画像はUFC 175 大会フォトギャラリー | UFC ® - Mediaより
ミドル級タイトルマッチ 5分5R
WIN 王者クリス・ワイドマン vs 挑戦者リョート・マチダ
(ユナニマス・デシジョンによる判定勝利)
DETAILS 49 - 46. 49 - 45. 48 - 47
fightmetricによるデータはこちら
王者、龍の逆鱗に触れる
褐色の肌が踊り狂った。右の逆突き、左膝、右膝、左のかち上げる縦肘、右肘、そしてなりふり構わぬ頭を抱え込んでの右フック・・・いや、あれはもう技ではないだろう。龍の子は相手に絡みつくと、ただひたすらに相手の頭を右の拳で叩きつけた。何度も、何度も、龍は己の体に残った全ての力を出し尽くして襲い掛かった。そこにはこれまでの、冷静で凛とした美しい龍の姿はなかった。命を燃やして食らいつく獣の姿があるだけだった。血に染まる顔に鬼神の表情を浮かべ、龍は狂ったように勇者の喉笛に牙を突き立てた。
吹き荒れる嵐が過ぎ去った時、もはや立つ者はいないはずだった。龍の逆鱗に触れた人間が生き延びることは不可能だからだ。龍は力を使い尽くし、拘束を解いてゆっくりと後ろに下がった。
だが勇者は立ち続けていた。そして龍を睨みつけると、微かな笑いを浮かべて手招きする。どうした、来いよ?俺を殺すんだろう?そして二人の死闘には似つかわしくない、間の抜けたブザーの音が鳴り響いた。
龍は、王座に届かなかったのだ。
「ザ・ドラゴン」リョート・マチダ、日本人空手家の父を持つ日系2世のブラジル人は、あらゆる格闘技の坩堝と化した金網の中で「空手」という刀を携えて世界の頂点に挑んだ。その刃は煌めくや神速で振りぬかれ、王者の首に間違いなく触れていた。その首から血が滲んでいたのを私は確かに見た。
しかし龍の首にもまた、鍛え上げられたソードが突き刺さっていたのだ。両雄は互いの喉元に剣を突き立ててもつれ込んだ。そしてわずかに深くその刃を突き刺したのは、「オールアメリカン」クリス・ワイドマンだった。金色に輝く王者の証は、まだ勇者の腰を離れるつもりはないようだ。
OFGに宿る武人の魂、金網に息づく戦場の心得
リョート・マチダの全身は鍛え上げた鋼の刃だ。鋭利で強く、そして美しい。彼はミドル級に落としたことで、間違いなくパフォーマンスが向上している。彼の肉体は絞り込まれ、龍が望む時に望むだけの熱量を提供する。これが36歳の肉体のキレとは思えない。以前は少し肉がついて幼く見えた顔貌も、今やすっかり頬がこけて精悍になり、褐色の肌と無精ひげがそれに凄みを与えている。山籠もりからオクタゴンに直行していると言われれば私は恐らく信じるだろう。彼の容貌は文献を見て想像する古の武人そのものだ。
彼の戦い方は戦場の心得に基づいている。相手が何をしてくるか、何を持っているかもわからない。そういう前提に立つとき、あらゆる事態に備えるために距離を取り、不用意に近づかず、隙あらば一気に飛び込んで一撃離脱をする戦い方になる。そして様々な心理戦を仕掛けて相手を動かし、敵の動きを見て後の先を取って仕留める。このスタイルは距離が遠く、攻撃手段が多彩なMMAと非常に相性が良かった。彼はこの戦い方によってMMAという戦場で生き延び、36歳の今もなおトップコンテンダーとしてあり続けている。彼のOFGには、武人の魂が宿っているのだ。
試合が始まると、リョートはいつものように慎重に相手の出方を窺い続けた。細かく蹴りで削るワイドマンの攻撃を捌きながら足を使って距離を保ち、そして確実に攻撃を叩き込むタイミングを計り続けた。有効な攻撃は左のミドル、そしてローキックに合わせた強烈な左ストレートだ。このミドルとストレートは序盤からワイドマンを捉え、彼の体を徐々に蝕んでいった。
3R、マチダに危機が訪れる。2RにTDされ、3Rでもタックルを受けて倒されたことでリョートのディフェンスが揺らいだのだ。ワイドマンのパンチを被弾して額を割られ、さらに一瞬ぐらつく様子も見せると再びタックルで倒される。彼は上を取られパウンドで削られていく。立とうとするもスラムで叩きつけられてまたグラウンドで削られる。
3R終了時、肩で息をする龍はセコンドの場所を探して当たりを見回していた。明らかに効いている。椅子に座るマチダの顔は血に染まり、ダメージは深そうだ。このままマチダは負けるかもしれない、自分はそう思っていた。しかし押していたように見えたワイドマンもまたいつのまにか負傷していた。左目尻が腫れている。龍は劣勢になりつつある中で、わずか一瞬の隙を突いて肘でカウンターを当てていたのだ。あまりのカウンター技術と神速に、自分はその攻撃をまったく見落としていた。そう、龍は押されている時にも決してただやられてはいなかった。可能な限りカウンターを合わせてワイドマンにダメージを与えていたのだ。
そして4Rに龍はとうとう牙を剥く。開始50秒、リョートがハイに次いで左ミドルを叩き込むと、これが乾いた音を立ててワイドマンの右わき腹にめり込んだ。弾け飛ぶようにリョートの足が元に戻る。その直後、ワイドマンは両手を微かに動かしてもっと来いよ、と挑発して一気に前進した。ミドルが効いたのだろう。ポーカーフェイスのワイドマンの表情が心なしか険しくなり、目の窪みに影が落ちる。
龍は再び左ミドルを打つとこれはガードされたが、王者がミドルを警戒してガードの下がったところに右アッパーからの左ストレートというコンビネーションを歯を食いしばって叩き込む。
