2014年4月16日水曜日

UFC Fight night Abu Dhabi 感想と分析 グイダvs川尻

UFCアブダビの感想と分析です。以下は個人的な意見ですので参考程度にどうぞ。

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 11:  (R-L) Clay Guida fights Tatsuya Kawajiri of Japan during their bout during UFC Fight Night 39 at du Arena on April 11, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates.  (Photo by Warren Little/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

画像はUFC® Fight Night Abu Dhabi Event Gallery | UFC ® - Mediaより

フェザー級 5分3R
WIN クレイ・グイダ vs 川尻達也
(ユナニマス・デシジョンによる判定勝利)
fightmetricによるデータはこちら

夢を追う場所、それは現実が突きつけられる場所

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 11:  A general view as Alan Omer fights Jim Alers during their bout during UFC Fight Night 39 at du Arena on April 11, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates.  (Photo by Maxx Wolfson/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

試合開始わずか29秒、アブダビの砂漠に乾いた音が響き渡った。それは夢の砕ける音だったのだろうか?「クラッシャー」川尻達也、日本から夢を追ってきた35歳の格闘家は、冷えた金網の中にうつぶせに倒れていた。「ザ・カーペンター」クレイ・グイダのハンマーを頭部に受けたのだ。

日本格闘技界の「ドリーム」としてMMA最高峰の舞台に挑んだ男に、残酷な現実が立ちはだかった。夢を追う場所、それは一切幻想の無い現実が突きつけられる場所なのだ。等身大の実力が白日の元に晒される。それは残酷な事だ。だがこの残酷さこそが、スポーツにとって一番大事なものであることもまた事実だ。

過酷であるからこそ、そこで勝ち抜いた者は称えられる。敗者の慟哭と屈辱が、腰に巻かれた王者の証を益々輝かせるのだ。

吹き荒れる「ザ・カーペンター」のストーム、煙る勝利への道筋

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 10:  Clay Guida and Tatsuya Kawajiri of Japan face-off after they weigh-in for UFC Fight Night 39 on April 10, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates. UFC Fight Night 39 will take place on April 11 at du Arena featuring Antonio Rodrigo Nogueira and Roy Nelson.  (Photo by Warren Little/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

乾いた大地の上で行われた計量では、どちらの肉体も仕上がりは上々に見えた。川尻は規定通り、グイダはそれよりも1kg多い体重で計量をパスした。その後のステアダウンでグイダはいつものようにワサワサとした動きで川尻に詰め寄って視線を飛ばす。川尻はそれを負けじと睨み返す。川尻の表情と動きに、わずかな苛立ちを感じた。このあたりもグイダはやはり心得ているなと思った。

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 11:  UFC Octagon Girl Carly Baker poses before Clay Guida fights Tatsuya Kawajiri of Japan during UFC Fight Night 39 at du Arena on April 11, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates.  (Photo by Warren Little/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

試合のブザーが鳴ると、グイダはあの大仰な動きで川尻に素早く寄ってくる。過剰に頭を振ると、後ろに縛った長髪がそれにつられて左右に揺れる。以前ほどに鬱陶しくはないが、それでも視線を散らす程度の効果はありそうだ。だがそれはアグレッシブさのアピールだけではない。低めに腰を落としながら、そのフットワークは軽快で前後左右に機敏に動く。さらには膝を柔らかく使って上下に動き、タックルのフェイントも混ぜている。試合巧者のグイダはこういう細かいところでの巧さがある。

対する川尻は同様に腰を低く落とすが、フットワークはあまり見せずにどっしりと構えてグイダの様子を窺う。左ジャブをけん制で出していくが、当たる距離には設定されていない。詰めるグイダにローを放つと、それに合わせてグイダが飛び込んで左フックを被せてくるがこれはガードし、その直後に川尻はバックハンドブローを繰り出していく。外したがそこそこのキレがある攻撃だった。

プレッシャーを掛けつづけるグイダを相手に金網際まで下がった川尻は、今度は互いの拳が当たる距離で左ジャブを突いていく。だがグイダはこれにカウンターで左フックを合わせてきた。川尻はガードしたがタイミングは合っていた。ヒヤリとする。そしてその直後だ。まったく同じ左ジャブを突いた川尻に対し、グイダは狙いすまして今度は右のオーバーハンドを被せてきた。同じタイミングだった。ジャブを突いた左手の外側から飛来した拳に川尻は全く反応できずに直撃を受けると、そのまま川尻は後方に倒れ込んでうつ伏せになってしまう。そこに勝機と見たグイダが飛びついた。

そこから、互いに組みとパワーを武器にしている両者の力比べが始まった。グイダはバックを取ってスラムを狙っていく。川尻は窮地を脱しようとグイダの手首をがっちり握り、ダメージの回復を計りつつ、後方に捻ってのキムラかポジションの変更を探っていく。グイダは何度も歯を食いしばり、その腰を引き抜こうとする。

