトギャラリー | UFC ® - Mediaより

ライト級 5分3R
WIN マイルス・ジュリー vs 五味隆典
(1R 右ストレート→パウンドによるTKO)

斜陽の英雄、秋の日に釣瓶落としに沈む

空に太陽が浮かび続けることはない。一つの日が昇り、水平線の彼方に沈むことで初めて日はまた昇ることができるのだ。一度昇った日は必ずいつか落ちる時が来る。

2014年9月20日、埼玉の地で、格闘技界を照らし続けた一つの大きな火の玉が沈んだ。秋の日に相応しく、釣瓶落としにあっという間に水平線の彼方に沈んでいった。そして東の空からは、これから燦然と輝くであろう日が天高く昇っていく。

それが世界の理だ。古きものは新しきものに淘汰され、そうやって世界は回っていく。

「ザ・ファイアーボール・キッド」五味隆典、元PRIDE王者のレジェンドはこの日、世界に挑戦することの意義を伝えるために無敗街道をひた走る若者の前に立ちはだかった。UFCのランキングに名が載る奴らは皆化け物であることは知っていた。自分が下り坂にいることも知っていた。それでもこの男は、この馬鹿な男は弱い奴など望まなかった。挑戦する意味がある相手を彼は望んだのだ。

だが挑戦はわずか1分半で終わりを告げた。魂に火をつける猶予さえ与えられず、たった一発のコンパクトな右ストレートで英雄の腰は崩れ落ちた。偶然などではない、圧倒的な実力差による敗北だった。

英雄のキャリアにはこの日、一敗に加えてもう一つ、初となるTKO負けが記載されることになった。

ジャブを当てることすら許さない、ジュリーの圧倒的制空権

SAITAMA, JAPAN - SEPTEMBER 20:  Takanori Gomi throws a punch at Myles Jury in their lightweight bout during the UFC Fight Night event inside the Saitama Arena on September 20, 2014 in Saitama, Japan. (Photo by Mitch Viquez/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

わかってはいたことだったが、それにしても圧倒的な間合いの差だった。五味はいつもの前傾の構えで、腕をリラックスさせながら間合いを測ろうとするが、ジュリーはそれすらも許さなかった。徹底的な五味対策が練られていたように思う。

五味は打ち込む前に上半身を屈めて踏み込んで来る。だがジュリーは五味がその体勢に入るやすばやく前蹴りで牽制し、前に移した重心をニュートラルに戻させて追い出してしまうのだ。再び五味が近づいて踏み出そうとすれば右ハイ、左ハイ、さらにまたしても前蹴りを繰り出し、ガードをさせてパンチを出す隙を与えない。そして合間に遠目から手を動かしてパンチのフェイントを混ぜ、軽いインローで五味の注意を逸らしていく。

業を煮やした五味が遠目からジャブを出しながら飛び込むと、ジュリーはやはりカウンターのタックルを狙ってきた。だが五味はこれには十分な対策をしていたのだろう、すぐに反応して脇を差すと、ジュリーの上体を起こして足を取らせない。このTDディフェンスはかなり良かったように思う。クリンチで粘るジュリーを足を使っていなしながら、腕を抜いて突き飛ばし離脱する。

しかし運命の時はこの直後、あまりにもあっけなく訪れた。前に出てきた五味を下がってかわしたジュリーは自分の距離になった瞬間足を止め、そこから左手で威嚇しながらじりじりと距離を詰めた。煩く動かすジュリーの左手を気にしながら、五味は上目遣いに相手の出方を窺った。この時五味は、距離がこれまでよりも近づいていたことに気づいていなかったように思う。五味が右のガードに厭らしく触るジュリーの左手を外に払いのけ、攻撃しようかとわずかに体をよじった直後だった。ガードが開いた五味の真正面からチョッピング・ライトが彼の顎目がけて放たれたのだ。前に出していた左手を後ろに引き絞りながら繰り出されたジュリーの右ストレートは、矢のように鋭く火の玉小僧の急所を貫いた。被弾の衝撃で五味の体が大きくぶれる。そのまま五味は腰から落ちていったがまだ意識があり、飛びかかるジュリーを見て回避の姿勢を取ろうとするが腰から下が動かない。追撃に来たジュリーは獣のように獰猛に飛びかかると、強いバネを感じさせる強烈なパウンドでレジェンドの意識を根こそぎ刈り取りにいった。3発目がクリーンヒットすると五味の体は動きを止め、横倒しになったまま頭を覆うのみとなった。