これ以上スタンドを続けると危ういと察知した王者はタックルにトライする。だがこれはプレッシャーに気圧されての失策だった。マチダはこれを読んで膝を合わせに行き、失敗するもすぐに対応してワイドマンにTDを許さない。立ち上がって金網に体重を預けた時点でこのトライは失敗だった。だがワイドマンはここで無駄に粘ったのだ。ただでさえボディを効かされていたワイドマンのガスが、ここで力んだためにガスタンクから一気に流れ出した。
立ち上がった王者の上体がぐらぐらと揺れている。マチダも疲れていたが、王者の疲弊の方が激しかった。疲労で鈍った王者の体はガードをさぼり始めていた。龍はこの隙を見逃さない。手を突きだしながら不用意に近づいた王者に対して袈裟切り一閃、左のオーバーハンドで王者の顎を切り裂いたのだ。王者の体がぐらりと前のめりに揺れると、彼は本能で右のアッパーを返してマチダを懐から追い出した。恐らく意識はわずかに飛んでいただろう。だがあまりにもタフなワイドマンの肉体はバランスを失わない。表情が少しぼんやりしていたので脳が揺れていたのは確実だろうが、強靭な首の恩恵か彼にはあまりダメージがあるように見えなかった。
龍はここが勝機と見たのだろう。さらに前進しながらの突きラッシュでワイドマンに追撃を掛ける。この技は空手家であるマチダの十八番だ。ワイドマンは被弾しながら金網際に追い詰められた。ワイドマンがスリッピングアウェイを駆使して辛うじて横に逃れた瞬間だ。彼は間違いなくダメージがあった、そして危機的状況に陥っていたはずだ。
しかし彼はわずかに手を上げると、次に選択した行動はガードでもパンチでもなかった。恐怖をどこかに置き忘れてきた男はこの瞬間、なんと挑発を選択したのだ!どうした、もう終わりか?俺はまだ立ってるぞ?さあ打って来いよドラゴン・キッド!
龍は挑発に乗ってさらに打ち込んだ。だがワイドマンはボディワークでそれを軽々とかわす。おかしいことに気づいたマチダは後ろに下がって呼吸を整えた。会場は大歓声、実況はマチダの勝機であると興奮して叫ぶ。確かにチャンスだった。だがワイドマンはこの瞬間、私たちが思っている以上に余裕があったし危機でもなかったのではないか、と私は思っている。真実を知っていたのは恐らく、対峙していた龍の化身だけだっただろう。
龍のスタミナもまた危うい。そこにワイドマンは細かくパンチを当てて返していく。仕留めようと欲を出したマチダは距離が近くなっていたのだ。龍は金色に輝く宝物を渇望して攻め続けた。だがこの時、二人のガス残量は入れ替わりつつあったのだと思う。龍は攻めるが決定打が出ない、そして勇者は息を整えながらパンチを当て、そしてミドルを防いで少しずつガスを取り戻す。勝機を逃したことで、天秤は再び王者に傾きつつあった。ダブルレッグを凌いだマチダは残り10秒、片手をついての変則蹴りを狙うも外し、立ち上がったところに今度はワイドマンがフライング・ニーを見舞う。
そんなものが効くかとばかりに両手を広げてリズミカルに腰を躍らせた龍はラスト1秒、ワイドマンに強烈な左フックを浴びせて4Rを終了した。
二人は地獄に片足を踏み入れながら5Rを開始した。リョートは舌を出しながら手を合わせて闘いに臨む。彼はどこか楽しげだ。だが体は限界に近付いていた。リョートは残る力で突きラッシュを仕掛け、蹴りのフェイントで揺さぶりをかける。だがワイドマンはラッシュを落ち着いて捌き、表情はピクリとも動かない。前蹴りを受けても、被せるような左のパンチを受けても何事もなかったかのようだ。
そこにワイドマンがタックルを仕掛けた。マチダは全力で食い止める。だが組みになれば体力の消費が激しいのはマチダの方だ。全体重を掛けて押し返そうと体を斜めにしたマチダを、王者はその体勢のまま金網の方へ押し込んでいく。もはや重機だ。マチダは素早く体を引くと王者を前に転ばせ、体勢の崩れたワイドマンをフックで殴りつけていく。だがワイドマンはガードを固めてそれを防ぎ、さらに肘で反撃して首相撲で相手を抑え込むと、体力の消耗が激しいマチダはそれを嫌って離脱する。
マチダのガスはこの攻防で底をついた。本来距離を取って戦うはずのマチダが、自分からクリンチを選択して不用意に近づいたことからもそれがわかる。ワイドマンはそれを捕まえるとタイクリンチから膝を2発食らわせる。離れたマチダは上体を反らせ、喘ぐように息をした。
王者はこれを見逃さなかった。ぐらつきながら下がる龍に飛び込んでの右フックを打ち込む。
マチダは下がりながらコミカルに首を振り、効いていないと盟友アンデウソン・シウバのようにおどけて見せた。だがそのアピールは王者にとっては絶好の機会到来を伝える合図となる。彼は自分が危機であることを王者にわざわざ教えてしまったのだ。
その合図を受けて王者は反撃を開始した。組み付いてから肘を畳み込むように眉間に突き刺し、左ハイからの右フックでマチダの顔面を捉えた。これが龍の逆鱗に触れたのだろう。マチダは下唇を噛みしめると、鬼気迫る表情で顔面を突き出してワイドマンに迫り、狂ったようにフックを振り回し始めた。もはや伝統派空手の遠い間合いなど存在しない。リョートは自分から前に出て組み付き、その中でもがく様に腕を振り回して無理やりに突きをねじ込もうとした。二人は互いの喉元を掴みながら膠着する。それはもはや格闘家でもアスリートでもない、誇り高き二匹の獣が本能のままに戦う姿だった。
しかし王者は冷静さを保ち、ガスを何とか取り戻していた。もはやフットワークが機能しないマチダが組みに来たところを首相撲からの膝で顎をかちあげる。マチダの顔面が宙を仰ぐと、そこにワイドマンが渾身の右肘を放った。ガキっという硬質な音が響くや、マチダの目が一瞬飛んで全身がガタガタと動く。意識を失って倒れ込もうとする体を精神が全力で引き留めているのだ。さらに必死に前に出たリョートに王者がカウンターの左フックを叩き込むと、リョートの大振りなフックが空を切る。先の肘でマチダの左目の下からは血が滲んでいた。