その壮絶な力比べの最初の軍配は川尻に上がった。揺さぶって引きずり倒そうとしたグイダの動きを利用し、そのまま腕を捻りながら後方に投げると、すぐにトップを取りに来たグイダに今度は下からの逆十字を狙っていく。この仕掛けはかなり巧かっただろう。いい形で入れ、スコアにはサブミッション・アテンプトが加算される。

だがグイダはディフェンスに長けている。がっちりと腕を組んで外れないように固めると、怪力を活かして川尻の体を持ち上げ、そのままマットに突き刺すように叩き落とす。それでも川尻の手は離れない。グイダは密着状態で顔に肘を数度落すと、体を揺さぶって隙間を作った。位置がずれて川尻の足が外れると、グイダはすぐに外れた腕で強烈な横なぎのパウンドを川尻の顔面に落としていった。見事に窮地を脱したグイダは、またしてもバックを取って川尻にのしかかる。

この後グイダは後方から膝を当ててポイントを稼いでいくと、再びキムラの形を作ろうとする川尻を強引に持ち上げ、前方に顔面から落とすようにスラムで叩きつけた。立った川尻のバックからさらに膝を当て、股の下に腕を回してなんとか担ぎ上げようとグイダは力む。歯を何度も食いしばり、腰を沈めるが川尻はなかなか持ち上がらない。そしてシングルを取った形になったグイダに対し、腕をけん制しながらバックから脱した川尻はキムラを外すと、力んで少し消耗したグイダに膝を突き上げ、フックを振り回すグイダを掻い潜ると最高の形でタックルに入った。これはこの試合で川尻の最も有効な攻撃だっただろう。不意を突かれたグイダは防御が間に合わずに腰がすでに起きてしまっている。尻の下でがっちりとクラッチした川尻は、そのままダブルでグイダをぶっこ抜くと反転し、ケージ中央に向けてグイダを万全のスラムで叩きつけた。

上を取られたグイダは、今度はお返しとばかりに下からキムラを狙って川尻の動きを封じようとする。そしてブリッジで川尻をひっくり返すと、川尻はそれに対応してすぐにグイダのバックについた。これはまだ攻める機会がありそうだと思った直後、無情にも1R終了のブザーが鳴る。川尻はグラップリング勝負で有利になりかけたが、残念ながらその流れを絶たれることとなった。

1Rは白熱したグラップリング対決となった。純粋な組みだけならば川尻は互角以上に戦ったが、序盤のダウンとバックを取られた時の打撃数の差、ポジションキープの時間差が大きく、クリーンテイクダウンとSA(サブミッション・アテンプト)を考慮しても1Rは落としただろう。

ブザーが鳴って両者が立ち上がった。しかし無表情で起き上がる川尻に対してグイダは意気揚々と体を起こし、人差し指を立ててカメラにアピールする。さらに軽い足取りでケージを小走りし、セコンドに向かう川尻の前をこれ見よがしに駆け抜けて帰っていった。あれだけ無理に持ち上げようと力みながら、グイダはまだ無尽蔵のスタミナを感じさせていた。そして何よりも相手の頭に血を昇らせ、自分の優位をアピールする抜け目のなさに恐ろしさを感じさせた。

2Rが始まると、1Rと同様の展開になった。開始直後に大きい左フックを狙った川尻は、頭を振りながらジャブの差し合いをしていく。だが互いに当たらない。すると川尻はスイッチをし、ガードが下がったグイダの顔面を狙って左ハイを見舞う。狙いは悪くないが反応されて防御されてしまう。

再び距離が出来た直後、川尻はタックルで飛び込んだ。だが距離が遠い。しっかりと見て防いだグイダは、離脱しようとする川尻に左フックで追撃すると、ハイガードで顔を覆う川尻に高速でタックルを見舞う。グイダの体勢は万全だ。なんとか反応した川尻は金網に背を預けながら、最近普及しだした肘打ちを組み付くグイダの側頭部に落としていく。この攻撃はかなり評価したい。だがグイダは肘を避けて頭を反対側に移すと、肘打ちから腕絡みに変えようとした川尻を強引に引き抜いて尻餅をつかせた。グイダにTDが加算される。膝を抜いてTDをキープしようとするグイダから必死で逃れて立ち上がった川尻は、再びキムラの形を作って立ち上がった。そして1R同様後方に回転するがグイダはすぐに離れて立ち上がる。