食らいつくことすら許されない、完敗といえる内容だった。見せ場を作る機会さえなかった。五味自身が言う通り、今のUFCランカーは皆化け物ばかりだ。これが世界9位の力だった。マイルス・ジュリーはローリー・マクドナルドと同系統の、相手の持ち味を完全に殺すことに長けた選手だ。火の玉小僧は着火する前に、防災バケツの中に放り込まれてしまった。

レジェンドの意義、挑戦の価値、敗北の意味

SAITAMA, JAPAN - SEPTEMBER 20: The referee stops the fight early after Myles Jury's damage on Takanori Gomi in their lightweight bout during the UFC Fight Night event inside the Saitama Arena on September 20, 2014 in Saitama, Japan. (Photo by Mitch Viquez/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

友人はがっかりしたと言った、もっと出来ると思っていたと。お前はマイルス・ジュリーの過去の試合を見たことがあるかと聞けば、WOWOWしか見ていないために知らないという。

恐らく視聴者の大半は同意見なのだろうと思う。マイルス・ジュリーを知らないからだ。ランキング9位と聞いてもピンとこないだろうし、そもそも五味がランキング圏外であることすら知らないだろう。

マイルス・ジュリーはこれからの選手だ。試合内容を見ても、もっと上位陣とやって然るべき選手だった。ランキングはこれからさらに上がるだろう。何しろこの若さで「ナイトメア」ディエゴ・サンチェスを一方的に血だるまにし、打たれ強さに定評のある五味隆典をたった一発で切って落としたからだ。実際は9位以上、恐らく5位くらいの評価が適正なところだろう。まだ伸びしろが十二分にあり、これから試合を重ねるにつれて五味が負けても止む無しだったことは明らかになっていくように思う。

多くの人がこの挑戦を無駄だったと考えているに違いない。だが私はそうは思わない。レジェンドの重要な役目の一つが、若手と試合をしてその名声を明け渡すことにあるからだ。これはどのジャンルにおいても同じことだ。一時代を築いたものが、新たなるスターに敗れて去っていく。この新陳代謝がなければそのジャンルごと没落していくのだ。輝く日をいつまでも空に留めておけば、いつか大地を枯れさせ、繁栄を奪ってしまうだろう。

五味の敗北で、一番マイルス・ジュリーの名を記憶するのは誰だろうか?答えは簡単、「火の玉小僧」の信奉者こそがその名前を誰よりも深く脳裏に刻みつけるのだ。敬愛する選手を打ち倒した憎き相手として、その名前を決して忘れはしないのだ。

これでいい。五味は負けることによって、これからの若手の知名度向上に大きく貢献したのだ。今後ジュリーは事あるごとに「あのレジェンドを一撃で葬った男」と紹介されるだろうし、あのKOシーンはハイライトとして何度も繰り返し放送されるだろう。

屈辱と思う人もいるかもしれない。だがそれは名誉なことなのだ。名も知られていない有象無象では、例え勝ったとしてもキャリアの勝利欄に数字が一つ加算されるだけのことだ。だが名のある者の首を獲れば、それはキャリアに名誉ある勝利として数字以外のものが添えられるのだ。それは負けた者が評価されている証と考えるべきだろう。

そして五味が世界に挑戦したことで、今の世界の壁がどれだけ高いかを国内の若い選手たちは痛感したに違いない。五味にはあらゆるものが足りていなかったし、その敗北は多くの教訓を与えてくれた。

階級選択と体格差の影響、蹴りの必要性、ボクシング技術の重要性など、あの1分半だけでもかなり得られるものはあったように思う。特に重要なのが蹴りの必要性と相手のディフェンスを散らす技術、体格差の考慮、そして常に自分のスタイルを時代に合わせて変化させていく柔軟性ではないだろうか。最後の物こそが、五味にとっては一番欠けていたことだと思う。