この窮地になおも前に出るリョートに、万全のタイミングで王者がレッグダイブした。龍は為すすべなく大地に組み伏せられる。龍はいいポジションを奪われ、強烈な肘やパウンドで削られ続けた。
それでも龍は諦めない。彼は満身創痍で大地から這い出すと、しつこく縋り付く王者に怒気に満ちた肘鉄を振り回して払いのけた。彼はまだ戦う気なのだ。
残り時間は30秒を切っていた。龍は最後の力を振り絞って王者の喉笛に飛びついた。そのラッシュには、彼が全人生を費やして学び続けた空手の全てがあった。勇気ある素早い飛び込みにはじまり突き、膝、肘、そして最後の最後まで戦い抜く覚悟があった。あの数秒は数十年に及ぶ彼の空手道の集大成だった。勝つために己の全てを叩き売り、彼の手元には何一つ残らなかった。
そして王者はその全てを耐えた。もっと攻めて来いよ、王者は物足りなそうに挑発し、ノーガードでマチダにズカズカと歩み寄る。しかし龍にはもはや飛びかかる余力はなかった。龍は王者を仕留めきれなかったのだ。
こうして二人の死闘は幕を閉じた。二人の手元には何一つ残らない、全てを出し切った最高の戦いだったと思う。
武道とスポーツの狭間に立つ龍の急所
判定はユナニマスで王者が勝利した。自分は49-46で王者勝利と採点した。恐らく一番判定が難しいのは1Rだろう。自分は手数差、攻勢、そしてマチダの得意手を防いでいたことを考慮して王者に付けた。互いがすべてを出し尽くしたうえで、判定で納得の行く結果が出たという点で非常に素晴らしい勝負だっただろう。負けたリョートも、勝ったワイドマンも株を上げる理想的な試合だった。
特にこの試合で株を上げたのはリョートだろう。これまで彼は度々消極的であるとして批判されてきた。だが今回彼が魅せた熱い攻めと剥きだしの闘争心は、そうしたリョートのマイナスイメージを払しょくするものだったからだ。
彼のカウンタースタイルは相手が攻めてくれれば噛みあうが、相手も自分と同じくらい慎重に戦った場合にほとんど決め手が無いままに判定になってしまうことがある。そしてその場合、試合は絶望的に退屈になり、さらに彼のスタイルは圧倒的に不利になる。手数があまりにも少ないからだ。
なぜ手数が少ないかといえば、彼のバックボーンが伝統派空手だからだ。如何に被弾せずに自分の攻撃を当てるか、というのが彼の戦い方の根底にある。だから極力手数を減らし、確実に有効打となる場面を厳選して打ち込んでいくことになる。しかしそれはあくまでも生死を賭けた戦場の理念だ。MMAにはMMAのルールがある。そしてこのルールと武道としての理念は極めて相性が悪い。これが長らくリョートの急所となっている。
マチダは序盤にまず相手の出方を窺う。相手の手の内もわからずに不用意に手を出せば返り討ちに遭うリスクがあるからだ。そして彼はじっくりと相手の動きを観察し、出方を窺い、そして自分の行動を決めていく。最終的に勝つことを狙うならばこのやり方は正解だ。ラウンドという概念が無く、時間無制限であればこの戦法が一番賢いだろう。
しかしラウンドマスト・システムではこの観察している間もポイントが計算されるのだ。だから彼は序盤のラウンドをよく落とす。この試合でも最初の1、2Rにはほとんど手が出ていない。もちろん王者にもさほどの手数はない。だがそれでもワイドマンの方が積極的に手を出している以上、それらのラウンドは王者に行く。そしてこの1Rと、リョートが優勢に立った4Rもまったく同じ価値であることに留意しなければならない。つまりリョートの戦い方は、KOしない限り判定では勝利をあまり期待できないものなのだ。
リョートはこのシステムで何度も辛酸を舐めてきた。不満を漏らすこともあった。だがルールがそうである以上、彼は違う戦場に赴くか、適応するか、不利を承知でスタイルを貫くしか選択肢が無い。そしてこの試合で彼が選んだのは、不利を承知で己の戦いを貫くことだった。
この試合の彼はこれまでとは一線を画した。序盤にきっちりとワイドマンを分析して癖を見抜き、ワイドマンに少し疲れが見えたところで左ミドルで戦況を変え、そして訪れた勝機にすべてを賭けた。ラッシュを凌がれて疲弊しきった後も勝負を捨てず、最後まで勝利を求めて足掻き続けた。全力を振り絞って意地で前に出続けたマチダの姿は長らく私が望み続けてきたものだ。彼の熱い魂を感じさせる攻撃に、恐らく世界中の人々が魅了されただろう。王者よりも大きかったマチダコールがそれを物語っていた。判定になれば負けることは恐らく承知の上だったのだと私は思う。だから彼はチャンスで仕留めきろうとし、最後まで倒し切ろうとしたのだ。
不利を承知で己の道を貫き、リスクを背負って最後の1秒まで熱く戦い抜いた現代に生きるサムライは最高にカッコよかったと思う。不器用ではあるだろう。手数を出してポイントを稼いでもよかったはずだ。だがマチダは己の信じる道を選んだ。そして龍の牙は王者に深手を負わせ、過去最大の危機を与えることに成功した。
予想を超えた龍の奮闘とその敗因
この試合はマチダにも十分に勝機があった。だが王者の想像以上のタフネスと、やはりTDを完全に防ぎきれなかったこと、自身にTDの選択肢が無いこと、そして両者のスタミナ配分が明暗を分けた試合だったと思う。