この展開でさすがに消耗したグイダは、スタンドに戻った直後に川尻のパンチを数度被弾する。しかし川尻の消耗も激しい。川尻は前に出てプレッシャーを掛け、飛び込んでパンチをまとめて行こうとするがグイダのサークリングであっさりかわされると、すぐに体勢を戻せずに向き直るのが遅れてしまう。それを見たグイダは再びタックルでダイブすると、川尻の体がケージに押し込まれてバウンドする。クラッチを取られた川尻は、再び肘を落としてグイダの側頭部を何度も殴りつけるが、それを堪えたグイダは鬼気迫る表情で何度か揺さぶると、そのまま川尻の体を宙高く持ち上げる。川尻の体がふわりと浮くや、そのまま臀部からマットに一気に叩き落された。

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 11:  (R-L) Clay Guida fights Tatsuya Kawajiri of Japan during their bout during UFC Fight Night 39 at du Arena on April 11, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates.  (Photo by Warren Little/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

腰に深く手を回された川尻は、またしてもバックを取られた状態で立ち上がると、何度目かわからないキムラ狙いに移行する。試合はすでにキムラかスラムかの勝負となっていた。今度は川尻に軍配があがる。強引に腕を捻って後方に転がると、巧く上を取ってあと少しで入るという形まで持っていった。これも惜しかった。SAがポイントとして加算される。だがグイダの膂力は凄まじく、ダメージが余りない状態で押さえ込むのは難しい。グイダはすぐに腕を外すとブリッジで素早く反転し、再び川尻のトップを取って形勢を逆転した。

金網まで這いずって逃げた川尻は立ち上がるが、低い体勢で押し込むグイダの腕を外して体を起こさせることができない。何度もグイダの頭に肘を落とすが、頑丈なグイダは怯んで腕を外してはくれず、しつこく押し込み続けてくる。そしてグイダが肘を警戒して体を低く沈み込ませると、川尻はグイダに覆いかぶさるように腕を回してグイダの股の下でクラッチを組み、そのまま持ち上げてパイルドライバーでグイダを脳天から突き刺した。

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 11:  (L-R) Tatsuya Kawajiri of Japan picks up Clay Guida during their bout during UFC Fight Night 39 at du Arena on April 11, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates.  (Photo by Warren Little/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

そして下からグイダの頭を足でホールドしようとする。しかしグイダはそれを抜けると、互いにポジションの奪い合いが始まった。グイダのセコンドからバックを取れという指示が飛ぶと、グイダは再び川尻のバックを奪って組み付いていく。そして立ち上がろうとする川尻に後ろからパンチを浴びせ、さらには押し込んで膝を川尻の腿にコツコツと当てていった。

2Rはグイダのペースとなった。数度にわたるスラム、そして細かい削りの打撃とポジションキープで差がついている。川尻は肘打ちである程度攻撃するものの、後手に回っていたのは否めないだろう。

3R開始時、ファイティングポーズをとるグイダに笑みが浮かぶ。彼は自身の優位を確信していた。川尻はもはや一本かKO以外では挽回が不可能な状態だった。

グイダは素早く詰め寄ると、1R以上にキレのある動きで川尻を攻めたてる。素早いフットワークで出入りを繰り返してフェイントをかけていく。対する川尻は口を開け、スタミナも厳しくなりつつあった。グイダの出入りに対する反応がかなり遅れ始めており、グイダのフェイントに何度も引っかかってはパンチが空を切っていく。翻弄されていた。体を沈めたグイダが右ハイを狙うと、さらに畳みかけて飛び込んでの左フックを狙っていく。これが軽く当たると、川尻の動きは明らかに焦りが見え始めた。さらに揺さぶってくるグイダは、またしても飛び込んでの左フックを当てていく。

川尻は一発狙いのフックを振り回し、さらにバックハンドブローも繰り出すがきっちりとバックステップをされて当たらない。直後狙ったタックルはタイミングは悪くないが距離が遠い。反応したグイダはがっちりと受け止めると、足を延ばして金網に押し当て、突っ張り棒のようにして川尻の突進を完全に防いでしまった。川尻がその足を狩りに行くが距離は遥かに遠い。横に回って上から完全にがぶったグイダは、金網に押し込む川尻に今度は逆に肘を落とし、掬い上げるようなパウンドを打ち、さらにまた肘を落として川尻の顔を上げさせようとする。川尻は逃すまいとグイダの足を巻き込むが、その状況では自分も攻めを展開することは難しい。何としてでもTDをしたい川尻はこの足の巻き込みに固執し、グイダの肘を浴び、そして時間は刻々と過ぎていった。だがスタンドで勝機が無い以上、もはや川尻には選択肢が無いのだ。

しかしグイダはとうとう足を引き抜いて脱出し、スタンドに戻ってしまう。立ち上がった川尻はこの攻防でガスを大幅にロスしたのは明らかだった。口を開けるのみならず、上体がゆらゆらと前後に揺れて前かがみになりつつあった。膝はよかったが、パンチのハンドスピードがさらに遅くなっている。バックハンドブローもかなりスローになっていた。一発を狙う川尻は、遠い距離からオーバーハンドを振り回すが、これを完全に見切ったグイダは距離を取り、打ち終わりに体が流れる川尻のバックに簡単にはりついてしまう。そして再びスラムとキムラの争いになった。しかし長く続いたこの戦いも、もはや結果が見えつつあった。川尻の消耗が余りにも激しかったからだ。