五味もまた才能がありすぎて、それに依存してしまった選手の代表だろう。「エンペラー」エメリヤーエンコ・ヒョードル、「プロディジー」BJ・ペン、「ビッグ・カントリー」ロイ・ネルソン、そして「ザ・ファイアーボール・キッド」五味隆典、彼らは皆、人を殴るのが余りにも巧すぎたために、変わり続けることを怠ってしまった選手達のように思う。

彼らに共通するのが非常に魅力的で華があること、人を殴るのが巧いこと、シェイプが苦手な事、そして何よりも鶏口牛後を好むことだ。この最後の要素が彼らの進化を阻害する最大の要因であることは否めないだろう。

MMAは個人競技だが、準備を含めれば実際は完全なチーム戦だ。ヘッドコーチの指揮の元、対戦相手を研究して戦略を決定し、その遂行に必要な練習を組み立てて実践する。各分野のコーチに専門的な指導を仰ぎ、それを統合して試合に臨むのが理想だ。これらを一人でやるのは、それだけで大きなディスアドバンテージとなるだろう。

先日ライト級のレジェンドであり、かつて五味を倒したBJ・ペンの引退試合が行われた。相手は軽量級の英雄、「ジ・アンサー」フランキー・エドガーだ。彼は2度敗れた相手と再戦した。だが彼は過去の対戦経験から何も学ばなかったばかりか、何を目的としたのか不可解な珍妙な構えを実践し、そして悲惨なまでに一方的に敗れてしまった。

余りのひどさにファンの批判はセコンドについていた元コーチに集中した。だがそのコーチが明かしたところによれば、BJ・ペンはジムを始め、そこでトップに立ってしまったがために迷走したのだという。ボクシング畑のコーチが一目見てあり得ないと思う構えを指摘する者が、彼の周りには誰一人としていなかったがゆえの悲劇なのだ。

人は己の状態を正確に把握するのが難しい生き物だ。私自身、正しいトレーニングを理解できずに一度体を酷く壊したことからもよくわかる。理想を言えば、やはり信頼できる確かな目と頭脳を持った指導者に師事し、選手は与えられたメニューを消化することに専念できるのが一番なのだと私は思う。先日テニスでグランドスラム準優勝という大快挙を成し遂げた錦織圭も、足の怪我が原因で直前まで出場を躊躇っていたそうだ。だが彼のコーチであるレジェンドのマイケル・チャンが、「お前は今調子がいいのだ!」と出場を促したという。あれだけ優秀な選手ですら、自分の状態を把握するのは難しいということを示す好例だろう。

だが失敗は恥ではない。失敗を笑うものは、何も新しいことに挑戦したことがない者だ。挑戦して失敗することで、今の自分を正確に把握することが初めて可能になる。五味隆典は世界に挑戦することが大事だと言った。そして世界の壁の高さを身をもって示し、レジェンドの変わらぬ戦い方ではもはや歯が立たないことも教えてくれた。格下を派手に倒して名声を得ることもできるが、それは結局本物と対峙した時により悲惨な負け方を晒すだけになる。

自分の実力不足を知りながらも、それでもより強い奴と戦いたい、世界最高峰を体験したいという強さへの憧れと好奇心こそ、火の玉小僧を誰よりも魅力的にしている部分であることもまた、紛れもない事実だと思う。

燃え尽きたのか、それとも・・・火の玉小僧の向かう先は?

SAITAMA, JAPAN - SEPTEMBER 20:  Myles Jury celebrates after his win over Takanori Gomi in their lightweight bout during the UFC Fight Night event inside the Saitama Arena on September 20, 2014 in Saitama, Japan. (Photo by Mitch Viquez/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

今、「ザ・ファイアーボール・キッド」の前には重大な選択肢が横たわっている。現役続行か、それとも引退か。年齢と試合内容を考えれば、嫌でも彼の脳裏にこの事が浮かんでくるだろう。

もし現役を続行するならば、彼にはやるべきことが山積している。世界の頂点を目指すのであれば、それは避けがたいことだ。

まず階級変更は必須なように思う。体格差はこれまでの試合でも大きく影響してきた。フェザーですら180センチ台が増えている中で、ライト級でやり続けるのは得策ではないだろう。菊野選手が階級変更したことでかなり試合が楽になったのを見ても、リーチ差の影響はやはり大きいと思う。当然ながら、それに伴うシェイプも必要になる。