マチダは左ミドル、そしてワイドマンの蹴りのモーションを盗んで放ったカウンターの左ストレートで序盤から王者に有効打を与えていた。特にミドルはじわじわとワイドマンにダメ―ジを蓄積させていたはずだ。マチダの空手をベースにした突き刺すような速い蹴りはこれまで多くの選手にトラブルを引き起こしてきた。これと彼の膝蹴りはレスラーにとっては最悪で、被弾を許せばたちまち足の動きは鈍り、タックルに行く力を失ってしまう。
左ストレートはどれも強烈に当たっていたが、ワイドマンが平然としていたのでダメージがどれほどのものかはよくわからない。
4Rのミドルは特に強烈で、5Rにはワイドマンの右わき腹が青黒く変色していた。これをあと少し当てることが出来れば試合はさらにマチダペースとなっただろう。だが4R後半からはワイドマンがガードで対応できるようになっていたためにそこまではいかなかった。
近い距離での攻防は私の予想よりも遥かに良かった。接近戦ではもっと脆いのではと危惧していたが、リョートは飛び込んでのアッパーやオーバーハンド、さらに相手の飛び込みに合わせての肘なども駆使して戦っていた。以前よりもパンチが多彩になっているように思う。コンビネーションで肘を絡めていくのもさすが空手家という感じだ。実際カウンターが得意なマチダにとって、肘は相当に有効な武器だろう。肘のカウンターでワイドマンの左頬がかなり腫れていたので強烈に入ったのは間違いなさそうだが、ワイドマンが小便をかけられているカエルのような面をしていたので、やはりダメージがどれほどのものかはわからない。
TDディフェンスも優れており、体力十分な状態のアンデウソンですら転がされたタックルをマチダは1Rに完璧に防いだ。だが2R以降、やはり打撃戦に注意が行きすぎたり疲労が重なると防ぎきれなくなり、3Rにはタックルを意識したせいで被弾を許してしまっている。これはワイドマンを称賛するべきであり、マチダにはこれ以上はどうしようもない部分もあるだろう。だがこのTDは大きく試合に影響し、ポイントはもちろんペースやスタミナなどでもマチダに不利に働いた。一秒でも長くスタンドを続けることがマチダの勝利には必須だったからだ。このグラウンドでのタイムロスがマチダの大きな敗因の一つだろうと思う。
マチダはスタミナも十分だった。そして相手のスタミナを大幅に削ることにも成功した。しかしラッシュを凌ぎきられてしまったこと、ワイドマンの挑発に乗って攻めすぎたことで、最終ラウンドにはスタミナ残量で逆転されてしまったと思う。相手を挑発して力ませるのはリョート、そしてアンデウソンの二人が得意としてきたもののはずだ。だが王者は逆に挑発をしてきた。お前の攻撃なんぞ効かないと言わんばかりに挑発をするワイドマンに、リョートは少し意地になって攻めすぎた可能性がある。そして攻めすぎて疲れ、さらに攻めようとしたところでワイドマンに打撃を効かされてしまった。もし5R以降があれば、恐らく勝ったのはワイドマンだろうと私は思っている。
マチダのタフネスもまた驚愕だった。KOされてもおかしくないような打撃をリョートは何度も被弾したが、そのたびに彼は下唇を噛みしめて大地を蹴り、前に出て突きを繰り出していった。彼はライトヘビーでのキャリアが長い。一階級上の打撃に慣れたマチダには、ミドルの打撃は遥かに耐えやすいものなのかもしれない。
宝物を求めて旅する龍の行く先は
龍は金色の宝物を奪い損ねた。この階級で再び挑戦権を得るにはかなり長い時間が必要となるだろう。資格を持つ者達が上位にひしめいているからだ。試合前、龍はさらなる階級変更の可能性も示唆していた。ウェルター級にまで落そうというのだ。彼の体を見る限り不可能ではないだろうし、さらに研ぎ澄まされた龍の肉体と動きを見てみたいのは事実だ。そうなれば彼には優先的に挑戦権が与えられる可能性もある。
龍のキャリアは終盤に差し掛かっている。恐らくミドル級での挑戦はこれが最後だろうし、次に対戦してもやはりワイドマンが勝つだろうと思う。ならば新天地を目指すのも悪くはないだろう。彼のスタイルは自分よりも遥かに大きな相手と互角に戦うことを可能にしていた一方で、やはり体格差に泣く試合も多かった。ミドルでは体格差が解消されたことによって彼はずっと優位に試合を運べるようになった。ではウェルターに行けばどうだろうか?減量さえ成功すれば、彼はもっとも競争が激しいウェルターにおいて圧倒的な強さを発揮するかもしれないと私は思っている。
龍は強い。それは誰も疑う余地がない。しかしどうしても王座を奪うまでは行かないでいる。ライトヘビーでは圧倒的な体格差の前に敗れた。ミドルではTDという選択肢がないことと底力、駆け引きの差で敗れた。彼が己の戦い方を変えない限り、あと一歩の差を埋めることは難しいだろう。マチダの父が言う通り、審判に攻撃しているところを見せねば勝てないのであれば、やはりそれに合わせる必要があるのだ。もしそれが嫌ならば、どんな相手も時間内に仕留めるしかない。それができないならば、彼の腰はこれからも物足りないままだろう。
武道とスポーツ、理想と現実の狭間で揺れる龍の子はその強さを示しつつ、しかし王者の証を得られないままにこれからも金網の中を旅していく。その旅路の先に龍が望む理想郷はあるだろうか?龍の空手を極める旅は、これからも続いていく。
オールアメリカン、怒涛のラッシュにも負けず
明日世界の半分が海に沈んでしまったら、きっとこの男は浮き輪を抱えて外に遊びにいくのだろう。朝が来ても日が昇らなかったら、まだ寝ていられるのだと喜んでベッドに戻っていくのだろう。ハリケーンで家を失っても王座戦は諦めないし、金欠に喘ぐ中でも高い柴犬を購入するのだろう。