そしてスラムが勝利した。キムラを諦めた川尻がグイダの首に手を回すと、グイダは深くクラッチを回して引っこ抜き、ケージ中央で思い切り川尻を背中からスラムで叩きつけたのだ。だが川尻には経験がある。彼はグイダの首に手を回し、スラムの隙を狙ってフロントチョークを仕掛けていた。川尻の力であれば狙って損はない仕掛けだ。かなりいい形で入っており、SAが加算されている。だが余力には大きく差があった。グイダは川尻の顔を手で押し退けると、強引にそのロックを外してしまったのだ。そしてお得意のガードでの塩漬け状態から、逃れようと体を捻る川尻のバックを取り、足関節を狙った川尻を華麗な回転でいなして上をキープし続ける。そしてグイダが上を取ったまま、無情にも3R終了のブザーが鳴った。

勝負の結果は明らかだった。それは会場の観客のみならず、選手達自身ももはやはっきりとわかっていたように思う。判定だが、そこには明確な差があったからだ。そして当然ながら、ユナニマス・デシジョンでクレイ・グイダが勝利した。全員が30-27、「クラッシャー」の完敗だった。

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 11:  Tatsuya Kawajiri of Japan reacts after his bout with Clay Guida during UFC Fight Night 39 at du Arena on April 11, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates.  (Photo by Warren Little/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

だがこの試合はFOTNを獲得した。壮絶な打撃戦ではない、手に汗握る力比べとグラップリングに対してこの賞が贈られるのは珍しいことだ。負けはしたが、彼が全力で戦い抜いたことは世界中の人間に伝わったのだ。彼のグラップリングは、それだけ観客を魅了するものだったと考えていいだろう。

MMAは相性の勝負、問われる駆け引きの知恵と戦略の重要性

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 11:  (R-L) Clay Guida kicks Tatsuya Kawajiri of Japan during their bout during UFC Fight Night 39 at du Arena on April 11, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates.  (Photo by Warren Little/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

フェザー級で、組んで引きずり倒して強引に極めるという勝利への流れを構築したクラッシャーだったが、今回はその流れに持ち込むことが出来なかった。グイダが先に先にと仕掛けていき、川尻はその防御に追われるという展開だったように思う。

そうなった理由は大きく分ければ二つだろう。川尻はスタンドでプレッシャーを掛けることができなかったこと、そして機動力に大きな差があったことだ。この二つはまた密接に関係している。

開始直後に被弾したオーバーハンドもさることながら、スタンドではグイダに大きなアドバンテージがあった。それは主にスピードの差だ。フットワークによってスピードに勝るグイダは、常に動いて出入りを繰り返して川尻を翻弄していった。それはタックルのフェイントも混ぜるかなり厄介なものだった。川尻の攻撃にはきっちりと足を使って距離を取り、その打ち終わりをカウンターのパンチやタックルで狙っていった。グイダが川尻の打撃やタックルに反応できるのも、常に足を使って距離を維持しているからだ。

対する川尻にはこの機動力が無かった。相手の動きに反応して足を使って逃げるというのが出来ていないために、飛び込まれた際にハイガードなどで顔を覆うことが多かった。そして当然距離が取れなければタックルは切れない。打撃を打ってガードをさせて、そこに突っ込んで押し倒す。MMAレスリングの第一人者、チェール・ソネンが最も得意とする戦法だ。これで川尻は何度も不利な体勢で押し込まれ、そしてTDされ、バックを取られていった。

また川尻は全体的に反応速度に差があった。消耗してからそれは顕著で、グイダが何度も川尻のタックルをがぶって切っていたのに対して、川尻は反応が遅れてほとんど切れずに押し込まれていた。バックにもあっさり回られすぎており、反応速度の遅さ、そしてスピードの差が随所で川尻を不利に追い込んでいたと思う。それもやはり目の良さだけではなく、足を使って距離を維持できないことが大きいように思う。

純粋に組みの攻防だけならば、川尻はグイダを相手に負けていたとは思わない。SAは3回カウントされているし、キムラの狙い自体も悪くはなかった。またグイダ相手に力比べでは負けておらず、何度か競り勝つ場面もあったからだ。川尻が先に組んでいける展開を作れれば、勝てない相手ではないのだ。

しかしその展開を作るために必要なものが無かった、というのが敗因なのだと思う。今回の試合で、恐らく一度も胴の差し合いにはなっていないはずだ。これはグイダ側が明確に避ける戦略を立てていた可能性が高い。日本人は差し合いでの攻防が非常に強い。それは岡見勇信、日沖発なども同様だ。だからこそ、グイダは超低空のタックルを多用してそのクリンチを避けて勝負してきたのだ。