スタイルの変更も大きな課題だ。同じハードパンチャーのマーク・ハントは五味と似てるように思えるが、そのスタンドでの構えは大きく異なる。やはりハントはあくまでも立ち技が本職、打撃のプロがMMAのディフェンス技術を身に着けたスタイルであり、五味はボクシングのできるレスラーというスタイルのように思う(レスリングはほぼ使わないが)。あの前傾の構えは足を止めての強打に活きるものであって、フットワークが必須なケージでは有用性は低いように思う。他にあのスタイルの使用者がいないことからも間違いはないだろう。前蹴りの格好の標的になっている点も問題だ。この辺りもBJ・ペンのアップライトの構えに似たものを感じてしまう。フットワークを最も使えるスタイルに修正するのが理想だろう。それこそマーク・ハントのように、上体を起こして機動力を確保してパンチを繰り出していくスタイルでいいと思う。

またある程度の蹴り合いもできるようにしなければいけないと思う。蹴りはガードしてるだけで削られてしまう。リーチのある相手に蹴りを利用されると、パンチのみでは何もできずに一方的に攻撃されてしまうケースもある。蹴り返して、蹴られっぱなしにしないのがダメージ、ポイント両面で重要になる。五味はあまり蹴りが出ないのはやはり構えの影響が大きいようにも思う。構えの修正と共に、蹴りの習得も重要になるのではないだろうか。

単純なボクシング技術の差も大きい。タフな五味を打ち砕いたのは渾身の大振りなフックなどではない、コンパクトで当たったことさえもすぐには気づかないような小さな右ストレートだった。日本人選手が特に欠けているのがボクシング技術のように思う。主にディフェンス面だ。ストレート系を足と連携させて有効に使って攻撃し、ガードとボディワーク、フットワーク全てを用いてディフェンス出来る選手は今のところ水垣選手くらいなように思う。人を巧く殴る才能に慢心せず、さらなるボクシングの基礎的技術向上も必須なように感じた。

最優先は階級変更だろうか。リーチ、シェイプ両方が一気にある程度解決できるからだ。

しかしこれらは書くのは簡単だが、実践するのは容易ではないだろう。年齢や資金、練習環境も大きく影響するからだ。スタイルの変更は優秀なコーチ無しではBJ・ペンと同じ轍を踏む可能性があるし、コーチを雇うとなれば費用も膨れ上がっていく。もしアメリカのジムに出稽古に行くにしても、やはり先立つ物が必要になってくる。上記はあくまでも理想であって、とても選手に押し付ける気にはなれないし、できないからといって批判するような権利は自分にはないだろう。

体へのダメージの問題もある。やはり長年試合をしてきた以上、怪我もあれば脳への蓄積ダメージもある。あまり強豪と試合し続けて被弾が増えすぎれば、引退後の生活に悪影響を及ぼすだろう。これ以上の向上が望めないのであれば、早めに見切りをつけることも選手にとっては重要になってくると思う。

私は五味隆典が好きだ。今回の試合は残念だが、世界に挑戦するその姿勢だけでも十二分に価値はあったし、彼のおかげでマイルス・ジュリーへの期待もますます高まった。レジェンドとしての仕事はきっちりと果たしたのだ。ましてや今のライト級は化け物が集合しすぎて、10位以内の層の厚さが尋常ではない。この結末もある程度予想がついていたことなのだ。だから今後の判断に関しては、どれを選ぼうと不満はない。ただもし現役を続行してくれるのならば、これはとても喜ばしいことだ。もう少し彼の試合を見ていたいというのが正直な気持ちだ。しかしそれはあくまでも一ファンの願望に過ぎない。彼の決定を自分は尊重したいと思う。

英雄は西の空に沈みかけ、その輝きが鈍くなり始めているのは否定できない事実だ。寂しいことだ。だがこの寂しい感情もまた大事なものなのだ。心配することはない。東の地平からは新たな日が昇りつつある。この試合でのマイルス・ジュリーを始め、違う階級には火の玉小僧に憧れてこの世界に入った「ウルカ」佐々木佑太や、同大会で劇的なKOを見せた堀口恭司などの若き太陽たちが次々と空を駆け昇ってきている。彼らはあと数年で天に座し、格闘技界を眩く照らしてくれるだろう、かつての「ザ・ファイアーボール・キッド」のように。