突きにも負けず、蹴りにも負けず、肘にもスタミナ不足にも負けぬ丈夫な体を持ち、いつも静かに笑っている。「オールアメリカン」クリス・ワイドマン、ミドル級の絶対王者だったアンデウソン・シウバを王座から蹴落として頂点に君臨したこの男は、きっと「そういうもの」なのだ。この男はどんなに劣勢でも一切動じることはなかった。この不屈の精神力こそがワイドマンを王者足らしめているものだ。その肝っ玉は、恐らくアメリカの大地よりも大きいに違いない。
ワイドマンの勝因はいくつかある。まず決して突出して巧いわけではないが、マチダを相手にそれなりに手数を出せるくらいの蹴りがあったことだ。これが無ければ恐らく負けていただろう。マチダを前にパンチとタックルだけでは絶対に戦えない。最低限ローキックが必須になる。そうでなければ無理に飛び込まねば攻撃できず、そしてその飛び込みは自分から龍の口に飛び込むことになるからだ。
様子を窺うマチダを相手にロー、前蹴り、ハイ、ミドルなどを出してマチダの距離でもそれなりに手数を出し、サークリングや前進を巧く使ってマチダに中々距離を掴ませないことでワイドマンは3Rまでを優位に運んだ。
3RはTDを取りパンチも当てていたので間違いなくワイドマンが優位だった。2Rはジャッジによってわかれているが、1と3については全員がワイドマンにつけている。2Rはマチダの左ミドル、そしてローに合わせた左ストレートと、ワイドマンのTDのどちらを評価するかで分かれるところだろう。自分としては3Rの攻勢に2RのTDとパウンドが繋がっていったと考え、ワイドマンが2Rを取ったと判断した。
有効な攻撃だった蹴りだが、1Rからローの、途中からは前蹴りのモーションも盗まれてカウンターを合されるようになり、後半にはその数が激減していた。これは空手で研ぎ澄まされたリョートの技術を称賛するべきであり、それまでは十分機能していたと言えるだろう。
次に徹底した左ハイのガードだ。これは恐らくムニョス戦、ムサシ戦を見てレイ・ロンゴ指導の元に対策を練っていたのだろう。ワイドマンは疲れを見せた4Rですら、ただの一度もハイキックを被弾することはなかった。この対策が無ければ、4Rに王者はハイキックを食らってマットに転がっていたかもしれないと思う。
それくらいにマチダは鋭いハイを何度も狙ってきた。上体を倒す変則ハイにも動じずに対処できていたから、相当な修練を積んできたのだろう。無意識にガードできるほどに、その防御方法は徹底して体に叩き込まれていた。
パンチ技術、タックル技術は言うまでもないだろう。特にタックル技術はこの試合での生命線となった。スタンドのみではマチダを相手に分が悪い。打撃で五分に持ち込んで、あとは如何にタックルでスタンドの時間を削れるかがワイドマンの勝利に必須だったからだ。
マチダを相手に恐ろしいのは、スタンドの時間が長いほどに癖を見抜かれて被弾が増えていくことだ。マチダは序盤にただ消極的なわけではない。相手を泳がせ、それを明らかに観察しているのだ。そして何を防げて何に反応できないかも見ている。序盤からハイキックに対しては完璧だったが、ミドルに対応しきれていないことを見抜かれた。それが4Rに繋がったのだ。もっとも、ワイドマンはミドルを効かされてから試合中にそれに反応できるようになっていたが。
パンチは良いのだが、思っていたよりも当たらなかったと言うのが正直なところだ。やはり体格的に同じくらいになるとマチダの懐は相当に深い。タックルが決まってからは当たるようになったが、その流れも4Rにミドルを受けて失速したために遮られた。だがラッシュを凌いでマチダの運動量が落ちたところで、また再び当たりだして流れを取り戻したように思う。
あのミドルさえ受けなければ5Rあたりでダウンを奪えるほどの強打を当てられたかもしれない。やはりTDあってのパンチだろう。純粋なスタンド技術としてはまだまだ改善の余地がありそうだ。それでも威力、ハンドスピード、多彩さは十分だと思う。
王者最大の武器は不屈の魂、不動の肉体
最後にこの試合で一番驚いたのが、この男の化け物じみたタフさだ。頑丈という域を超えている。試合後に記憶が無かったことからも、脳は間違いなく揺れていたのだ。だがこの男の体からバランスが失われた瞬間は見ていない。ミドルで動きが止まってはいたが、脳のダメージと思しき肉体的な兆候はほぼ見られなかった。マチダの袈裟切りオーバーハンドの後にぼんやりした顔をしていたくらいだろうか。クリーンヒットはそれなりにあった。見えずに貰っていた打撃もあったと思う。それでも彼は平然としていたのだ。マチダのハイを2発被弾して平然としていたゲガール・ムサシもタフだと思ったが、王者はそれと同じか、もしかしたらそれ以上かもしれない。
肉体同様に精神力も常人を遥かに凌駕する。とにかく顔にほとんど感情が出ず、どこまでダメージがあるのかまったくわからないのだ。ポーカーフェイスが勝負ごとにどれほど有利なのかを実感した試合だった。圧巻だったのは被弾後の挑発だ。マチダは右フックを貰った後、グラつきながら首を振ったから効いていることはすぐにわかったが、ワイドマンの挑発はそれとは一線を画していた。恐ろしい勢いでラッシュを掛けられ、顎に良いのを貰ってまだ危機が続いている最中に小さく、対戦相手にしかわからないほどに小さく挑発するのだ。あのマチダがまんまと乗って大振りの突きを放ってかわされている。この駆け引きはワイドマンが一枚上手だっただろう。そしてこの男はその時微かに笑っていた。思い違いかもしれない。だが私の目には、確かに不敵に笑っていたように見えた。