今のMMAでは、TDの選択肢を持つものがスタンドでも優位になることが多い。純粋なストライキングで不利であっても、TDの選択肢があればそれは覆すことが出来る。TDの脅威があれば、相手はストライキングに集中することができずにディフェンスが散漫になるからだ。それが最もはっきりとわかるのはケイン・ヴェラスケスとジュニオール・ドス・サントスの試合だろう。

だが双方にTDの選択肢があった場合、どこで決着がつくだろうか?むしろ互いがグラップリングを得意とする場合にこそ、ストライキングの差が勝負を決するのだ。打撃のプレッシャーがあるほうに、相手に打撃かTDかの選択肢を迫る権利が与えられるのだ。そして今回、その権利がグイダに与えられ、川尻は二択を迫られることとなった。

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 11:  (L-R) Clay Guida points towards Tatsuya Kawajiri of Japan after Guida wins their bout by unanimous decision during UFC Fight Night 39 at du Arena on April 11, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates.  (Photo by Warren Little/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

また川尻の問題点として、やはり打撃と組みがバラバラなのも大きいだろう。今回左ジャブをけん制に多用したまではよかったと思う。しかしそれが非常に単調であることと、そこから自分の土俵であるクリンチに持ち込む連携がなかったことが気になった。あくまでクリンチに持ち込んでTDをするならば、それこそもっと思い切りスピーディに飛び込んで左ジャブを打ち、そのままの勢いで雪崩れ込んでタックルに行くべきだと私は思うからだ。それはケイン・ヴェラスケス、チェール・ソネンを始め、グラウンド&パウンドを武器とする選手の基本的な打撃と組みの連携だ。そうすれば懸念のある打撃のディフェンスのほうも多少なりともカバーできるだろう。

良かった点ももちろんある。まず彼の極めの強さというか、組みでの勝負への嗅覚は非常に優れていると思う。3度のSAは、どれも形としてはかなりよかったし、実際もうすこしで極まりそうな気配はあったからだ。もちろんバックを易々と取られたがための苦肉の策ではあるが、それでも決して悪い判断ではなかっただろう。このセンスの良さがFOTNに繋がったのは間違いない。

次に最新MMAの研究をそれなりにしていた点だ。押し込まれてからの肘打ちは、トラヴィス・ブラウンがジョシュ・バーネットをKOしたことで一気に普及した技だが、こういうものを積極的に取り入れているのは素晴らしいと思う。グイダは目尻から出血していた。川尻の力ならばこういう攻撃は非常に有効となるだろう。奇策としてのバックハンドブローも、3Rの消耗したときのを除けば悪くはないと思う。

またダウンを取られた後に、回復して最後まで戦い抜けたタフさも評価するべきだろう。倒れ方を見ても、ダメージは少なからずあったはずだ。それでも完全な防戦一方にはならず、要所で攻め返すだけの意地を見せたのはとても好印象だった。昔に比べて、今の川尻達也はずっとタフで腹が据わるようになったと思う。

そして一番優れていた点が、やはり力ではグイダを相手に負けていなかった点だ。何度か引っこ抜かれたが、それは力負けというよりも体勢の悪さ、その前段階のタックルへの反応の悪さが原因であって、力勝負であそこまでグイダを相手に戦えるのは日本人では破格だろう。互いに歯を食いしばっての力比べは、見ているこちらまで全身に力が入るほどに白熱した。後半は負けていたが、1Rでは川尻の方が若干有利ですらあったのではないだろうか。

では川尻はどうすれば勝てたのだろうか?とにかく今回は後手に回ったことがすべてだ。彼は挑戦者の立場だったはずだ。そして打撃がいまいちなことは本人も自覚していた。それならば、相手に打撃をガードさせてそこに突っ込むソネン戦法が一番よかったのではないかと思う。もちろんグイダの機動力を前にそれをやるのはかなり厳しいだろうが、それでも足を止めて中途半端な距離でジャブの差し合いをするよりはよかったのではないだろうか。自分から組んで攻めて脇を差すことができれば、また違った展開になっていただろう。

遠のく夢、これから待つ本当の地獄とは

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 11:  A general view of the Octogon before UFC Fight Night 39 at du Arena on April 11, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates.  (Photo by Warren Little/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

川尻達也は敗北した。アブダビでの戦いの夜は過ぎ去った。日本中の期待を背負った彼は、今失意の底にいるはずだ。その屈辱は計り知れない。彼の等身大の実力が明らかになった今、彼の王座到達への可能性を絶望視する人も多いだろう。彼は地獄の底に叩き落された気分かもしれない。