時代は移ろう。レジェンドは新星に駆逐される。だがそれでいい、そうでなくてはだめなのだ。スターは輝きを奪い合って、ますますその輝きを増し、舞台をより明るく照らし出すのだから。五味の輝きを奪うことで、今一人の若者が大きく輝くことが出来た。そして五味隆典もまた、多くの選手の輝きをその拳で奪って輝いていたことを忘れてはならないだろう。この残酷な奪い合いこそファンが見たいものであり、これが選手の競技への愛の在り方なのだと私は思う。奪うことを恐れてはならないし、また奪われることを覚悟していなければいけないのだ。これがなければその舞台ごと没落してしまうからだ。

「ザ・ファイアーボール・キッド」五味隆典、敗北を恐れず、誰よりも熱い光を放ちながらMMAの舞台を照らし続けた火の玉は今、沈むか留まるかの岐路に立たされている。黄昏の中で、私はそれをただ眺めているしかできない。だがどのような決断がなされようと、私はそれを尊重して受け入れよう、真っ赤に染まる地平線を見つめながら、私はそう思っている。

ただ、願わくばあと少しだけ、私は彼の輝きを見ていたいのだ。

SAITAMA, JAPAN - SEPTEMBER 20:  Takanori Gomi throws a punch at Myles Jury in their lightweight bout during the UFC Fight Night event inside the Saitama Arena on September 20, 2014 in Saitama, Japan. (Photo by Mitch Viquez/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

12 件のコメント:

  1. どの世界でもかつて活躍した英雄達が姿を消していくというのは起こる事ですが、最近は格闘技においてそれを強く感じます。
    UFCはNo.90くらいから見始め、それまでUFCを知らなかった私はエドガーやGSP、アンデウソンさん等の一目で完璧超人と分かる選手達に驚き、感動していました。また、昔からお気に入りだったショーグンが王者になるなど、UFCはお気に入りのスーパーヒーローが戦うアメコミのような存在でもありました。
    しかし、今では絶対王者や新世代と呼ばれた選手達も敗れ、引退し、世代交代が急速に進んでいます。
    新しいファイターが現れ、見たことも無いような圧倒的強さで活躍する姿はとても面白く、ますますMMAが好きになります。しかし、”僕のヒーロー”達が壊され、姿を消していくというのはやはり悲しく、見たくないものであると最近の試合を見ていて改めて感じました。

    真っ赤に染まる地平線が朝焼けである事を願っています。

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    1. 自分がUFCを見たのもそれくらいからですね。当時はまだ全体的なレベルがそこまででもなかったので、突出した選手がよりわかりやすかったためにスターが生まれたような気がします。レスナーなんてまんまアメコミヒーローの見た目でしたねw

      試合数が増えて選手も皆強くなってくると、以前ほどのカリスマというのが生まれにくくなってる感じはあります。でもあと少ししたら、この中からやはりぶっちぎりで強い奴というのが出てきて新たなヒーローになってくれるはずです。

      大丈夫、きっとまた日は昇るはず、です。夜が長いときはあるかもしれませんがw

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  2. 毎度、関心させられる記事に感銘を受けていましたが、今回は涙なしには読めないほど感動させていただきました。

    『負けてガッカリした』とか『失望した』とかで終わらせず、その敗戦の意義を見出す御意見は正に、ごもっともです。

    個人的には、負けはしても最も可能性が低いだろうと思っていた負け方だったので、非常にショッキングでしたが・・。

    私見ではありますが、ジュリー戦前のインタビューで『年齢的に最後のチャンス』と答えていたので、この敗戦からモチベーションを立て直すだけでも大変な上、更に階級を下げる事に伴う減量を考えると、復帰してもライト級に止まる様な気がします。

    ※ 光岡戦前のトレーニング中に、肋を痛めヒビが入っていたそうで、以後は減量のたびに肋に痛みがひびくそうです。腹斜筋の脂肪が落ち切れていないのは、そのせいかなと推測しています。