怖くはないのか?モニター越しに見ていた自分ですらマチダのラッシュは恐ろしかった。KOされるのではと思わず拳を握りしめた。下手をしたら見ている自分が先にダウンしていたかもしれない。あと一発貰えば倒れてもおかしくない場面だ。そんな状況下でワイドマンは「かかってこいよ」と手招きしたのだ。どうかしている。だがどうかしていない奴が、世界の頂点など取れるわけがないのだ。絶対王者と恐れられた「スパイダー」を前に、何一つ怯えることなく前に出続けた男の勝利は、決して運や偶然などではなかった。その鋼の心臓で全身に血を送り、岩の体躯で敵を粉砕して得た正当な物であることがこの試合ではっきりと証明されたと思う。
何故ワイドマンが強いのか、それは「タフな奴」だからだ。シンプルにしてもっとも頼もしい、まさに「オールアメリカン」らしい強さの秘訣だ。とてもアメリカらしい、というべきだろうか。ワイドマンはとにかくタフで、そして常に自信を持って顔を上げ、勝利だけを見据えていた。彼のメンタリティには見習うものが非常に多いだろう。
だが危険な場面も多かった。これほどまでに追い込まれたのは初めてだろう。ミスをした場面もいくつかあった。
まずマチダのスタイルに、やはりワイドマンも相当にやりにくそうだと感じた。サウスポーなうえに距離が遠い。迂闊に踏み込めばカウンター、遠目から蹴りに行ってもカウンター、遠目で様子を見ていると隙を突いての左ミドルに左ハイとマチダは難攻不落の砦のようだった。頻繁にスイッチも繰り返してくる。これでは距離の完全な掌握は難しいだろう。序盤はそれでもある程度蹴りを当てていたが、時間経過につれてカウンターを合される回数が増えてその選択肢を失うことになった。特にローキックのモーションを1R早々に盗まれたのはかなりの痛手だっただろう。
2R、パンチの当たる距離にならないことに業を煮やしたワイドマンが実験的にスイッチしたが、マチダの攻撃に対処できずに被弾してすぐに元に戻していた。試合中に試行錯誤せねばならないほど、マチダの戦い方はトリッキーなのだ。
また何度かTDを失敗したのも響いたと思う。蹴りとカウンターがあるために、どうしても遠くから飛び込まざるを得なくなる。もう少しジャブなりパンチが当たっていれば楽に運べたのだろうが、マチダの蹴りの間合いを崩し切れなかったためにTDに失敗し、これもスタミナのロスに繋がってしまった。一番最悪だったのは4R、ミドルを効かされたあとにタックルで粘ったことだろう。スタンドを続けて被弾を増やしてしまえばもっと危うかった可能性ももちろんある。だがガードを固めて手数を控えて下がるほうがよかったと思う。TD失敗後にスタミナ切れでディフェンスが機能していなかったことを考えれば、やはりあそこで固執したのは判断ミスと自分は考える。これはあのワイドマンが唯一弱気になった場面だろう。
そして一番危険だったのは言うまでもなく左ミドルだ。あまり腰を入れず、膝から先を跳ね上げて高速で爪先を突き刺す空手の蹴りは急所を抉り、一瞬で生気を奪い取る。腰を入れるムエタイの蹴りとは微妙に飛んでくるタイミングもずれているのか、ワイドマンは対処しきれずに被弾する場面が多かった。点で打ち抜いてくるからかガードもひどくしづらそうに見える。ワイドマンがガードした腕の隙間を縫って脇腹に刺さったシーンもあった。前半は足が動いていたからマチダもあまり打ってこなかったが、やはり4Rに運動量が落ちたところをしつこく狙われた。これで足が止まったところにマチダはラッシュをかけてくるのだ。まさに詰将棋といえる試合運びだろう。だがここを持ち前のタフさで凌ぎ、要所で打たれっぱなしにならないように反撃していたことがこの後の逆転に繋がっていった。
乗り越えた最大の障壁、後に続くさらなる試練
この試合の前、王者はその実力をまだ認められていなかった。アンデウソンとの初戦は驕りと油断、2戦目は事故だというのだ。王者に4R以降の経験はなく、そのスタミナも未知数だった。そんな彼にとって、この龍退治は王者たる資格があることを証明する最大のチャンスであり、また危機でもあったのだ。だがこの勝利によって、少なくとも彼の実力が本物であることは証明されただろう。
しかしこれで安心することは出来ない。人々は「スパイダー」という絶対王者を倒した勇者に、彼の後継者となることを望んでいるからだ。誰もが恐れる圧倒的な力、恐怖による支配が無ければミドル級はもはや物足りなくなってしまったのだ。そういう意味では、人々はまだこのアメリカ人の青年に満足してはいないように思う。
そんな彼が皆を満足させる方法はただ一つ、王座に押し寄せる化け物たちを片っ端から片づけることだけだ。「ザ・フェノム」ビトー・ベウフォート、ホナウド・「ジャカレイ」・ソウザ、「ザ・ドリームキャッチャー」ゲガール・ムサシ、ルーク・ロックホールド、ティム・ケネディ、他にもまだ控えている。しかも彼らをただ倒すだけではきっと皆は満足しない。彼らを劇的、圧倒的に倒さねば、金網の魔術師を継ぐ者として認められはしないだろう。
毒蜘蛛を退けて王者の証を腰に巻いた勇者だが、そのベルトには先王の呪いがかかっていたのだ。その呪いを解くためには、居並ぶ強豪をしかるべき方法で血祭りに上げ、金網の神に粛々と捧げねばならない。偉大なるファイターが残した呪いを解くのが先か、勇者が力尽きて倒れるのが先か―勇者の行く末に待つ試練は容易なものではないだろう。
だがこの男はたぶん、その道のりを鼻歌混じりに歩いていくに違いない。肩にベルトをぶら下げて、道行く人に笑顔を振りまきながらのんびりと歩いていくだろう。ベルトから放たれる呪いの波動も、ちょうどいい刺激で気持ちいいと思っているかもしれない。彼の心はいつだって穏やかだ。どんな苦難にも喘ぐことなく、どんな危機にもたじろがない。優しく、猛々しく、内にはいつも大きな風が悠々と吹き流れていく。