だが本当に辛いのはここからだ。絶望的かもしれないと知ってなお、それでも頂点を目指して前に踏み出すことが彼には求められるからだ。次はグイダよりも格下があてがわれるだろう。それに勝てば彼は再びグイダと同じかそれ以上の相手と戦い、そして負ければさらに格下と戦うことになる。そうして川尻達也という男の実力は一切の虚飾なく定められていくことになるのだ。

その道は果てしなく険しい。熱烈なファンは彼にまだいけるのだと無邪気に声援を飛ばすだろうし、心無い連中は絶望しただの見限っただのと言って彼の挑戦を嘲笑うだろう。それはどちらもクラッシャーの肩に重くのしかかっていく。

だが格闘技中毒、略して格中の私が一番見たいものこそその過程なのだ。様々な相手と勝ったり負けたりを繰り返し、その選手の全てが余すところなく明らかになることこそ、私が一番面白いと感じる部分なのだ。そしてその過程を楽しむからこそ、成長や勝利が一際嬉しく感じられると私は思っている。

そしてこの地獄の過程を乗り越えてきたものに、私は称賛を惜しまない。岡見勇信、そして水垣偉弥を素晴らしいと思うのは、彼らがこの地獄を踏破してきたアスリートだからだ。

岡見勇信は早くからUFCに参戦し、そこで多くの敗北を経験してきた。しかし彼は敗北を経験するたびに、それを糧に確実に歩を進めていったのだ。リッチ・フランクリンに負けてフィジカルの重要性に気づいた彼は日本人では破格の肉体を創り上げた。そしてチェール・ソネンのMMAレスリングに敗れた彼は、その有用性に気づいて即座に彼の元に出向いて教えを乞うた。そして彼はマーク・ムニョス、ネイサン・マーコート、ヘクター・ロンバートといったフィジカルと組みに優れた連中を撃破したのだ。その後UFCをリリースされ、WSOFに参戦した今も岡見はUFCの頂点を決して諦めてはいない。

水垣偉弥も同様だ。彼も早くからWECに参戦し、そこで一進一退のキャリアを積み上げていった。中堅に勝っては上位に負け、をオセロのように繰り返していった彼は、その過程で確実に技術を積み上げていく。肉体は力強さとスピードを増していき、フットワークはどんどんと磨きがかかり、そのパンチの技術はもはや外国人選手を相手にまったく殴り負けしないまでに進化した。そして今や彼はあのUFCで4連勝を記録し、先日はとうとうランキング7位になり、トップ・コンテンダーとなったTJ・ディラショーとの対戦まで獲得していたのだ。これはディラショーが急遽タイトル挑戦者に格上げになったことで流れたが、彼も地獄を乗り越えてここまで辿り着いたのだ。

たとえ判定だろうと、スプリットの僅差だろうと、この戦場で勝ち抜くことがどれだけ大変な事なのか。川尻達也の敗北で、それが改めて感じられたのではないかと思う。岡見、水垣ともに負けるたびに失望され、どうせもう頂点など無理なのだと何度も言われてきた。所詮日本人なんかには、という悪意のある言葉を私は何度も見たり聞いたりしてきた。

だが私は以前の川尻達也の感想と分析で書いたはずだ。彼がスターティング・ブロックを蹴った以上、私は彼がその走りをやめるまで見届けるつもりだと。勝ち負けはもちろん重要だ。勝てば嬉しいし、負ければ残念だなと思う。だがそれで選手を嫌いになることはまずないのだ。負けたから選手を見限るなどという奴は、選手やMMAが好きなのではなく、結果を残して称賛される奴の勝ち馬に乗りたいだけのクソ野郎だと思っている。私は選手の価値をたかが一戦の結果で決めるつもりはない。その選手がどこで、誰を相手に戦い、その中で何を考え、どう行動するかで決めるのだ。敗北を糧に立ちふさがる壁を踏破する人間の足掻きこそ、私が一番魅力を感じるものなのだ。

この世で一番強いのは、地獄の淵で踊る馬鹿

ABU DHABI, UNITED ARAB EMIRATES - APRIL 10:  Tatsuya Kawajiri of Japan poses as he weighs-in for UFC Fight Night 39 on April 10, 2014 in Abu Dhabi, United Arab Emirates. UFC Fight Night 39 will take place on April 11 at du Arena featuring Antonio Rodrigo Nogueira and Roy Nelson.  (Photo by Warren Little/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)

クラッシャーの前には無限の選択肢がある。もうダメだとリタイアすることもできるし、ケツをまくってUFCという戦場から逃げ出して、アマチュア同然の連中を相手に小銭稼ぎをすることだってできるだろう。言い訳もいくらだってある。年齢、怪我、環境、才能、家族、彼にはそれらを口にする自由がある。