    前傾姿勢に関しては、ゴング格闘技のインタビューで『前傾姿勢は基本。前に前に出るスタイルだから』と答えていたので、スタイル・チェンジはないでしょう。

    それらの事を考慮すると、モデル・チェンジは無いのではないかと・・。

    エディさんの提言は甚だ的を射ていると感じますし、自分も同じですが『五味隆典』が『五味隆典』のまま西の地平線へ・・というのも、また彼に相応しい気もしてしまいます。

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    1. 自分としては削り負けて弱ったところで極められるかな、という予想でした。ジュリーの打撃が予想以上によかったですね。

      確かにラストチャンスとは言ってましたので、自分も引退をある程度視野に入れた記事にしましたがどうなんでしょう。私もライトに留まりそうな気はしていますw肋を痛めていたのは初耳でした。そういうのがあると間違いなくトレーニングには響くでしょうから、一概に性格のせいにしてしまうのは失礼かもしれませんね。やはり選手は過酷です。

      性格的にもやはり今から大幅な変更は望めない感じはしますね。確かにあのスタイルのまま、通用しなくなって引退というのが一番らしいのかもしれません。私もそれでもいいのかなと思ってますw

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  3.  自分の席の隣にはアメリカ人グループだったのですが(小さいロイネルソンみたいな人と英語の達者な日本の方と日系アメリカ人の方でした。)
     隣だった日系人の方はかなりのMMAファンでお互いに片言英語と片言日本語で大会中喋りたおしていたのですが、彼の意見にはネタ的なものからかなり資料的に価値があるものだったので忘れないうちに記させてください。
     日本人選手のボクシングはどうしてああなんだ?大振りなことも気になるがなによりもヘッドムーブが少なすぎる!徳留、菊野、国本はほとんど動かしてないじゃないか!!(菊野は昔のほうが強いとも)堀口は別物だねとも。
     あと日本人スクランブル苦手だねとも言っていたので田中対ギョンホは日韓スクランブラーキング対決と付け加えておきました。田中選手のスクランブラーぶりに驚いてましたね。
     中井りんには頑張ってほしいけど岡見のようにアメリカに何度もこないと厳しいとも。あと私が振ろうかどうか迷っていたら「ブライアンキャラウェイはクソだ!」とw
     秋山のことは好きになれない、自分のヒーローだったサクラバにあんなことをしたから。
     メガメグの大ファンとのこと。自分が「ジョシュとは凸凹コンビだね。腹筋的な意味で」と言ったら爆笑。
     五味選手のことは本当に大好き!!アメリカ人のMMA好きはみんなゴミのことが好きだよ!と。
     印象的だったのはこの日系人の方はどの選手にも試合後に惜しみ無い拍手をしていました。嫌いと言っていた秋山にもちゃんとしていました「サダロー柔術ヘタすぎ!ハーフしてるだけじゃねえか。」とも言ってましたがw
     でも、、、五味選手をKOしたジュリーにはギリギリのギリギリまで拍手をしませんでした。最後の最後で絞り出すように小さな拍手をしましたが、、、
     本当に彼にとって五味選手はヒーローなんでしょう。同じ日本人だからではなく本当に五味選手そのものが大好きだったんでしょう。事実他の日本人選手には中々辛口でしたし。

     海の向こうに彼のような熱烈なファンが大勢いるんです。それだけ五味選手はレジェンドであり、スーパースターなんです。
     彼に心ない言葉をぶつけるやつらは陰口叩くだけで脳内麻薬が分泌できる文字通り安い人間なんでしょう。MMAファンでもなんでもなくね。
     今回の会場には堀口や田中といった新星も金原や菊野といったベテランのことも知らないお客さんも大勢いたでしょう。
     でも選手達の頑張りに自然発生した声援は日本人選手だけではなく日本人ファンも一皮剥けたんだと自分には思えましたね。

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    1. 横から失礼します。ムジナさんの観戦記、とても楽しく読ませていただきました。
      日系人の方の対応は、凄く身につまされました。
      貴重なお話、ありがとう御座います。