彼が龍と死闘を繰り広げた翌日、また別の場所でUFCの大会が開かれていた。そこには龍の爪跡を顔に残したままの王者がいた。彼は相変わらず屈託のない笑顔で、どこか田舎くささの抜けない風貌だった。まるで疲れた様子はなく、もちろん王者として驕る姿もない。見るからに気さくな普通の青年がいて、いつもと変わらぬ素振りで試合を観戦しているようだった。左目の下に残った肘による傷跡が無ければ、前日に死力を尽くして戦い抜いたとは誰も気づかないだろう。
なるほど、この男は強いはずだ。厳しい苦難を乗り越えて、その後に苦しんだ形跡を残す者は常人だ。ならば苦しんだ形跡すら見せずに、平然と日常に戻っていつもと同じように笑える人間は一体なんだ?
人はそれを超人というのだ。「オールアメリカン」クリス・ワイドマン、何があろうといつもと変わらずにいられるこの男は、これから先どんな壁にぶつかろうと、平然と突き破って進んでいくのだろう。何があろうといつものまま、それは一見何でもないように見えて、実は最も異常なことなのではないだろうか。
人間を超越した不屈不動の心と体に普通人の皮をかぶって、このモンスターはこれからも王座に君臨するだろう。皆がこの男の異常性に気づいて畏怖し始めるのもそう遠い未来の事ではない、私はそう思っている。そしてその時こそ呪いは解け、彼のベルトは本当に彼の物となるのだ。
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>左目の下に残った肘による傷跡が無ければ~
返信削除会見動画を見る限りリョートと被弾はそう差がない様に見えたのに顔はえらい違いでしたよね
ほとんどの被弾は芯を外してたのか腫れ辛い体質なのか
両方だとしてもリョートの打撃をOFGでもらっているのでもう少し激戦の跡が残りそうなものですが
もしくはカットマンが未知の技術を持っているのか
本当にワイドマンは超人か化物なのか
ワイドマンは肝が据わってるからか打撃を良く見ていて、要所でスリッピングアウェイしたり反応してるんですよね。ディフェンスがいいです。なので芯を外してたのかなあとも思います。でもまともにはいったのもあったように見えたんですが・・・wあとは突きも結構距離遠いの多かったので、マチダにしてもワイドマンはやりづらかったのかもしれません。
削除逆にリョートはまともにもらったのが多かったんでしょう。パウンドもいいのはいってたと思いますし。そういう意味で、やはりワイドマンのほうが優位だったと思います。
まあワイドマンはどのみち超人ですwほんとタフでした
マチダのラッシュに久々に心が震えました!
返信削除こんな試合があるからMMAはやめられない!
勝ったワイドマンも素晴らしい執念だった!
マチダはほんとめちゃくちゃカッコよかったですね!
削除あの泥臭い攻めにはグッときちゃいました。もう最高です。
ワイドマンは知らない間に持ち直しててどういうこっちゃと
ビックリしました。前半ラウンドを取ってなかったら危なかった
ですね。
リョートもワイドマンも素晴らしかったです!
返信削除リョートにTD選択肢が無いことは相手に与えるプレッシャーを減らしていることは事実だと思いますがワイドマン相手に自分からグラップリング勝負にでて優位にたてるでしょうか?逆にペースを握られそうな気もしますが
ただリョートも下になってからのディフェンスがよかったようで、いつもTDを決めればすぐに極めにくるワイドマンがあまりサブミッションを狙わなかったです。
ともあれワイドマンは手が付けられなくなりそうですね、あんなにタフだとは。
今のランカー達ではもっとあっさりやられてしまうかもしれません。
岡見さんならフィジカルも体力も十分ですし打撃を改善すればかなりうまくやれるのではないでしょうか。
挑戦者の人材に困り始めたダナに法外なファイトマネーを吹っかけてUFCに凱旋してほしいです
二人とも最高でしたね!こういう熱い試合を見ると格中冥利に尽きます。
削除リョートのTDの選択肢は空手の足払いです。私はあの技が本当に好きなんですw達人!って感じがして憧れです。あれのためだけに金を払っても構わないくらい好きです。
自分としてはあの空手の足払いからの極めの一撃後離脱、というのを選択肢にいれてもよかったのかなと思ってます。もちろんグラップリングは付き合わずに殴って離脱ですw転がされればスタミナもロスしますし、相手も前に出にくくなるからです。
もっとも、それだけ近づけば自分もTDされるリスクがあがりますし、マチダのラッシュに対してワイドマンは素早く下がって距離を取れていたのでそう簡単にはいかなかったでしょう。試合後にリョートがスタンドを可能な限り続けるプランだと言っていたので、崩しを狙ってもよかったのかなと思います。
リョートは下からもそこそこでしたし脱出も早かったのですが、ワイドマンがガードからでもいいパウンドを打ってくるので結構被弾してましたね。肘も割と効いたんじゃないかと思います。
ワイドマン相手には打撃で五分以上、さらに自分からTDできるかTDディフェンスがかなりしっかりしてるかのどちらかが無いと厳しいですね。ビトーの1Rが今のところ一番怖いです。でもすぐにTDできるようならワイドマンが勝つでしょう。
岡見さんは私も好きなんですが、今のミドルの層の厚さだとトップ10入りは出来るとは思いますが、5位以上が厳しそうです。蹴りとフットワークが使えるようになれば劇的に強くなるとは思うんですが・・・。でも頑張ってほしいですね。というか早く次戦を組んでほしいです。セフォーさんはよはよ!