だからこそ、彼の本当の価値はここで決まるのだ。川尻達也の本当の戦いは、負けて金網から降りた今始まったのだ。彼の背中には今もなお、日本中の格闘技ファンの目が向けられている。彼の一挙手一投足が見られている。この痛恨の敗北を前に、川尻達也は何を考え、何を選び、そしてどう行動するのか。私が彼を好きでいるか嫌いになるかは、ここで決定されることとなる。

彼はすでに35歳、これが最後の挑戦であることは本人も自覚している。そして今回の試合によって、彼には何があり、何が無いのかもほぼ全て明らかになった。頂点を勝ち取るには、もはや普通のやり方では難しいだろう。彼はすべてを根本から変化させるような大改革を行う必要があるかもしれない。そしてその判断次第で、彼の残りのキャリアは全く異なったものとなるだろう。

人の本当の価値は、絶望の淵に立たされた時に明らかになる。地獄の淵でなお馬鹿でいられるものこそが、真に強い人間なのだ。家をハリケーンで失い、ホームレス同然の状態になりながらも王座挑戦を諦めることすら考えなかった現ミドル級王者、クリス・ワイドマンのように。

馬鹿になれ、彼には今こそあの言葉を思い出して欲しいと願っている。誰もが諦めるような状況の中で、それでも諦めずに挑み続ける馬鹿こそが、この世で一番カッコいい生き様なのだ、私はそう信じている。

「ドリーム」は、まだ終わらせてはならないのだ。

12 件のコメント:

  1. 自分は今回の試合を視聴していないのですがネットでは視聴した人の
    「やはりコンテンダークラスには通用しない」という意見と
    「今回負けはしたが修正すればまだまだ」という意見に二分されていて一体どっちなんだという感じでしたが、そういう事だったんですね

    そしてエディ様の
    「俺は勝者/敗者の涙が見たいんだ」
    という言葉は突き刺さりました
    自分達はKOや一本勝ちじゃなくちゃつまんないという人達より
    更に残酷な趣向の持主かもですね

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    1. 確かに流行り廃りに左右される人のほうがまだマシなところもあるかもしれませんねw格中は業が深いのです。

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  2. 朝の4時から観ている側も力のこもる好試合でしたね。
    思い入れのある選手の試合は楽しみなんですが、同時に観ているこちらまで心身の消耗があってしんどいです。

    試合内容としてはバックを取られる時間が長過ぎた印象です。腕のロックを外すのに苦労していましたが、ヘンドおじさんなんかはあっさりと外すイメージがあるので、この辺はレスリングテクニックなんでしょうか。仕掛ける側の技量にもよるとは思いますが。

    「力を発揮できないまま負ける」という最悪の結末では無かったですが、「実力を出し切って負けた」事を川尻選手が希望と絶望のどちらで受け止めるのかを私も見守り、そして挑戦を続ける限りこちらも応援し続けます。

    余談ですが「フサークリング」は修正されたんですね、最初読んだ時は上手い事言うなと感心してました。グイダ以外だとベンヘンもフサークリング使いですねw

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    1. 好きな選手の試合はたまに見たくない時すらありますよね。負けるのが怖すぎてw見終わった後の疲労感がすさまじいですが、それくらい夢中になれるのがあるというのはいいことです。

      そうですね、全部出し切って判定で負けたというのは、もしかしたら悪いことだったかもしれません。でも私は下手に希望が残るより、明確に何が足りなくて負けたのか早い段階ではっきりしただけよかったと思っています。

      フサークリング、偶然ながら的を射た表現で自分もちょっと笑ってしまいました。今だと一番のフサークリングは確かにベンヘンですw今回グイダは縛ってたからあんまりフサってなかったのでレベルが落ちましたね。

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  3.  自分はUFCで連勝中だったイーブスエドワースに勝ったときから川尻達也が好きです。wowowでUFCをずっと見続けている自分はエドワースを一方的に押さえ込むこのマッチョな日本人に驚かされました。でも世間の評価は膠着ときたもんだ。エドワースがどれだけ危険なストライカーか知らんのかと腹をたてたもんです。
     ブスカペやトムソンに組勝てたのは彼が地道にフィジカルとグラップリングを磨き続けたからです。
     その磨き続けた武器は世界最高峰の舞台の常連にも通じました。自分はグイダと戦えて良かったと思います。だって少しでも若い内に長所と課題が分かったんですから。ダウンの応酬の末での敗北では遠回りしてしまい、修正の機会を彼から奪ってしまったかもしれない。