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    2. 貴重な観戦レポありがとうございます!自分もその輪に加わって格中トークしたかった・・・ただ自分はかなりおしゃべりなので、多分一緒にいたらすっごいウルサイと思いますがwwwどれくらいおしゃべりかというと、このブログの文章量そのままをしゃべると思ってくださいw

      いいファンの方ですね、その日系人の人。私の見方にとても近いです。私はダーティなことをやらない限り、敗北に関しては寛容なので辛口ですが称賛します。試合であまり国籍的なことは関係してこないですね。

      五味さんが負けて罵るってのは自分には理解できないんですよね。強い奴を寄越せと言えばこういうこともあるんですから。全部失うリスクを背負って戦う姿勢というのは、もうボディランゲージの一種だと思ってます。そういうのは表情とか仕草に出ますから、全世界共通で伝わるのだと思ってます。

      以前はプロレス的な見方が主流で、知ってる選手のキャラが好きで応援する、知らない選手の試合は興味ない、知ってる選手が負けたら対戦相手を嫌うみたいなノリがあったように感じてます。キャラ先行というんでしょうか。それは深い愛着を持ちやすい反面、競技そのものへの興味は失いやすいんだと感じてました。応援する姿勢的なものを伝えるのも、このブログを始めた目的の一つだったのです。

      だから、今大会でその日系人の方やムジナさんのような、最高にイカしたファンが増えてきたのは本当にうれしいです。スポーツ観戦の文化みたいのが今までは育ってなかったんでしょうね。そういう意味で、私はちゃんとした視点を提供しないWOWOWの実況解説にはまだ不満を持っていますw今度一回実況解説論みたいなの書こうかしら。永久にWOWOW格闘技さんにフォローしてもらえないでしょうがwwwwww

      まあ偉そうなこと言ってますが、サミングアピールに腹を立てた時にフィリッポウのタトゥーを揶揄して怒られてるので私もあんまり人のことは批判できなかったりするんですがwお互いに気を付けてMMAをイジリつつ応援しましょう!

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    3. 横から失礼します。
      解説論、凄く読んでみたいです!
      以前、チラッと書いたコトがありますが自分も、WOWOWの解説には不満だらけですww
      逆に、FOX での中井祐樹さんの解説は、自分的には、かなり納得していますが・・

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    4. 解説の技術は純粋な格闘技とは離れた話術のカテゴリーになりますので、自分としてはこっちの方がより自信を持って解説できる気がしますw

      こういっちゃなんですが、WOWOWの実況解説はもっと格闘技を面白く魅せる工夫をしてほしいです。私は少なくとも文章で、読んだ人が選手の事を少しでも好きになってくれるように、MMAを楽しめるようにと思って書いています。

      もっとローガンくらい愛情迸るのがいいです。

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    5. 確かに、技術を知っているのと、ソレを伝えるというのは全く別種のスキルが必要ですね。

      ローガン的な解説を是としている点は、意外でした!もっともっと理詰めな解説を求めているのかなーと邪推していたもので・・失礼しました。

      ですが現状、その方向で行くなら浅草キッドの方とか、芸人さんを呼ぶといった発想しかなさそうです。
      嫌いではないですし、五味さんの敗戦に対する最初の一言からして、ちゃっかり競技への想いは深そうですが、どーしても茶化したようなノリを出さざるを得ない点にジレンマを感じます。

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    6. ローガンは色々言われてますし選手からはあいつは素人の癖にとかいわれてますが、実況はとりあえず楽しそうで大好きなオーラを出してくれればまあOKだと思いますwそういう意味で高柳さんはまあ、悪くはないんですよね。西さんのほうが好きですがw

      技術は解説がやる仕事ですので、TKよりは自分は宇野さんなどのほうがいいと思います。茶化せば面白いわけではなく、大事なのは競技に対してワクワクしているのを感じていること、それを表現できることです。

      今はマシになりましたが、以前はクリンチやポジションの奪い合いや間合いの取り合いで、それはまあ退屈ですっていう空気を実況解説が漲らせていた時があったように記憶しています。

      単純に今の実況解説は選手が今何をしていて、何が有効になっていて、選手が何をしようとしているかの説明が乏しいと思っています。

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  4. ひさしぶりにこんな長い文章読んだ

    おもしろかったです

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