言い忘れましたw
削除要はリョートにTDの選択肢が無いから負けた、というのは結局グラップリングでは不利とマチダが考えていたこと、実際TDを狙っても成功したかどうかもわからない事、倒した所でその後の展開で勝てるかどうか不明な事、どれにしてもリョートはこの点において不利だったのです。だから敗因であり、狙ったとしてもあまり変化はなかったかなと思います。このあたりはスタイルの相性なのでどうしようもない面もありますね。逆にリョートがTDを完璧に防げるんであればそもそもTDの選択肢は不要だったわけです。たぶんリョートは行けると思っていたんだと思います。
やっぱり相手がワイドマンくらいになると、あの空手独特の崩し?投げ技?みたいなのは難しいんですかね?
返信削除あれカッコイイから好きなんですけど。
それはそうと、待ちに待った「天下一デブ道会」がもうすぐ開催ですね!w
やったー!私の仲間がwマチダの投げ本当にカッコいいですよね。突きを深めに入れてそのまま一瞬で相手をひっくり返すあの技、まさに東洋武術の系譜って感じです。あれをMMAの、しかもトップレベルでやってしまうのが凄いと思います。ライトヘビー時代にブザー寸前であの投げからの極めでKOした時には失禁するかと思うくらい痺れましたw
削除そしてとうとう来てしまいましたね、あの強くてカワイイデブの世界一を決める、「天下一デ武道会」が!私はどちらのデブも大好きですが、可愛さではハントが勝ってますね。試合だとどちらが勝つのか・・・実は正直わかりませんw実際かなり予想しづらい試合です。噛みあうかどうかすら不明です。
私はタフネスに関してはどうしても時の運の要素が加味されてしまうのかなと感じました。
返信削除勿論ワイドマンは打たれ強い部類に入るでしょうし顎も強そうに見えます。
しかし、ダメージは蓄積されていくものだと言われていますし、試合数も多くキャリア10年を越すマチダと5年に満たない程のワイドマンでは向かい合った時点でのダメージの蓄積、打たれ強さが違ったのではないのかなと。
この試合の前にレイ・ロンゴもマチダは打たれ弱くなっているとワイドマンに指摘していたようですし、タフネスが殊更目立つ試合ではやはり時の運というものが介在する余地があるのかなと感じました。
何時如何なるタイミングで巡り会い、その上でその時に強い方が勝つべくして勝つのだなと。強い者同士のファイトの方がよりそういう微細な部分や陰影が際立つ気がします。
年齢、キャリアが影響するのは間違いないと思います。以前ダニエル・コーミエもネルソン戦の前に打たれ弱くなってるはずだと指摘してましたね。個人差はあれど、キャリアが長くなるにつれて確実にダメージは蓄積していくと思います。しかもリョートは元々そんなに打たれ強いわけでもないですし、ジョーンズ戦なんかでは相当殴られてましたしね。以前より脆くなってる可能性は高いです。ただそれよりも、加齢でいうならスタミナのほうに影響がありましたね。手数を出さないと言うより、出すとスタミナ切れで負ける可能性があるのではと思っています。ラッシュ後の失速は顕著でしたので。
削除確かにそういう巡りあわせという意味では、運と言えるのかもしれません。もしリョートがあと5年遅く生まれていれば結果はまた違っていたかもしれないでしょう。ただそればかりはもうどうしようもないですし、私はそれも含めてMMAの面白さだと思っています。
私もレスナーがあと数年遅く生まれていれば、MMA最盛期にキャリアのピークを迎えていればと思うことが度々あったので、その気持ちはとてもよくわかります。
そうですよね。加齢から来るスタミナの問題、、まるっと抜け落ちていました。笑
削除少し感傷的と言うか、甘きにより過ぎた見方だったかもしれません。
そういう部分も含めた残酷さがMMAの魅力の一つでしょうし美しい瞬間に繋がっているのかもしれませんね。
私は時折、倒れて身体の力が抜けて行き、身を守るために丸くなった選手がレフリーストップまでの間パウンドを貰い続ける様を観ていると、野生動物が捕食される様を連想します(@アンデウソン戦の岡見さん)
レスナー、本当にそうですよね。時代が違えば、、と思わせてしまうファイターは本当に罪作りです。
いつも読ませて頂いてます
返信削除すごい文章量ですね
これでどれくらいの時間かかりましたか?
いつも読んで頂いてありがとうございます!
返信削除言われてみて気づいたのですが、これどれくらいかかっているんでしょうかw実は正確に測ったことがないのです。
書いてる最中は集中力全開なのであやふやですが、恐らくトータルだと5時間から7時間くらいだと思います。割と休み休み作業してるので結構かかります。もう少し軽い記事だと4時間くらいで書いてるかもしれません。
今度正確に計測してみようと思いますw