     正真正銘の世界9位と真っ向勝負したんです。2、3キロ刻みで常に四人、へたすりゃ暫定だなんだでそれ以上の世界王者がいるのにすぐに階級を上げるだ、下げるだで最強の王者と戦わない王者(物凄く矛盾した言葉ですね、自分で言ってて。)が大勢いるスポーツよりも、この観戦者に多くの知識を要求する新興スポーツが私は大好きであり、その頂点に挑む偉大なる馬鹿者達には憧れと尊敬の気持ちしかありません。
     よく日本人は身体能力が云々と言う輩がいますが、自分はこの決まり文句に逆差別的なものを感じます。日本人が外国人に勝つ=努力をしたからってことになりますよね?戦火の中育った外国人よりも、食うや食わずやで育った外国人よりも日本人が努力している?オリンピックで日本人がメダルをとれるのは全て外国人よりも努力したから?
     本当にこの論調は大嫌いですね。何も短距離走やヘビー級ボクシングで日本人が劣っていないと言いたい訳ではなく、同じ体格で競いあう以上それは個人の資質と努力の問題であり、紋切り型の日本人云々は外国人にも努力している日本人にも失礼です。

     フランキーエドガーと同等の練習をしたのに勝てない。その上で人種を引き合いにだしてほしいですね。
     日本人が苦戦しているのは技術、フィジカル、戦術を指導できる指導者の数が圧倒的に足りず、指導者達の勉強と情熱が不足している!これが理由ですよ。長南亮のように常に指導者としての成長を心がけている指導者が増えることを望みます。


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    1. 人種云々はよく聞くんですが、そもそも日本人はレスリングと柔道はめちゃくちゃ強いんですよね。だから肉体的に劣るってことも同階級であれば無いと思ってますし、MMAだけ例外ってことも無いと思ってます。

      さらに殴り合いも日本人は向いてないと言うんですが、ボクシングであれだけ王者がいるわけですから打撃においても人種的なハンデなんてそんなにないだろうと思ってます。そういう差別的な発言をしたり顔で言う人たちは何が目的なんでしょうね?誰も得しない事を言うくらいなら口を閉じていてほしいものです。

      指導者不足はそうなんだろうと思います。アメリカみたいに一か所のジムに各分野のトレーナーがいるような状況ではないのはかなりハンデなのかなあと推測しています。各専門技術も、トレーナー同士で協力してMMAにアジャストさせる必要があると思うからです。ジム側でそれをやってくれれば選手は習うだけですが、ボクシングはボクシングジム、柔術は柔術、キックはキックでばらばらに稽古に行けば、それを選手が自力でやらなければいけなくなり、かなりの負担になるような気がします。

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  4. はじめて投稿します。
    いつも熱い記事を楽しませていただいております。

    今回の記事を読んで、「プロは過程で魅せる」という言葉を再度考えさせられました。私も土壇場における選手の表情や人間味を観るのが好きですが、それは選手や携わってる方々が真剣だからこそ映えるのでしょうね。

    そういう点で、あれだけ食い下がった川尻選手もそうですが、その川尻選手相手に徹底していたグイダ選手にも動かされるものがありました。この2人のこの戦いがFotNになるのも納得ですし、エディさんの記事も含めて、これからも楽しめそうです。

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    1. 実はグイダ側の論評を忘れてしまったのですが、グイダは本当に巧い選手です。ポイントの取り方を知っています。どの分野でも互角で、かつどこかで上回らなければグイダを倒すことは難しいと思います。そういう意味ではグイダもまた優秀なゲートキーパーです。

      ある程度レスリングが出来れば、打撃はグイダはそこまででもないのでそこで勝つことが出来ます。そういう意味で日沖さんは惜しかったですね。打撃では勝ってましたので。グイダを相手にレスリングで完全に上回るのは、フェザーでできそうな人はほぼいないのではないでしょうか。

      結果はもちろん大事ですが、そこにだけ注目したらやっぱり本当の面白さはわかりません。それはただの数字だからです。その数字が生まれる過程があって、それを知って初めて数字の価値がわかるのだと思います。

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  5. >それこそもっと思い切りスピーディに飛び込んで左ジャブを打ち、そのままの勢いで雪崩れ込んでタックルに行くべきだと私は思うからだ。

    同感です。
    私も同じように感じていました。
    組みと押し込みの強さを生かすには、打撃の距離をキープせず前に前に出て組み付いていく。
    そして金網に押し付けてテイクダウンして上から削る。
    打撃と機動力で下回っていても、可能な戦略だったと思います。

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    1. 足を止めて様子を見て打ち合うのはよくなかったですね。先に脇を差して押し込める展開を作れればもっといい線いったと思ってます。川尻選手は前回今回と削る技術をきちんと磨いているので、そこを最大限活かせればかなり良さげです。次の試合を楽しみに待ちましょうw

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  6. http://kakuchu.blogspot.jp/2013/08/blog-post.html
    いよいよ今週末にジョー・エレンバーガーがUFC出陣ですね!

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    1. とうとうお兄さんが参戦ですよ!難病を乗り越えてよくぞここまでと感動しました。心配ではありますが、それでも彼が戦うと決めた以上全力で応援します。これがジェイクにもプラスに働くといいですね。兄弟ダブル王者の夢を追ってほしいです。

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